著者
澤井 孝之 木村 泰治郎
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.633-635, 1998-03-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
8

乾癬性関節炎の患者4例にヨクイニン湯を内服させ, 関節痛に対する効果を調べた。4例とも治療による関節痛の改善をみた。副作用は全く認められなかった。4例中3例において, ヨクイニン湯の内服によりコルチコステロイド, エトレチナート, 非ステロイド系消炎鎮痛剤 (NSAIDs) を中止できた。残りの1例はヨクイニン湯のみで, 関節痛のコントロールが可能であった。4例ともヨクイニン湯の内服中に乾癬皮疹に変化は認められなかった。ヨクイニン湯は乾癬性関節炎の関節痛に対して第一選択の薬剤になり得ると思われた。
著者
尾野 嘉邦 石綿 はる美 三輪 洋文 横山 智哉 中村 航洋 松林 哲也 粕谷 祐子 木村 泰知 河村 和徳
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究の目的は、人々のジェンダーバイアスとその政治的影響を包括的に検証し、「指導的地位」に占める者の間に大きな男女格差が生じる要因と解決策を明らかにすることである。それにより、政治や社会において男女共同参画をさらに進めるだけでなく、男女それぞれが個人として、多様な選択やキャリアの実現を可能とするための方策を考える。そのために、①議事録などのテキストデータを機械学習によって分析するテキストマイニング、②サーベイ実験などの実験的手法により因果関係の解明を目指す行動実験、③世界各国の専門家を対象とした大規模なサーベイによる国際比較調査、という複数の手法を用いて、学際的かつ国際的に研究を行う。
著者
乙武 北斗 高丸 圭一 内田 ゆず 木村 泰知
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.700-705, 2023-08-15 (Released:2023-08-16)
参考文献数
10

議会会議録には議会におけるすべての発言が記録されている.議会会議録の発言内容に基づき,議会における議員の取り組みや政治的態度を明らかにする研究が進められている.従来の研究ではTF-IDFなどの単語ベースの方法が用いられており,複数単語のフレーズや文脈を考慮する表現力に欠けていた.本論文では,会議録中の各発言の発言者を推定するBERTベースの分類器とSHAPを用いて算出されるトークン単位の分類貢献度を利用し,発言文から文節単位で政治的関心を含む特徴的な表現を抽出する手法,およびその結果の分析について述べる.文節単位で係り受け関係も考慮することで,抽出された表現の文脈を提示できる.分析の結果,本手法はTF-IDFと比較して発言者の政治的関心が見受けられる特徴的な表現を多く抽出できることを確認した.また,TF-IDFでは抽出が困難な,発言者の独特の言葉遣いを抽出できることを確認した.
著者
木村 泰知 小林 暁雄 坂地 泰紀 内田 ゆず 高丸 圭一 乙武 北斗 吉田 光男 荒木 健治
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

本研究では,地方政治に関する研究の活性化・学際的応用を目指して,「議論の背景」「議論の過程」「議論の結果」を関連づけるコーパスの構築を進めている.本稿では,議論の背景・過程・結果を関連づける地方政治コーパスの構築の試みについて述べる.
著者
木村 泰之 都築 誉史
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.183-192, 1998-12-20 (Released:2010-06-04)
参考文献数
27
被引用文献数
10 8

本研究では, 近年急速に普及しつつあるコンピュータ・コミュニケーションの特質を社会心理学的に検討した。集団意思決定における集団極化現象を扱ったコンピュータ・コミュニケーション条件と対面コミュニケーション条件による実験を行い, 両コミュニケーション・モード間における差異について検討を加えた。被験者は3人1組の実験集団を構成し, ジレンマ課題におけるリスク水準決定を行った。コンピュータ・コミュニケーション条件では対面コミュニケーションに比べ, コミュニケーション当事者から受ける緊張感や心理的負担といった対人圧力が減少することが分かった。こうした対人圧力の減少によって, 通常言われているコンピュータ・コミュニケーション上での立場の平等化という現象が説明可能であることが示唆された。コンピュータ・コミュニケーション条件で, 集団極化現象が観察され, 対面コミュニケーションに比べ, よりリスキーな意思決定を行いやすいことなども確認された。その他, 第1発言効果の検証を行った。
著者
木村 泰知 ジェプカ ラファウ 高丸 圭一
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

