著者
松口 龍彦 新田 恒雄
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.1-11, 1988-02-05
被引用文献数
1

テンサイ、ジャガイモ、アズキ、春播コムギおよびダイズの連作ほ場において、きゅう肥、バーク堆肥それぞれ1.5t、3t、5t/10aの施用が作物の根群発達、根の菌糸態糸状菌フロラおよび各種微生物フロラに及ぼす影響を経年的に調べ、次の結果をえた。1)いずれの作物でも連作に伴い根群発達、根活力が低下し、その程度はジャガイモや春播コムギで小さく、テンサイ、アズキで大きかった。加えて、テンサイでは根腐病、アズキでは落葉病などの土壌病害も発生した。きゅう肥やバーク堆肥は施用量に応じて根活力の低下を軽減するとともに、土壌病害も抑制し、連作による減収を軽減した。2)連作3年目、5年目の生育中期に根の菌糸態糸状菌フロラを調べた結果、いずれの作物でも連作によってフロラが単純化し、その程度は連作障害の出にくいジャガイモや春播コムギよりも連作障害の出やすいテンサイやマメ類で著しかった。堆きゅう肥の施用は連作に伴うフロラの単純化を軽減し、フロラの多様性指数と根重とはおおむね正の相関を示した。3)生育初期の春播コムギとテンサイを対象に、非根圏土壌、根圏土壌および根の微生物フロラを希釈平板法により調べた結果、非根圏土壌の菌数にはきゅう肥施用の影響はみられなかったが、根圏土壌では施用量に伴って細菌、とくに色素耐性菌(グラム陰性細菌)が著しく増加した。根ではグラム陰性細菌ばかりでなく、放線菌も著しく増加した。4)堆きゅう肥施用量が多いほど土壌の交換性塩基、可給態リン酸、可給態窒素が増加する傾向がみられたが、交換性K以外は土壌診断基準値に比べて低かった。5)以上の結果から、輪作畑と同様、連作畑でも堆きゅう肥の施用は根圏の糸状菌フロラの多様化、色素耐性菌、放線菌などを増加させ、根群発達、根活力の増大、ひいては生育収量の向上をもたらしたと判断された。
著者
新田 義之
出版者
山陽学園大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.130-123, 1997-12
著者
内尾 優 長谷川 三希子 猪飼 哲夫 楠田 聡 内山 温 藤本 泰成 新田 收
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>新生児期~乳児期初期にみられるまだ意思を持たない運動は自発運動と呼ばれ,その運動を通した経験により感覚運動発達は進む。早産児として出生した超低出生体重児は神経学的異常がみられなくとも,正期産児に比べ自発運動は劣り,感覚運動発達全般が遅延する。しかし,その自発運動を客観的に評価したものや介入による改善を報告したものは少ない。超低出生体重児の頭部は大きく,縦長扁平で,非対称な姿勢を呈しやすい特徴を持つ。そこで今回,超低出生体重児の自発運動の特徴,及び新生児用枕の有無による自発運動への即時的影響を明らかにすることを目的とした。</p><p></p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は神経学的異常のない超低出生体重児8名(男5/女3,平均在胎週数24週6日±2週0日,平均出生体重729.4±144.8g),正期産新生児8名(男4/女4,平均在胎週数38週1日±0週6日,平均出生体重3152.6±390.2g)とした。評価機器は乳児自発運動評価を目的にプログラミングされたKinect for Windows v2を用い,両手首に異なる2色のマーカーを貼布した。評価は修正月齢約1か月に,超低出生体重児は新生児集中治療室内,正期産新生児は対象児の自宅内で外的刺激の少ない環境下にて行った。肌着1枚を着せた状態で,背臥位での自発運動を各群とも新生児用枕有無の2条件で約3分間ずつ記録した。枕の有無は対象毎に無作為に順番を入れ替えて行った。解析対象は児の機嫌が良いstate 4の状態で,かつ自発運動が連続して確認できたはじめの30秒間とし,評価機器より得られた両手首の3次元座標データ(34 Hz)から各指標 ①平均速度,②非対称性(左右上肢平均速度のLaterality Index),③突発性(加速度の尖度),④滑らかさ(躍度Jerk Index)を算出し,両群を枕の有無で比較した。統計解析は各指標に対し,対象(超低出生体重児,正期産新生児)と枕(有,無)を要因とする二元配置分散分析を行った。さらに対象の違いと枕の有無を含めた全ての4条件をBonferroni法による単純主効果の検定にて検討した。有意水準は5%とし,統計ソフトにはSPSS ver.23を用いた。</p><p></p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>二元配置分散分析の結果,各指標①~④に対し,枕による主効果,交互作用は認めなかった。単純主効果の検定の結果,枕無し条件での②非対称性(左右上肢平均速度のLaterality Index)は,超低出生体重児のほうが正期産新生児に比べ,有意に大きかった(p<0.01)。枕有り条件では有意差はみられなかった。指標①,②,④では有意差はみられなかった。</p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>神経学的異常のない超低出生体重児の上肢自発運動は,正期産児と同様の速度,突発性,滑らかさを有していたが,左右の非対称性があることが示された。また,新生児用枕の使用により非対称性を軽減する可能性が考えられた。</p>
著者
窪薗 晴夫 梶 茂樹 岩田 礼 松森 晶子 新田 哲夫 李 連珠
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究の目的は世界の諸言語(とりわけ韓国語諸方言、中国語諸方言、アフリカのバンツー諸語)と比較することにより類型論的観点から日本語諸方言のアクセントを考察し、その特質を明らかにすることである。この目的を達成するために年度ごとに重点テーマ(借用語のアクセント、疑問文のプロソディー、アクセント・トーンの中和、アクセント・トーンの変化)を設定し、それぞれのテーマについて諸言語、諸方言の構造・特徴を明らかにした。これらのテーマを議論するために4回の国際シンポジウムを開催し、海外の研究者とともに日本語のアクセント構造について考察するとともに、その成果をLingua特集号を含む国内外の研究誌に発表した。
著者
柳澤 慧 高橋 陸 中村 文彦 住谷 陽輔 飯田 良 新田 明央 倉 千晴 戸口 侑 小島 遼人 藤吉 隆雄
出版者
北海道大学高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.145-154, 2015-12

