著者
中村 美鈴 村上 礼子 清水 玲子
出版者
一般社団法人 日本救急看護学会
雑誌
日本救急看護学会雑誌 (ISSN:13480928)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.1-12, 2013 (Released:2017-04-05)
参考文献数
19
被引用文献数
3

目的:救急領域における延命治療の選択を意思決定する家族と医師との話し合いのプロセスとそれに伴う医師の考えや行動を明らかにし、家族への看護支援について示唆を得る。 研究方法:救急領域における延命治療の選択について家族と話し合いの体験のある医師を対象に半構造化面接法を行った。分析は内容分析を参考に行い、時間軸に沿って話し合いのプロセスを構造化した。 結果:医師9名、面接平均時間37分。病状の説明、延命治療の選択の話し合い、家族への対応等に関する記述182、〈サブカテゴリ〉42、【カテゴリ】19であった。家族と医師の話し合いのプロセスは、「回復が見込めないと判断した時は、意思決定の時期を察してもらえるよう早い段階で話をする」→「まずは回復の見込みが無い状況をありのままに説明する」→「次に延命治療について具体的な話をする」→「決定する治療は医師が想定し、もう回復が望めない状況を理解して家族が意思決定できるよう話を進める」→「最終決断では、さらに状況の理解を確認し、家族で話し合って決めてもらう」→「治療方針の決定後は基本的にそれ以上の話し合いはしない」であった。さらに、医師の考えや行動のカテゴリは話し合いのプロセスに関連して構造化された。 結論:家族と医師の話し合いのプロセスを踏まえ、看護師は話し合いに可能な限り同席し、家族に十分な情報提供のもと、患者の気持ちを尊重した家族の意思決定が図れるための看護支援や意思決定後の家族への看護支援の重要性が示唆された。
著者
舟山 直治 村上 孝一 尾曲 香織 為岡 進 竹田 聡
出版者
北海道博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、旧暦6月晦日の大祓に関わりの深い北海道南西部の川下・川裾・川濯神社の祭祀について、本州からの伝播、伝承ルートを明らかにするため、北前船の寄港地がある瀬戸内海沿岸から日本海沿岸の地域で分布と祭祀形態の調査を行った。川下・川裾・川濯神は、岡山県、鳥取県、兵庫県、京都府、滋賀県、福井県、石川県の7府県で祭祀されている。特に、福井県西部の祭祀は、水無月神社を「川すそ神」と呼称していることに加えて、1河川の河口を中心に祭神を祀る形態が、北海道の祭祀形態に類似している。
著者
深澤 瑞也 竜崎 崇和 亀井 大悟 川合 徹 川西 秀樹 菅野 義彦 篠田 俊雄 田倉 智之 土谷 健 友利 浩司 長谷川 毅 本間 崇 矢内 充 脇野 修 村上 淳 米川 元樹 中元 秀友
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.57-60, 2021 (Released:2021-03-03)
参考文献数
3

透析患者の高齢化および長期間化によりシャント系アクセスの作製困難症例が増加しており,カテーテルでの透析を余儀なくされる患者も多い.一方,透析用カテーテル挿入手技は現在の診療報酬上,注射コードに分類されており保険点数はついているもののDPC施設ではその期間内,消耗品であるカテーテル代も含めて保険請求ができない.一方,中心静脈へのカテーテル挿入手技においては体表超音波装置やX線透視装置などの周辺機器の使用や,医師・看護師・技師も含めた人的な負担を要すること,また血管損傷などによる死亡例も含めた重篤な合併症を呈することもあり,改善が必要と考える.そこで保険委員会として今般,手技のタイムスタディーを含めた現状把握を行い,診療報酬改定への足掛かりとなるべく実態調査を行った.本結果を基に,外科系学会社会保険委員会連合を通して改定の要望を提出する方向である.
著者
村上 美華 梅木 彰子 花田 妙子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.4_29-4_38, 2009-09-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
28

