著者
松本 理器
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.437-440, 2021 (Released:2022-04-28)
参考文献数
9

In the super–aging society like Japan, neurologists are highly expected to treat patients with epilepsy, which incident and prevalence has bimodal peaks in the young and elderly population. In year 2020, various old and new generation anti–epileptic drugs (AEDs) become available. Monotherapy is recommended, but rational polypharmacy is the second choice when a few monotherapy trials fail. Medical treatment should be tailored to each patient by taking account of epilepsy/seizure classification, comorbidity such as cognitive impairment, psychiatric symptoms and visceral impairment, drug–interaction profile, side–effect profile, and medical cost, in reference to the available guidelines. When the patient is considered medically intractable, neurologists should refer the patient to epileptologists in the epilepsy center for the re–evaluation of the diagnosis and the work–up for epilepsy surgery using the state–of–the art examinations such as the long–term video–EEG monitoring.
著者
宮野 裕 片桐 さやか 荻原 哲 光星 翔太 松本 卓子 新井田 素子 倉田 厚 神崎 正人
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.119-122, 2023-12-25 (Released:2023-12-25)
参考文献数
10

Hemangiopericytomas are soft tissue tumors of pericyte origin that line the capillaries and venous intima. It accounts for less than 1% of all brain tumors, but has a high rate of recurrence and metastasis even after complete resection. A 75-year-old male was admitted to our hospital for an examination of a right lung nodule following surgery for cerebral hemangiopericytoma. This case underwent open lung biopsy by video-assisted thoracic surgery, and metastatic hemangiopericytoma was revealed. No new pulmonary metastases have since been detected, and the patient is currently under a strict follow-up protocol.We report a surgical case of pulmonary metastasis, which is rare in this disease.
著者
中野 恵美 原田 智雄 脇本 博文 長田 圭三 岸 良示 松本 直樹 三宅 良彦
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.319-331, 2009 (Released:2010-05-21)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

【背景】非虚血性心疾患に合併するリエントリー性心室流出路起源心室頻拍(VT)における必須緩徐伝導路の存在,およびリエントリー回路については,不明な点が多い.【目的】エントレインメントマッピング法を用いて心室流出路起源VTのリエントリー回路を同定する.【方法】非虚血性心疾患に合併した心室流出路起源VT症例51例(男性26例,女性25例,平均年齢50.3±14.5歳)中,6例に8種類のリエントリー性心室流出路起源VTを認めたため,エントレインメントマッピング法による頻拍回路の検討を行った.【結果】エントレインメントマッピングを行った心室流出路93部位中52部位がリエントリー回路上であると診断された(大動脈バルサルバ洞6,左室流出路43,右室流出路3部位).リエントリー回路上これらの52部位は,exit(7),central-proximal(1),inner loop(19),outer loop(25)に分類された.VTは大動脈バルサルバ洞6部位中4部位で,心室流出路46部位中4部位でアブレーションにより停止した(p=0.0002).【結語】心室流出路起源VTのリエントリー回路が,大動脈バルサルバ洞領域と心室流出路に同定された.エントレインメントマッピング法は,リエントリー性心室流出路起源VTにおけるアブレーション至適部位決定に有用であった.
著者
松本 淳
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2018年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.66, 2018 (Released:2018-12-01)

