著者
曽山 いづみ
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.305-321, 2014
被引用文献数
1

本研究は新任小学校教師9名を対象に1年間計4回の継時的インタビューを行い, 新任教師の経験過程を明らかにした。1学期, 夏休み, 2学期, 3学期末以降のインタビュー時期別に, 1: 子どもへの理解とかかわり方, 2: 先生としての自分のあり方, 3: 1, 2を促進する要因, 阻害する要因, について分析を行った。新任教師は【わからなさ/難しさに直面する】【子どもの色々な姿を見る】ことを通して徐々に【自分なりの感覚をつかむ】ことができるようになっていた。一方で【先生としてのあり方に悩む】ことと【自分らしいあり方が明確になる】ことを揺れ動きながら, 教師としてのアイデンティティを模索, 形成していた。担任クラスでの困難が大きく, かつ周囲のサポートが得られにくいときには【担任としての責任の範囲】に深く悩むことが示唆された。発達過程を阻害する要因として, 1学期時はリアリティ・ショックや環境への適応が強くあったが, 徐々にその影響は小さくなっていた。同僚教師や保護者との関係は, 阻害/促進どちらの要因にもなり得, 状況文脈によってその影響は大きく変わること, 新任教師にとっては主体性の発揮が大きなテーマであることが示唆された。
著者
小木曽 真樹
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

グリシルグリシンと脂肪酸が結合した簡易なペプチド脂質は水中でアルカリ金属以外のほぼ全ての金属イオンを捕捉して、ファイバー状やチューブ状などのナノ構造体を形成することがわかった。金属を捕捉したファイバーやチューブの還元処理や焼成処理により金属ナノ構造体へ変換できることも明らかにした。アルカリ土類金属存在下で希少金属のみが補足できることを明らかにし、油田の随伴水処理や海水資源化などへの応用可能性を見出した。
著者
吉田 成志 吉井 健一 松本 英昭 大貫 淳 曽禰 元隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.11-20, 1997-01-25
被引用文献数
1

マルチDSPシステムは, 高速性と汎用性を備えた計算機として国際的に注目を浴びているが, マルチDSPシステムに演算処理を行わせる上での問題点として, DSP間のデータ通信によるシステム稼動率の低下が挙げられる. 稼動率の低下を防ぐためには, ハードウェア設計段階においてデータ通信時間を考慮したタスクスケジューリングをさまざまな相互結合網に対して行い, 演算処理に最適な相互結合網および並列アルゴリズムを十分に検討しなければならない. そこでデータ通信時間をあらかじめ正確に把握するためのシミュレーション方法が不可欠となる. 本論文では, マルチDSPシステムに演算処理を行わせた場合に生じるデータ通信の正確な時間を, アセンブラプログラムのインストラクションサイクル数から作成した数式を用いて求める方法について示す. 本手法を用いることにより, 使用するDSPの種類, プログラマ, DSP間の接続方式およびハードウェアシステムの仮装・実装にかかわらず正確な通信時間を理論的に求められる. 演算処理の例として行列積算と連立1次方程式の求解を取り上げた結果, 最適なトポロジーを選択することが数式によりシミュレーション上で容易に可能となることを示した.
著者
安原 智久 曽根 知道 河野 武幸 荻田 喜代一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.135, no.1, pp.99-105, 2015 (Released:2015-01-01)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

A revised core curriculum model for pharmaceutical education, developed on the basis of the principles of outcome-based education, will be introduced in 2015. Inevitably, appropriate assessments of students' academic achievements will be required. Although evaluations of the cognitive domain can be carried out by paper tests, evaluation methods for the attitude domain and problem-solving abilities need to be established. From the viewpoint of quality assurance for graduates, pharmaceutical education reforms have become vital to evaluation as well as learning strategies. To evaluate student academic achievements on problem-solving abilities, authentic assessment is required. Authentic assessment is the evaluation that mimics the context tried in work and life. Specifically, direct evaluation of performances, demonstration or the learners' own work with integrated variety knowledge and skills, is required. To clarify the process of graduate research, we obtained qualitative data through focus group interviews with six teachers and analyzed the data using the modified grounded theory approach. Based on the results, we clarify the performance students should show in graduate research and create a rubric for evaluation of performance in graduate research.
著者
柴田 愛子 森 徹 曽山 典子 岡村 誠
出版者
関西学院大学
雑誌
Working papers series. Working paper
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1_a-15, 1999-10