本研究は,外来通院中の2型糖尿病患者を対象として自己管理を促進する要因,および阻害する要因を明らかにすることを目的とした。研究方法は,質的記述的研究である。研究参加者は糖尿病患者16名で,半構成的面接調査を行った。 その結果,糖尿病患者の自己管理を促進する要因は,【糖尿病と向き合う】【自己管理の実行を意識化する】【取り組んだ効果を実感する】,医療者や同病者などと【支援環境を形成する】であった。反対に,患者の自己管理を阻害する要因は,【糖尿病と向き合えない】【糖尿病である自分自身や生活が重荷になる】【支援環境が広がらない】であった。 糖尿病患者が主体的に自己管理を継続できるために,看護者は糖尿病と向き合えるように支援すること,実施した効果を実感できるように働きかけること,負担感や孤立感を緩和することが重要である。
著者
藤原 和政 西村 多久磨 村上 達也 福住 紀明
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.94.21035, (Released:2023-02-01)
参考文献数
47

The present study investigates the association between social skills and indicators of school adjustment: school satisfaction, loneliness, self-esteem, depression, and academic grades. A total of 1,042 junior high school students (boys = 513, girls = 529, Mage = 13.63, range = 12–15) from 33 classes in three schools participated in a questionnaire survey. The results of correlation analysis with multilevel modeling and Zou’s test revealed that (a) hairyo skills, consisting of compassion for others and maintaining relationships with peers, were positively correlated with academic grades, and (b) kakawari skills, consisting of assertion and developing relationships with peers, were positively correlated with school satisfaction and self-esteem. Both types of social skills were negatively correlated with a sense of victimization and depression. These results show multiple aspects of the effects of social skills toward school adjustment problems.
著者
豊田 和弘 アゲエバ カテリーナ 村上 弥生 福田 大 清水 達夫 鳳龍四号開発チーム 趙 孟佑
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.158-160, 2019-05-05 (Released:2019-05-05)
参考文献数
5

キューブサットなどの超小型衛星はその大きさから推進機を搭載することは難しいが,搭載できればミッションの幅が大きく広がる.また,宇宙ゴミにならないように25年以内にデオービットすることもルール化された.このような背景から固体推進剤を用いた真空アーク推進機(VAT-pi2)の開発を行ってきた.陰極である導電性の固体推進剤,陽極,コンデンサおよび電源からなる真空アーク推進機はその簡単な構造から小型化できロバストである.また低地球軌道に存在するプラズマと干渉することで点火装置なしで自発放電をすることが可能である.今回VAT-pi2の軌道上での動作試験を超小型衛星「鳳龍四号」で行った.300V発電太陽電池を電源として動作させている.また放電電流を計測できるオシロスコープを搭載しており,同時に放電の様子を撮影できるカメラも搭載されている.軌道上での実験の結果,VAT-pi2の放電を確認することができた.放電波形および放電画像の取得は引き続き行っていく.
著者
加藤 泰史 小松 香織 前川 健一 松田 純 宇佐美 公生 石川 健治 竹下 悦子 上原 麻有子 清水 正之 齋藤 純一 松井 佳子 後藤 玲子 小倉 紀蔵 村上 祐子 中村 元哉 小島 毅 品川 哲彦 水野 邦彦 林 香里
出版者
椙山女学園大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2018-06-11

