著者
田村 美恵子 野田 誠 村上 輔 渡部 真吾 大山 明子 山本 康人 田代 宏徳 薄井 宙男 市川 健一郎 恵木 康壮 針谷 明房 高澤 賢次 磯部 光章
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.5-10, 2012 (Released:2015-06-18)
参考文献数
6
被引用文献数
1

症例は47歳,男性.生来健康で,胸痛などの自覚症状はない.意識障害にて当院救急外来を受診したところ,心電図上完全房室ブロックによる最大10秒までの心停止を繰り返した.徐脈による症状と推定し,緊急入院のうえ経静脈ペーシングを行い,待機的に電気生理学的検査ならびにペースメーカー植込み術を施行した.冠動脈に異常はなく,左室収縮機能も正常であった.His束心電図ではHVブロックを認めたが,逆行性房室伝導はみられなかった.洞結節回復時間を確認するため洞調律より20bpm速い頻度(110bpm)で刺激を加えたところ,刺激直後から1:1の関係を保って持続的に心房刺激が心室を捕捉する所見がみられた.刺激停止後に再びHVブロックによる房室伝導障害が顕在化した.本現象は器質的心疾患の指摘されない健常心筋に生じた徐脈依存性ブロックと考えられ,その機序に第4相ブロックの関与が示唆された.

3 0 0 0 OA 測地成果2000

著者
村上 真幸
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.229-239, 1999-09-25 (Released:2011-07-05)
参考文献数
23

The Geographical Survey Institute (GSI) is preparing the establishment of Japan's new geodetic datum, Japanese Geodetic Datum 2000 (JGD2000), and its realization, Geodetic Coordinates 2000, based on a geocentric system. This review paper focuses on historical background regarding the establishment of geodetic datums and the present situation of Japan'sdatum to help readers understand the idea of, and background for the move to the new geodetic datum.
著者
村上 幸乃 橋本 直
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2022論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.84-85, 2022-08-25

後ろを振り向くという行為は日常的な行為であるが,周辺環境によってはその行為がためらわれる場合がある.そこで本研究では首を回転させることなく,目の動きだけで周囲360°を視認可能な手法「Neckless」を提案する.提案手法では,アイトラッカによって水平方向の視線の角度を計測し,その3~4倍の角度に対応する方向の映像をヘッドマウントディスプレイ上に提示する.本稿では,バーチャルリアリティ環境でシステムを試作した結果について述べる.
著者
古村 健太郎 村上 達也 戸田 弘二
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.87.15208, (Released:2016-05-10)
参考文献数
38
被引用文献数
13 18

The purpose of this study was to translate the Experience of Close Relationship-Relationship Structure (ECRRS) and evaluate its validity. In study 1 (N = 982), evidence based internal structure (factor structure, internal consistency, and correlation among sub-scales) and evidence based relations to other variables (depression, reassurance seeking and self-esteem) were confirmed. In study 2 (N = 563), evidence based on internal structure was reconfirmed, and evidence based relations to other variables (IWMS, RQ, and ECR-GO) were confirmed. In study 3 (N = 342), evidence based internal structure (test-retest reliability) was confirmed. Based on these results, we concluded that ECR-RS was valid for measuring adult attachment style.
著者
村上 道夫
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.32-37, 2017 (Released:2017-02-02)
参考文献数
37

Although public interest on safety standards is increasing, the evidence and protocols associated with the standards are not known well to the public and even experts. Discussing the evidence of standards is essential for risk communication, and interdisciplinary and systematical understanding on how to establish standards are also beneficial for considering the set-up of new standards. In this article, on the basis of examples in environmental science, industrial health and safety, and radiological protection, I overview and systemize the establishment of the standards from the perspectives of three principles of risk management: 1) “zero-risk-like” standards, 2) “acceptable-risk-based” standards, and 3) “cost-balanced” standards. In this view, I point out the differences in uncertainty factors or acceptable-risk levels among individual standards and demonstrate the role of the “as low as reasonably achievable (ALARA)” concept. Then, on the basis of the problem on lack of environmental standards in nonstationary states such as disasters, I summarize elements necessary for establishing the standards. As perspectives for further study, I suggest the needs for risk assessment of chemicals having a threshold, full considerations of risk trade-offs and ethical aspects, and applications of processes to the establishment of standards through stakeholder consensus.
著者
村上 香 永澤 健
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.84-91, 2021-02-15 (Released:2021-02-26)
参考文献数
15

