著者
成瀬 厚
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.280-293, 2017
被引用文献数
1

<p>大学非常勤講師の処遇に関する議論は1990年代以降なされており,2007年前後に盛り上がりをみせていたが,大きな改善がみられないまま現在に至っている.2013年には労働契約法が改正され,非正規の有期労働契約を無期契約へと転換する道が開かれたが,逆にそのことが「雇い止め」という事態を拡大させる契機となっている.本稿で筆者は,そうした議論を整理し,大学で地理学関連科目を担当する本学会員の大学非常勤講師にアンケート調査を行った.回答者15人の属性として,講師歴15年以上および年齢46歳以上が回答者の半数以上を占めた.かれらの収入は週1コマ当たり月額で30,000円以下がほとんどで,かれらは4校程度を掛け持ちしている.大学の非常勤講師で生計を立てている専業非常勤講師は,平均週8コマを担当しているという状況が確認された.</p>
著者
成瀬 厚
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.107-117, 1997-04-28 (Released:2017-04-20)
参考文献数
49
被引用文献数
1
著者
成瀬 九美 上田 遥菜
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
巻号頁・発行日
vol.71, 2021

<p>身体部位写真によるメンタルローテーション(以下MR)では生体力学的制限(biomechanical constrain)を受けて運動制約の高い提示角度で反応時間(以下RT)が延長する。報告者らは手足写真(手掌・手背・足底・足背)を6角度(0、 60、 120、 180、 240、 300度)で提示する実験を行い、手掌写真のRTに制限による遅延が認められたのに対して、手背写真のRTは180度が最も遅く、この角度を頂点とする左右対称となった(上田・成瀬、2019)。この特徴は文字刺激を用いた場合と同様であり。部位表裏を用いたMRから視覚的イメージの使用など個人傾向を把握できる可能性がある。しかしながら、従来、MRはRTを指標とする場合が多く測定機器が必要となるため集団実施が難しい。本研究では、刺激画像の提示時間を一律にして左右同定の確信度を求め、100mmアナログスケールによる回答に上記の左右対称(手背)/非対称性(手掌)が現れるかを検証した。1000msと1500msの2種類の提示時間を用いて、待機画面(2000ms)→刺激画面(1000または1500ms)→回答画面(5000ms)で1試行を構成し、部位(手掌・手背)×左・右×6角度×2回の合計48試行を実施した。1000mm提示条件に43名、1500㎜提示条件に41名の大学生が参加した。二元配置分散分析の結果、提示時間1000mmの場合、交互作用が有意であり、下位検定の結果、手背180度と他の5角度との間に、手掌180度と60度との間に有意差がそれぞれ認められた。提示時間1500mmの場合、角度と部位の主効果が有意であり、下位検定の結果、180度と0度、60度、300度との間に有意差が認められ、手背の確信度は手掌より有意に高かった。以上の結果から、提示時間1000mmの場合に左右対称(手背)/非対称性(手掌)が明瞭に得られた。</p>
著者
山上 ユリ子 亀岡 恵子 江成 里衣 倉持 裕子 成瀬 宇平
出版者
松山東雲女子大学・松山東雲短期大学
雑誌
松山東雲短期大学研究論集 (ISSN:03898768)
巻号頁・発行日
no.20, pp.p191-204, 1989-12
被引用文献数
1

