著者
松本 龍児 櫻井 良祐 ●●● ●●● 唐沢 かおり
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.113-117, 2014

In the present research, we examined the effects of belief in free will on interpersonal aggression. Baumeister et al. (2009) demonstrated disbelief in free will promoted aggression toward an innocent target. However, our aggressive behavior is not limited to such non-retributive aggression. For instance, people often attack a person who has shown aggression against them in order to defend themselves or take sanctions. The strength of such aggressive behavior is proportional to perceived responsibility of the transgressor (Ohbuchi, 1987). It has been shown that belief in free will has strong relation to the attribution of responsibility and punishment. Thus, we predicted belief in free will would promote aggression against a transgressor. Forty-five undergraduates participated in the study and they were randomly assigned to one of the three conditions (free will, determinism, or control). After free will manipulation, participants conducted the competitive reaction time game against a fictitious participant. In the task, participants and a hypothetical opponent repeatedly delivered the blast of white noise to each other. The intensity of the blast of white noise specified by participants was the measure of aggression. The results indicated believing in free will increased aggression among participants high in trait aggression. The finding raise the possibility that belief in free will of self and that of others differently influence aggressive behavior.
著者
フォード・丹羽 順子 小林 典子 木戸 光子 松本 哲洋
出版者
筑波大学留学生センター
雑誌
筑波大学留学生センタ-日本語教育論集 (ISSN:13481363)
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-12, 2000

既存の中上級者向け日本語教材の多くは、読解を中心にした総合教科書や、4技能の養成を主眼とした教材である。これらの教材は、文法シラバスに基づいたものではないために、文法に関しては、偶然その中に出てきた表現(および関連表現)を取り上げるというやり方になっている。日本語を母語としない学習者には、このような教材だけではなく、基本的構造に関わる文法を体系的に教える文法の教科書も必要だと考える。本稿は、なぜその文法形式を使って頭の中にある概念を言語化するのかという「構文動機」を、日本語教育のための文法記述の中に示すことを提案する。
著者
松本 吉郎
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.344-351, 2018 (Released:2018-05-01)
参考文献数
8

近年、職場での強い不安や悩み、ストレスを感じている労働者が5割を超える状況がある。仕事によるストレスが原因で精神障害を発症し、労災認定される労働者がその後も増加傾向にあり、メンタルへルス不調の防止が益々重要な課題となってきた。 こういった背景を踏まえ、平成27年12月より、「ストレスチェック」及びその結果に基づく面接指導を実施する制度が導入された。 日本医師会では、ストレスチェックの導入に伴う産業医の契約や活動の影響について把握することを目的として、平成29年3月1日から3月31日までアンケート調査を実施した。認定産業医(63,879人、2017年1月24日現在)から無作為に抽出した5,000人(抽出率7.8%)を対象に実施した。その4割を超える医師から回答を得、本調査結果から、ストレスチェックの導入に伴う現在の認定産業医が置かれている状況、ストレスチェック制度について考察する。 ストレスチェックはすでに法令で規定されたものではあるが、その有効性については多くの認定産業医から依然として疑問があるとする意見が本調査で示されている。今後、この制度を活用して職場でストレスを感じている労働者のうつ状態をはじめとする健康障害や就業困難な状況の防止や改善に役立つものにするためには、科学的な調査研究を実施して効果を検証し、この制度に必要な改善を行う必要があると思われる。その際には、実質的に関与している多くの産業医にとって、ストレスチェックに積極的に取り組むことが医師としての責任や時間的拘束を増大させるだけではなく、応分の報酬ややりがいにつながるような改善が図られることが望ましい。 現在、日本医師会産業保健委員会で検討を行っており、委員会からの提言については、将来厚生労働省に要望していきたい。
著者
飯田 智哉 宮川 麻希 那須野 正尚 田中 浩紀 吉田 雄一朗 蔵原 晃一 朝倉 謙輔 梁井 俊一 松本 主之 仲瀬 裕志
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.526-531, 2019-04-25