記者発表による市民への情報伝達過程では,情報はおおむね研究者,広報担当者,ジャーナリスト,市民の順で伝わる.そこで,記者発表に関与する専門職と考えられる研究者,広報担当者,ジャーナリストの役割を考え,情報伝達過程における課題と解決策を博士後期課程1 年次の大学院生の視点から考察した.市民に研究成果を届ける記者発表をする理由は二つある.税金を原資として運営する研究の市民に対する説明と,「トランス−専門知」が関わる領域での社会の意思決定のための情 報提供である.ここで記者発表をめぐる課題は六つ挙げられるだろう.研究成果の間違った理解と伝搬,研究成果の強調,社会からの関心の研究成果以外への集中,研究者個人と組織の立場の相反,研究不正や倫理的問題の発覚,そして,市民・ジャーナリスト・科学者の態度の違いである.これらの課題の解決策はおおむね,それぞれの専門職としての役割の認識と倫理教育,情報のフィードバック回路の形成に大別できる.ここから,記者発表に関わる三者の役割の違いを認識したうえで, 規範と現実の食い違いは生じるとの前提でシステムの設計をするのが重要である.そして,その設計において大事なことは認識のずれを許容し吸収する仕組みの準備である.そのためには,バッファーとしての役割を担う中間的専門家が活動できる基盤が必要である.
著者
小山 貴之 中丸 宏二 相澤 純也 新田 収
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】近年,アスリートに対する動作スクリーニングとしてFunctional Movement Screen(FMS)が用いられている。FMSは7つの動作(ディープスクワット;DS,ハードルステップ;HS,インラインランジ;IL,ショルダーモビリティリーチング;SMR,アクティブストレートレッグレイジング;SLR,トランクスタビリティプッシュアップ;TSP,ロータリースタビリティ;RS)からなり,定義された動作指示のもとに各動作を行い,0~3点(21点満点)で点数付けされる。FMSが14点以下の場合に重症外傷の頻度が有意に高くなるとの報告から,外傷予防の観点でシーズン前にFMSを実施する意義は高い。加えて,FMSの各動作のスコアから課題を探り,修正のためのエクササイズを重点的に実施することで,外傷を予防できる可能性がある。本研究は,可動性に焦点を当てたコレクティブエクササイズの実施がFMSのスコアに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。</p><p></p><p>【方法】対象は大学アメリカンフットボール選手95名とした。学年は1年生が39名,2年生が23名,3年生が18名,4年生が15名,ポジションはOLが13名,QBが3名,WRが23名,RBが10,DLが12名,LBが14名,DBが20名だった。オフシーズン期である2016年2~3月にベースラインのFMSを測定し,4月から12週間,コレクティブエクササイズを週3回実施した後,終了時のFMSを再測定した。この間,怪我等で練習を一定期間中止した選手は除外した。FMSの点数付けは,FMS level 1のライセンスを持つ理学療法士から十分な指導を受けたスタッフが理学療法士の監視のもと行った。ベースライン測定の結果から,可動性の改善に焦点を当てたコレクティブエクササイズのプログラムを作成し,選手への点数のフィードバックとともに実技指導した。統計学的分析は,FMSの総合スコアと各動作スコアについてベースライン時と終了時の差を比較するため,Wilcoxonの符号付順位検定を行った。有意水準は5%とした。</p><p></p><p>【結果】各スコアの中央値(四分位範囲)は,ベースライン時・終了時の順に総合スコアが15(14-16)・16(15-17),DSが2(2-2)・2(2-3),HSが2(2-2)・2(2-2),ILが2(2-3)・2(2-3),SMRが3(2-3)・3(2-3),SLRが3(2-3)・3(2-3),TSPが2(2-3)・2(2-3),RSが2(2-2)・2(2-2)だった。検定の結果,総合スコアとDS,SMR,SLR,TSPにおいてベースライン時よりも終了時のスコアが有意に高かった。</p><p></p><p>【結論】コレクティブエクササイズの実施により,12週間でFMSスコアの改善が認められた。FMSの各動作は相互の影響があり,可動性の低下はDSやHSのスコア低下につながることが多い。本研究では可動性の改善に焦点を当てたコレクティブエクササイズを実施したことで,可動性を主な要素とするSMRやSLRだけでなく,DSやTSPの改善にもつながったと考えられる。</p>
著者
新田 淳作
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.296-299, 2001-03-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
18

