著者
松木 光雄 渡部 俊彦 小笠原 綾子 三上 健 松本 達二
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.128, no.8, pp.1203-1207, 2008 (Released:2008-08-01)
参考文献数
10
被引用文献数
12 17

Glutathione dose dependently inhibited melanin synthesis in the reaction of tyrosinase and L-DOPA. The inhibition of melanin synthesis was recovered by increasing the concentration of L-DOPA, but not recovered by increasing tyrosinase. Glutathione inhibited the binding between tyrosinase and L-DOPA. Although the synthesized melanin was aggregated within 1 h, the aggregation was inhibited by the addition of glutathione. These results indicate that glutathione inhibits the synthesis and agglutination of melanin by interrupting the function of L-DOPA.
著者
吉川 雄一郎 松本 吉央 熊崎 博一 上出 寛子 内田 貴久
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

発達障害者の孤立が社会問題となっている.これに対し本研究では,人が遠隔地から操作するロボットの傍に別の自律型ロボットを配置し,これら2体のロボットが生み出す対話にロボットの周囲にいる人々を引き込むことで,発達障害者がコミュニティの人々と交流できる対話システムを実現する.このために,人々との過去の対話内容を基に新たな対話をし続けられる自律型ロボットを開発し,これを発達障害者が操作する遠隔操作型のロボットと連携させることで,継続的な対話を生み出す対話支援システムを開発する.そしてこれを発達障害者のコミュニティに設置し,継続的な交流支援を実現する.
著者
松本 英顕 江原 史雄 小山 玲音 笹川 智史 原口 智和 宮本 英揮 龍田 典子 上野 大介
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.233-239, 2021-07-25 (Released:2021-11-14)
参考文献数
23
被引用文献数
2 3

和牛(黒毛和種・繁殖雌牛)のストレス数値化技術として,皮膚ガスをマーカーとして利用する手法に着目した.本研究では基礎的検討として,皮膚ガスのサンプリング手法および分析技術の高度化に取り組んだ.サンプリング手法として,牛に特化したサンプリングデバイスを作製し,固相吸着剤を腰部に近い背部に装着させる手法を開発した.本手法で捕集された皮膚ガスをGC-MS分析に供試したが,特徴的なピークを検出することはできなかった.そこでにおい嗅ぎガスクロマトグラフ(GC-O),ガスクロマトグラフ分取システム(GC-F),およびガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いて分析したところ,黒毛和種の皮膚ガスに特徴的なにおい物質として(E)-3-Octen-2-oneを同定した.本研究は大型畜産動物の皮膚ガスを同定した初めての報告である.将来的に本技術を活用して皮膚ガスとストレスの関係を検証し,パッチテストや嗅覚センサーを用いた非侵襲的なストレス数値化技術の実用化につながることが期待される.
著者
岩前 篤 松本 衛 近田 智也 松下 敬幸 松村 収
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.65, no.528, pp.29-36, 2000-02-28 (Released:2017-02-03)
参考文献数
14
被引用文献数
5 3

We found many houses have condensation in the crawl space in summer. These houses have enough openings on the foundation to ventilate and vapor retarder at the ground surface for the recommend in the building code. The temperature and humidity in the crawl space have great influences to durability of the house. We made clear the annual variations of hygro-thermal environment of the crawl space by the field measurements and numerical analysis. We monitored the temperature and humidity variations of 36 houses in Japan for 2 years. The numerical calculations based on the vertical one dimension heat transfer model represented the monitored results. The results show the houses in Japan normally have condensation in crawl space in summer. The condensation term is from one week to one month. The daily average of crawl space's vapor pressure is nearly equal to that of the outdoors. The difference of 2 years results is so great that we think the main factor is outdoor condition. The thermal resistance of the floor and moisture of the ground do not have great effect on the crawl space humidity.
著者
松本 昇
出版者
信州大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

本プロジェクトは,自伝的記憶の概括化(OGM)が生じるメカニズムおよび記憶の特定性トレーニング(MeST)がOGMおよび抑うつに効果を発揮するメカニズムを明らかにすることを目的とした。いくつかの実験研究を通じて,ネガティブな手がかりに対するOGMの直接検索が抑うつに特に関連するメカニズムとして特定された。このことから,OGMに対するアクセシビリティを変容させる介入が重要であることが示唆された。MeSTによる治療データの二次分析では,OGMの直接検索が抑うつを予測する効果をMeSTが緩和させることが示された。OGMのアクセシビリティに焦点を当てた介入では,抑うつに対する大きな治療効果が示された。
著者
知地 英征 後藤 千津子 松本 恵 土佐 孝文
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.79-83, 2002-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
4