Study on the dietary habits and life of zen monks at zen monastery Empuku-ji was conducted to clarify the health conditiouns zen monks. As giho Nishikata,great master of Empuku-ji once said. "temples and monasteries were said to be 100 years behind the time, but now they are in the van of the time,"the rusults of our study reveal the value of zen diet which has beendeveloped with much wisdom. The results obtained can be summarised as follows; 1) the energy consumption of zen monks was quite high both on routine labor days and the days called ohzesshin. This high energy consumption is one characteristic of the dairy life of the zen monks at the zen monastery studied. 2)The dietary habits at a zen monastery closely resembled those of vegan vegetarians. The deietary inteke of zen monks from their regular meals was not suffcient for their necessary dietary allowance. 3) In addition to their regular simple means, they have a special meal almost once in every five days. This shows thier traditional dietary pattern of having meals at a zen monastery,which has been succeeded over 700 years.4) The health conditions of zen monks were good. 5) Most of their guest meals and meals for special occasions had a large number of dishes with a small quantity for each. These vegetarian deiets were of high nutritive value,and a variety of foods were assorted in each dish to give relish to its color, savor anr aroma. 6)Zen vegetarian diet was characteristically composed of tactful combination of so called " five cooking materials" , "five colors", "five savors", and that are "hot and cold" and "hand and soft".
著者
石澤 美代子 成瀬 祐子 水野 尚子 藤岡 由美子
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
教育総合研究 = Research and studies in education (ISSN:24336114)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.203-212, 2020-11

管理栄養士養成課程において臨地実習は必須であり、本学には臨地実習Ⅰ~Ⅳの4種類がある。そのうち臨地実習Ⅱは病院へ赴き10日間の実習を行い、終了後はパワーポイントを用いて実習の概要や課題をまとめ、大学で「対面・ブース形式」により報告会を行っている。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大により対面が難しい状況となったので、2020年度は報告会をオンライン・ブース形式(オンライン報告会)にて行った。オンライン報告会は聴講者にはメリットが多く発表者側も有益な報告会になる可能性が示唆されたので、対面実施が難しいなかでもオンラインによる報告会は、代替方法として有用であると思われた。
著者
髙見 采加 成瀬 九美
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.100_1, 2018

<p> 私たちはモノを把握する時、対象物の大きさや形状を認知し、把握経験による運動感覚と対応づけることで、脳内で自分にとって適切な手の形を表現している。静止物把握の把握様式には個人差がみられる(鎌倉、1978)ため、把握動作の分析により、その人が外界物をどのように予測して動作を遂行しているかを推測できる可能性がある。本研究では、棒状物が前額面で回転する課題を用い、把握手(順手 / 逆手)の変化を分析した。大学生女子28名を対象とし、棒状物を30°ごとに回転させた6種類の刺激写真をプロジェクターで提示した。第1実験では刺激写真をランダムに提示した。30°と60°では順手・逆手把握の両方がみられ、把握手一貫性は低かった。第2実験では、0°から右回り又は左回りに順に連続提示した。把握手一貫性の低い30°や60°を中心に身体的制限による把握手の切り替えが観察された。また、切り替え回数及び切り替えを行った角度の使用数をもとにクラスター分析を行った。切り替えを行った角度の使用数が多い群は、少ない群と比較してTAIS下位尺度のBET(注意の広さ)やINFP(情報処理能力)の得点が有意に高かった(p<0.05)。</p>
著者
稲垣 栄洋 長谷川 佳菜 窪田 早希子 西川 浩二 成瀬 和子
出版者
日本有機農業学会
雑誌
有機農業研究 (ISSN:18845665)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.32-37, 2019-07-31 (Released:2019-12-27)
参考文献数
11

伝統的な刈敷き栽培は,ススキやヨシなどのイネ科植物を用いるのが一般的である.しかしながら,徳島県剣山系の伝統農法では一般的な刈敷き栽培にはススキを用いるのに対して,ナス科作物の栽培にはタデ科多年生雑草であるイタドリが経験的に用いられている.この要因は明確ではない.そこで本研究では,イタドリの表層施用がナスの生育や収量,品質に及ぼす影響を検討した.試験は2016年度と2017年度に行い,径30cmのポットにナスを1本植え栽培して,イタドリ施用,ススキ施用,無施用の3水準で行った.その結果,潅水を制限した場合,イタドリを施用した区とススキを施用した区では,無施用に比べて土壌水分が高くなった.また,イタドリ施用区とススキ施用区では昼夜の温度差が小さくなる効果が認められた.ナスの生育や収量には,イタドリやススキの施用の効果は認められなかった.一方,イタドリを施用した区では,ナスの皮がやわらかくなり,果実糖度が高まる効果が認められた.
著者
中村 伸也 山田 勝己 加藤 克己 富田 明夫 丹羽 滋郎 三井 忠夫 小池 明彦 成瀬 隆吉 恒川 晋
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.185-189, 1994