平成30年度の研究計画にもとづき、8月に一橋大学で分担者および協力者(国内)と研究打ち合わせを行い、平成30年度の計画を確認すると同時に、分担者の村上祐子氏が研究発表を行った。また、分担者および協力者の何人かに、『思想』2019年3月号および4月号の特集で研究成果の一部を発表してもらうように再度依頼して確認した。なお、代表者の加藤は8月にWCP北京大会に参加してプレゼンテーションを行った。10月に代表者が渡独してシェーンリッヒ教授(ドレスデン工科大学)らと論文集の編集およびそれに関連した国際ワークショップ企画に関して打ち合わせを行うとともに、11月に一橋大学で網谷壮介氏(立教大学)らを招聘して概念史的研究の一環である「第7回スピノザ・コネクション」を開催した。12月に東京大学で、非欧米圏担当の分担者および協力者と研究打ち合わせを行うと同時に、金光来研究員(東京大学)の講演会を行った。平成31年1月に代表者が、10月に一橋大学で開催予定の国際ワークショップの企画および論文集編集の件で再度渡独し、クヴァンテ教授(ミュンスター大学)・ポルマン教授(ベルリン・AS大学)らと研究打ち合わせを行うと同時に、シェーンリッヒ教授の主催する研究会に参加した。3月に京都大学で、科研費のワークショップを開催し、代表者の加藤と分担者の小島・小倉両氏が研究発表を行い、またニーゼン教授(ハンブルク大学)・マリクス准教授(オスロ大学)・バーデン教授(イリノイ大学)・デルジオルジ教授(エセックス大学)を招聘して一橋大学で国際ワークショップと、さらに手代木陽教授(神戸高専)らを招聘して「第8回スピノザ・コネクション」を開催すると同時に、『ドイツ応用倫理学研究』第8号を刊行するとともに、科研費のHPも完成させた(http://www.soc.hit-u.ac.jp/~kato_yasushi/)。
著者
村上 陽一郎
出版者
国際基督教大学キリスト教と文化研究所
雑誌
人文科学研究 (キリスト教と文化) = Humanities: Christianity and Culture (ISSN:00733938)
巻号頁・発行日
no.46, pp.149-167, 2015-03-31

医療技術の高度化に伴い、〈死への道程〉(death ではなくdying)は人為的にかなりな程度引き延ばされるようになった。そこで起る諸問題に対して、倫理的にも、法制上も、正面から向き合う時間のないままに、突出した事例(意図的と偶発的とを問わず)がしばしば起るようになり、対応も後追いの状態が続いている。しかしここ十年ほどの間に、先進圏では、国民的な議論を踏まえて、ラディカルな法整備に舵を切る例が見られるようになってきた。本稿では、そうした諸例に学びながら、日本社会として、どのような選択を行うべきかを考える。
著者
村上 隆
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.43-62, 2022 (Released:2022-11-10)
参考文献数
29

Social survey questionnaires tend to be large numbers of items with diverse content. Hence, irrespective of the quantification procedure used, the quantitative dimensions obtained may be quite large. In the usual applications of multiple correspondence analysis (MCA), however, three-dimensional solutions are the most complex interpretations typically employed. Orthonormal principal component analysis (OPCA) for categorical variables (Murakami, 2020) was devised to interpret large-dimensional quantities of information in categorical variables. In this study OPCA is applied to survey data obtained from spectators at a Japanese professional baseball stadium. Six interpretable components are derived, and mean differences of component scores among four demographic groups are found. From the simple structure attained by rotation of the matrix of weights, it became possible to draw scatter plots between specified components. A few plots between uncorrelated but nonlinearly related components suggested that so-called horseshoe phenomena are not necessarily mathematical artifacts but may reflect empirical properties.
著者
村上 雅彦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.90-95, 2022-02-20 (Released:2023-02-01)
参考文献数
10

紫外・可視吸光光度法は,測定の原理・装置共に比較的理解しやすく,機器分析法の基本を身につけるための初歩的教材として取り入れやすいものと思われる。その一方で,受講者数の多い実験クラスでの実施のために十分な台数の装置を用意することは難しい。本稿では,吸光光度法による定量の原理を概説した上,教材としての活用が期待される安価かつ容易に作製できる簡易光度計の例として,光源・検出器共に発光ダイオード(LED)を用いた簡易光度計の事例について紹介し,試作による知見を踏まえてその作製・使用のポイントについて述べる。
著者
村上 裕一
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.117-127, 2013 (Released:2013-06-18)
参考文献数
33
被引用文献数
1

行政の組織や活動の「独立性」の問題は近年,政策決定の分離や新たな規制機関の制度設計等を巡って盛んに議論されている.その現状を踏まえて,本研究では,まず行政が独立であるべきとされる際に引き合いに出される理由・根拠・趣旨等を網羅的に列挙・整理することにより,行政の独立性が(1)政府他部局,(2)政治(党派性等),(3)活動の相手方からの独立性という意味合いで論じられていることを述べる.そして,行政の独立性を「(1)財政的資源,(2)法的権限,(3)人的資源・組織,(4)情報といった行政資源に関する他への『非依存性』」と捉える枠組みを提示する.それに則って我が国の行政の仕組みとその限界について論じた上で,行政の実効性・信頼性向上に向けた独立性概念のさらなる検討等,今後の課題を指摘する.
著者
村上 圭一 篠田 英史 中村 文子 後藤 逸男
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.339-345, 2004-06-05 (Released:2017-06-28)
参考文献数
24
被引用文献数
8