要旨●家族性地中海熱(FMF)は,腹部,胸部などに漿膜炎による疼痛を伴う周期性発熱を特徴とする遺伝性自己炎症疾患である.FMFで消化管粘膜障害を呈することはまれとされてきたが,近年,炎症性腸疾患に類似した消化管病変を合併した症例の報告が散見される.一方で,FMFの小腸病変についての報告はいまだ限られている.本稿では,FMFの小腸病変に関する報告例をまとめ,その内視鏡像について論じる.FMF患者に認められた小腸病変は,アフタ,びらん,潰瘍,浮腫などが多くを占めていたが,FMFの小腸病変の内視鏡的特徴を明らかするためには,さらなる症例の集積が必要である.
著者
小林 清典 齋藤 友哉 松本 育宏 川岸 加奈 迎 美幸 横山 薫 佐田 美和 小泉 和三郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1737-1746, 2018-12-25

要旨●大腸癌の内視鏡診断に際してEUSは,深達度を客観的に評価できる利点を有する.特に早期大腸癌に対しては,内視鏡的摘除の適応判定などに活用できる.EUS診断を行った早期大腸癌866病変の検討では,治療法の選択という面での正診率は90%と良好であった.また,潰瘍性大腸炎関連腫瘍に対するEUSの診断成績も良好であった.EUS診断は,描出困難病変が多いなどの問題点があるが,大腸腫瘍に対するESDの普及もあって大腸pT1b癌に対する内視鏡治療の適応拡大が議論されており,EUSの意義が再評価されている.なお,大腸癌に対してEUSがその能力を十分発揮するためには,大腸用のEUS機種の改良が必要である.
著者
赤坂 理三郎 松本 主之
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.629, 2017-05-24

定義 大腸の正常粘膜表面には腸管短軸方向にほぼ平行して走る無数の微細な溝があり,無名溝と呼ばれる.無名溝には時に交叉し,これによって囲まれるやや細長い“小区”があり,微細網目構造となっている.これは網目像(fine network pattern ; FNP)と呼ばれる.病変部分ではこの構造が消失し,組織学的な病変部分と一致している. FNPは1965年にWilliams1)により“innominate grooves”として報告された.その後,1971年に狩谷,西澤ら2)は“innominate grooves”から形成される大腸粘膜の微細な模様を“網目像(FNP)”と名付けた.このFNPはX線造影像で再現可能な最小単位であり,大腸二重造影像の基本像となる(Fig. 1).
著者
松本 健二 小向 潤 笠井 幸 森河内 麻美 吉田 英樹 廣田 理 甲田 伸一 寺川 和彦 下内 昭
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.88, no.9, pp.659-665, 2013 (Released:2016-09-16)
参考文献数
19

〔目的〕ホームレス結核患者の治療成績に関連する要因と服薬支援の状況について検討した。〔方法〕平成19~21年の大阪市におけるホームレスの結核新登録患者433例を対象とした。治療成績に関連する要因として,入院期間,外来治療予定期間,DOTSの型等を検討した。対照として大阪市における平成19~21年のホームレス以外の肺結核新登録患者3047例を用いた。〔結果〕①治療成功と失敗中断における服薬支援等の状況:治療成功は311例で219例(70.4%)が院内DOTSにて入院のまま治療を終了した。失敗中断は48例で35例(72.9%)は自己退院であった。肺結核患者における失敗中断率はホームレス結核患者が11.0%であり,ホームレス以外の結核患者の6.5%に比べて有意に高かった(P<0.001)。②地域DOTSと治療成績:地域DOTS実施は102例で,週5日以上の服薬確認は66例(64.7%)と最も多くを占めたが,失敗中断は10例(9.8%)であった。入院および外来治療予定期間と治療成績では,入院期間は脱落中断が2.0±1.6カ月,治療成功が4.4±2.5カ月であり,外来治療予定期間は脱落中断が7.9±2.7カ月,治療成功が3.6±2.1カ月であり,入院期間の短い例と外来治療予定期間の長い例で脱落中断が有意に多かった(P<0.01)。〔結論〕ホームレス結核患者の失敗中断率は高く,自己退院によるものが多かった。治療成功例では入院のまま治療を完遂することが多く,地域DOTSにつながった例では週5日以上の服薬確認を行っても失敗中断率は高く,特に入院期間の短い例と外来治療予定期間の長い例では十分な支援が必要と考えられた。
著者
日野 晶也 角田 恒雄 釜野 徳明 野川 俊彦 小笠原 強 速水 格 松本 政哲 服部 明彦 西川 輝明 竹内 一郎 橋本 惇 三浦 知之 木津 治久 森田 博史 姚 揚貨 易 新生 小宮山 寛機 林 正彦 川村 将弘 張 恵平
出版者
神奈川大学
雑誌
年報 (ISSN:13420917)
巻号頁・発行日
vol.2001, pp.127-129, 2002-03

