著者
新田 勍 水野 孝則 高橋 清利
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.447-466, 1992
被引用文献数
43

1986/87エルニーニョ発生期に起きた、様々な対流活動と流れの場に関する、時間・空間変動の特徴について調べた。この時期、インド洋から太平洋にかけての熱帯域では、季節内変動(ISV)、超雲集団(SCC)、双子低気圧、西風バーストが発生、発達、消滅を繰り返した。<br>多くの季節内変動は、インド洋で発生し、超雲集団、双子低気圧、西風バーストを伴って、西部熱帯太平洋へと伝わって行く。1986年に発生した季節内変動の中で、エルニーニョの発達に重要な役割を果たしたと思われる、(1)5月の双子低気圧、(2)8月に発達したITCZ、(3)本格的なエルニーニョの発達と関係した11月の超雲集団、の3例について詳しい時間変化と水平-垂直構造を調べた。<br>超雲集団が赤道上をインド洋から西部太平洋に東進する過程で、下層の西風バーストが海洋大陸上、特にスマトラの地形によって大きく影響を受けることが明らかになった。
著者
千住 真智子 新田 良子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.129-139, 1996-09

本研究では, 集団表現・演技発表について, 小学校の体育的行事の中の運動会を中心に, その実施された内容を通して, 小学校教師に集団表現・演技発表の実践の重要性がどのように認識されているかを明らかにするために2つの調査を実施した。その結果, 大阪府下の昭和30~昭和49年と比較的学校設置年の新しい小学校, 特に40代, 30代女性教員の占める割合の高い小学校では, 運動会は, どの小学校でも例外なく開催されており, 体育的行事の中でも中心的な行事であった。運動会では, 9割以上の小学校が, 集団表現・演技発表を各学年毎多様な演技種目として実施していた。運動会での集団表現・演技発表の指導に当たる教師には, 体育分野の指導は重要視されている傾向にあり, さらにまた, 集団表現・演技発表の実践に対しても, 重要であると認識されているが, その実践に対する教師の捉え方は, 児童の学習の集積としての発表の場というものではなく, 運動会のための集団表現, 運動会のための集団表現作品であると考えられていることが明らかとなった。The purpose of this study is to ascertain what primary school teachers think about group performance practices and the important of it. Two interviews were conducted regarding what occurs in group performances at physical educational events in primary schools, in particular athletic meets. The result found was that at comparatively new schools established from 1955-1974 by the Osaka Prefecture, and among them specially at schools in which the proportion of women teachers were aged between 30´and 40´to other teachers is high, an athletic meet is held at every school without exception as the center of physical educational events. During the athletic meet, group performance is practiced by all students in various ways at 90% or more of the schools. It appeares clear that teachers who guide pupils in group performance at athletic meets tend to attach great importance to the field of physical education, and recognize the importance of practicing group performances. However, regartaing their viewpoints on the practice, they see it as only group performances for athlethic meet than as an occasion for pupils to express an accumulation of their learning.
著者
岡崎 怜子 宮内 靖史 小林 義典 丸山 光紀 岩崎 雄樹 平澤 泰宏 阿部 純子 谷口 宏史 堀江 格 舘岡 克彦 上野 亮 小鹿野 道雄 篠田 暁与 小原 俊彦 平山 悦之 加藤 貴雄 高野 照夫 新田 隆 大森 裕也
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.115-122, 2005

症例は74歳,女性.70歳時に僧帽弁置換術および慢性心房細動に対しradial手術施行.手術2カ月後より周期220msの心房頻拍(AT)が持続.AT中,冠静脈洞(CS)の興奮順序は遠位から近位であり,CS内広範囲でpost-pacing interval(PPI)が頻拍周期にほぼ一致するconcealed entrainment(CE)を認めたことから僧帽弁輪を旋回するATと考えた.左房後壁切開線が接合する僧帽弁輪部直下のCS内部にて波高の高い電位が記録され,PPIが頻拍周期に一致するCEを認めた.同部位における高周波通電開始4秒後に頻拍は停止し,以後誘発不能となった.通電部位より2mm近位部でのペーシングで1cm遠位部への伝導時間が200msとなったことからこの通電で左房後壁切開のブロックが完成したと考えた.術中完全に凍結し得なかったCS筋層を介する伝導が頻拍発生の原因と考えられたradial術後ATを経験したので報告する.
著者
賀来 文治 油尾 亨 藤田 主税 吉田 太治 下島 正也 勝田 省嗣 田口 富雄 新田 裕 平岩 善雄
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.1145-1152, 2013-09-15 (Released:2014-09-17)
参考文献数
18