1)羅臼コンブ50gからイオン交換樹脂処理を行いグルタミン酸の結晶約1gを得る簡便な学生実験方法を考案した。2)コンブから単離した結晶と試薬のグルタミン酸,およびうま味調味料「味の素」のペーパークロマトグラフィーのRf値が一致することから,三者が同じものであることを確認した。3)本実験により,学生はうま味調味料及びアミノ酸の理解が深まり,正しい食品化学の知識を身に付けることができた。また分析の基本技術であるクロマトグラフィーの原理についても理解が深まった。
著者
日置 尚之 来栖 可奈 島 瑞帆 増田 絢 松本 淳
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館(旧神奈川県立博物館)
雑誌
神奈川自然誌資料 (ISSN:03889009)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.40, pp.1-4, 2019 (Released:2019-09-01)

Myxobolus nagaraensis (Myxozoa: Myxosporea) was first reported in 2007 in freshwater gobies (Rhinogobius sp.) from Nagara River in the Gifu Prefecture, Japan. Although freshwater gobies are common fish species found in rivers of the Kanagawa Prefecture, infection of these fishes with M. nagaraensis has not been reported. Therefore, this study surveyed for M. nagaraensis infection in freshwater gobies from Sakai River, which runs through the Kanagawa Prefecture. Freshwater gobies were captured using hand nets at different locations along the Sakai River in November 2017 and February 2018. Diseased fish displaying enlarged abdomens and nodules in the caudal peduncle were caught from 2 locations which were 20 km apart. Cysts excised from these diseased fish contained parasitic spores resembling the morphology of M. nagaraensis. DNA was extracted from the cysts and the small subunit ribosomal RNA gene was amplified (SSU rDNA). Based on homology search, the amplified partial product was 99.6% identical with M. nagaraensis SSU rDNA (Accession no. AB274267). This is the first report of M. nagaraensis infection in freshwater gobies from a river in Kanagawa. Since prevalence of the parasite and its pathogenicity to the goby populations are still unclear, continued examination of other rivers in the prefecture is crucial.
著者
金 廷恩 廣木 奈津 松本 仲子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.261-270, 2014 (Released:2014-04-28)
参考文献数
5

韓国と日本は地域的な関係から, 気候風土が近似しているだけでなく, 食文化面についても, 両国は中国からの影響を受けるなど, 歴史的にも多くの関わりをもってきた。著者は, 韓国と日本の食事について, 食材, 調理法, 食嗜好, 各国の料理に対するイメージなどの点から比較してきた。本研究は, キムチ以外の料理について, 嗜好面からの検討を加えるもので, 韓国料理を日本人が試食し, 日本料理を韓国人が試食してそれぞれの受容度を官能評価によって測定した。日本人が試食した韓国料理はぜんまいのナムル, ズッキーニのジョン, プルコギ, ジャプチェなど8品目で, それぞれ韓国醤油と日本醤油で調味した。汁物は, こんぶ・かつお節, 煮干, 干しだらのだし汁を用い, それぞれ韓国味噌と日本味噌等で調味した4品目の計12品目である。韓国人が試食した日本料理は肉じゃが, すき焼, 鯛のあら煮, きんぴらごぼうなど7品目と牛丼, 親子丼などのご飯物3品目の計10品目で, いずれも韓国醤油と日本醤油で調味した。使用した醤油および味噌については, アミノ酸を分析した。官能評価は香り, 味, 旨味, 総合評価の4項目について, 5段階の評点法により評価した。パネルは, 韓国, 日本ともに女子学生の各50人である。結果は次のように要約された。日本人の韓国料理に対する評価は, 汁を除き「普通」から「良い」の間に評価され, ほぼ受容されると理解された。韓国醤油に比べて日本醤油で調味したものが高い評価であった。韓国汁に対する評価は, 食べ慣れない干しだらのだし汁を用いた汁は好まれず, 「普通」以下の評価であった。味噌については, 本味噌にくらべて韓国味噌の評価が低く, 香りが好まれなかった。日本料理に対する韓国人の評価は, 「普通」から「良い」の間に評価され, ほぼ受容されることがわかった。ご飯物は「良い」と評価され, 嗜好度が高かった。調味に使用した醤油については, ほぼ同等の評価であったが, 7品目中2品目については, 日本醤油の評価が有意に高かった。
著者
松本 准 板野 円香 岩田 直大 大呂 真史 北風 智佳子 廣田 あゆ子 槇野 克彦 立野 朋志 寺井 竜平 監物 英男 伊達 元英
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.143, no.4, pp.393-404, 2023-04-01 (Released:2023-04-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

