著者
木村 健一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.531-537, 1986-03-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
20

Accumulation and retention of 125Sb by short-necked clam Tapes japonica were investigated in order to elucidate the uptake mechanism of the nuclide in marine bivalves. It was found that the accumulation of 125Sb by the clam from the environmental water showed an initially relative rapid increase, followed by a gradual increasing pattern during the experimental period. The concentration factors for 125Sb in the clam at the end of the experimental period were obtained as 1.2 for the soft part and 4.2 for the shell. The loss of 125Sb accumulated in the whole clam showed an initial decrease, followed by two slow elimination patterns. The long-lived biological half-life for 125Sb in the clam was approximately 58 days. Regarding the influence of chelating agent and co-existing element on the accumulation of 125Sb by the clam, it was observed that the addition of stable antimony to the rearing sea watere enhanced the accumulation of 125Sb by the soft part and shell of the clam to some extent; whereas, the accumulation of 125Sb by the soft part and shell was not depressed in the presence of EDTA. The accumulation of 125Sb by the shell depends mostly on the surface adsorption phenomenon rather than that via metabolic process.
著者
横窪 安奈 木村 健一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第57回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.P50, 2010 (Released:2010-06-15)

本研究は,茶室における亭主の動作と茶釜音(環境情報) が茶事における周期性を持つことを明 らかにし,この周期への客の同期を図ることで,茶事協調支援を促すための新しい茶室「幻庵」の 提案を目的としている.茶道は日本の伝統芸能の代表の1つである.茶道の技能を習得するためには,教科書を用いた知識習得型の学びでは,体得するのは困難である.そのため,技能の習得に関わる身体動作の周期性への同期を主体とした,スキル・サイエンスの知見を用いて茶事協調を解明することに取り組んだ.まず,茶釜の湯温変化が茶事協調の重要な要素であると仮説を立て,LED を発光体とし,Gainer で発光パターンを制御する明滅発生装置「幻庵ver0.1」を試作した.ここでは,茶室空間独自の雰囲気を損ねないことが確認できた.次に,茶事協調の同期の状況を確認するため,茶室フィールド実験を行った.実験結果から,亭主の動作が茶釜の音の変化と同期していることが明らかになった.さらに,亭主の動作を一区切りとした周期があり,茶事全体の周期を構成していることが示唆された.これを可視化することで,客が茶事の周期への同期を図ることができ,茶事協調の支援となる可能性があると考える.
著者
長堀 登 木村 健一郎
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.15-20, 1992-03-31

近年注目され始めたLD(学習障害)を中心に,現在の教育体制の中では,普通教育と特殊教育の狭間に位置し,新たな教育的配慮や援助を必要としている児童を,調査によってその実態・援助の現状を把握し,教育的対応の仕方,望ましい教育条件の考察を試みた。調査は二つの市にわたり,普通学級児童約5,200人の担任の先生を対象に,質問紙法により行った。調査の結果は,各学年とも20%前後の児童について学級担任の先生は,学校生活・学習指導上で何らかの不安を感じており,さらに,3%程の児童については,具体的な配慮や援助を必要と感じ,できる範囲での援助を実践していた。その3%の児童の状態は,軽度のハンディキャップを持っていたり,境界線児と言われる児童や,いわゆるLD(学習障害)と思われる児童(全体の0.64%)であった。 LD児と思われる児童の問題点としては,「落ち着きがない,集中力がない,自分の力でしようとしない,集団行動がとれない,学習意欲がない,わがまま,喧嘩などのトラブルが多い。」などがあげられた。普通学級の担任の先生は,僅かな時間でも利用して個別指導を行ったり,励まし,賞賛の声掛け,座席の配置工夫,班構成の工夫など涙ぐましい努力をされていたが,それにも限界があり,特にLDと思われる児童については,効果的な指導方法がわからず,教育的な援助を行うことが十分にできないでいる現状だと思われる。「個に応じた教育」を真にめざすならば,新たな教育的配慮・援助のための教育的施策の必要性を痛感する。多様な指導を必要としている現状に柔軟に対応できるような教育条件の整備,充実が切望されるとこであり,「通級学級に関する充実方策について」の答申を尊重し,迅速な施策の実現が重要な意味を持つものと考えられる。
著者
菅野 鈴 木村 健一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.378, 2019 (Released:2019-06-27)