スピン偏極電界効果トランジスタ(スピンFET)の動作原理と,実現するうえでの問題点について概説する.デバイス原理としてユニークな点は,スピン軌道相互作用によって二次元電子ガス中に注入されたスピン偏極した電子の向きを回転させる,というところにある. Rashbaスピン軌道相互作用が重要となる狭ギャツプ半導体において,ゲート電圧によりスピン軌道相互作用の制御が可能であることを示した.スピンFETのデバイスとしての可能性は,強磁性体電極から半導体チャネルへのスピン注入効率にかかっている.
著者
丹羽 芳樹 新田 義彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 自然言語処理研究会報告
巻号頁・発行日
vol.94, no.63, pp.49-56, 1994-07-21
被引用文献数
3

実用的な自然言語処理に求められる頑健性を確保するためには,ルールに基づく解析を補う数値計算的手段が有効である.単語ベクトルとは単語の意味を反映した座標表現であり,文脈の類似度計算や単語例からの学習など幅広い応用が期待される.本研究では2種類の単語ベクトルを用い,多義語の意味推定問題での効果を比較した.一つは大規模テキストから共起統計により得られる共起ベクトル,もう一つは辞書の語義から計算される単語間距離を用いる定義距離ベクトルである.9種類の多義語に関する実験結果では共起ベクトルの方が高い正解率が得られた.従って文脈の類似度に基づく多義性解消問題に関しては共起ベクトルを用いた方が有利である.
著者
鈴木 一裕 鈴木 翔太 本田 周子 新田 浩司
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.153-156, 2017 (Released:2017-03-01)
参考文献数
7