症例は92歳の女性.86歳時に他院にて洞不全症候群および発作性心房細動の診断でAAIペースメーカーの植え込みがなされ,植え込み後も発作性心房細動に対して抗不整脈薬(ピルジカイニド75mg/日,ベラパミル120mg/日,メチルジゴキシン0.05mg/日)の投与が継続されていた.ペースメーカー植え込み後,毎年施行されていたペースメーカーチェックでは,心房のペーシング閾値は0.5V(パルス幅0.4msec)で,ペースメーカーの出力は2.5Vに設定されていた.以後,施設に入所中であったが,意識低下,低酸素血症,徐脈,ショック状態にて当院救急外来へ緊急搬送された.搬送時の心電図では心房のペーシング不全と高度の徐脈を認めた.まず,ペースメーカーの出力を10V(パルス幅1.0msec)にしたが心房は捕捉されなかった.次に体外式ペースメーカーを挿入し,右房の数か所で10V(パルス幅0.75msec)の出力でペーシングを試みたが,やはり心房は捕捉されなかった.引き続き右室でのペーシングを行ったところ,心室は容易に捕捉可能であり心室のペーシング閾値は1.0V(パルス幅0.75msec)であった.その後ピルジカイニドの血中濃度が2.3μg/mLと中毒域にあったことが判明した.抗不整脈薬の中止とともにペーシング不全は改善,全身状態も改善し救命可能となった.本例では血中ピルジカイニド濃度の上昇がペーシング不全の主因であった可能性が高いが,心房と心室のペーシング閾値に大きな差を認めた.日常臨床の場では,ペースメーカー植え込み後に抗不整脈薬を継続投与することも多く,ペースメーカー機種の選択も含めて一考を要する症例と考えられたため,ここに報告した.
著者
牛山 美奈 池田 龍二 新田 哲也 田實 裕介 宮脇 昭彦 山口 辰哉 下堂薗 権洋 牛之濱 風見 松井 竜太郎 杉原 一正 中村 典史 山田 勝士
出版者
JAPANESE SOCIETY OF ORAL THERAPEUTICS AND PHARMACOLOGY
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.143-150, 2008-12-01 (Released:2010-06-08)
参考文献数
14

In our hospital, hospital preparations of Azunol Saline Gargle (AS, saline solution containing 0.006% sodium gualenate hydrate), and Azunol Lidocaine Saline Gargle (ALS, AS with lidocaine) are used as a treatment for oral cancer with oral mucositis. However, little is known about the stability and microbiological safety of AS and ALS. In this study, the stability and microbiological safety of AS and ALS were assessed as the pH and the percent of sodium gualenate hydrate remaining in both preparations after exposure to various light and temperature conditions and the colony formation, respectively. As a result, we found that under fluorescent lamp lighting, AS and ALS were stable for 7 days at 4°C compared with 25t or room temperature. Furthermore, by light shielding, they were stable for at least 14 days at 4°C. Bacterial contamination of AS was prevented by preserving at 4°C for 14 days.We have demonstrated the stability and microbiological safety of AS and ALS and established an appropriate preservation method. This study provides useful information regarding the management of oral mucositis in oral cancer patients.
著者
陳 金娣 新田 静江
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.176-182, 2011