約100万種といわれる海洋生物は,地上における最も未知の世界である。この海洋生物から,医薬資源となりうる有用な生理活性物質を発見し,構造を明らかにし,生理活性を検討することを目的としている。NIHで臨床試験中のドラスタチン10(ウミウシ成分)とブリオスタチン1(フサコケムシ成分)は,釡野がその研究に携わったものである。平成元年以来,日野,西川等の協力を得て,平塚付近(相模湾)および岩手県大槌町付近(大槌湾)の海洋生物を検討し,特に青森,浅虫湾のフサコケムシからブリオスタチン10という強い抗癌性物質を見いだし,抗エイズ活性もあることが分かった。また,これらの物質には,ホルモン産生活性などの作用の存在も明らかになり,医薬品としての開発の可能性が考えられる。さらに,フロリダ産コケムシから10数種の新規アルカロイドを単離したが,このうちconvolutamydineが,ヒト急性骨髄性白血病細胞HL-60に対し,強力な分化誘導作用を示し,新たな抗癌剤発見の手がかりになる可能性もある。2000年度には,ほぼこれらのアルカロイドの全合成を完成した。これらの結果をふまえ,日本沿岸およびアジア各地の海洋生物について探索が計画されている。さらに,橋本,三浦等が「しんかい6500」,「しんかい2000」により採集した深海生物に対する検討も行い,今までに相模湾産シロウリガイとヘイトウシンカイヒバリガイおよびサツマハオリムシ,さらに巻き貝2種Alyinconcha cf. hesseleriおよびIfremeria nautileiの化学成分の検討を行っている。また,竹内等による南極付近の生物の入手も期待できる現状にある。さらに,新しく速水先生が加わり,洞窟生物の調査・採集が可能となっている。一方,生理活性,薬理作用検討に新たにそれぞれ小宮山博士,林博士,川村教授の協力が得られている。また,一昨年から中国でのフサコケムシの探索が姚新生教授と新たに参加した易楊貨教授によって開始され,かなり大量の生物が採集された。この生物からの活性物質の単離はこれからの大きな仕事であり,その結果が期待される。本年度は今までの生物成分のまとめを行った。特に,日本産ナマコ類成分,沖縄と真鶴で採集した日本産フサコケムシ成分,および深海巻貝2種の成分研究を完成した。
著者
松本 亦太郎
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-22, 1926 (Released:2010-07-16)
被引用文献数
1 1
著者
松本 功 中道 理 山下 勝己
出版者
日経BP
雑誌
日経エレクトロニクス = Nikkei electronics : sources of innovation (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1223, pp.109-113, 2021-01

かつての隆盛は見る影もない「日の丸半導体」。依然として、衰退傾向にある。そうした中でロームは、半導体事業に集中投資し、売上高の急速な拡大を図っている。注力する製品はメモリーでもプロセッサーでもない。
著者
松本 主之
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.788, 2012-05-24

非特異性多発性小腸潰瘍症は,持続的な潜出血による貧血と低蛋白血症を来し,粘膜下層までにとどまる治癒傾向のない潰瘍が回腸に多発する難治性疾患である1)2).原因は不明であるが,常染色体劣性遺伝形式の家系が存在し,遺伝的素因の関与が考えられる3).女性に好発し,若年時から原因不明の鉄欠乏性貧血として経過観察され,青・壮年期に本症と診断される.高度の鉄欠乏性貧血と低蛋白血症を認め,便潜血は持続的に陽性を示す.炎症所見は陰性,あるいは軽度上昇にとどまる. 病変は終末回腸以外の回腸に発生し,横走傾向を示すテープ状,あるいは細長い三角形の形態を呈する.また,腸間膜付着部とは無関係に潰瘍は枝分かれする.X線検査では,非対称性で規則性のない硬化所見,小腸皺襞の消失などが浅い潰瘍の間接所見として描出される.二重造影ではわずかな透亮像を伴う線状,ないし帯状のバリウム斑として描出される(Fig. 1).小腸内視鏡検査では,下部回腸に浅く境界明瞭な輪走・斜走潰瘍(Fig. 2)が観察され,一部では偽憩室を形成しながら狭窄に至る.難治性・再発性の経過をたどり,炎症性腸疾患の薬物療法は無効である.中心静脈栄養療法は潰瘍を治癒に至らしめる唯一の治療法であるが,経口摂取再開後に再発する例が多い.
著者
松本 真悟
出版者
ペドロジスト編集部
雑誌
ペドロジスト (ISSN:00314064)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.88-92, 2014-12