我々は「ラジオ番組のパーソナリティとリスナーのリアルタイムな反応」の関係性が「対話システムとユーザ」の最適な関係であると考え,対話システムの最終ゴールを示すとともに,従来の対話システムの問題を述べ,対話システムのプラットフォーム(Radiobots FM)構築に向けたプロトタイプを紹介する.
著者
佐藤 明 青沼 和隆 今中 恭子 吉村 耕一 木村 泰三
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

B型大動脈解離症例では、入院1週後の血清テネイシンC(TN-C)値がhs-CRP、D-ダイマー、FDP、解離部位の最大動脈径と正相関し、死亡例は有意に高値であり、血清TN-C値が、B型大動脈解離の短期予後を予測する有用なバイオマーカーであることが判明した。マウス解離モデルにおいてTN-Cはマクロファージ浸潤とVSMCs減少・エラスチン破壊が起こっている解離の移行部位で発現亢進し、主にVSMCsと重複していた。LacZをノックインしたTN-Cレポーターマウスでは、β-gal染色にて中膜が染色され、さらにαSMAとの二重染色を行うとαSMA 陽性細胞が同時にβ-gal も陽性となり、マウス大動脈解離壁のTN-C 産生細胞はVSMCsであることが判明した。
著者
木村 泰知 近藤 隆史 門脇 一真 加藤 誠
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.FIN-029, pp.32-38, 2022-10-08 (Released:2022-10-01)

This paper proposes an Understanding of non-Financial Objects in Financial Reports (UFO) task. The UFO task aims to develop techniques for extracting structured information from tabular data and documents, focusing on annual securities reports. We will provide a dataset based on annual securities reports and organize an evaluation-based workshop for participants. The UFO task consists of two subtasks: table data extraction (TDE) and text-to-table relationship extraction (TTRE). The table data extraction subtask aims to extract the correct entries and values in the tables of the annual securities reports. The text-to-table relationship extraction subtask aims to link the values contained in the tables with the relevant statements in the text. In this paper, we describe an overview of the UFO task.
著者
門脇 一真 木村 泰知 加藤 誠 近藤 隆史 乙武 北斗
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.FIN-030, pp.100-105, 2023-03-04 (Released:2023-03-04)

我々は,有価証券報告書(有報)に含まれるさまざまなタイプの表の理解を目的に,表構造解析を行うタスクを計画している.有報にはタクソノミがテキストブロックとして定義された箇所があり,特に非財務情報を表現する表には様々なタイプが含まれる.既存研究を参考に有報の表の各セルをヘッダ,属性,データといったクラスに分類した結果,既存研究で分類された関係表,エンティティ表,行列表などのいずれのパターンにも分類されない複雑な構造の表が見られ,さらにそれらの構造がいくつかのパターンに分類できた.本稿ではまず,各セルの分類方法と,その結果発見された表構造のパターンについて報告する.これらのうちセルが正しく分類できた表については,NTCIR-17 UFOタスクの表データ抽出(TDE)サブタスクでアノテーションデータを公開し,評価型ワークショップとして取り組めるようにする予定である.本稿ではこのタスクのデータ形式,評価方法についても取り上げる.
著者
峯田 真悠子 新井 康弘 野本 真広 横山 敦子 稲葉 晶子 木村 泰 橋元 崇
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-212_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【目的】椎体骨折は高齢者の代表的な骨折であるが、明確な安静臥床期間が定まっておらず、安静にて椎体変化や偽関節の予防が困難と報告されている。そのため、早期離床による活動量の確保が重要であるが、体動痛のために身体機能の詳細な評価が困難な場合が多い。椎体骨折の予後不良因子として、椎体の後壁損傷や骨密度低下といった骨要因による報告は多いが、骨要因以外の報告は少ない。近年、椎体骨折を始めとする骨折患者のサルコペニアの有病率が高く、骨折の危険因子であると報告されている。サルコペニアの評価はCTの大腰筋面積から診断する研究が散見されるが、対象は消化器や循環器疾患であり、椎体骨折患者の大腰筋面積とリハビリテーションの関連は明らかになっていない。大腰筋は、歩行能力と密接に関係することが明らかとなっており、大腰筋面積は椎体骨折患者の身体機能を予測する一助になると考える。そこで本研究では、椎体骨折患者の大腰筋面積を基にしたサルコペニアとリハビリテーションの関連性を検討することを目的とした。【方法】当院に入院した椎体骨折患者233名のうち、死亡と入院前歩行不能例、骨折合併例、転移性骨腫瘍による骨折例、陳旧性骨折例、手術施行例、データ欠損例を除いた130名(平均年齢79.7±9.6歳、男性42名、女性88名)を対象とした。サルコペニアの指標はCTの第3腰椎レベル横断像で大腰筋面積を算出し、身長の2乗で除した値をPsoas muscle index(以下PMI)として用いた。PMIを各性別における下位1/4をサルコペニア群と定義し、2群に分類した。調査項目は基本情報(年齢、Body Mass Indexなど)、医学的情報(既往、椎体骨折数、椎体圧潰率、血液データ、geriatric nutritional risk index(以下GNRI)など)、リハビリ経過(入院から離床開始までの日数、各歩行補助器具による歩行練習開始まで日数、入退院時歩行様式、Functuonal independence measure(以下FIM)など)とし、2群間で比較検討した。また、PMIと各調査項目の相関関係を検討し、そこで有意な相関関係を認めた項目を独立変数、従属変数を退院時歩行FIMとする重回帰分析を実施した。統計学的有意水準は5%未満とした。【結果】非サルコペニア群(年齢:81.7±9.8歳、男/女:11/21名、PMI:6.20±1.54cm2/m2)は、サルコペニア群(年齢:79.1±9.5歳、男/女:31/66名、PMI:3.49±0.62cm2/m2)と比較してBMI、GNRI、退院時独歩の割合、退院時歩行FIMは有意に高値を示し、椎体骨折数と椎体圧潰率は有意に低値を示した(それぞれp<0.05)。またPMIと年齢、GNRI、椎体圧潰率、退院時独歩の割合、退院時歩行FIMは有意な相関関係を示した(p<0.05)。さらに重回帰分析の結果、抽出された因子は年齢、入院時独歩の割合、大腰筋面積を基としたサルコペニアの有無であった(p<0.05、R2=0.31)。【結論】椎体骨折患者の大腰筋面積は退院時の歩行能力に関連することが示唆された。【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づき、調査から得られたデータは個人が特定されないよう統計処理を行った。
著者
木村 泰生 藤田 博文 山川 純一 瀧口 豪介 丸山 翔子 高井 亮 荻野 和功 小川 博
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.146-153, 2018