Community pharmacists in Japan participate in many important clinical cases involving drug therapies. This involvement should be researched and widely publicized to promote evidence-based medicine (EBM). However, the awareness level about the establishment of clinical evidence among community pharmacists remains unknown. Therefore, this large-scale questionnaire survey was conducted among members of the Okayama Pharmaceutical Association to clarify the awareness about the establishment of clinical evidence among community pharmacists to determine the major factors affecting their awareness. Questionnaires requiring open-ended responses were developed in Google Forms. Finally, 366 valid answers were obtained and statistically analyzed based on three aspects: academic conference presentation, research article publication, and research conduct. More than 50% of the participants agreed that they must engage in the establishment of clinical evidence. However, they were unwilling to engage in it by themselves. Additionally, the awareness about the establishment of clinical evidence among participants aged <40 years, who underwent a 6-year course, and with presentation experience was greater than that among participants aged ≥40 years, who underwent a 4-year course and without presentation experience. Thus, age, course duration, and presentation experience are important factors influencing awareness about the establishment of clinical evidence. Further, >70% of the participants did not have enough time to engage in the establishment of clinical evidence, suggesting that reducing workload and ensuring adequate time are necessary for such engagements. Our novel findings may increase the establishment of clinical evidence by community pharmacists, improve community pharmacists’ social standing, and promote EBM in Japan.
著者
須釜 淳子 石橋 みゆき 大田 えりか 鎌倉 やよい 才藤 栄一 真田 弘美 中山 健夫 野村 岳志 山田 雅子 仲上 豪二朗 佐藤 直子 柴田 斉子 長谷 剛志 深田 順子 三鬼 達人 有田 弥棋子 浦井 珠恵 大川 洋平 北村 言 臺 美佐子 高橋 聡明 玉井 奈緒 飛田 伊都子 野口 博史 松本 勝 三浦 由佳 向井 加奈恵 麦田 裕子 吉田 美香子 倉智 雅子 白坂 誉子 山根 由起子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.790-810, 2022 (Released:2023-03-10)
参考文献数
58

目的:本資料は,日本看護科学学会より公開した「看護ケアのための摂食嚥下時の誤嚥・咽頭残留アセスメントに関する診療ガイドライン」の要約版である.方法:本診療ガイドラインは,「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017」に従い,研究エビデンスと益と害のバランス,患者の価値観などに基づき作成された.結果:身体診査技術を用いた系統的アセスメント,反復唾液嚥下テスト,改訂水飲みテスト,フードテスト,頸部聴診法,超音波診断装置による嚥下観察,内視鏡による嚥下観察に関するクリニカルクエスチョンをもとに,10の推奨が作成された.8つの推奨はGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)2Cとして評価され,残りの2つはGRADEなしとして評価された.結論:看護ケアのためのアセスメントに焦点を当て,最新の知見を盛り込んだ信頼性の高い診療ガイドラインが作成された.本資料は要約版であり,臨床実践への活用が期待される.
著者
山下 慎司 赤田 康太 松本 聡 木下 幹朗
出版者
Japanese Society of Mushroom Science and Biotechnology
雑誌
日本きのこ学会誌 (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.7-14, 2020 (Released:2021-07-14)
参考文献数
33

近年,日本を含む東アジアにおいて過敏性腸炎や潰瘍性大腸炎に代表される炎症性腸疾患の増加は深刻になりつつある.これら慢性的な腸管炎症の継続は,下痢等による生活の質の低下だけでなく,大腸ガン発症リスクを上昇させる可能性が報告されている.タモギタケを含むきのこ類,またその水溶性画分において,抗腫瘍活性などの機能性が報告されおり,その摂取による腸疾患予防が期待されている.本研究では,きのこ子実体の脂溶性画分の腸疾患に対する機能性を明らかにするために,タモギタケ脂溶性画分としてタモギタケ子実体エタノール抽出物(GOMEE)を用い,食餌性GOMEEが慢性大腸炎モデルマウスに及ぼす影響を調査した.1.5%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)飲水により誘導された慢性大腸炎に対し,食餌性GOMEEは,飼育期間後期の体重減少を抑制するとともに,DSS飲水26日目では脾臓重量の増加並びに大腸の収縮を有意に抑制した.また,GOMEE摂取はDSSにより誘導される大腸絨毛の損傷を摂取量依存的に抑制することが観察された.DSS飲水18日目の炎症初期・中期においては,GOMEE摂取は大腸粘膜の炎症関連サイトカインレベルの上昇を摂取量依存的に抑制した.以上の結果は,タモギタケの脂溶性成分には,抗炎症活性を有する腸管保護成分が存在する可能性を示唆する.
著者
篠山 学 松本 和幸
出版者
香川高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

