著者
堀内 将人 小林 剛志 近藤 利洋
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.III_175-III_183, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
17

名古屋市の平和公園射撃場跡地の中で,高濃度の鉛汚染が明らかとなっている地点において,10 m×10 mの区域を25メッシュに分割し,各メッシュの中心で深さ0~5 cmと5~10 cm,区域の中心で深さ90 cmまでを10層に分けて土壌を採取した.土壌中鉛濃度の平面・鉛直分布を得ることで平面的な濃度のばらつきや深さ方向への鉛の動態を評価した.平面分布については,5地点混合法が射撃場のような鉛弾を原因とする汚染土壌で地点代表値を得るための方法として妥当かどうかを評価した.鉛直分布では,全量鉛濃度,溶出量,含有量の分布について比較考察するとともに,土壌への保持形態別鉛濃度比の深さ方向変化から,鉛弾を起源とする鉛の下方移動の動態について考察した.さらには,平和公園散策道利用者の健康リスクについても言及した.
著者
小林 剛一 平形 ひとみ 井上 まさよ 横山 貞子 石田 美紀 望月 栄美 高坂 寛之 関口 文子 中村 幸男
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.31-41, 2018-02-01 (Released:2018-04-05)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

【背景・目的】 わが国は,超高齢社会に伴う「多死社会」を迎える.増加する死亡者を全て病院で看取る事は不可能であり,最期を迎える場の選択肢として,特別養護老人ホーム(以後特養)などの高齢者施設への期待が高まっている.特養1は,常時介護を必要とし,在宅生活が困難になった高齢者が入居する老人福祉施設である.本研究の目的は,終末期医療における看取り,死亡場所としての特養の意義を明らかにすることである. 【対象と方法】 平成19年4月~平成29年1月までの施設看取り63名を対象として,診療録,看護記録,死亡診断書等より,平均寿命,死因等について分析した. 【結 果】 退所者167名中,看取り死亡者は63名(38%)であった.平均年齢は,90.07歳(男性87.4歳,女性90.7歳)で,死因は老衰が31名(49%)と最も多かった.認知症は,アルツハイマー型認知症,脳血管性認知症等,軽度~中程度を含めてほぼ全例(98%)に認められた.在所期間は,58日から18年5か月(平均4年9か月)であった. 【結 語】 我々の特養での看取り例は,日本人の平均寿命を越えた老衰死が多かった.超高齢社会を迎え,要介護高齢者の施設として,一層のニーズが見込まれる特養は,終末期の看取り場所としての役割を担う施設としても,重要な位置を占めるものになると考えられた.
著者
小林 慧人 久本 洋子 福島 慶太郎 鈴木 重雄 河合 洋人 小林 剛
出版者
The Japanese Forest Society
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
pp.461, 2023-05-30 (Released:2023-05-30)

タケ類(イネ科タケ亜科)の生活史において有性繁殖は極めて稀なイベントであり、開花周期や開花習性や更新様式に関する知見は未だ限られる。一方、2010年代から現在にかけて、およそ120年周期とみなされるマダケ属ハチクの大規模開花が生じており、その実態解明の好機を迎えている。予測困難なタケ類の有性繁殖の機会を広域に把握するためには、研究者のみならず多くの市民の協力を得た記録や情報共有が有効な手段の一つになると考えられる。ハチクだけでなくさまざまなタケ種にかかわる有用な情報を蓄積するため、発表者らは Google MapやGoogle Formなどを活用し、市民参加による情報の収集・共有システムを試行した。研究者による現地観察、メディアの報道、SNSや各種アプリに挙げられた記載などに基づいて開花にかかわる情報を2019年から収集した。その結果、現段階で西日本を主とする日本各地から1400件に及ぶ情報を得た。情報の約9割はハチク類の開花であり、タケ類の有性繁殖の理解の基礎をなす情報も含まれた。本発表では、成果の報告にとどまらず、市民の協力によって得られる情報の学術的な活用のあり方や、今後の展望についても議論する。
著者
内野 博之 牛島 一男 平林 剛 石井 脩夫 芝崎 太 黒田 泰弘
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.527-550, 2007-10-01 (Released:2008-10-24)
参考文献数
63