本研究では,「居心地の良い」場所を任意活動を促す場所とし,その構成要素を明らかにすることを目的として,フィールドワークとアンケート調査を行った.フィールドワークから,任意活動が行われる「居心地の良い」場所の存在が示された.また,それらは街並みや風景の眺めがよく,ベンチなどの着座できる環境のある場所であり,適度な交通量の場所であることが分かった.アンケート調査からも同様に,風景の良さや人通りに関する回答とともに開放感も要素として挙げられた.これらのことから,滞留者は眺めの良い開けた場所,すなわち「視点場」と「他者」の要素から「居心地が良いかどうか」を判断していると考察された.また,居心地の良い場所は,「視点場」であり,適度に「他者」が存在する場所といえる.
著者
濱田 宏 木村 健一 遠藤 恵美子 福井 明 藤田 喜久 高折 益彦
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.471-479, 1991-07-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
23

局所麻酔薬に添加した血管収縮薬が脊椎麻酔の持続時間に及ぼす効果を検討した.下肢の予定手術患者を対象に,ネオペルカミンS単独群(C群),エピネフリン0.1mgおよび0.2mg添加群(E1群,E2群),ノルエピネフリン0.1mg添加群(NE群)に分けた.最高レベルより2椎体,4椎体低下する時間(分)はE1群でそれぞれ平均120分,178分,E2群でそれぞれ145分,191分,NE群でそれぞれ142分,180分で,ともにC群の95分,135分より有意に延長していた.しかし,E1,E2,NE群の間に有意差を認めなかった.NEがEより勝る利点を見出すことはできなかったが,NEの添加でも有意な延長効果を認めた.
著者
安井 重哉 木村 健一
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.101, 2014 (Released:2014-07-04)

2016 年3 月,北海道北斗市にある渡島大野駅に接続する形 で北海道新幹線の新ターミナル駅である新函館駅(仮称)の開 業が予定されている.2012 年11 月,これを契機に全国に知名度をアピールすべく,ご当地キャラクターの活用を企図した北斗市より,公立はこだて未来大学(以下,本学)へ,キャラク ターデザインの依頼について打診があった.本学は,情報デザインコースの機能を活用した地域社会への貢献,およびその地 域貢献のプロセスを通じた学内の人材育成という観点から,この依頼を受諾し,2013 年4 月から約1年を費やしてご当地キャ ラクターのデザインに取り組んできた.本稿は,この取り組みを,デザイン活動を通した社会貢献における大学と地域社会の共創モデルとして総括することを目的としている.
著者
木村健一
雑誌
埼玉医会誌
巻号頁・発行日
vol.39, pp.390-393, 2002
被引用文献数
1
著者
木村 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.1062-1065, 2005-09-15
被引用文献数
1

子どもが身近な気象現象をアメダスのように自動観測できる安価な観測機器が欲しい.この野望の実現にとり憑かれた福島県の理科教師と技術ボランティアが,秋葉原のジャンク店で入手した中古部品を組み合わせて作ったインターネット版「電子百葉箱」を原型に,文部省(当時)の教材開発プロジェクトで半製品化に成功,PICマイコンの採用による小型化をきっかけに,函館の地元企業との共同研究をへて製品化に漕ぎ着けた顛末を述べる.当初の目標である廉価さと手軽さに近づきつつある8年間にわたるボランティアベースの手作りプロジェクトを通じて,地域から生まれ地域で育った息の長いIT化の試みについて報告する.
著者
寺杣 友秀 花村 昌樹 松本 圭司 志甫 淳 木村 健一郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

混合TateモチーフのHodge実現関手の構成のために、semi-algebraic setを使ってある鎖複体を構成し一般化されたコーシー公式を証明した。また混合楕円モチーフについて、深さフィルトレーションをあたえるモチーフのフィルトレーションを定義した。高次チャウ群からコホモロジーへのサイクル写像の像の次元が大きい曲面の構成をした。2変数超幾何方程式系が可約になる特別なパラメーターに関する Schwarz 写像を研究した。このタイプの周期逆写像をテータ関数を用いて記述した。種数2の代数曲線族についてのAbel-Jacobi 写像の像特徴づけた。
著者
花村 昌樹 寺杣 友秀 木村 健一郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

複素n次元空間の半代数的集合の上で,極をもつ微分形式の積分の理論を厳密に定式化し, 収束のための幾何的な条件を与えた.また複素解析におけるCauchyの積分公式を高次元の場合に拡張した公式を与え,それを証明した.DG圏の一般化としてquasi DG圏の概念が代表者により提出されていたが,その基礎理論を構築し,とくにquasi DG圏から三角圏を構成する方法を与えた.それを用いて,任意の代数多様体上の混合モティーフ層の三角圏を構成した.混合Tateモティーフの三角圏と代数的サイクルのbar複体上のcomoduleのアーベル圏との関係を研究した.
著者
寺杣 友秀 松本 圭司 志甫 淳 ガイサ トーマス 齋藤 秀司 木村 健一郎 花村 昌樹
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