Bullying in school which would be detrimental to the development of human resources is a serious problem in Japan as well as in other countries. Bystanders rarely report instances of bullying to teachers, parents and other authorities. In our study, bystander behavior is modeled as a non-cooperative game by assuming that bullying can be stopped by a teacher only when more than a certain number of students report the instances. Every bystander stands to gain from the resolution of bullying activity (i.e. the consumption of public goods). But when a bystander reports this activity, that bystander will have to deal with psychological and / or physical costs (i.e. the private costs) if the total number of reports falls below the required minimum. We see that one of the two stable symmetric Nash equilibria is reached, depending on the threshold numbers, payoffs and the costs of reporting. At one equilibrium, all bystanders report the instances of bullying to their teacher. and at the other equilibrium, no one reports. The results of our experiments support our model and the expected payoff-maximizing behavior of bystanders. From this the major policy implication reached is that by lowering the number of students in a classroom, reporting activities of bystanders would increase. Other policy suggestions which could serve to increase reporting activity of bystanders include reducing the threshold number for reporting from students, increasing the disutility of students' observing bullying behavior, and mitigating the psychological and / or physical costs for the reporting of bullying.
著者
曽田 修司 石田 麻子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 (ISSN:13481118)
巻号頁・発行日
pp.37-58, 2003-03-15

筆者(曽田,石田)は,財団法人北九州市芸術文化振興財団等が主催した「海の上のピアニスト」北九州公演に関して,ソニーコミュニケーションネットワーク株式会社,株式会社シアター・テレビジョン,財団法人北九州市芸術文化振興財団の協力のもとに,多角的な観客動向調査を行った。その結果,いわゆるコアな演劇ファンの周囲に演劇ファンに類似した心性を持つ層がかなり広範に存在することがわかった。現段階の仮説として,演劇ファン以外の層へのマーケティングについては,効果的な惰報提供を行うことで,新たに舞台鑑賞行動への動機づけを与えることが十分可能である,と考えられる。

1 0 0 0 OA 鳴原堂論文

著者
曽国藩 編
出版者
楽善堂
巻号頁・発行日
1882
著者
曽田 めぐみ
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は日本近世絵画に描かれた「いのりのかたち」に焦点を絞り、江戸時代の庶民信仰の様相を美術史の視点から明らかにするものである。本研究課題の主軸をなす河鍋暁斎筆「地獄極楽めぐり図」(静嘉堂文庫美術館蔵)は、暁斎の有力なパトロンであった勝田五兵衛の娘、田鶴が夭折した際に追善供養のため制作された作品である。最終年度においても引き続き「地獄極楽めぐり図」研究を行い、河鍋暁斎記念美術館のご協力を得ながら口頭発表や論文執筆を通じて研究成果を発表した。本年度の研究成果として第一にあげられるのが、「地獄極楽めぐり図」において田鶴が摩耶夫人に見立てられている事を指摘した点であろう。この点については拙稿「河鍋暁斎筆『地獄極楽めぐり図』について(四) ―田鶴に投影された摩耶夫人の表象」(『河鍋暁斎研究誌 暁斎』第115号、河鍋暁斎記念美術館、2015年1月)にまとめた。本稿では中でも本作第三十八図「田鶴の極楽往生」に注目している。本図は田鶴が浄土に達した場面を描いたものだが、その構図やモチーフは伝統的な浄土図と趣が異なる。研究を進めていく中で、摩耶夫人がルンビニ園で釈迦を出産した様を描いた「釈迦誕生図」の構図やモチーフを基盤として、本作第三十八図が描かれたことがわかってきた。「釈迦誕生図」は版画や粉本を通じて江戸時代に広く流布したことは既によく知られており、河鍋暁斎記念美術館所蔵の粉本「中国仏閣図」も実際には「釈迦誕生図」を描いたものであることが本研究によって明らかにされ、ここに描かれた摩耶夫人の姿勢や表情が「地獄極楽めぐり図」第三十八図の田鶴と著しく類似することが判明した。以上、三年間の採用期間を通じ、全40図からなる「地獄極楽めぐり図」を一図ずつ解明していくことで、江戸時代における宗教表現の研究を遂行した。
著者
丸木勝也 曽根田裕郁 日原圭祐 陣之内宏基 江角直起
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.265-270, 2014-10-15