島根県は中国山地の北側に位置し,東西の距離は約230kmで,日本海に面する海岸線の長さは1,027kmにおよぶ。中国山地から日本海へと急傾斜する土地は狭長で,全般に平地が少なく,林野面積は526,000haであり,総土地面積の78.4%を占めている。島根県の耕地面積は38,000haで,このうち水田が30,500haを占めており,水田率は80.3%と非常に高い。地力保全基本調査(1959~1977)によれば,水田は7土壌群,22土壌統群,68土壌統に,また樹園地を含む畑地は8土壌群,21土壌統群,58土壌統に区分されている。本稿では,このような土壌特性を示す島根県において,土壌の改良と農業生産の向上について著者らが関わったいくつかの島根県特有の事例について紹介したい。
著者
蔵原 晃一 松本 主之 飯田 三雄 中村 昌太郎 松本 洋二 八尾 隆史 藤島 正敏
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1287-1292, 1999-09-25

要旨 初回診断から10年以上にわたって,緩解を維持しているCrohn病の2例を呈示した.初回診断時,〔症例1〕は縦走潰瘍と狭窄を認める小腸大腸型,〔症例2〕は敷石像を主体とする小腸型Crohn病で,ともに中心静脈栄養で緩解導入後,半消化態栄養剤による栄養療法を経て11年および10年間無治療のまま緩解を維持している.呈示症例をさかのぼ及的に検討すると,初回診断時のX線所見のみから長期予後を予測することが必ずしも容易でないことが示唆された.
著者
松本 企世子 松浦 宏之
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.11, no.6, pp.452-454, 1960-12-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6
被引用文献数
2

i 市販の炊飯酵素剤は、陶洗後の白米に加え30分間の放置及び炊飯完了時までに、澱粉の一部をデキストリンに分解するが、麦芽糖までの分解は非常に少い。ii デキストリン量は白米のみの炊飯で510mg%であったが、これに酵素剤を用いた場合は3.4~3.7倍量を示した。ジアスターゼの場合は6.8倍で、酵素剤はその50~56%分解力に相当する。iii デキストリンの増加は、飯の味と触覚に影響を与えるものと思われる。この食味の変化は人によって好まれもし、嫌われもする。iv 蛋白質分解力はペプシン・塩酸法によって測定したが、使用したペプシン溶液の45~49%に相当する消化率を示した。
著者
松本 正生
出版者
埼玉大学経済学会
雑誌
社会科学論集 (ISSN:05597056)
巻号頁・発行日
no.164, pp.5-32, 2021-06