人が自身の価値に気づく機会の一つに他者との対話がある.例えば,人から尋ねられてその回答を考えることで子供のころの夢などを思い出せたり,自分の行動を俯瞰できたりする.しかし,世界的な環境の変化により,人と会って対話する機会が減少している.そのため,気づきが得られる機会を創出することは重要である.そこで,これまでに構築したインタビュー対話コーパスを用いて人が気づきを得られる対話ロボットの研究を行う.本研究により,気づきを得られる対話システムが構築でき,気づきを得た対話も収集できる.また,収集した対話を分析することで,ユーザが気づきを得るための質問文の生成方法や相槌の挿入方法などを明らかにできる.
著者
岡 淳一郎 松本 欣三 濱田 幸恵
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.147, no.3, pp.157-160, 2016 (Released:2016-03-10)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

釣藤散は,11種類の生薬からなる和漢薬である.臨床では,釣藤散が脳血管障害に伴う認知機能障害を改善することが報告されている.また,動物実験では,脳血管性認知症モデル動物や加齢あるいは2型糖尿病モデル動物の学習記憶障害を,釣藤散が改善することが報告されている.本研究では,まず幼若期発症1型糖尿病モデル(JDM)ラットにおける学習記憶障害に対する釣藤散の作用について検討した.我々のこれまでの研究から,JDMラットでは学習記憶障害,シナプス伝達効率の亢進およびシナプス長期抑圧(LTD)の減弱が生じることが明らかになっている.釣藤散(1 g/kg)の慢性経口投与により,JDMラットにおける学習記憶ならびにLTDが回復した.この時,JDMラットで過剰発現していたグルタミン酸受容体NR2Bサブユニット(GluN2B)が正常発現レベルまで回復した.以上より,釣藤散は,糖尿病によるシナプス伝達効率異常亢進を抑制すること,およびNR2B過剰発現を正常に戻すことにより,シナプス可塑性と学習記憶障害を改善することが示唆された.さらに,釣藤散が,強制水泳試験において抗うつ様作用を示すことを見出した.この抗うつ様作用は視床下部-下垂体-副腎皮質系の改善によるものではなく,その作用機序の一つとして,ストレス負荷によるグルタミン酸濃度上昇に伴う細胞障害からの保護が関与する可能性が考えられる.
著者
山元 直道 古賀 誠 村田 雄一 森田 三佳子 松本 俊彦
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.391-397, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
21

筆者らは地域生活を送る,薬物や処方・市販薬の物質使用障害者を対象とした作業療法プログラム「Real生活プログラム(以下,リア活)」を開始した.本研究の目的は,リア活に参加した対象者のケアニーズや生活上の目標をテキストマイニングの手法で分析し,本プログラムの今後の方向性を検討することである.リア活参加者30名の分析の結果,共起ネットワークでは8個のサブグラフが検出され,人とのつながりや社会復帰,薬物への欲求対処,生活の改善・安定,就労準備に分類できた.リア活は,複雑な背景や症状を抱える物質使用障害に対するテーラーメイドの治療の役割を果たし,参加者が新たに人-作業-場所とつながるきっかけとなる.
著者
備前 宏紀 木村 大介 村松 歩 山本 祐輔 原地 絢斗 水野(松本) 由子
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.270-278, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
32

単一脳領域と脳内ネットワークの2つの視点から,運動学習過程における脳機能変化と運動学習の遅速の違いによる脳機能変化の差異を解明し,運動学習を作業療法に応用するための基礎資料を得ることを目的に,賦活量と媒介中心性を運動学習前後で比較検討した.その結果,運動学習後に右背外側前頭前野,左前頭眼窩,左右前頭極の賦活量は減少し,左背外側前頭前野の媒介中心性は上昇した.また,運動学習の遅速による脳機能変化の差異では,右背外側前頭前野の媒介中心性の変化に違いを認めた.これらの領域をモニタリングすることは,作業療法の実践歴に加え脳機能の観点からも,対象者に合わせた作業療法介入を検討する上での基礎資料になりうる.
著者
竹田 大輔 藤野 滋弘 澤井 祐紀 松本 弾 高田 圭太
出版者
日本堆積学会
雑誌
堆積学研究 (ISSN:1342310X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1-2, pp.3-17, 2023-02-28 (Released:2023-06-17)
参考文献数
37

