著者
大日向 耕作
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

多成分からなる食品を摂取すると消化管酵素により分解され膨大な分子種が生成する。これまで我々はペプチド構造-活性相関情報を基盤に膨大な分子種を含むペプチド混合物から生理活性ペプチドを効率的に探索し、一群の生理活性ペプチドが存在することを明らかにした。さらに本研究では、中鎖ペプチドの経口投与により強力な神経調節作用を示す場合があることを見出した。これらの中鎖ペプチドは、吸収を前提とした作用機構とは異なり、まず、消化管に作用し、求心性迷走神経を介し、あるいは体液性に、中枢へとペプチドシグナルが伝達されると考えられる。食品タンパク質に由来する中鎖ペプチドによる神経調節作用の新しい腸―脳連関を解明した。
著者
寺村 泰 山崎 志郎 西野 肇 日向 祥子 小野塚 知二 松田 紀子
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、業種ごとに市場のコーディネートが多様な形態で行われてきたことを資料に基づき実証するとともに、国際比較を踏まえて日本における市場のコーディネーションに関する特質を解明するものである。第一に、日本国内にある2100の業界団体に対して保存資料に関するアンケート調査を行い、その集計結果および資料リストを冊子にまとめ、研究者に郵送したほか学会において無償配布した。第二に、海外における業界団体等の資料保存体制に関して現地調査を行い、日本における資料保存体制との比較考量を行った。第三に、調査過程で収集した資料に基づいて多様な市場コーディネーションの実態について研究し成果を発表した。
著者
水越 文和 出島 健司 竹中 洋 齊藤 憲治 河田 了 高木 伸夫 安田 範夫 村上 泰 松岡 秀樹 日向 美知 立本 圭吾 任 書熹 大島 渉 寺薗 富朗 日向 誠 松本 真吏子 竹上 永佑 土井 玲子 三牧 三郎 西嶋 信雄 牛島 千久 伊達 敬一 園田 隆朗 大槻 晃直 木村 隆保 八木 正人 中井 茂 昌子 均 豊田 健司
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床. 補冊 = Practica otologica. Suppl. (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.56-66, 1995-03-20
被引用文献数
6 2

The effect of Oxatomide in the initial treatment of Japanese cedar pollinosis was examined in 11facilities in Kyoto prefecture. This study examined the most appropriate starting time and period of administration for the highest effect of the initial treatment. The following results were confirmed by administre ring Oxatomide during the initial treatment for Japanese cedar pollinosis on 1991.<BR>The effect of Oxatomide was obtained after administering for one week or more, including the highest effect after two weeks for sneezing and three weeks for nasal discharge. However, no effect on sniffling. These results suggest that two to three weeks is the best administration period for Oxatomide in the treatment of Japanese cedar pollinosis.<BR>In addition, a close relation between pollen information facilities and practical medicine in the region, is necessary for the initial treatment of pollinosis.
著者
日向 泰樹 中村 成伸 石野 外志勝 川上 一雄
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.591-594, 2011-05-20

患者は66歳,男性.糖尿病にてインスリン療法中であった.2009年10月24日右腹部腫瘤,右腰部痛を主訴に当院受診,腹部造影CTにて右腎下極に122×90×87mm大の多房性嚢胞性腫瘤を認め,疼痛管理,加療目的にて入院となった.腫瘤は腸腰筋,上行結腸,十二指腸など広範囲に癒着,浸潤が疑われた.CTでの嚢胞内のdensityの上昇,炎症反応高値,発熱を認め,嚢胞性腎細胞癌の感染が考えられたが,広範囲に浸潤していると考えたため,切除不能と判断し,嚢胞の穿刺ドレナージを施行,抗菌薬治療を開始した.穿刺液の培養でE.coliが検出された.抗菌薬治療後,解熱し,炎症反応は低下した.11月9日腹部CTで嚢胞性病変は84×49×47mm大にまで縮小,嚢胞部分はほぼ消失し,充実性部分のみが残存した.同日撮影した腹部造影MRIでは,充実性の腫瘍性病変を認め,腸腰筋浸潤を認めたが,上行結腸とは接しているものの境界を認め,明らかな浸潤は認めなかった.以上より切除可能と判断し,11月18日根治的右腎摘除術を施行した.腎背側は腸腰筋と,腹側は上行結腸と強固に癒着しており,上行結腸の一部を合併切除した.病理組織学的所見ではMichaelis-Gutmann小体(M-G小体)が観察され,マラコプラキアと診断された.術後経過は良好にて12月1日退院となった.その後再発を認めず,外来にて経過観察中である.
著者
白玉 公一 相薗 充江 熊谷 健夫 池辺 憲一 間瀬 一郎 城野 隆 高山 佳久 大日向 幸一 倉 伸宏 小山 善貞 荒井 功恵 阿部 旬也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.107, pp.63-68, 2006-06-14