超幾何関数に代表される特殊関数論を幾何学的な視点から見直し、それによってこれまで具体的に与えられていなかった対象の表示をあたえ理解を深める。とくに代数多様体の周期に関係したものを扱い、超幾何関数だけではなく、多重対数関数、多重ゼータ値、楕円曲線と関連する特殊関数の関係を明らかにする。その手法としてホモトピー修正の理論や曲線の対称積などがありこれらを用いて代数的サイクルを構成することが考えられる。また、多重ゼータ値の重さフィルトレーションに関するより詳しい解析を行った。また混合テイト・モチーフに関しては基礎理論の整備がまだまだ不完全なところもあるので、厳密な構成法などを確立する。
著者
美馬 義亮 木村 健一 柳 英克
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.39-45, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
10
被引用文献数
4 1

人間が図柄の構想を行い、コンピュータ上でそれらを表現するというスタイルのツールは広く用いられているが、コンピュータが図柄を生成する作業に関わるようなシステムは少数である。ThinkingSketch は、創造性をもった図柄生成に関する発想を対話的に支援することを目的とする。本システム上では。1)既存の絵画や写真などから生成されたカラーパレットを参考にして、作品の中で色彩を割り当てる。(=色のトレース)、 2)既存の絵画や写真の表現を下地にしてなぞる作業を通じてオリジナルな図形プリミティブを作成する。(=形のトレース)、 3)画面の中に 乱数によるプリミティブを配置する。4)パラメータと生成ルールにより多数の絵画を生成し、構図の構築、評価を繰り返し行う。このような検討作業を通じ、生成ルールやプリミティブのチューニングを行い、望ましいパターンの生成確率を上げる。ユーザはこの過程の中で自己の好む絵画スタイルの存在を意識し、それらを吟味することが容易になる。加えて、このような枠組みは熟練者への表現における生産性向上の支援にも利用可能であることを報告する。
著者
澁谷 智志 木村 健一
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.95, 2015 (Released:2015-06-11)

本研究では、美術初心者が持つ写実性制約が、絵を創作する行為にどのような影響があるかを実証的に検討する。芸術創作は、表現対象に対して知覚と創作行為を繰り返しながら表現を探索していく活動である。こうした知覚と行為の中での創造性を捉えるならば、知覚対象に対する認知的志向と創作行為には不可分な関係があると考えられる。美術初心者は、絵画に描かれた具体的事物に固執して絵画を見るという「写実性制約」があり、その制約が絵画鑑賞において、多角的に見ることの妨げになることが、指摘されてきた。 本実験では、図柄を配置することで絵を構成する課題について、具象画の図柄を用いた試行と、抽象画の図柄を用いた試行とで実施し、実験参加者のデッサン技能の有無によって、各々の試行の試行錯誤の度合いに違いがあるかを調べた。実験の結果から、デッサン技能の有無は、具象画の操作の試行錯誤の度合いに影響は与えないが、デッサン技能を有することは、抽象画の操作の試行錯誤を促進することがわかった。このことは、美術初心者は写実性制約に沿って解釈できない対象に出会ったとき、創作の試行錯誤が抑制される傾向があることが明らかになった。
著者
徳岡 良則 早川 宗志 木村 健一郎 高嶋 賢二 藤田 儲三 橋越 清一
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.126, 2015

足摺宇和海国立公園内の愛媛県愛南町鹿島にはアオギリの樹林が約6 haあり、貴重な群落としてその重要性が指摘されてきた。アオギリは豊後水道沿岸域に点在するが、遷移系列上の位置づけや過去の資源利用に関する知見は限られている。対象地域におけるアオギリの分布を調査した結果、本種は撹乱地に早期に分布を拡大する先駆樹種的性質が示された。地域住民の証言では第二次大戦前後には主にアオギリの繊維から綱を作り農具や漁具等の材料とし、一部の個体は山地斜面、耕地境界、人家裏に植栽されていた。アオギリにはジョウドノキ、ジョウドギ、アオギ、カタナギ(愛媛県佐田岬)、ヘラ(愛媛県由良半島、大分県津久見)、イサキ(高知県大月町、大分県蒲江、宮崎県北浦)の地域呼称があった。漁村でのアオギリの採取・利用法や個体管理に関する証言、豊後水道を挟んだ大分県と愛媛県や高知県に共通したアオギリの地域呼称が存在することは、沿岸集落に現存するアオギリの一部は、海路を通じた植物利用文化の伝播に由来する可能性を示唆している。資源利用の役割を失ったアオギリは、現在点在する成木を種子源として、周囲の陽地へ今後も定着していくと予想される。
著者
丹羽 みずほ 木村 健一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第63回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.191, 2016 (Released:2016-06-30)