津波堆積物を河川の氾濫など他のイベントで形成された層と区別するためには堆積物から遡上流・戻り流れを識別することが重要である.過去の津波の古流向を復元するため,Takada et al.(2016)が報告した礫質津波堆積物のX線CT画像を対象にして統計的仮説検定を用いた粒子インブリケーション解析を行なった.解析はTakada et al.(2016)のTSd1に相当する層(S1)に対して行い,2地点で採取した3本のコアを使用した.解析の結果をローズダイアグラムで示し,さらに得られた長軸方向角度データが従う分布型や,長軸方向角度データが統計学的に有意な集中を持つかを調べるために統計学的仮説検定を行った.その結果,S1層には遡上流と戻り流れのユニットが存在することが示された.S1層の中において遡上流のユニットは戻り流れのユニットよりも厚く,より頻繁に観察された.
著者
望月 秀樹 青木 正志 池中 建介 井上 治久 岩坪 威 宇川 義一 岡澤 均 小野 賢二郎 小野寺 理 北川 一夫 齊藤 祐子 下畑 享良 髙橋 良輔 戸田 達史 中原 仁 松本 理器 水澤 英洋 三井 純 村山 繁雄 勝野 雅央 日本神経学会将来構想委員会 青木 吉嗣 石浦 浩之 和泉 唯信 小池 春樹 島田 斉 髙橋 祐二 徳田 隆彦 中嶋 秀人 波田野 琢 三澤 園子 渡辺 宏久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.709-721, 2021 (Released:2021-11-24)

日本神経学会では,脳神経内科領域の研究・教育・診療,特に研究の方向性や学会としてのあるべき姿について審議し,水澤代表理事が中心となり国などに対して提言を行うために作成委員*が選ばれ,2013年に「脳神経疾患克服に向けた研究推進の提言」が作成された.2014年に将来構想委員会が設立され,これらの事業が継続.今回将来構想委員会で,2020年から2021年の最新の提言が作成された.本稿で,総論部分1)脳神経疾患とは,2)脳神経疾患克服研究の現状,3)脳神経疾患克服研究の意義・必要性,4)神経疾患克服に向けた研究推進体制,5)脳・神経・筋疾患克服へのロードマップ,6)提言の要約版を報告する.*提言作成メンバー水澤 英洋,阿部 康二,宇川 義一,梶 龍兒,亀井 聡,神田 隆,吉良 潤一,楠進,鈴木 則宏,祖父江 元,髙橋 良輔,辻 省次,中島 健二,西澤 正豊,服部 信孝,福山 秀直,峰松 一夫,村山 繁雄,望月 秀樹,山田 正仁(当時所属:国立精神・神経医療研究センター 理事長,岡山大学大学院脳神経内科学講座 教授,福島県立医科大学医学部神経再生医療学講座 教授,徳島大学大学院臨床神経科学分野 教授,日本大学医学部内科学系神経内科学分野 教授,山口大学大学院神経内科学講座 教授,九州大学大学院脳神経病研究施設神経内科 教授,近畿大学医学部神経内科 教授,湘南慶育病院 病院長,名古屋大学大学院 特任教授,京都大学大学院臨床神経学 教授,国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 教授,東京大学医学部附属病院分子神経学特任教授,国立病院機構松江医療センター 病院長,新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野,新潟大学脳研究所フェロー,同統合脳機能研究センター産学連携コーディネーター(特任教員),順天堂大学医学部神経学講座 教授,京都大学大学院高次脳機能総合研究センター 教授,国立循環器病研究センター病院長,東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者ブレインバンク,大阪大学大学院神経内科学 教授,金沢大学大学院脳老化・神経病態学 教授)
著者
山内 星子 松本 真理子 織田 万美子 松本 寿弥 杉岡 正典 鈴木 健一
出版者
日本学校心理学会
雑誌
学校心理学研究 (ISSN:13465732)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.47-54, 2020-12-31 (Released:2021-04-08)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本稿の目的は,大学で行われた新型コロナウイルス感染症流行下の学生支援実践を報告することである。2019年度卒業式の中止を皮切りに,大学のほぼすべての活動は制限され,2020年8月現在も登校禁止の状況が続く。筆者の所属する名古屋大学学生支援センターにおいて行われた支援を,不適応を呈した学生,その家族,関係教職員を対象とした三次支援,現時点では不適応を呈していないがその可能性の高い者を対象とした二次支援,全構成員を対象とした一次支援の3つのレベルに分けて報告する。