著者
宮城島 賢二 平光 伸也 木村 央 森 一真 石川 志保 依田 竜二 杉浦 厚司 加藤 靖周 加藤 茂 岩瀬 正嗣 森本 紳一郎 尾崎 行男
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.132-139, 2012 (Released:2013-09-30)
参考文献数
27

背景: 慢性心不全に対するβ1選択性β遮断薬ビソプロロールの有用性は, 複数の無作為化対照比較試験(randomized controlled trial; RCT) によって確立されているが, 国内での臨床使用および臨床成績に関する報告は少ない.目的: 日本人の慢性心不全患者に対するビソプロロールの血行動態ならびに心機能に及ぼす影響について検討する.方法: 左室駆出分画率(left ventricular ejection fraction; LVEF)40%以下の慢性心不全患者25例に対して, 0.625mgより投与開始し, 1~2週間ごとに漸増し, 24週間追跡した. New York Heart Association(NYHA)心機能分類, 血圧, 心拍数, 血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide; BNP), 心エコー図検査所見, 胸部X線, 腎機能マーカー, 血中ヘモグロビン(hemoglobin; Hb)濃度の経時的変化を解析した.結果: 全例に対してビソプロロールの導入が可能であった. 経過観察中に3例が本研究から脱落した. 継続投与が可能であった22例では, LVEFをはじめとした心エコー図検査所見ならびにBNP値は, 経時的に改善傾向を示し, NYHA心機能分類も投与前後で改善が認められた. なお, 腎機能マーカーおよび血中Hb濃度は有意な変動を示さなかった.結論: ビソプロロールは, 日本人の収縮機能が低下した慢性心不全患者において, 高い忍容性を示し, 血行動態および心機能を改善することが確認された.
著者
山﨑 麻由子 木村 容子 佐藤 弘
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.273-277, 2014 (Released:2015-03-30)
参考文献数
14

強い気虚や不眠,抑うつを呈する患者に対して随証治療を進めて加味帰脾湯を投与したところ,月経前症候群(PMS)の精神症状だけでなく,月経痛も軽減した3症例を経験したので報告する。症例1は26歳女性で月経前のイライラ,乳房痛,月経痛を訴えていた。疲労感などの気虚が強く不眠も認めたため加味帰脾湯を処方したところ,不眠と倦怠感の改善とともにPMS 及び月経痛も軽快した。症例2は38歳女性で疲労倦怠感が強く,不眠,月経前のイライラを認めたため加味帰脾湯を処方した。倦怠感の改善に伴いPMS 及び月経痛も軽快した。症例3は31歳女性で膀胱炎を繰り返し,倦怠感が強く不眠や憂うつ感もみられた。加味帰脾湯を処方したところPMS や月経痛の軽快だけでなく膀胱炎も再発していない。加味帰脾湯は帰脾湯に柴胡・山梔子を加味した処方である。気虚が強い患者で不眠や抑うつ傾向があり,PMS や月経痛を訴える場合に有効であると考える。
著者
鉄村 進 木村 豪雄 佐藤 祐美 古田 一史 三潴 忠道
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.103-108, 2005-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

重症骨粗鬆症により多発性骨折をきたし, 痛みのため寝たきりとなった患者に対して桂枝附子湯を投与し著効を得た1例を経験した。患者は68歳の女性。6年前に骨粗鬆症による腰椎圧迫骨折の診断を受けていた。2000年11月, 原因不明の胸背部の強い疼痛と全身性接触性皮膚炎にて入院となった。患者は強い痛みのため寝たきり状態であった。骨シンチグラフィーにて胸郭・脊椎部に多発性の集積像がみられたが, 明らかな悪性疾患は見出せなかった。またMRIでは胸腰椎に多発性の圧迫骨折がみられた。強い表在性の痛みと四肢の冷えを目標として桂枝附子湯を投与した。痛みは除々に軽減し, 2ヵ月後には機能訓練を開始することが出来た。その後, 痛みと皮膚の状態によって黄耆建中湯, 桂姜棗草黄辛附湯および八味丸を投与した。11ヵ月後には介助起立が可能なまでに回復した。桂枝附子湯の骨粗鬆症による多発性骨折に伴う痛みに対する有用性が示唆された。