光衛星間通信実験衛星(OICETS「きらり」)は、将来の宇宙活動で重要となる光衛星間通信技術の軌道上実験を行うことを目的として平成17年8月24日に打ち上げられた。OICETSに搭載された光衛星間通信機器(LUCE)は、打ち上げ後のロンチロック解除から、初期段階における機器のチェックアウトを経て、平成17年12月9日に欧州宇宙機関(ESA)の先端型データ中継技術衛星(ARTEMIS)との間で、世界で初めての双方向光通信実験に成功した。本稿では、OICETS打ち上げ後のLUCEの機能確認から光衛星間通信実験におけるLUCEの機能性能評価について述べる。
著者
日向 一雅
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

平成7、8年度にわたり、奈良円成寺の「円成寺縁起」・「弥陀霊応伝」・「知恩院縁起」・「円成寺伽藍宝物略縁起」・「円成寺略言志」の調査と翻刻、内容の検討をおこなうとともに、中将姫説話の検討を行った。その成果は明治大学人文科学研究所紀要に発表するところである。「円成寺縁起」と「弥陀霊応伝」は内閣文庫と東京大学史料編纂所にそれぞれ明治期の写本があるが、内閣文庫本は漢字カタカナ交じり文に直され、特定の字を誤読しているが、東大史料編纂所本は大本の美麗な影写本である。「円成寺縁起」と「弥陀霊応伝」は同一人の筆跡であり、ともに慶長十七年(1612)直後の成立と見られる。内容は「円成寺縁起」が円成寺の正史というべきもので、鑑真に従って来朝した虚瀧和尚による創建から慶長十七年までの寺史を記す。「弥陀霊応伝」は円成寺の本尊阿弥陀如来に帰依した十六人の僧侶たちの深い信仰生活を記す。「知恩院縁起」は円成寺と知恩院の略史、並びに師命によって僧侶二人が文明十三、十四年(1481〜2)に朝鮮に渡り、大蔵経を請来した経緯を記す。この時の航海記録である二合船日記の残簡が存する。これらは従来その内容を紹介されることのなかった資料であり、近世における縁起として、また朝鮮との交流史料として特色のある貴重な資料であるといえる。中将姫説話については、これが『観無量寿経』の韋提希夫人の説話の翻案として成立し、後に継子譚と習合して独自な成長を遂げたことを検証した。この中将姫の極楽往生を演出するのが当麻寺の迎講であるが、円成寺においては十二世紀末に四天王寺から菩薩面などを譲り受けて、池上に橋を渡して迎講を行ったという。これは大変珍しい形式で「二河白道」との習合を示すとみられる。
著者
北畑 歩 雨宮 聡 山本 美智雄 大日向 純子 沖 潤一 藤枝 憲二 引地 泰一 森 文彦
出版者
小児愛育協会
雑誌
臨床小児医学 (ISSN:0035550X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.19-22, 2004-04
被引用文献数
2