スクロオキシ水酸化鉄 (以下SO) を使用した症例について検討した. 鉄剤投与を行っていない当院透析患者リン吸着薬内服21例について同用量のSOに切り替え, 切り替え前と12週後での血清リン値, 鉄関連検査値, 副作用発現頻度, 血清fibroblast growth factor 23 (FGF23) 値の変化につき検討を行った. SOを継続して内服できた18例のリン値は有意に低下した. 副作用中止例は3例 (下痢が2例, 軟便が1例) が内服中止した. 鉄関連検査値については投与前後で差を認めず, 血清FGF23値の変化は透析前血清リン値に依存した.
著者
西山 ゆかり 小山 敦代 岡田 朱民 糀谷 康子 新田 利子 岩郷 しのぶ
出版者
四條畷学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

2014年の全国調査において、「看護におけるCAM/CAT 」とは、目の前で苦しむ対象者の痛みを緩和し・癒し・心とからだの安らぎを生み出し、その人らしさを維持し、人生を豊かなものにするために、対象者自らが意思決定し、自らの力でよりよく生きることを支えることが看護におけるCAM/CATの機能であることが明らかになった。この全国調査を元に、次の段階である、より具体な実践内容・現象から補完代替医療/療法を概念化するために、質的研究に取り組んでいる。本年度は、インタビューを2名行った。この2名から芋ずる式サンプリング法にて次の研究対象者をリクルートしている。現在7名の方が本研究に賛同し、同意を得て、日程調整中である。これら研究対象者の内訳は、臨床で補完代替医療/療法を実践者している看護職者3名、看護教育の場で、補完代替医療/療法を教育に取り入れている、研究している、大学教員7名である。データの偏りがないように、臨床での看護実践者と教育者が同数になるように現在リクルートしている段階である。その他の研究活動としては、日本看護科学学会学術集会で「自然の回復過程を調える看護の探究ー統合医療における看護の位置づけを求めて」の交流集会において、今まで明らかにしてきた、補完代替医療/療法の認知度や実践状況、補完代替医療/療法についての看護職者の考えを報告し、会場の方と「統合医療(補完代替医療/療法を含む)において看護が果たすべき中心課題である「自然の回復過程」を調える視点から、看護師の身体ツールと全人格的なアプローチの可能性に関して、討論した。
著者
孫 富順 新田 裕史 前田 和甫 金 潤信 柳澤 幸雄
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.334-342, 1990-09-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
29

1989年1月に韓国で一酸化炭素 (以下CO) の室内濃度と個人曝露濃度の測定を行った。同時に室内汚染と個人曝露濃度に影響を及ぼす家庭特性を調べるための質問紙調査も行った。室内濃度は台所と居間で, 個人曝露濃度は最近開発されたパッシブCOサンプラーを用いて, 主婦に対して測定を行った。調査対象は都市地域であるソウルと地方である忠清南道Togoから, 暖房形態として伝統的オソドル又はオンドルポィラーを使用する世帯を選んだ。その結果, 日平均で室内CO濃度は台所23ppmと居間12ppm, 個人濃度はその中間の18ppmに及んでいた。室内濃度と個人曝露濃度には家庭特性, 特にオンドルのタイプの影響が認められた。さらに, 家庭での換気設備および対象家庭の社会経済的水準が室内CO濃度に影響を与える重要な要因であることが明らかになった。
著者
桂田 浩一 中村 有作 山田 真 山田 博文 小林 聡 新田 恒雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.2681-2689, 2003-11-15
被引用文献数
17