<b>目的</b>&emsp;中国農村部の家族介護を支える体制整備への提言資料を得るために,高齢者の在宅ケアサービスの利用ニーズとその関連要因を明らかにすることとした。<br/><b>方法</b>&emsp;経済発展の速い 1 農村の無年金高齢者102人を対象に,主観的健康感,ADL,慢性疾患と自覚症状の有無,ソーシャルサポート,うつ状態,要介護状態時の意向と在宅ケアサービスニーズを面接調査した。また,ニーズの関連要因をカイ二乗,Fisher の直接確率検定および t 検定,Wilcoxon 順位和検定を用いて分析した。<br/><b>結果</b>&emsp;対象者は73.3&plusmn;5.1歳,子供を4.0&plusmn;1.4人有し,主として配偶者と同居し,親族の仕送りを収入源としていた。慢性疾患と自覚症状を有する者が半数以上,ADL は99.8&plusmn;1.6点,ソーシャルサポートは35.9&plusmn;5.7点,うつ状態は3.9&plusmn;2.7点,75.5%が健康と自己認識し,64.7%は要介護状態になった場合に自宅で暮らす意向があった。在宅ケアサービスは,訪問介護と住込み介護と老人ホーム以外のサービス実施への賛成割合および利用ニーズ割合は高く,無料~安価での利用を希望していた。ニーズとの関連要因は,地域医療機関と ADL,訪問看護と年齢,通所介護と ADL に有意差がみられた。訪問リハビリテーションは有配偶者と自覚症状がない者,訪問介護は慢性疾患がない者,住込み介護は経済的余裕者,老人ホームは有配偶者,通所介護は自覚症状がない者に有意に高かった。<br/><b>考察</b>&emsp;在宅ケアサービスのうち,医療と保健関連サービス利用ニーズが高かったことは,農村新型合作医療保険で医療費控除対象となっていない外来での受診や健康指導&bull;相談への期待の大きさと推察される。住込み介護利用ニーズが経済的余裕者に高かったことは,現状のサービス利用経費は高すぎるものと推察される。老人ホームと訪問リハビリテーション利用ニーズが有配偶者に高かったことは,同居の配偶者への介護負担を考慮した回答と捉えられる。子供の同居率の低い状況下で,要介護状態になった場合に自宅で暮らしたいという大多数の高齢者の希望を叶え,伝統的な老親扶養に基づく家族介護を支えるには,在宅ケアサービス体制の整備が課題と思われる。<br/><b>結論</b>&emsp;中国農村部の高齢者の在宅ケアニーズと関連要因について調査した結果,サービス実施への賛成と利用ニーズは高く,配偶者の有無,自覚症状の有無,慢性疾患の有無,ADL,年齢がニーズに関連していた。
著者
小林 大祐 横張 和也 新田 高庸 上倉 一人 如澤 裕尚
雑誌
研究報告 オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)
巻号頁・発行日
vol.2011-AVM-74, no.8, pp.1-6, 2011-09-14

自然な映像コミュニケーションサービスを実現するためには,映像符号化の低遅延化が重要となる.本研究では,10msec 以下のコーデック遅延を実現する超遅延映像符号化の実現に向け,符号化を行う処理単位を細分化して遅延を短くすることに着目した.本報告では,複数マクロブロックライン単位ごとに対して第一符号化→復号 (解析) →第二符号化を行う 2 パスアルゴリズムを用いる方式において,細分化した処理範囲内での符号量制御.画質向上を行う処理の予備検討を行った.ソフトウェアシミュレーションにより,従来の 1 フレーム単位から更に細分化された符号化処理においても,同一ビットレートにおける画質が向上することが確認された.
著者
新田 孝行
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, 2016