著者版7歳2カ月男児,5歳8カ月女児.皮膚症状や骨折,頭蓋内出血を伴わない眼症状のみの被虐待児症候群の兄妹例を報告した.兄は6歳4カ月時に右白内障手術を受けたが,術後1カ月半に新たな右の水晶体偏位を認め,妹にも同側の白内障,網膜剥離および眼窩周囲の出血斑が確認された.兄妹とも同側の眼外傷を呈したため,虐待による眼症状と判断し,児童相談所で一時保護となった.本症例は,母の育児不適切のため乳児期から地元の保健師・児童相談所・母子通園センターが関わって在宅指導を行っていたにもかかわらず,眼症状の発生を防ぐことができず,介入の困難さを再確認した
著者
加藤 義臣 大日向 健人 中 秀司
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.1-8, 2009-01-10
参考文献数
19
被引用文献数
1

A nymphalid butterfly Hestina assimilis assimilis, which was recently discovered in Kanagawa prefecture in Japan, undergoes larval diapause and show a seasonal change in wing color pattern: summer and spring (white) morphs. In the present study, temperature and photoperiodic conditions responsible for the control of seasonal morph determination was investigated. First, when post-diapause larvae were reared under various temperatures (15℃, 20℃, 25℃ or 28℃) at a long photoperiod (16L-8D), most of the eclosed adults were of white morph (spring morph). Second, larvae were initially exposed to a short photoperiod (10L-14D), and then transferred to 16L-8D to avoid diapause occurrence. Resulting adults were white morph. Third, individuals were reared at various temperatures (15, 20 or 25℃) under a long photoperiod (16L-8D) through larval and pupal stages. Low temperatures of 15℃ were quite effective for white morph production, but moderate (20℃) or high (25℃) temperatures were not effective, and all butterflies produced developed black veins on the wing (summer morph). Fourth, in experiments where different rearing temperatures were combined during the larval life, a temperature of 15℃ combined with 20℃, but not with 25℃, was effective for producing some intermediate or white morphs. Fifth, the temperature-sensitive stage for white morph production was mostly located in the 3rd and 4th instars (in partiular, 4th instar). In these experiments, white morph production was closely linked with extremely delayed larval development. The results strongly suggest that not only a short photoperiod, but also a relatively cool temperature including 15℃ is quite effective for white morph production even without an intervening larval diapause. Probably, an unknown neuro-endocrine mechanism may be responsible for the seasonal morph regulation as in the case of other butterfly species.
著者
北 英紀 日向 秀樹 近藤 直樹 高橋 達
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会学術論文誌 : Nippon Seramikkusu Kyokai gakujutsu ronbunshi = Journal of the Ceramic Society of Japan (ISSN:13486535)
巻号頁・発行日
vol.115, no.1348, pp.987-992, 2007-12-01
被引用文献数
1 3

Exergy is a measure which can commonly deal with the quantification of the variety of resources, products and energy coming in and going out the systems in manufacturing process. In this study, exergy consumption analysis was performed on ceramic parts. The exergy of the intrinsic to the materials and energy were calculated and then the degree of process efficiency (defined as the ratio of fixed energy to input in this report) was evaluated. Results revealed that the process efficiency was 5.5% in total, suggesting that the most part of input exergy was lost as a thermal enthalpy and wastes. Particularly, a lot of exergy was consumed and the process efficiency was low in granulation and sintering steps, then, the approaches to improve the efficiency were discussed.
著者
北 英紀 日向 秀樹 近藤 直樹
出版者
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology
雑誌
Synthesiology (ISSN:18826229)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.212-221, 2008
被引用文献数
3

製造効率を高め、環境負荷を少なくするには、1つの過程を起点として全体に広がる資源やエネルギーの消費と排出の過程を知ることが必要である。本稿では、まず、アルミニウム溶湯中で使用されるヒーターチューブを鉄とセラミックスで作製した場合のエクセルギー解析とその比較を行い、次にアルミニウム鋳造の全工程についてのエクセルギー解析を行った。これらの結果から資源とエネルギーを有効に利用するための鋳造プロセスにおける合理化指針を得た。
著者
日向 進 松田 剛佐
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