<p>症例は33歳の女性で,2年前に下行結腸癌による大腸イレウスに対して自己拡張型金属ステント(self-expandable metallic stent;SEMS)留置後に,腹腔鏡下左半結腸切除術を施行した.その際の病理組織学的所見は,中分化型腺癌,深達度SS,n0,ly1,v1,stage IIの診断であった.術後2年目にCEAの上昇およびCTで下腹部に約3 cmの腫瘤性病変を認め,FDG-PETでも同部のみに集積を認めたことから孤立性再発病変と判断し,腹腔鏡下に腫瘤摘出術を施行した.術中所見では腫瘤は大網内に約3 cmの孤立性の腫瘤として認め,その他に明らかな播種および転移病変は認めなかった.病理組織学的所見では,下行結腸癌の血行性大網転移と診断された.結腸癌の孤立性大網転移はまれな再発形式で,これまでに報告例はない.本症例は近年増加傾向である金属ステント留置後の手術症例(外科手術前の処置bridge to surgery;BTS)であり,ステント留置と大網再発の因果関係は不明であるが,大腸ステント留置症例における長期的な予後は不明な点も多いため今後も症例の蓄積が必要である.</p>
著者
田中 博基 木村 泰己 松縄 哲明 三本木 省次 髙田 雅美 木村 欣司 中村 佳正
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2020-MPS-129, no.3, pp.1-4, 2020-07-20

半導体製造において,リソグラフィシミュレーションモデルが重要である.このモデルを構築する際,大規模密行列の部分特異値分解が必要となる.部分特異値分解のための方法として,AIRLB(augmented implicitly restarted Lanczos bidiagonalization)アルゴリズムがある.本稿では,大規模密行列の部分特異値分解のために,AIRLB アルゴリズムの改良を行う.改良法では,計算途中で必要となる小さな行列の特異値分解のために,QR アルゴリズムではなく,OQDS(orthogonal-qd-with-shift)アルゴリズムを適用する.これにより,高精度な特異値を持つ特異値分解が行われる.数値実験の結果,既存の QR アルゴリズムを用いる AIRLB アルゴリズムと比較して,提案した改良が有効に機能していることが確認できる.精密な議論を行うため, 大規模疎行列と大規模密行列の両方を実験の対象としている.
著者
桧森 拓真 木村 泰知 坂地 泰紀 荒木 健治
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.645-652, 2019-04-15 (Released:2019-04-15)
参考文献数
13