群馬県吾妻郡嬬恋村の土壌は黒ボク土であるが,その下唐土は,根こぶ病の発病抑止的土壌として知られている.本報では,土壌の酸性改良が根こぶ病の発病を抑止するメカニズムおよび黒ボク下層土が根こぶ病の発病を抑止するメカニズムを明らかにする目的で,根こぶ病の発病に及ぼす土壌の種類とpHの影響について検討を行った.1)根こぶ病の発病を抑制するために必要な酸性改良の程度は土壌の種類により著しく相違し,黒ボク表層土や灰色低地土のように発病しやすい土壌では,土壌のpHを少なくとも7以上にまで高める必要がある.一方,発病しにくい黒ボク下層土や赤黄色土では極端な酸性改良を必要としないことが明らかになった.2)土壌の酸性改良による根こぶ病の抑制メカニズムは従来から高pH条件下で土壌中の休眠胞子の発芽を抑制することに起因すると考えられてきたが,高pH条件においても休眠胞子の発芽あるいは,根毛への第一次感染が確認されたことから,これらのメカニズムは第一次感染以降にあると推定された.3)黒ボク下層上が根こぶ病の発病を抑止するメカニズムは,休眠胞子が有する陰電荷と土壌コロイドの電荷特性の変化に起因する.すなわち,腐植質黒ボク土は腐植に由来する陰電荷を,腐植を含まない黒ボク下層土はアロフェン由来の陽電荷を持っている.黒ボク下層土中では休眠胞子が上壌コロイドに電気的に吸着されるため,休眠胞子密度が低下する.このような土壌中での見かけ上の休眠胞子密度の低下が発病を抑止する原因と考えられた.
著者
烏谷 竜哉 黒木 俊郎 大谷 勝実 山口 誠一 佐々木 美江 齊藤 志保子 藤田 雅弘 杉山 寛治 中嶋 洋 村上 光一 田栗 利紹 藏元 強 倉 文明 八木田 健司 泉山 信司 前川 純子 山崎 利雄 縣 邦雄 井上 博雄
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.36-44, 2009-01-20 (Released:2016-02-15)
参考文献数
19
被引用文献数
3 6