「連」と呼ばれる筏の規格が河川の流域によってどのように定められたかに注目して、京都周辺の丹波材、紀州の吉野材・熊野材、鳥取藩の智頭材について、各川筋における「連」の規格と変遷について史料調査を行った。丹波材14尺、吉野材は1間を7尺5寸、熊野材は13尺と15尺、智頭材は1間を7尺としていた。このような相違がみられることについては、各河川の浚渫状況や中継する材木市場などの相違が条件として考えられた。
著者
粟生田 友子 川里 庸子 菅原 峰子 櫻井 信人 長谷川 真澄 瀧 断子 鳥谷 めぐみ 太田 喜久子 小日向 真依 白取 絹恵
出版者
新潟県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

環境因子に対して高齢者が示す反応からせん妄発症リスクを予測し、環境による発症リスクを軽減する方法を検討することを目的に、入院中の高齢者のせん妄発症に関わる物理的・人的環境因子に対する高齢者の認知の様態を明らかにし、せん妄発症群と非発症群の比較関連検証を行った。結果、物理的・人的環境に関して2群間に差が認められた項目は<部屋の位置><看護師の訪問頻度><緊張感を助長する検査の有無><他の患者との交流><不安を助長するものがある>であった。
著者
清家 泰 奥村 稔 三田村 緒佐武 千賀 有希子 矢島 啓 井上 徹教 中村 由行 相崎 守弘 山口 啓子 日向野 純也 山室 真澄 山室 真澄 中野 伸一
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

実験区(高濃度酸素水導入窪地)の他に、対照区(高濃度酸素水導入の影響の及ばない窪地)を設け、比較検討した。湖底直上1m層への高濃度酸素水の導入による改善効果として、明らかになった研究成果の概要を以下に示す。(1)対照区では底層水中に高濃度の硫化水素(H_2S)が観測されたのに対し、実験区ではH_2Sが消失した(H_2S+1/2O_2→H_2O+S^0↓)。(2)対照区では底層水中の溶存酸素(DO)濃度が無酸素に近い状態で推移したのに対し、実験区では窪地全域のDOが増大した。また、対照区では底層水中の酸化還元電位(ORP)が負の領域で推移したのに対し、実験区では正の領域まで上昇した。(3)湖底堆積物中のH_2S濃度を鉛直的にみると、対照区では表層部のみでH_2S濃度の減少が観られたのに対し、実験区では表層から5cm程度の深度まで濃度が激減した。また、メタンCH_4(温暖化ガス)もH_2Sの鉛直分布と同様の傾向を示した。(4)対照区に比べ実験区では、底層水中PO_4^<3->に明瞭な減少傾向が観られた。実験区の湖底泥表面に酸化膜の形成が観られたことから、湖底泥界面における共沈現象及び湖底からのPO_4^<3->の溶出抑制が示唆された。(5)対照区に比べて実験区では、底層水中の無機態窒素(NH_<4+>+NO_<2->+NO_<3->)に減少傾向が観られた。酸素導入により、湖底泥界面における窒素除去機能(硝化・脱窒)が活性化したことを示唆する。湖底堆積物の深度別脱窒活性を観ると、対照区では表層部のみ活性を示したのに対し、実験区では表層から5cm程度の深度まで顕著な活性を示した。この結果は、高濃度酸素水の供給により、脱窒部位が大きく拡大したことを意味する。(6)対照区ではベントス(底生生物)が皆無であったのに対し、実験区では、アサリやサルボウガイのような二枚貝の加入は認められなかったものの、多毛類を中心とするベントスの棲息が確認された。以上のように、松江土建(株)社製の気液溶解装置を用いるWEPシステムは、無酸素水塊への酸素供給を起点に、生物に有毒なH_2Sの消失、温室効果ガスであるCH_4の消失、栄養塩(N,P)の減少及びベントスの復活等に絶大な効果を発揮した。通常、還元的な湖底堆積物に対する自然任せの酸素供給では、その効果は、精々、湖底泥表層部の数mmまでと云われていることを考えると、本システムによる底質改善効果(泥深約0~40mm)は絶大である。このようにWEPシステムは、本研究で対象としたような比較的広範囲の窪地に対して有効であり、特に湖底の底質改善に極めて有効であると云える。今後、ランニングコストの低減が図れれば、有用性はさらに高まるものと考えられる。