1 アジアのモンスーン気候気象学・気候学では,モンスーン(季節風)気候とは,季節によって卓越風向が反対になる現象のことである。Ramage (1971)では,1月と7月を夏と冬の代表月として,1) 地表風の卓越風向が120度以上変化, 2) 卓越風の出現頻度の平均が40%以上,3) 卓越風の平均風速が3 m/s以上,4) 経緯度5度以内での高低気圧中心の出現が2年に1回以下,との4条件によって,世界のモンスーン気候の分布を示した。この図によると,日本や韓国・中国を含む東アジアは,上記の4)の条件によってのみ,モンスーン気候ではない,とされた。このような地域は世界の他の中緯度から亜熱帯地域には存在しない。1990年代になると,気象衛星観測の充実により,モンスーン気候のもう一つの側面である夏雨気候が注目され,モンスーン地域の定義を雲活動や降水量から行う研究が主流となってきている。例えばWang and Ding (2008) では,1) 北半球の夏(5~9月)と冬(11~3月)の降水量の差を年降水量で除したモンスーン降水指標(MPI)が0.5以上,2) 夏と冬の降水量の差が300 mm以上の地域をモンスーン気候域とすることを提案している。この定義によると,アジアからアフリカにかけての伝統的なモンスーン地域以外に,世界の全大陸とその周辺域にモンスーン気候が存在することとなり,グローバル・モンスーンとも呼ばれる。しかし,この定義においても,緯度30度より極側にモンスーン気候がみられるのは,アジアだけであり,亜熱帯から中緯度にかけて広がるモンスーンアジアの気候の特異性は,依然として明白である。2 大陸東西での大きな乾湿コントラスト グローバル・モンスーン気候論の一つの主眼点は,多雨の夏雨モンスーン気候と,その西側のやや極側に隣接する乾燥域とが,対で存在することである。この乾燥域が大陸上に広く東西に広がっている大陸は,ユーラシア大陸だけである。換言すると地中海性気候が広大な面積を占めている大陸は,ユーラシア大陸だけである。 ジャレド・ダイヤモンド(2000)は,東西に長いユーラシア大陸が,農耕の発展に有利であったとし,また,藤本(1994)や佐藤(2016)などは,ユーラシア大陸東部の夏雨地域と,西部の冬雨地域の違いを論じている。ユーラシア大陸東西の気候コントラストが人類史に果たしてきた役割はきわめて大きかったといえる。3 モンスーンと稲作 ユーラシア大陸東部のモンスーンの降雨による夏雨地域には,水田が広がっている。篠田他(2009)によれば,この水田から蒸発した水蒸気が,中国大陸上の梅雨前線帯における対流活動を活発化させているという。水田という人間活動が作り出した陸面状態が,モンスーンアジアに特有の大気陸面相互作用をもたらしている可能性がある。浅田と松本(2012)は,ガンジス川・ブラマプトラ川の下流域において,近年洪水が頻発する一方,バングラデシュでは乾季作が拡大し,1998年の大洪水以降は,乾季米が雨季後期米の生産量を上回るようになったことを示した。洪水を契機とした灌漑の普及が,モンスーンアジアの稲作を大きく変貌させている。4 大陸東西での気候の将来変化IPCC(2013)などによる地球温暖化に伴う気候の将来予測においては,熱帯アジアモンスーン域では降水が増加し,地中海性気候域では,乾燥が強まる可能性があることが指摘されている。現在でも大きいユーラシア大陸の東西の乾湿気候コントラストがより強まる方向に向かうことになる可能性が高い。
著者
松本 悠貴 石竹 達也 内村 直尚 石田 哲也 森松 嘉孝 星子 美智子 森 美穂子 久篠 奈苗
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.154-164, 2013 (Released:2013-10-23)
参考文献数
32
被引用文献数
2 2

目的: 睡眠は単に睡眠時間のみで良好か不良かを判断できるものではなく,睡眠の導入や維持といった睡眠の質,就寝時刻や起床時刻といった規則性まで考慮しなければならない.しかしながら,それらすべてを一度に評価できる指標は現在のところ存在しない.本研究は睡眠の規則性・質・量の3要素を評価するための質問票を独自に開発し,その信頼性と妥当性の検証を行うことを目的とした. 対象と方法: 対象は製造業およびサービス業に従事する日勤労働者563名(男性370名,女性193名)で,平均年齢は40.4歳であった.先行研究および専門家との討議を参考に,規則性・質・量それぞれ7項目,計21項目からなる質問紙を作成・編集した.まず項目分析を行い,その後因子分析にかけて構成概念妥当性を検証した.信頼性はクロンバックα信頼性係数を算出して求めた.また,主成分分析およびクラスター分析にて標準化・分類を行い,生活習慣や日中の眠気,ストレス,持病の有無などを比較することにより,判別的妥当性の検証を行った. 結果: 項目分析および因子分析にて,21項目中6項目が除外対象となったが,予測通り規則性・質・量の3因子構造が得られた.α信頼性係数はそれぞれ0.744,0.757,0.548であった.量因子として作成した2項目が規則性因子として抽出されていたが,それ以外は予測通りの因子として抽出された.入眠困難,熟眠障害,中途覚醒,早朝覚醒はすべて質因子として一定の負荷量を示していた.判別的妥当性については,最も点数の高いグループで健康意識が高くストレスや日中の眠気を感じていない者の割合が有意に高かった.一方で,最も点数の低いグループではストレスや持病などの睡眠障害リスクファクターを有している者の割合が有意に高かった. 考察: 今回我々が開発した質問票にて,睡眠の規則性・質・量における構成概念妥当性が示された.しかしながら,分析過程にて不適切と判断され除外された項目や,予測していた因子とは異なる因子として抽出された項目が存在し,信頼性および内容的妥当性については課題が残った.今後これらの質問項目について再度編集・改訂し,より信頼性・妥当性を高めていく必要がある.また,年齢や性等による影響を除いたより詳細な判別的妥当性の検討も要する.
著者
松本 亮介 坪内 佑樹
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:21888655)
巻号頁・発行日
vol.2020-CSEC-89, no.11, pp.1-6, 2020-05-07