本論文ではマルチモーダルインタラクション(MMI)記述言語XISLを提案する.XISLの目標は,(1) MMIで必要とされるモダリティの利用方法・対話の制御を記述可能にすること,(2)モダリティの拡張性を高めることである.これらを実現するために,XISLでは,(1) VoiceXML,SMILといった従来言語を参考に,モダリティの利用方法および対話制御の諸概念や命令を導入し,(2)入出力モダリティに関する記述に自由度を持たせている.本論文ではXISLの概略を説明するとともに,PC上に実装したXISLの実行システム,およびプロトタイプとして試作したオンラインショッピングアプリケーションについて述べる.またXISLを他の言語と比較することにより,XISLのMMI記述言語としての特徴を明らかにする.This paper provides a multimodal interaction (MMI) description languageXISL. XISL aims to be a language satisfying the following conditions: (1) it has enough power to describe MMI scenarios, (2) it has extensibility of input/output modalities. For this purpose, (1) XISL prepares a lot of commands and structures used in previous languages such as VoiceXMLand SMIL,and (2) XISL has flexibility of describing input/output modalities. In this paper, we outline the specification of XISL, and show its interpreter and an application implemented on PC. Moreover, we clarify advantages of XISL by comparing it with other MMI description languages.
著者
森川 輝一 福島 清紀 奥田 太郎 佐藤 啓介 宮野 真生子 佐藤 実 新田 智道 福野 光輝 近藤 智彦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究課題について、各メンバーが様々な分野の学会で研究発表を行なったほか、仏教学、社会心理学、古代ギリシア思想の研究者を研究協力者として招き、意見交換を実施した。また、それぞれのメンバーが研究課題についての論文や著書を刊行した。代表的なものとして、宮野真生子『なぜ、私たちは恋をして生きるのか』(ナカニシヤ出版、2014年)、森川輝一他『政治概念の歴史的展開・第八巻』(晃洋書房、2015年)が挙げられる。
著者
松本 隆之 北川 貴士 木村 伸吾 仙波 靖子 岡本 浩明 庄野 宏 奥原 誠 榊 純一郎 近藤 忍 太田 格 前田 訓次 新田 朗 溝口 雅彦
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.43-49, 2013-07-15

メバチThunnus obesusおよびキハダThunnus albacaresは三大洋の熱帯域を中心に温帯域にかけて広く分布し,日本をはじめとする各国により漁獲され,マグロ属魚類の中でもっとも多獲さる重要種である。大型魚,特にメバチは主としてはえなわ漁業で,小型魚はまき網,竿釣り等の漁業で漁獲される。日本沿岸においては,小型の竿釣り,曳縄等の漁業でも漁獲されており,それらの漁業にとっても重要な魚種である。しかしながら,これら2種については資源の減少もしくは低水準での推移が見られ,その動向には注視する必要があり,また,資源学的研究の強化,およびより精度の高い資源評価が望まれる。そのためには,移動,遊泳行動等の生物学的パラメーターのより詳細な解明も必要である。
著者
狩野 実希 浅野 充寿 松村 穣 村松 賢一 佐藤 明 大和 恒博 武居 一康 新田 順一 淺川 喜裕 牛木 真理子 高橋 雅弥 木村 知恵里
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.329-335, 2013 (Released:2014-09-13)
参考文献数
18

症例は, 67歳, 男性. 数カ月前より繰り返す失神発作を認めていた. 2010年9月, 意識消失を主訴に救急要請し, ショック状態で当院に搬送された. 心臓超音波検査で全周性の心嚢液貯留と右心系の虚脱所見を認めたため, 心タンポナーデと診断し入院した. 数日後には自然吸収されたが, その後も心嚢液の再貯留と消失を繰り返した. 心嚢穿刺により心嚢液の性状は血性であったが, 出血源の同定は困難であった. 出血源同定ならびに心タンポナーデ解除目的に試験開胸を行った. 右室前面の心筋表面より断続的に静脈性の出血がみられ, 縫合止血した. 術後, 心嚢液の再貯留なく経過した. 急激な心嚢内出血により心タンポナーデを呈することは決して稀ではないが, 本症例のように心嚢への出血と吸収が数日単位で起こり, 繰り返し心タンポナーデを引き起こす病態は今まで報告がなく, 病態機序がはっきりしなかった. 非常に稀な経過をたどった特発性心嚢内出血の症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.