北海道の舞踊であるYOSAKOIソーランは,24年の歴史を持ち,よさこいを踊る人数は約200万人に上るとも言われている.現在,YOSAKOIソーランの振り付けを記録する舞踊記譜法は確立されておらず,各チームで独自の方法が取られている.本研究では、特定のYOSAKOIソーランチームが新しい踊りを覚える際に使用可能な舞踊譜の制作を行いながら,舞踊記譜法に必要な構成要素を明らかにすることを目標とする.本研究では,メモの調査から,舞踊譜の構成要素として必要な要素は「身体の図解」「拍」「歌詞」「譜語」であると明らかにした.その後に,筆者自身が踊り手として踊った際の身体感覚を捉え,舞踊譜に落とし込んだ.その舞踊譜の評価を,グループインタビューを行い,そのプロトコルを分析したところ,伝わる「身体の図解」の特徴と,「譜語」の特徴が明らかになった.伝わる「身体の図解」の特徴は,腕と脚の形が示されていること,図解を踊り手の身体感覚と合わせることである.「譜語」の特徴としては,動作を具体的に表す言葉と,歌詞や仲間内で自然と生まれた言葉であった.
著者
佐藤 勝 林 敦子 加登 基弘 新田 裕 並河 勇 白木 雅文 勝谷 芳文 岩山 幸雄 平田 健一 木村 健一
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.407-415, 1985-06-28
被引用文献数
2 2

ヒトの口腔内には鞭毛虫類としてTrichomonas tenax (T. tenax)が生息し,歯周疾患の進展と共にその検出率が高くなることが経験的に知られている。しかし本原虫は培養,純培養が困難であるため,その病原性や生物学的性状は不明である。我々はT. tenaxの培養用に新培地を開発し,この培地がT. tenaxの分離,増殖にも優れていることを確認したので今回は,ヒトの歯肉縁下歯垢中における本原虫の分布と検出率を疫学的に調査した。その結果,T. tenaxの検出率と,被検者の年齢,ポケットの深さ,歯肉炎の程度および歯垢集積量の間には密接な関連性が認められた。また歯周療法がT. tenaxの消長に及ぼす影響を検討したところ,臨床症状の改善に伴ってT. tenaxの検出頻度は低下した。
著者
木村 健一
巻号頁・発行日
2012

筑波大学博士 (医学) 学位論文・平成24年3月23日授与 (甲第6216号)
著者
古川 宇一 長 和彦 寺尾 孝士 木村 健一郎 大場 公孝
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、自閉症児・知的障害児の生涯ケア体制の整った地域社会の創出をめざして、北海道にTEACCHプログラムを導入する10ヶ年計画の第2次3ヵ年計画のまとめをなすもので、函館・旭川両地区をモデル地区として、幼児期から成人期にいたる各ライフステージにおいてTEACCHプログラムのアイデアの有効性を検証し、関係者・機関への展開を図った。画期的であったことは、函館地区おしまコロニーが独自に、2001年4月、全国に先駆けて自閉症センター「あおいそら」を立ち上げ、活発な相談指導、コーディネート活動を展開し、地域センターとしての活動を展開した。幼児施設、養護学校、特殊学級、施設においてTEACCHプログラムのアイデアを導入するところが増え、幼児期から成人期にいたるTEACCHプログラムを基本においた一貫性のある療育システムが構築されつつあり、全道のセンター的役割を果たそうとしている。旭川地区では、幼児施設でTEACCHのアイデアを引き継ぎ、小学校特殊学級で導入する教室が増え、1成人施設が導入4年目で成果を上げている。両地域とも研究活動は親を含み継続している。本年度の研究16論文は、情緒障害教育研究紀要第21号に、1年次13論文は19号に、2年次12論文は20号に掲載されている。札幌・道央地区、帯広・道東地区では、おのおの1療育施設でTEACCHの手法を用いており、福祉施設においても積極的に導入し研修がすすめられている。札幌、旭川では、家庭教育にTEACCHのアイデアを用いた積極的な取り組みがなされている。おしまの自閉症センターと連携しながら、全道的な展開への準備が整いつつあり、次の第3次3ヵ年計画において道内4圏域でのTEACCHセンター機能の展開が課題である。