2005 年6 月~2006 年12 月の期間,全国の循環系を持たない掛け流し式温泉182 施設を対象に,レジオネラ属菌等の病原微生物汚染調査を行い,29.5%(119/403)の試料からレジオネラ属菌を検出した.採取地点別の検出率は浴槽が39.4%と最も高く,貯湯槽23.8%,湯口22.3%,源泉8.3%と続いた.陽性試料の平均菌数(幾何平均値)は66CFU/100mL で,採取地点による有意差は認められなかったが,菌数の最高値は源泉,貯湯槽,湯口でそれぞれ180,670,4,000CFU/100mL と増加し,浴槽では6,800CFU/100mL に達した.陽性試料の84.7%からLegionella pneumophila が分離され,血清群(SG)別ではSG 1,5,6 がそれぞれ22,21,22%と同程度の検出率であった.レジオネラ属菌の汚染に関与する構造設備及び保守管理の特徴を明らかにするため,浴槽と湯口上流側とに分けて,多重ロジスティック回帰分析を行った.浴槽での汚染リスクは,湯口水がレジオネラに汚染されている場合(OR=6.98,95%CI=2.14~22.8)及び浴槽容量が5m3 以上の場合(OR=2.74,95%CI=1.28~5.89)に高く,pH 6.0未満(OR=0.12,95%CI=0.02~0.63)では低下した.同様に,湯口上流ではpH 6.0未満(OR=0.06,95%CI=0.01~0.48)及び55℃以上(OR=0.10,95%CI=0.01~0.77)でレジオネラ汚染を抑制した.レジオネラ属菌以外の病原微生物として抗酸菌,大腸菌,緑膿菌及び黄色ブドウ球菌を検査し,汚染の実態を明らかにした.
著者
村上 恵 森脇 千陽 梅原 志保 岡田 梨沙 吉良 ひとみ
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.22, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】スパゲティの好ましいゆで状態は「アルデンテ」という言葉が用いられ、スパゲティのおいしさにはその食感が重要視されている。著者らはこれまでに、スパゲティの硬さ及びアルデンテは破断応力と正の相関があり、ゆで水に含まれる金属塩類がスパゲティの硬さに影響を及ぼすことを報告している。そこで、本研究では水に含まれるCaイオンやMgイオンがスパゲティの硬さにどのような影響を与えるかを検討するため、ゆで水にそれらの金属塩類を添加し、検討を行った。【方法】金属塩類としてCaSO4、MgSO4、Na2SO4の3種類を用いた。これらの金属塩類を超純水に添加してゆで水とし、スパゲティをゆでた。スパゲティはイタリア産の直径1.6mmのものを用いた。それぞれのゆで水についてpH測定、温度測定、残渣測定を行った。また、ゆでたスパゲティについては破断測定を行った。【結果】pH測定では、スパゲティを加えず、水のみを加熱した場合ではCaSO4添加水、MgSO4添加水のpHは加熱後の方が有意に低かった。スパゲティを加えて加熱した場合では、Na2SO4添加水のpHは加熱後の方が有意に高く、CaSO4添加水、MgSO4添加水のpHは加熱後の方が有意に低くなった。温度上昇の経過については、各ゆで水間の差は見られなかった。ゆで水中の残渣測定では、CaSO4添加水、MgSO4添加水では見かけ上のゆで溶けは多くなったが、スパゲティ由来の残渣量に差は認められなかった。破断測定によるスパゲティの硬さへの影響はCaSO4>MgSO4>Na2SO4の順となった。Na2SO4によるパスタの硬さへの影響は認められなかった。
著者
村上 恭祥
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-10, 1967-07-31 (Released:2010-02-10)
参考文献数
2
被引用文献数
3 5

1) コイ稚魚に発生する頭部変形の症状及び発生原因について検討した.2) 頭部の変形がもっとも目立つが,変形は骨格全体に及んでおり,骨格はもろくやわらかいことから,骨格形成に異常が起っていること考えられた.3) 変形は,人工餌料を積極的に食べだしてから7~10日で発生し,体長5~6cm以上になると発生しにくい傾向が認められた.4) 市販配合餌料,サナギ,魚粉等の人工餌料を過食すると変形が発生するが,ミジンコを飽食したと思われるものには発生しなかった.5) 市販配合餌料に第2リン酸カルシウム5%,マツカラム塩5%の計10%のミネラルを添加すると,変形発生はほぼ完全に防止された.6) ミネラル10%添加餌料により変形魚を30%治ゆさせることができた.
著者
村上 武敏
雑誌
聖隷クリストファー大学社会福祉学部紀要 = Bulletin of the School of Social Work Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-21, 2020-03-31

特に1990 年代以降の医療制度改革により、MSW は必然的に退院援助業務に傾斜してきた。それは医療機関の組織的活動として位置づけられるようになり、MSW は政策的にも医療機関からも期待される活動を担いうる存在となったが、援助過程において効率性を求められるその業務にあって、しかも一貫した長期の援助を展開しにくい環境にあって、MSW の社会科学的な対象認識は希薄になりつつあるように感じられるのである。 本研究では、この1990 年代以降におけるMSW の対象認識の特徴を捉えるために、MSW による実践報告および調査報告、論文等について、1980 年から2014 年までの35 年間を分析した。 意思決定支援に対する関心が高く、さらに退院援助システムなど連携体制構築においても医療福祉固有の対象認識をうかがわせるような記述はなく、「患者一般」という対象像が垣間見える。MSWに求められてきた社会階層的な対象認識は希薄になり、生活問題を社会問題として捉えて解決に向かう実践の志向性は弱くなっている様子がうかがえた。医療福祉が社会科学的な対象認識を失うならば、医療福祉の社会的意義もまた失われることになる。時代に合わせて変化するMSW の存在形態とともに、変化を否定する医療福祉の本質部分を確認する作業となった。