1 0 0 0 OA ロバスト制御

著者
木村 英紀
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.50-52, 1983-01-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
11
被引用文献数
1
著者
木村 徳典
出版者
日本医用画像工学会
雑誌
Medical Imaging Technology (ISSN:0288450X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.198-203, 2013 (Released:2013-07-27)
参考文献数
14

MRイメージングの収集系の進歩は単位時間あたりの SNRの増大とパラメータの多様化の歴史である.画像化のためのハード系に対する制御ソフトであるパルスシーケンスは自由度が大きく,生体組織の緩和時間の壁を前提としながらその制約下で進歩してきた.画像化は Fourier変換(spinwarp)法が基本であり,MRI収集高速化の問題は空間周波数空間である k空間をいかに速く,高い SNRのデータで充填するかにある.MRIコントラストも強調画像から定量化・標準化の流れにある.本稿ではMRIの収集系技術の変遷を概観する.

1 0 0 0 OA 2種類の倒置文

著者
木村 宣美
出版者
弘前大学人文社会科学部
雑誌
人文社会科学論叢 (ISSN:24323519)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.27-51, 2021-08-27
著者
木村 美和子 田山 二朗
出版者
THE JAPAN LARYNGOLOGICAL ASSOCIATION
雑誌
喉頭 (ISSN:09156127)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.44-48, 2013-12-01 (Released:2014-07-25)
参考文献数
12

The purpose of this study was to compare the functional biomechanical properties of some injectable phonosurgical biomaterials commonly used for vocal fold augmentation. Linear viscoelastic shear properties of cross-linked hyaluronic acid (HA; Juvederm®), micronized AlloDerm (Cymetra®), 3% bovine collagen (Atelocollagen), and calcium hydroxylapatite (CaHA; Radiesse®) were determined as functions of frequency covering the phonatory range, and compared to those of the human vocal fold cover. Measurements of elastic shear modulus (G‘) and dynamic viscosity (η‘) were made up to 250 Hz with a controlled-strain simple-shear rheometer. Linear least-squares regression was conducted to curve-fit log G‘ and log η‘ versus log frequency, and statistical analysis was performed with one-way ANOVA. There were statistically significant differences in the magnitudes of G‘ and η‘ among the phonosurgical materials and the normal human vocal fold cover (p<0.01), whereas there was no significant difference (p<0.05) in pairwise comparisons among all materials and the normal vocal fold cover. The rheometric properties of Juvederm and Atelocollagen were the closest match to those of the vocal fold cover. These findings suggest that none of the tested injectable biomaterials are ideal implants for facilitating the functional vibratory performance of the vocal fold cover. Future studies for the development of materials with optimal viscoelastic properties are warranted.
著者
横山 雅子 堀 進悟 青木 克憲 藤島 清太郎 木村 裕之 鈴木 昌 相川 直樹
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.11, pp.711-717, 2002-11-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
17
被引用文献数
6 5