集中治療における脳保護の成否は, (1) いかに早期に脳への血流を再開させ, エネルギー代謝を改善することができるか (脳機能回復を念頭に置いた脳蘇生法) と, (2) 血流再開後にいかに脳を保護できるか (脳神経障害から脳を保護する治療法の適用) の2点が大きな柱となるものと思われる。すなわち, 心停止後の頭蓋外臓器の機能を脳に有利になるような方法で管理し, かつ頭蓋内の恒常性を維持することをその意図とすることをその主目的としている。神経集中治療における救命救急処置法の改善および脳保護法の進歩や脳指向型集中管理法が併用され, これまでは回復が難しいと思われてきた神経機能回復に光明を見い出すことができるようになったが, 人の脳神経細胞障害のメカニズムは複雑かつ多要素で, 神経機能回復を目指した治療を開始するまでの時間が極めて短く, 虚血性脳神経細胞障害を完全に抑制できる状況とは言い難い。本稿では, 虚血性神経細胞障害における細胞内カルシウム動態とフリーラジカルの関与を紹介し, 細胞死に深く関わるミトコンドリア機能不全とカルシニューリン/イムノフィリン情報伝達系の重要性を概説する。
著者
古田 朋子 鵤 心治 小林 剛士
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.71, no.605, pp.135-142, 2006
参考文献数
8
被引用文献数
1

The purpose of this paper is to investigated the fact of technical standards for developments exceeded, to secure the minimal standards of town area. Result is as follows. Ranging small-scale development connected to roads of weak condition in the loose regulated area, which causes a condition of maze-like street. And we showed that technical standards in the City Planning Act are not enough to accumulate an ideal living environment. It is necessary to revise the technical standards or to guide developer development by local governments.
著者
小林 剛
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.55, pp.167-178,27, 2004-04-01 (Released:2009-07-23)

In the ancient and medieval history of ideas, there seem to have been two main points of view concerning the character of astronomy. Some people believed that astronomy was a kind of geometry. Their position is, as it were, non-realistic. Others argued that astronomy had to be based on physical principles. Their position is, as it were, realistic. Thomas Aquinas seems to belong to the latter position. But his originality is to ground the hypothetical character of astronomy on the incorruptibility of celestial bodies. According to Thomas, astronomy is hypothetical because the human cognition of celestial bodies is uncertain. This uncertainty is caused by the incorruptibility of celestial bodies : celestial bodies are more perfect than sublunary bodies, which are the proper object of human cognition. In this way, Thomas grounds the limits of some human cognitions of nature on other human cognitions of nature, that is, on the human cognition of the metaphysical hierarchy in nature, for example, the distinctions between sublunary bodies and celestial bodies, celestial bodies and angels, and, angels and God. This metaphysical cognition is regarded as certain and grounds all other human cognitions of nature.
著者
松本 泰章 中川 晶 小林 剛史 山本 晃輔 岩崎 陽子 真板 昭夫 杉原 百合子
出版者
嵯峨美術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、アーティストと美学研究者が精神医学・高齢者看護・心理学各分野の研究者とともに学際的研究体制を構築し、高齢者のための匂いのアートを使った記憶想起と、それに伴う発話行為の効果を計測し、高齢者の感情の活性化、発達課題の達成、さらには認知機能維持・向上に資することを目指す。既に本メンバーは先行する「なつかしさを喚起する匂いのアート研究」で成果を上げており、この研究体制と問題を引き継ぐ形で回想法の構築へと発展させる。匂いのアートを用いた回想法で、現代の超高齢社会の問題解決に資する実践的アート研究を実施する。
著者
小林 剛
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.952-955, 2020-09-15