小泉政権当時の2005 年に、無党派層に代わる、新たな概念として筆者が措定した「そのつど支持」は、その後、日本人の政治意識として広く定着した。「そのつど支持」とは、「特定の支持政党を持たず、(選挙のたびに)そのつど政党を選択する」態度を意味する。2009 年の民主党への政権交代以降は、とりわけ、中高年層の「そのつど支持」化が顕著であった。いわゆる無党派層や浮動票とは、若年層の政治意識や投票行動を表象する概念として用いられてきた。こうした意識や態度は、むしろ、中高年層の特性へと転化している。 有権者の「そのつど支持」化は、また、「選挙ばなれ」と表裏の関係にあった。2012 年に自民党が再び政権に復帰してからは、地方選挙で先行してみられた「選挙ばなれ」が国政選挙にも波及してきた。投票率の低落には、政治不信や政党不信と通称される一票のリアリティの消失に加え、社会の無縁化に起因する地域社会の変容も介在している。 本小論の論述スタイルは、仮説-検証の演繹的手法は採用せず、各種の調査結果や統計データの単純比較を通じた経験的解釈に終始する。諸兄のご批判を請いたい。 The term "sonotsudo-shiji" (new independent voter) that I defined at the time of the snap general election in 2005, now seems to have become widely generalized as the political mindset of the general Japanese population. The "sonotsudo-shiji" tendency is significant, especially among middle-aged and elderly voters. The term "independent voter" or "swing voter" has been used to describe the political attitude and voting behavior of young people. However, it is now better used to describe the middle-aged and elderly voter. Their tendency of being "sonotsudo-shiji" is inextricably associated with apathy toward elections. The general election in 2012 showed us that disinterest in local political elections has now spread into the national elections. The decrease in voting turnout in the 2012 general election was caused by a lack of involvement with the local society, and the feeling that a single vote did not count. This is reflected in a distrust of politics and political parties, born out of indifference toward other people. In this report, I present data in support of this hypothesis. I would like to thank you in advance for your comments on this report.はじめに1.政党支持の流動:無党派層の多数派化2.55 年体制の政党支持3.政党支持の融解:「そのつど支持」の登場4.政党支持から内閣支持へ5.「選挙ばなれ」の位相まとめにかえて
著者
松本 正生
出版者
埼玉大学社会調査研究センター
雑誌
政策と調査 = Policy & research (ISSN:2186411X)
巻号頁・発行日
no.12, pp.3-36, 2017-03

2016年7月の参院選後にさいたま市で実施した中学生・高校生・有権者の3調査の結果をもとに、高校生を中心とした若者の政治意識や情報環境を検討する。併せて、子どもから大人へと至る政治的社会化の過程も探索する。若者は、自分の一票にリアリティを持てず、政治への不満や政治家への不信も抱いている。にもかかわらず、高校3年生をはじめとする18、19歳の新有権者たちは、初めての選挙に予想以上の高い投票率で対応した。彼らを投票へと動機付けた要因は何か。In this paper, we examine the political consciousness and socialization environment of young people, especially high school students. At the same time, we also explore the process of political socialization from children to adults. This is based on the results of three surveys targeting junior high school students, high school students, and voters conducted in Saitama City following the elections of the Upper House of the Diet in July 2016. Young people do not believe in their vote, are dissatisfied with politics, and distrust politicians. Despite this, new voters between the ages of 18 and 19 years, including high school third graders, responded to their first election with a voting rate higher than expected.What were the factors that motivated them to vote?はじめにⅠ.政治意識1.「選挙権」と「被選挙権」2.「政治を動かしているのは…」3.「政治満足度」と「政治家信頼度」Ⅱ.社会化環境1.「ニュース・ソースへの接触度」2.「友人」と「家族」3.「コミュニケーション・ツールは…」Ⅲ.投票への動機付けと投票志向性1.「(投票)した」か「しなかった」か2.「(投票に)行く」か「行かない」かまとめにかえて
著者
松本 正生
出版者
埼玉大学社会調査研究センター
雑誌
政策と調査 = Policy & research (ISSN:2186411X)
巻号頁・発行日
no.14, pp.3-18, 2018-03

2017年10月の衆院選直後に実施した,さいたま市の高校生に対する意識調査の結果をもとに,高校生有権者の投票行動,および,非有権者を含む高校生全体の政治意識と社会化環境を概観する.併せて,2016年7月参院選後に,同じさいたま市の高校生を対象に実施した意識調査結果との比較を行い,「18歳選挙権」導入から1年後の位相を確認し,今後を展望する.An amendment to the Public Offices Election Law in Japan has lowered the voting age to 18 years. High school students casted their ballots in the July 2016 (House of Councilors election) and the October 2017 (House of Representatives election). This essay discusses the political consciousness of high school students based on the results of a survey among students in the city of Saitama. The results showed that the students have a negative atttitude towards modern politics and politicians. The essay explores ways to eliminate their political distrust and motivate them to vote.はじめにⅠ.若者の投票行動1.高校生有権者の投票率2.誰と投票に行くのか3.選挙権と被選挙権Ⅱ.政治のリアリティ1.「政治を動かしているのは…」2.政治満足度と政治家信頼度3.「最も印象に残っている政治家は…」Ⅲ.マス・メディアからSNSへ1.テレビ・新聞・インターネット2.利用するSNSⅣ.「18歳選挙権」のインパクト1.「政治の話をするか」2.「投票した」と「投票しなかった」まとめにかえて : 継続は力なり