本研究では,地方議会会議録に含まれるテキストの発言箇所を自動で推定する.実験のデータセットは,平成23年4月から平成27年3月までの4年間の4つの自治体の議会会議録であり,青森県,東京都,大阪府,福岡県の会議録に対して,人手で発言文と発言以外の文にアノテーションを行った.「4年間のデータを利用した発言文の推定実験」では,学習データと評価データに「同一自治体のデータ」を利用した実験,および,「異なる自治体のデータ」を利用した実験を行なった.実験の結果,SVMの平均正解率が最も高く,それぞれ,0.985,0.951となった.また,少量の学習データによる「1年間のデータを利用した推定実験」では,LSTMとSVMの比較を行った.比較実験の結果,LSTMの平均正解率が0.926となりSVMの平均正解率よりも6.1ポイント上回る結果となった.
著者
金川 淳 藤根 道彦 木村 泰廣
出版者
大同特殊鋼株式会社
雑誌
電気製鋼 (ISSN:00118389)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.244-251, 1993

Superalloy (Inconel 718) and stainless steel (SUS 316) were melted by using 300kW Electron Beam (EB) melting furnace and the evaporation behavior of elements and the effect of purification were investigated.<br>1) The evaporation behavior could be explained well by a Langmuir evaporation equation under the consideration of the vapor pressure of element and the activity in metal.<br>2) The uniformalization of the chemical composition in the longitudinal direction can not be expected because the molten pool is not so deep, and so the accurate control of EB condition is important.<br>3) In the investigation on mechanical properties of Inconel 718, creep rupture properties of EB melted material were better than those of VAR remelted material, which is considered to be caused by the purification of EB melted ingot.
著者
野口 聡子 駿河 康平 中井 久美子 村嶋 章宏 木村 泰裕 小林 昭雄
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.156-162, 2018-12-01 (Released:2019-01-21)
参考文献数
13
被引用文献数
2

【目的】オカラを食用微生物であるテンペ菌で発酵させた発酵オカラ(OT)にバナナを加えたオカラ発酵素材(OTB)を開発した。本研究ではヒトにおいて血糖とインスリンに対するOTB粉末の影響を探索的に検討した。【方法】研究デザイン:単群試験。健常ボランティア17名を対象とし,OTB粉末を 10 g添加したヨーグルト(OTB試験食),糖質を同等量とするためにグルコースを 6 g添加したヨーグルト(対照食)をそれぞれ別の日に摂取させ,食前,食後30分,60分,120分の血糖値と血清インスリン値を比較した。【結果】 OTB試験食と対照食のいずれにおいても血糖値と血清インスリン値の上昇は小さかった。OTB試験食と対照食の摂取後を比較すると,食後血糖値の上昇には有意な差はなかった(30分値:対照群 92.8±11.6 mg/dl vs OTB群 91.1±11.5 mg/dl)が,30分後のインスリン値がOTB試験食群で対照食と比べ有意に低かった(30分値:30.6±15.3 μU/ml vs 22.1±13.8 μU/ml,p<0.01)。【結論】 本研究で実施したOTB試験食と対照食のいずれにおいても十分な血糖と血清インスリン上昇をきたさなかったため,OTB粉末がヒトにおける糖代謝改善効果を有するかどうか明確な結果を得ることは出来なかった。食後インスリン値が低いにもかかわらず血糖値が同程度であった点について検証するために,本研究結果を踏まえてプロトコールを再検討した上で実施する必要がある。
著者
木村 泰子 恵比根 佳雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.355, pp.63-67, 2005-10-13
参考文献数
7

IMT-2000方式における基地局アンテナの水平面内ビーム幅はサービスエリアであるセクタ分割角より狭くすることにより加入者容量が増大することは知られている.すでに設置されているIMT-2000用基地局アンテナは, セクタ分割角と水平面内ビーム幅を一致させて用いているため, 加入者容量の向上を図るためには基地局アンテナの交換が必須となる.しかし, アンテナの交換はサービスの中断が伴うとともに, アンテナ設置コストの増大を招き経済的な問題も生じる.これらの問題を解決するために, 金属導体をアンテナ近接に配置することでビーム幅を調節する方法はすでに報告されている.しかし, これらは垂直偏波素子のみのアンテナであった.本報告では, 垂直偏波と水平偏波の偏波共用アンテナの検討を行うために既存の3セクタ用偏波共用120°ビームアンテナに金属でできた反射器を配置することで水平面内のビーム幅に与える影響をモーメント法で解析した.そしてその解析結果より, 反射器を調整することで偏波共用90°ビームアンテナになることを明らかにした.