本研究では,発酵および非発酵ルイボスティー(RTおよびGRT)の抽出時の茶葉量,時間および温度によるポリフェノール含量および抗酸化活性への影響を調べた.500 mLの水道水を沸騰させた熱水で茶葉1.5-10 gを10分間浸漬した「お湯出し」条件では,茶葉量は,1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカル消去活性(抗酸化活性)と正の相関関係示し,茶葉5および10 gのRTと比べて,GRTは半分の茶葉量で同レベルの抗酸化活性を示した.また,茶葉5 gを500 mL熱水で5-20分間お湯出しした場合,RTでは15分以上,GRTでは20分以上浸漬することにより,より効率的にポリフェノールや抗酸化活性を引き出せることが確認された.7 °C,12時間浸漬の「水出し」条件(茶葉5 g/500 mL)では,ポリフェノール量と抗酸化活性はRTでお湯出し5分間,GRTで10-15分間と同程度であることがわかった.RTは茶葉5 g(/500 mL),10分間,70および80 °Cは沸騰を保った沸騰水の抽出「煮出し」と比較して,総ポリフェノールおよびアスパラチン含量,DPPHラジカル消去活性に大きな違いは見られなかった.GRTにおいても80 °Cと沸騰水ではポリフェノールおよびアスパラチン含量に有意な差は認められなかった.本実験で検討した条件では,茶葉量10 g/500 mL,10分間お湯出しは,総ポリフェノール含量(RT:756±9;GRT:939±5 µg/mL),アスパラチン含量(RT:10.6;GRT:363 µg/mL),DPPHラジカル消去活性(RT:3.62;GRT:5.87±0.03 mMアスコルビン酸当量)が最も高い条件であった.また,本研究により,RTおよびGRTは,「お湯出し」および「水出し」でもポリフェノールおよびアスパラチンや抗酸化活性を有することが確認された.
著者
村上 達也 西村 多久磨 櫻井 茂男
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.399-411, 2014 (Released:2016-12-20)
参考文献数
38
被引用文献数
7

本研究の目的は他者のネガティブな感情とポジティブな感情の双方に着目した“子ども用認知・感情共感性尺度”の信頼性と妥当性を検討すること,共感性の性差および学年差を検討すること,そして,共感性と向社会的行動および攻撃行動の関連を検討することであった。小学4年生から6年生546名,中学生1年生から3年生646名に対して調査を行った。因子分析の結果,子ども用認知・感情共感性尺度は6因子構造であった。それらの因子は,共感性の認知的側面である,“他者感情への敏感性(敏感性)”と“視点取得”の2因子と,共感性の感情的側面である,“他者のポジティブな感情の共有(ポジ共有)”,“他者のポジティブな感情への好感(ポジ好感)”,“他者のネガティブな感情の共有(ネガ共有)”,“他者のネガティブな感情への同情(ネガ同情)”の4因子であった。重回帰分析の結果,小中学生で敏感性とネガ同情が向社会的行動を促進していることが明らかになった。また,小学生高学年ではポジ好感が身体的攻撃と関係性攻撃を抑制することが明らかになった一方で,中学生では視点取得が身体的攻撃と関係性攻撃を抑制することが明らかになった。
著者
村上 栄造 小峯 裕己
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成30年度大会(名古屋)学術講演論文集 第7巻 空気質 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.133-136, 2018 (Released:2019-10-30)