目的:救急外来患者におけるアルコール性ケトアシドーシス(AKA)とアルコール性ケトーシス(AK)の実態を把握することを目的に,救急搬送されたアルコール関連患者のケトン体検索を積極的に行い,AKAとAKの実態を前向き(prospective)に調査し,さらに後ろ向き(retrospective)にもAKAのデータ解析を行った。対象と方法:研究1) 1999年11月から2000年1月までに慶應義塾大学病院救急部に搬送された患者のうち,すべてのアルコール関連疾患において,血液ガス分析,血中ケトン体分画の測定,尿ケトン体検査を行った。研究2) 1988年8月から1999年12月に搬送された全患者のデータベースより,飲酒に関連した患者と大酒家を抽出し,血中ケトン体の上昇または尿中ケトン体陽性を確認し得たアシドーシス症例(pH 7.35未満)をAKAとして,その臨床像を検討した。結果:研究1) 3か月の調査期間のアルコール関連疾患の数は,救急搬送患者940人のうち16人であり,AKAは2人であった。AKを5人に認めた。ケトン体比の低下は75%で認めた。研究2)搬送患者27,952人中,飲酒に関連した患者と大酒家として登録されていた患者は210人であり,このうちAKAは9人であった。研究1)と2)を合わせたAKAの臨床像は,全例男性,主訴は意識障害が多く,低体温4人(36%),低血糖8人(73%)であった。尿ケトン体検査は,血中ケトン体上昇で診断されたAKA 9人のうち55%で陰性,11%で±であった。ケトン体比は全例で著明に低下していた。結語:救急搬送患者においてAKAとAKは,アルコール関連患者の43%と著しく高頻度で認められた。AKAは意識障害,低体温,低血糖,ケトン体比の低下を随伴し,大酒家突然死症候群の病態と多くの共通点がみられた。AKAでは尿ケトン体検査の偽陰性が多く,大酒家のアシドーシスでは救急医はAKAとAKを念頭に診察に当たるべきである。
著者
木村 拓哉 馬場 里英 岡部 太郎 藤井 遼 皆川 裕祐 藤田 健亮 角谷 隆史 加茂 徹郎 高井 千尋 山田 宗 鯉沼 俊貴 萩原 祥弘 三角 香世 小林 孝臣 山中 隆広 髙橋 秀徳 小村 賢祥 荒井 大輔 長尾 元太 小西 駿一郎 神元 繁信 仲地 一郎 小倉 崇以
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.147-152, 2021-03-20 (Released:2021-10-02)
参考文献数
13

A preliminary report from a global study showed that remdesivir, a nucleoside analog pro-drug that was originally developed as a therapeutic drug against Ebola virus, may exert clinical efficacy in cases of COVID-19, by shortening the time to recovery. We had the opportunity to use this new drug in the treatment of 7 COVID-19 patients with respiratory failure.
著者
木村 俊彦
出版者
四天王寺大学
雑誌
四天王寺大学紀要
巻号頁・発行日
no.63, pp.411-417, 2017-03-25

2007年と2008年の資料紹介では、金倉圓照・東北大学文学部教授の最終年度の印度哲学史特殊講義を聴講された直弟子の一人・神舘義朗先生のノートを頂戴して掲載した。先生は筆者のパーリ語講師であられたが、最後は滋賀医科大学の哲学教授として定年まで勤められた。今般は同じく金倉圓照博士の直弟子である村上真完・東北大学名誉教授から、金倉博士の未公刊の著書『印度中世精神史』下に相当する原稿のコピーと演習の為に用意された『ニヤーヤバーシュヤ』(『論理学疏』)と『サルヴァダルシャナサングラハ』(『一切哲学綱要』)の全訳ノートのコピーなどを寄託された。 ここでは後者の第二章(仏教章)の初めの部分を紹介したい。合わせて前後に金倉圓照博士の履歴と業績を紹介する。博士は鹿児島県のお寺の出で、1896年に生まれ、東京帝国大学印度哲学科を卒業してドイツなどに三年間留学し、新設の東北帝国大学印度学仏教史講座の助教授、次いで主任教授を勤められた。その後、『印度中世精神史』上巻によって日本学士院賞を受賞され、続いて同会員、昭和天皇の侍講も勤められた。新設の宮城教育大学長を三年間勤められたのは70歳からである。1987年に満90歳で東京で亡くなられ、出身のお寺に葬られた。本書の仏教章は仏教哲学四派の梗概であるが、最初にダルマキールティの仏教論理学の延引があり、14世紀後半という、仏教がインド本国で滅亡してからの南インドのマーダヴァの著書にしては、筆者の専門分野が最初に登場して実に興味深いものがある。
著者
渡邊 裕也 山田 陽介 吉田 司 横山 慶一 三宅 基子 山縣 恵美 山田 実 吉中 康子 木村 みさか Kyoto-Kameokaスタディグループ
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
pp.2014, (Released:2020-12-08)