2° HPTを有する透析患者7名にPTXを施行し, DEXA法を用いて, 腰椎 (L<sub>2</sub>-L<sub>4</sub>), 大腿骨近位端 (頸部, 大転子部, 転子間部, ワードの三角) および橈骨 (橈骨遠位端より1/3近位端) のBMDを測定し, 測定部位の骨組成やMD法の結果を考慮に入れながら, PTX後のBMDの経時的な変動と部位による改善状態の相異に検討を加えた. L<sub>2-4</sub>平均BMDは術前BMDに対して3か月後8.4%の増加 (p<0.05), 6か月後10.9%上昇した (p<0.01). 大腿骨近位端右側では3か月後各部位とも有意な上昇はなく, 6か月後頸部以外の部位で上昇を認めた (p<0.05). 左側では3か月後ワードの三角で16.7% (p<0.01), 転子間部で9.1%と上昇した (p<0.05). 6か月後頸部で18.1%の上昇をみた (p<0.01) が, 他の部位では増加幅の鈍化傾向を認めた. 一方橈骨では術後の改善はみられなかった. MD法の主たる指標はPTX前後で変動がなかったが, 中節骨, 末節骨における骨膜下吸収像は不確実なものを含めると6例で認められ, 1例で改善, 4例で改善傾向を認めた. BMDの有意な改善は腰椎で, 次に大腿骨近位端で明らかであった. また大腿骨では左右間で, また測定部位により改善率が異なっていた. これらの理由として測定各部位に占める海面骨と皮質骨の構成比率などのほか加齢, VD<sub>3</sub>, PTHの同化作用などが関与するものと想定された.
著者
松井 克憲 鹿野 共暁 長橋 ことみ 大川 直子 有澤 奈良 成瀬 香織 鈴木 留美 稲本 裕
出版者
静岡産科婦人科学会
雑誌
静岡産科婦人科学会雑誌 (ISSN:21871914)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.126-130, 2019-09

ペグフィルグラスチムは持続性のG-CSF刺激作用を保持し、末梢血中の白血数を増加させる働きをもつ。症例は55歳。再発卵巣癌に対して、DC療法 (ドセタキセル70 mg/m2+カルボプラチン AUC≓ 5) とペグフィルグラスチムを投与中であった。DC療法4コース投与後に発熱と全身倦怠感を主訴に来院した。抗菌薬投与を行ったが、解熱を認めなかった。精査目的に撮影した造影CTで胸部大動脈の壁肥厚と左側優位の両側胸水貯留を認めたため、大動脈炎と診断し、プレドニゾロンの投与を開始した。症状はただちに軽快し、大動脈の壁肥厚も改善した。がん化学療法時に発熱とCRPの上昇を認めた症例は、細菌感染症以外にも血管炎を考慮する必要がある。
著者
井上 由里 大谷 啓尊 上杉 雅之 成瀬 進 小枝 英輝
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.345-350, 2015-06-01 (Released:2015-05-28)
参考文献数
12
被引用文献数
1

The purpose of this study was to investigate the characteristics of the past injuries of female junior high and high school soccer players in comparison with those of male junior high and high school soccer players. 41 female and 60 male players were examined for the past injuries that they had experienced. The incidence of injuries in females was 0.21±1.69 injuries per player per year compared to 0.28±0.41 injuries per player per year in males. There was not significant difference in the incidence of past injuries between males and females. The most frequently injured region was the ankle in females and the upper extremities in males. Females experienced frequent ligament injuries while males experienced frequent fractures. It was unusual that females experienced a higher rate of Osgood-Schlatter disease. Females also had more traumatic injuries caused by non-contact incidents. We conclude that it is important for female soccer players in junior high and high school to take measures to prevent ligament injuries in the lower leg and traumatic injuries caused by non-contact incidents. We need to conduct further research to reveal why the females experienced a higher rate of Osgood-Schlatter disease.
著者
高原 光恵 津田 芳見 橋本 俊顕 成瀬 進
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学研究紀要 鳴門教育大学 編 (ISSN:18807194)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.58-63, 2009