ユーザがAndroid スマートフォン(以降,スマートフォン)を購入するときに重視する項目として,電池持ちが挙げられる.筆者らは電池持ちを長くするために,低電力で表示可能なIGZO 液晶を搭載したスマートフォンを開発した.また,スマートフォン購入後も電池持ちが長いことをユーザに実感してもらうため,アプリケーションの動作を調査し,消費電流の改善を行った.アプリケーションのどのような動作が端末全体の電池持ちに大きく影響するのかを述べる.
著者
津田 博史 多田 舞 山本 俊樹 一藤 裕 曽根原 登 椿 広計
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.442-451, 2013-12-07 (Released:2014-02-07)
参考文献数
4
被引用文献数
1

本研究の目的は,地域観光の政策実行主体である自治体やホテルなどの宿泊施設事業者が,データに基づいた合理的な観光政策,事業経営を実施するための情報収集・データ解析理論,方法を研究することである.本研究では,Webサイトから収集したホテル空室データや観光情報を用いて,日次で宿泊施設の稼働率を推定し,また,宿泊施設であるホテルの人気の要因を分析した.今回の研究目的の1つ目として,京都市の観光政策の経済波及効果を捉えるために,京都市内のホテルの客室稼働率を推定することとした.2つ目の目的として,人気ホテルの要因を解明することとした.実証分析結果により,京都市内のホテルの客室稼働率,および,ホテルの人気の要因に関して新しい知見が得られた.
著者
曽我部 真裕
出版者
KDDI総研
雑誌
Nextcom
巻号頁・発行日
no.16, pp.15-23, 2013-12-01

本稿は、従来の学説と近年の批判論を踏まえ、通信の秘密条項(憲法21条2項)の解釈論を試みる。従来の解釈論は通信事業が国営であることを前提としたものであるが、民営化・自由化後の今日では、民間事業者に憲法の拘束は及ばず、民間事業者の義務は憲法の趣旨等を踏まえた法律によって創設されたものと位置づけられる。他方、国家に対する憲法的な要請としては、通信の秘密を侵害しないという不作為義務が中心であり、近時主張されている通信制度の設営義務といった広汎な作為義務を憲法から引き出すことには慎重であるべきである。
著者
米田 昌代 吉田 和枝 曽山 小織 島田 啓子
出版者
石川県立看護大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

この研究の目的は、周産期の死(死産・新生児死亡)を経験した母親・家族を社会全体で支えるシステムを開発することである。今回、全国の主要な医療機関(産科・NICU)、行政(県・市区町村)、赤ちゃんを亡くした方の自助グループに対して各々の退院後のグリーフケアの現状と関係機関の地域連携の現状・課題・新たな提案について調査を実施し、その結果をもとに連携システムのモデル案を作成した。その後、母性看護学・助産学の研究者から意見を聴取し、さらに吟味を重ね、周産期のグリーフケアにおける地域連携システムモデル案Ⅰ案を完成するに至った。