電解水を近飽和空気として室内供給する消臭システムを検討した。弱アルカリ性電解水又はオゾン電解水(オゾン水1.8mg/l)を約0.003ppmのメチルメルカプタンが漂う試験チャンバに供給した。弱アルカリ性電解水供給は、揮発する微かな塩素酸臭の変調効果で換気を上回る臭気濃度低減であったが、脱着臭抑制には更に高濃度化が必要である。オゾン電解水供給はオゾン臭により臭気濃度が上昇したが、メチルメルカブタン分解により脱着臭を抑制し臭質改善が図れた。
著者
鈴木 康裕 田島 敬之 村上 史明 高野 大 亀沢 和史 青木 航大 羽田 康司
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.57-69, 2021-03-31 (Released:2021-05-09)
参考文献数
25

目的:本研究の目的は,男性勤労者を対象に我々の作成したボード・ゲーム教材を用いた介入を行うことで,身体活動量が増加するかどうか,また介入終了後に維持されるかどうかについて予備的に検討することである。方法:筑波大学芸術系と共同開発した本教材は,プレーヤーが身体活動量を増やすことで有利に進めることができる。本研究の対象者は,地域の大学および大学附属病院にて勤務する男性職員11名[年齢24~48歳,中央値(四分位範囲)34.0(33.5,39.5)歳]であった。介入期間は6週間,全4回(1回/2週間,30分間/1回)のゲームを行った。介入開始前に2週間,介入終了後に12週間を設定し,最初の2週間をベースライン期間,介入終了後の12週間を介入効果の持越し観察期間とした。対象者は,介入群と対照群の2群に無作為に割り付けた。対照群は日常生活における身体活動量の増減をゲームのインセンティブとして与えなかった。身体活動量は対象者全員に3軸型加速度計を配布し測定を行った。結果:中高強度活動時間(中央値)の群間比較において,介入期間中の変化量は,対照群+0.2分/日に対し介入群+1.6分/日であった。経時的変化については,ベースライン期間と比べた介入12週間後の変化率は,介入群+48%,対照群+10%であった。結論:男性勤労者の身体活動量は,我々の作成した教材を用いた介入を行うことで増加し,また介入後も中期的に維持される可能性がある。
著者
徳久 雅人 村上 仁一 池原 悟
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.193-217, 2007-04-10 (Released:2011-03-01)
参考文献数
15
被引用文献数
2 4

信頼性の高い情緒タグ付きテキスト対話コーパスを実現することを狙い, 漫画の対話文を対象に, 登場人物の表情を参照する方法によって情緒タグを付与した. また, 得られた対話コーパスの信頼性を評価した. 通常, 言語表現と話者の情緒とは, 必ずしも直接的な対応関係を持つとは限らず, 多義の存在する場合が多いため, 対話文に内包された情緒を言語表現のみによって正しく判定することは難しい. この問題を解決するため, 既に, 音声の持つ言語外情報を活用する方法が試みられているが, 大量の音声データを収集することは容易ではない. そこで, 本稿では, 漫画に登場する人物の表情が持つ情報に着目し, タグ付与の信頼性向上を図った. 具体的には, 漫画「ちびまる子ちゃん」10冊の対話文 (29, 538文) を対象に, 1話につき2人のタグ付与作業者が一時的な「表情タグ」と「情緒タグ」を付与した後に, 正解とする表情タグと情緒タグを両者が協議して決定するという手順で, コーパスを構築した. 決定された正解の情緒タグは16, 635個となった. 評価結果によれば, 付与された一時的な情緒タグの作業者間での「一致率」は78%で, 音声情報を使用した場合 (81. 75%) と比べて遜色のない値を示していること, また, 最終的に決定した情緒タグに対する作業者以外の者による「同意率」は97%であることから, タグ付与の安定性が確認された. また, 得られたコーパスを「情緒表現性のある文末表現の抽出」に使用したところ, 3, 164件の文末表現が清緒の共起割合とともに抽出され, 自然で情緒的な文末表現が得られたことから, 本コーパスに対しての「言語表現と情緒の関係を分析する上での1つの有効性」が示された. 以上から, 情緒判定において, 漫画に登場する人物の表情は, 音声に匹敵する言語外情報を持つことが分かり, それを利用したタグ付与方法の信頼性が確認された.
著者
小野 武美 大野 雅之 村上 荘二 高塚 正彦 南條 忠文
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
トンネル工学研究発表会論文・報告集 (ISSN:18849091)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.207-212, 1997-11-12 (Released:2011-06-27)