背景:長寿社会において,最も深刻な社会問題の1つにサルコペニアおよびフレイルがある。高齢者の自立と生活の質を維持するためには,これらを予防することが重要である。本研究では,地域在住高齢者を対象に,自己管理式の包括的介護予防プログラム(Comprehensive geriatric intervention program:CGIP)が身体機能および骨格筋量に及ぼす効果を調査した。我々は,CGIPを自宅で実施する群(自宅型)と自宅での実施に加えて週に一度の集団指導を行う群(教室型)の介入効果を比較した 。 方法:526名の参加者を,居住地区に基づいて2群(教室型 251名,自宅型275名)のいずれかに無作為に割り付けた。低負荷レジスタンストレーニング,身体活動量の増加,口腔機能の改善,栄養ガイドで構成されるCGIPを12週間実施した。参加者全員に,プログラムの説明を含む90分の講義を2回受講するよう促した。参加者にはトレーニングツール(3軸加速度内蔵活動量計,アンクルウエイト,ゴムバンド)と日誌が提供された。教室型介入群は毎週90分のセッションに参加し,その他の日には自身でプログラムを実施した。一方,自宅型介入群はプログラム実施方法の説明のみを受けた。12週間の介入前後に,膝伸展筋力,通常および最大歩行速度,Timed up and go(TUG)テスト,大腿前部筋組織厚などの身体機能を測定し,Intention-to-treat法を用いて分析した。 結果:526名の高齢者のうち,517名(教室型243名 74.0±5.4歳 女性57.2%,自宅型274名 74.0±5.6 女性58.8%)が研究対象として組み入れられた。9名(教室型 8名,自宅型 1名)は介入前の測定に参加していなかったため,解析から除外された。いずれの介入も膝伸展筋力(教室型18.5%,自宅型10.6%),正常歩行速度(教室型3.7%,自宅型2.8%),大腿前部筋組織厚(教室型3.2%,自宅型3.5%)を有意に改善した。なお,膝伸展筋力は教室型でより大きな改善が認められた(P=0.003)。最大歩行速度(教室型 4.7%,自宅型1.8%,P=0.001)およびTUGテスト(教室型 -4.7%,自宅型 -0.2%,P<0.001)は教室型介入群のみで有意に改善した。 結論:本介入プログラムはサルコペニア,フレイルの予防に有効であった。両介入後,ほとんどの身体機能と大腿前部筋組織厚は改善した。自宅型介入は費用対効果が高く,大規模高齢者集団におけるサルコペニア,フレイルの予防に貢献できるかもしれない。
著者
木村 美也子 井手 一茂 尾島 俊之
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.273-283, 2022-04-15 (Released:2022-04-26)
参考文献数
37

目的 幼い子をもつ母親を対象に,COVID-19流行期に新たに生じた心理的苦痛(K6スコア≧10点)とCOVID-19流行前の子の育てにくさ,発達への不安,ソーシャルサポートおよび受援力の関連を検討することを目的とした。方法 本研究は縦断研究であり,2020年2月に全国47都道府県の未就学児の母親を対象としたベースライン調査を実施,4,700人より回答を得た。また同年6月に同じ対象に調査依頼をし,2,489人より回答を得た。ベースライン時と追跡時のK6スコア(4群)を比較し,ベースライン時に心理的苦痛を有していた521人を除く1,968人を対象とし,ポアソン回帰分析を行った。目的変数には追跡時の心理的苦痛の有無,説明変数にはベースライン時の子の発達への不安,子の育てにくさ,受援力,ソーシャルサポートを用い,母親の年齢,学歴,婚姻状況,就業状況,世帯収入,子の年齢,子の数,追跡時のCOVID-19による変化(10項目)で調整した。結果 心理的苦痛ありの割合は,20.9%から25.3%へと増加していた(P<0.001)。新たに心理的苦痛を有した者は333人(16.9%)で,ベースライン時の子の発達への不安あり(対照群なし),育てにくさあり(対照群なし),受援力の「受援活用姿勢」低群(対照群高群),ソーシャルサポート低群(対照群高群)と有意な関連がみられた。結論 幼い子をもつ母親の精神健康は,COVID-19流行期に悪化傾向にあり,心理的苦痛の関連要因には,流行期前から有していた子の発達への不安,育てにくさ,受援力の受援の機会を活用しようとする姿勢の乏しさ,ソーシャルサポートの乏しさが含まれていた。COVID-19流行時における継続的な子育て支援・療育・相談と受援力向上に向けた具体的なアプローチの検討が望まれる。
著者
新 智子 木村 誠子 大島 真理江 諏訪 光地子 香取 牧子 小澤 一樹 宮崎 和紀 山﨑 裕司
出版者
学校法人高知学園 高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.27-30, 2013-03-31 (Released:2019-06-11)
参考文献数
4
被引用文献数
2