We examined the gaze point of adults who didn't have the symptoms of dyslexia when looking at a child's handwritten characters. Subjects were 14 adults, and half of them were teachers. They looked at 10 photo images that showed a boy writing characters, hiragana and kanji. Their gaze points were analyzed by using an eye tracking system. Three kinds of indices were as follows ; time to first fixation (TFF), fixation length (FL), and fixation counts (FC). The results showed there was no gaze point difference in all indices whether they have an experience as a teacher or not. But there was a difference among the areas as for "TFF" and "FL". Most subjects have a tendency to pay attention early to near the center and the first line. And longer fixation length areas were the final line and the central upper area. These results partly correspond to the preceding research.
著者
成瀬 進 大岡 秀哉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.1251-1255, 2000-10-20 (Released:2010-03-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
小野 浩史 義家 亮 成瀬 一郎 鳥越 隆志
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
環境工学総合シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.216-219, 2009

The purpose of this study is to investigate the behavior of biomass gasification in the packed-bed, conducting gasification experiment and analysis of syn-gas in the reactor. In this study, pellets of black pine (ψ6.5mm×8.5mm) are fed intermittently with air as the gasification agent. The gasification experiments were carried out by two type gasification methods, such as updraft and downdraft setups. In the gasification tests, the temperature distribution in the gasification reactor and the gas compositions are measured and analyzed during gasification by thermo-couples inserted from a furnace wall and a micro gas chromatograph, respectively. Product gas before cooling were sampled for determine the amount of tar generation.
著者
西山 要一 植田 直見 桐野 文良 野尻 忠 早川 泰弘 今津 節生 東野 治之 関根 俊一 望月 規史 成瀬 正和
出版者
奈良大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

携帯型蛍光X線分析装置、据付型蛍光X線分析装置、X線回折装置、X線透過撮影装置など多種の分析器機・調査機器を活用して真鍮製考古資料・美術工芸品の成分分析等を行った。三重・大宝院所蔵大般若経八巻(紺紙金字経)の詳細な科学分析、および平安~江戸時代の紺紙金字経・同断簡の分析などによって、経典写経における真鍮泥使用の広がりを把握し、その宗教的・技術的・経済的な意味を歴史上に位置付けることを試みた。また古代~中世の京都・平安京跡、岩手・平泉遺跡、近世の奈良・奈良町遺跡、和歌山城跡などの出土銅合金・真鍮資料・鋳造資料を悉皆的に科学分析し、各遺跡・各時代における真鍮製品の実態を把握した。美術工芸資料調査では、長谷寺・九鈷鈴(中国・元時代)、當麻寺・螺鈿玳瑁螺鈿唐草合子(朝鮮・高麗時代)の将来品の分析を行い真鍮が使われていることを確認した。この種の日本製真鍮製品が見当たらないことから、真鍮の利用に日本と両国の間では様相を異にすると考えられる。近世には日本絵画の彩色に真鍮泥が使われる諸例を明らかにしつつあり、江戸時代以降の広範な真鍮利用の実態が判明しつつある。史料学調査では、日本・韓国の真鍮関連の古記録の探索の中で、新たに朝鮮の「三国史記」に真鍮関連の記載を見いだし、その真鍮史上の位置付けを試みている。さらに、韓国の真鍮資料を同国の分析科学者の協力を得て科学分析データおよび記録データの収集を行った。紀元前より真鍮製品(ローマコインなど)が存在するヨーロッパの諸例のデータも研究協力者の助力を得て収集し、日本の真鍮製品との共通性と差異、西アジアに発するとされる真鍮の起源とその伝来の道(ブラスロード)と歴史の一端を垣間見ることができた。これらの研究成果は、昨年度報告と同様に2019年度研究成果(冊子)にまとめ、日本文化財科学会大会(2020年7月)などで公表の予定である。