We applied Raise Boring Method for inclined shaft which is 434m-diameter, 340m-long and 70degrees inclined in Bukou mine. It was first time that RHINO 2006DC, large raise boring machine made by Tamrock Finland, was used in Japan and this is the world's largest class raise boring project in inclined shafts, We have broken through it with only 0.5% error in spite of some troubles that was caused by geological condition, very cracked limestone, We have overcome these troubles by some new technologies, for example memory type direction and inclination measurement system, excavation management system, solid stabilizer and so on.This experience suggest us a spread of possibility of Raise Boring Method.
著者
村上 淳基 赤羽 学 中西 康裕 今井 信也 玉本 哲郎 今村 知明
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.73-84, 2019-10-15 (Released:2020-10-23)
参考文献数
23

日本で放射線治療に使用される装置は,直線加速器(リニアック)が最も多く,今後のがん治療には不可欠である.しかし,高額医療機器であるリニアックの収益性に関する研究はまだ不十分である.本研究では,2014年度にリニアックを導入している一施設あたりの年間収支差を病院規模別,地域別に試算した.さらに,年間収支差の要因について分析した.放射線治療に特化した小規模や大規模な病院では,一施設当たりの年間収支はプラスとなる一方,中規模病院では収支が均衡,あるいはマイナスとなることが示された.また地域別では,一部の都道府県で収支がマイナスとなった.これらの差は,治療患者数および機器の購入費用に起因すると考えられる.今後,放射線治療を受ける患者数はさらに増加することが予想されるため,放射線治療が病院経営に与える影響は大きい.リニアック導入に関しては直接的な収支に加え,化学療法など併用治療による収支に間接的に与える影響や各医療施設での臨床的必要性を総合的に考慮する必要がある.
著者
村上 聖一
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.40-57, 2021 (Released:2021-04-20)

太平洋戦争下、日本の陸海軍は「南方」と呼ばれた東南アジアの占領地に30以上の放送局を開設した。これらの放送局の活動については、1950年代にNHKによる資料収集や聞き取り調査が行われ、成果が取りまとめられたが、その後の軍政全般に関する研究も踏まえ、改めて検証を行う余地があると考えられる。このため、今号から3回シリーズで南方放送史について再考することにした。 南方地域で行われた放送の目的は、▽日本人向けの情報伝達、▽対敵宣伝、▽現地住民の民心安定の3つに分けられるが、本シリーズは、大東亜共栄圏構想を浸透させるうえで放送が果たした役割を検証する観点から、現地住民向け放送に焦点を当てる。シリーズでは、放送の概要を確認したうえで(第1回)、地域別に蘭印(第2回)、フィリピン・ビルマ(第3回)で行われた放送について検討する。 このうち今回は、放送実施までの過程を中心に、陸海軍、日本放送協会の文書に基づきつつ検証した。その結果、南方地域を軍事占領する構想が現れたのが1940年以降だったこともあり、放送に関しても開戦数か月前になって放送協会が南方の放送事情の調査を本格化させるなど、戦前にはほとんど検討がなされていなかったことがわかった。 また、開戦後も、運営主体を軍にするか放送協会にするかで議論になるなど実施の枠組みが定まらず、番組内容も放送局の設置と並行して検討が進むなど、準備不足の中で放送が始まったことが資料から浮かび上がった。長期的展望に立った計画が存在しない中、南方での放送が始まっていったことになる。