The staging of Norwegian opera director Stefan Herheim (1970-) is characterized by a critical musicology, such as musical hermeneutics of Lawrence Kramer. Like Kramer, Herheim takes advantage of the performative power of interpretation. His puzzle-like mise-en-scène, where a number of historical facts concerning the composer and the reception history are simultaneously visualized, is a summary of the information on the opera, which helps us to make up our stories.Equally important are the emotional and even religious aspects of Herheim's staging. He often directs an opera to show that its tragedy was already done at the beginning. The unrealized possibilities are suggested by the coexistence of past and present which reproduces the ambiguity of reality. We feel regrets about the past of the characters, and about our own past. This experience has a cathartic effect of what I call operatic flashback, which functions as a therapy for us because we are not sure of the rightness of our choices about life in the era of postmodern loss of legitimacy. Opera has told incessantly the failed attempts to change the course of fate, most distinctively exemplified in the myth of Orpheus. Herheim's opera is a postmodern version of the myth.
著者
松田 雅弘 田上 未来 福原 一郎 花井 丈夫 新田 收 根津 敦夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに】我々は福祉用HALを用いた運動療法が,発達期中枢神経障害児者の歩行・バランス能力に対して,即時的・長期的効果について報告してきた。今回,発達期中枢神経障害児者の膝関節の動きに対して,単関節HAL(以下,HAL-SJ:single joint type)を用いた運動療法を実施した。その効果について,担当PTにアンケートを実施し,HAL-SJが運動機能に及ぼす影響について検討したので報告する。【方法】発達期中枢神経障害児者に対し,HAL-SJを使用した理学療法士5名(経験年数約10~30年)に使用目的および時間,その効果に関してアンケート調査を実施した。対象となった発達期中枢神経障害児者は13名(平均年齢13.2歳,9-12歳,男性7名,女性6名,痙性四肢麻痺4名,痙性両麻痺7名,痙性片麻痺2名),GMFCSI:2名,II:3名,III:4名,IV:4名であった。アンケート調査時の使用回数は1回目12名,2回目以上7名の計19回のアンケートについて分析を行った。運動療法の効果に関しては5件法を用いて,目的にそった効果について検討した。また,自由記載にて使用方法とその効果について調査した。【結果】HAL-SJを利用した目的は,両側(16回)または一側膝関節(3回)に装着して,随意性の向上(14回)と立位練習(14回),歩行練習(6回),段差昇降練習(3回),その他(自転車)であった。HAL-SJを用いた平均運動時間39.5±12.6分(20-60分)であった。膝関節の随意性の改善は平均2.8±1.2点,歩行の改善は平均3.5±0.9点,立位姿勢制御の改善は平均3.7±1.0点,立ち上がり動作は平均3.8±0.8点,段差昇降の改善は平均4.0±0点となった。目的とする姿勢動作時には,HAL-SJを利用することで立位・歩行時の機能改善,特に膝伸展筋の活動が向上して立位時の支持性の改善がみられた。その他,筋活動を視覚的にPTまたは患者自身が確認でき,フィードバックしながら運動が可能である,軽量のため動作練習を行いやすいなどの自由記載があった。【考察】HAL-SJを使用した運動療法の効果は,装着した膝関節の動きだけではなく,近位関節である股関節制御も高め,立位・歩行機能の改善につながった。HAL-SJ,福祉用HALと異なり,生体電位は大腿の筋のみで,制動する関節は膝関節の1関節でなる。発達期中枢神経障害児者の下肢運動は,分離運動が困難なため,HAL-SJが膝関節の分離運動を促すことで,下肢関節にトータル的な運動制御の改善がなされ,身体運動が円滑になったと考えられる。特に,立位・歩行制御を目的とした運動療法の一部として有効的な手段になると考えた。視覚的なフィードバックはPTにも患者にも有効的で,その情報をもとに運動指導や学習が可能なことも効果を実感した一助になったと考えられる。また,福祉用HALは小児を対象とした場合,身長制限が問題となるが,HAL-SJはその制限に関わらず使用することが可能である。</p>
著者
中島 洋樹 岡田 将吾 新田 克己
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.3M35, 2014

<p>音楽推薦における楽曲特徴としてジャンル,年代,音響信号が考慮されている.また製作に携わるプロデューサ名,楽曲の元となるサンプル曲といった楽曲に関連深い情報や,他者による楽曲の評判情報も推薦に有用である.本研究ではwikipediaから楽曲に関連する情報を,自由に主観評価のタグを付与できるサイトlast.fmから楽曲の評判情報を獲得することで,多様な楽曲の推薦に利用できるデータベースを作成する.</p>