統合失調症と自殺企図のある下腿切断患者に対する義足歩行訓練に応用行動分析学を取り入れた介入を行い,その効果について検討した. 介入当初,義足への荷重訓練に対して,拒否的な言動,疼痛の増悪,握力の低下などの問題行動がみられた.介入では,対象者の受け入れやすい行動目標(歩行)を取り入れ,歩行距離の延長という強化刺激をフィードバックすることで,理学療法への参加行動を定着させることに成功した.次いで,対象者の好みの活動と要求をアンケートによって把握し,それを行動目標とした.目標を到達するため必要な動作能力とそれを獲得するために必要な訓練内容を本人に説明し,同意のもとに実施した.その結果,実用的な歩行形態の獲得,階段昇降動作の獲得など,さらなる移動能力の向上を図ることが可能であった.最終的に対象者は自宅退院に成功した. 以上のことから,今回の介入は理学療法への参加行動を定着させる上で有益な方法と考えられた.
著者
木村 千夏
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.253-264, 2020-10-10 (Released:2020-10-15)
参考文献数
17
被引用文献数
1

初等中等教育において情報の発信者を意識させる取り組みが行われているにもかかわらず,その教育を受けたはずの大学生の多くがインターネットニュースの発信者を意識しない.その原因の1つは,インターネットニュースの発信者を漠然と捉えている大学生が少なくないことにあるのではないかと考えた.そこで,本研究では,その可能性を想定し大学生にインターネットニュースの発信者を意識させる授業をデザインした.インターネットニュースの発信者の構成は情報の発信者の構成を反映しており類似関係にある.本授業は,大学生にこの類似関係に気づかせ,初等中等教育での情報の発信者についての学習経験から類推させて,「インターネットニュースの発信者も意識するとよい」という解を生成させようとするものである.2大学で授業実践した結果,発信者を意識させることができるよう授業デザインされていることが確認され,前述の想定を裏づける傾向も示された.
著者
宮嶋 雅一 下地 一彰 木村 孝興 新井 一
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.8, pp.564-573, 2017 (Released:2017-08-25)
参考文献数
11
被引用文献数
4 2

2014年11月にJNS Pediatricsに掲載された米国ガイドラインに基づいた小児水頭症の標準治療について概説する. このガイドラインでは以下の9つの臨床的課題が取り上げられている. すなわち, ①未熟児出血後水頭症の管理, ②脳室カテーテル留置における内視鏡, 磁場式ナビゲーション, 超音波の有用性, ③シャント術と内視鏡的第三脳室底開窓術の予後の比較, ④種々のシャントバルブによる治療効果の比較, ⑤抗生剤の術前投与の有効性の有無, ⑥抗生剤入りのシャントシステムと通常のシステムの比較, ⑦シャント感染の治療法, ⑧脳室穿刺部位と脳室カテーテル先端の留置位置の比較, ⑨脳室サイズの測定はシャント治療効果の判定となるか否か. これらの問題に対してシステマチックレヴューが行われ, エビデンスベースのガイドラインとして報告されており, それぞれの研究結果および推奨する方法が紹介されている.