単一の OS 環境に複数のテナントを配置し,リソースを共有するようなマルチテナント環境において,一般的に各テナント間での権限分離はプロセスのオーナやパーミッション情報を利用する.一方で,Web ホスティングサービスをはじめ,Web サービスにおいても,コンテナによって計算処理を担うプロセスの権限分離が普及している状況において,データ処理に関しては,複数の異なるオーナのプロセスがデータベースのようなミドルウェアをネットワークを介して通信し共有することで実現されるケースがある.そのようなシステム構成において,単一の OS 内でのプロセス間は権限分離されていても,ネットワークを介した分散システムと捉えたときには,OS 側の権限分離とは独立してユーザとパスワードによりミドルウェアの認証を行うことになる.すなわち,アプリケーションやシステムの脆弱性によって,特定のプロセスが他のオーナのプロセスのユーザとパスワードを取得できた場合,容易に通信先ミドルウェアの情報にアクセスできる.本研究では,Linux のプロセスのオーナ情報を TCP を介したミドルウェアの認証に付与し,特定のオーナからのみミドルウェアの認証を可能とする透過的な TCP を介した権限分離手法の設計について述べる.
著者
松本 卓也
出版者
一般社団法人 日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
pp.1, (Released:2023-12-19)
参考文献数
87

In this paper, I discuss the relationship between social organization and offspring-rearing methods, which are starting to be used as a novel indicator in interspecies societal comparisons. Additionally, I clarify the relationship between the intimacy of the mother–offspring relationship and the development of foraging in the offspring. I suggest that the establishment of a base camp in human evolution is important not only to facilitate effective hunting and gathering but also for immature individuals to reduce the cost of accompanying adults and engage in their own foraging activities.I also attempt to deconstruct weaning from the offspring’s perspective, which often focuses on the mother’s decision to stop breastfeeding. Specifically, I focus on the development of the offspring’s ability to acquire food independently and the offspring’s behavior away from its mother. I suggest that there is no significant difference between humans and African apes in the timing when the offspring significantly reduces its dependence on breast milk. This paper also depicts “early weaning” as a characteristic of the unique life history of humans, in which the mother conceives a second offspring at the same time as or even before the offspring becomes much less dependent on the mother’s milk.
著者
松本 英之
出版者
大阪市立大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-04-01

脳内報酬系の主要コンポーネントであるドーパミン細胞の活動は、人工知能で利用される強化学習の強化信号に類似していることが知られる。本研究では、近年多様性が明らかになってきているドーパミン系の投射回路別の情報処理機構の解明を目指す。大規模神経活動記録法と光遺伝学を組み合わせ、自由行動中の動物の単一ドーパミン細胞活動をライブでモニタリングする系を確立する。さまざまな認知課題を行い、シンプルな外界入力から、より複雑な環境構造に関する情報など、ドーパミン細胞がどのようにコードしているのか調べる。報酬系が投射回路別に並列的に情報処理する仕組みを理解することで、汎用人工知能の構築に貢献することを目指す。
著者
松本 哲哉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.11, pp.2392-2401, 2021-11-10 (Released:2022-11-10)
参考文献数
8

新型コロナウイルスの感染拡大により医療の逼迫が繰り返されている.医療機関の受け入れが困難で自宅で死亡するような例を出さないためにも,自宅療養者の訪問診療やリモート診療を充実させ,病床をさらに確保するとともに,医療機関の連携による効率的な運用体制を築く必要がある.さらに抗体薬投与の拡大,臨時医療施設や入院待機ステーションの設置等も必要である.課題は山積しているが,個々の医療機関の努力だけで解決できるわけではなく,政府や自治体が率先して着実に対策を進めていく必要がある.
著者
松本寿三郎編
出版者
三章文庫 (発売)
巻号頁・発行日
1996
著者
松本寿三郎編
出版者
細川藩政史研究会
巻号頁・発行日
1980
著者
松本寿三郎編
出版者
細川藩政史研究会
巻号頁・発行日
1977
著者
松本 雄一 内田 将太 福本 有香 金屋 紗弥 平野 彩夏 渡邉 啓一
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.233-239, 2021 (Released:2021-06-30)
参考文献数
25

キクイモ栽培における重要課題である白絹病の抑制技術について検討を行った.培地での白絹病菌叢の伸展程度および培土でのキクイモ発病度は,いずれもpH 8以上の条件で抑制効果が見られた.一方,「野菜類」作物群に登録のある殺菌剤を添加した培地では,水和硫黄剤の2剤で菌叢の伸展が抑制された.土壌混和が可能な資材のうち水和硫黄剤の主成分である硫黄を含む肥料においても培地での菌叢伸展の抑制および培土でのキクイモ発病度の抑制効果が見られた.この硫黄資材を汚染圃場に施用したキクイモ栽培においても生育中の白絹病による枯死株率は低下した.さらに,系統間での耐病性の比較においては,三瀬在来系統よりもサンフラワーポテト系統の方が枯死株率は低く,耐病性を有していると考えられた.これらの結果から,キクイモ栽培において硫黄資材の施用と耐用性系統を併用することで,キクイモ白絹病に対する抑制効果を高められる可能性が考えられた.
著者
宇田川 拓雄 松本 美奈 白鳥 成彦 田尻 慎太郎
出版者
嘉悦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

現代では高学歴は有利な職業と豊かな生活へのパスポートである。大学に入学しても不本意に退学することは本人、家族、社会、大学に痛手である。大学の退学リスクの情報は大学ガイド(大学案内)の最重要項目である。「大学の実力」(読売新聞社)は従来、大学が公表していなかった退学率を調査し公表した。本研究ではその2008年と2018年のデータで大学を「改善」「悪化」「停滞」「順調」の4タイプに分け、タイプ別に退学率と教育改善策の関係を分析する。米国では1982年にニューヨークタイムス誌が大学ガイドを発表するなど大学情報の公開が進んでいる。日米の大学ガイドを比較し退学リスクの低い大学の特徴を明らかにする。
著者
松本 佳久 高山 義浩 後藤 伸 橋川 拓郎 長田 優衣 吉武 秀展 坂井 英生 中川 摂子 高橋 研二
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.13-18, 2019-03-20 (Released:2019-04-05)
参考文献数
18
被引用文献数
3

目的  日本を訪れる外国人旅行者は、2018年度で3000万人超が予想されており、増加傾向にある。この訪日外国人旅行者の1.5%が訪日旅行中に怪我・病気になり、医療機関を受診する必要性を感じている。しかし、訪日外国人旅行者の27%が保険に未加入とされる。我々は、保険未加入の外国人旅行者が脳梗塞を発症し、経済的な問題が診療に影響を与えた事例を経験したので、報告を行う。症例  40代男性、東南アジアより、日本在住の親族を訪問中であった。突然の片麻痺を主体とする症状が発生し、病院受診となった。診察の結果、急性期脳梗塞と考えられ、対応を行った。その後、患者が保険未加入であること、親族も医療費支払は難しい状況であることが判明した。また、経済的な援助も見込めない状況であった。医療費を含めて診療内容について相談を行い、外来診療を継続して早期帰国を目指した。考察  保険未加入の外国人が日本滞在中に外傷や疾病に見舞われることがある。支払い能力の有無によらず適切な医療を提供すべきであるが、その結果として高額の医療費負担が生じ、患者本人や家族を困窮させることがないように配慮すべきである。利用できる制度がないか検索することや、医療費を含め診療内容について検討を行う必要がある。また、母国での医療につなげられるように長期的で継続的な診療をめざす必要がある。結論  保険未加入の外国人旅行者に脳梗塞に伴う症状が認められた。医療費や長期的な方向性を含め、相談を行いながら診療を行った。医療機関ごとの対応には限界があり、全国的な事例集積や具体的な対応方法についての相談先の整備が必要と考えられる。
著者
松本 泰尚 Michael J. GRIFFIN
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.703, pp.185-201, 2002-04-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
33

鉛直全身振動暴露時の人体の動的応答特性の解明のため, 被験者を用いた振動実験及び人体動的応答のモデル化を行った. 駆動面で測定した立位及び座位における人体の動質量は, 振動数5~6Hzで最も顕著な共振特性を示した. この主共振振動数域において, 特に腰椎部で脊柱の曲げ振動が発生していることを, 駆動面から身体部位への振動伝達率の測定結果から明らかにした. 立位の場合は腰椎部で軸方向の変形も顕著であったのに対し, 座位の場合は脊柱の軸方向変形はほとんど見られなかった. モデルによる主共振発生メカニズムに関する検討の結果, 立位・座位ともに腹部内臓の鉛直運動の寄与が大きく, 座位の場合は臀部及び大腿部の鉛直方向の変形も動質量主共振の主な要因であることが認められた.