はじめに 学会発表をすることが決まると,初めにやらないといけないことは“抄録(abstract)作成”である.抄録は学会発表の土台であり,抄録の出来が学会発表の出来を左右するといっても過言ではない.さらに,学会発表後の論文投稿においてもabstractが重要な役割を担ってくる.査読者がその論文を評価する際,初めにabstractから目を通して,論文の大体の流れを把握する.論文の“第一印象”はabstractによって決まるといっても過言ではないだろう.したがって,本文がいくら上手に書けていたとしても,abstractがイマイチだと,すぐにリジェクトされることもある. 学会発表において,自分が登録した演題が採用(accept)してもらえるかどうかは,発表タイトルとその抄録の内容によって全てが決まる.国内学会では,比較的採用率が高いものが多いのに対し,国際学会では採用率が低いものも存在する.基本的に,学会の査読者は短時間で抄録を採点し,複数の査読者の採点結果によって,その演題の採否が決定される.査読者にとっては,短時間で採点をしないといけないため,わかりやすくて読みやすい抄録ほど,高い点数をつけることが多い.したがって,文字数が限られているなかで,いかに“わかりやすく,魅力的な抄録”を書けるかが重要になってくる. 本稿では,採用してもらえる魅力的な抄録を書くためのノウハウを紹介したいと思う.これから学会発表デビューを考えている方や,よく学会発表をされている方にも,ぜひ目を通していただきたい.
著者
清島 亮 小柳 和夫 中川 基人 永瀬 剛司 岡林 剛史 田渕 悟 小澤 壯治 金井 歳雄
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.990-995, 2010-09-01 (Released:2011-12-27)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

食道癌根治術後の難治性頻脈性不整脈は頻度の高い合併症の一つである.我々は食道癌術後上室性頻脈性不整脈に対して短時間作用型β1選択的遮断薬(塩酸ランジオロール)を投与し有効に作用した5症例を経験した.いずれも術前の心電図や心臓超音波検査で異常は認めなかった.頻脈性不整脈は術後2ないし3日目に発生した.塩酸ランジオロール投与は2例目まではジギタリス製剤もしくは塩酸ベラパミル投与の無効症例に,その後の3例は第1選択として使用した.投与開始量は,1例目は20 μg/kg/分,2例目からは2 μg/kg/分で,適宜増減した.脈拍数はいずれの症例も塩酸ランジオロール開始数分後に減少し,投与中に収縮期血圧は低下しなかった.塩酸ランジオロールは半減期が短く調節性に優れており,食道癌術後の頻脈性不整脈に対しても有用であると考えられた.
著者
若林 剛
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第58回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.13, 2009 (Released:2010-03-19)

地域医療崩壊という言葉がマスメディアに頻繁に取り上 げられるようになったのは,2006年頃からであろうか。 私は2005年の秋に慶應義塾大学外科の講師から岩手 医科大学外科の教授になるために,岩手県盛岡市に赴任した。 岩手県は人口10万人あたりの医師数が179.1人で全国 8番目の少なさであるが,1平方キロあたりの医師数は北海道に 次ぎ全国で2番目の少なさである。赴任後に最初に気づいた ことは盛岡市内の開業医の多さであり,街を歩くと1ブ ロック毎に何らかの科の開業医を見つける。次に県内の関 連病院を視察し知ったことは,盛岡市内から車で平均2時 間位かかる人口過疎地に地域中核病院が点在しており,麻 酔常勤医がいない病院や外科常勤医が3人未満の病院が存 在することであった。2004年に導入された初期臨床研修制 度の負の効果として,若い医師の偏在が挙げられる。つま り,地方から都会へ,大学病院から市中病院へ,つらい診 療科から楽な診療科へと若い医師が流れた。幸い岩手医科 大学外科にはこの4年間で31名の若い医師が加わったが, 若い医師に魅力を提示できない多くの地方大学の診療科で は教室員は減少している。以下に私見を述べる。過疎地に は雇用が無いから人口が減り,医師が子息を学ばせたい進 学校がなく,過疎地中核病院勤務への心理的抵抗が生ず る。若い医師の偏在により,地方大学のつらい診療科は過 疎地の病院から大学へ医師を引き上げざるを得なく,忙し くなった地域中核病院勤務医はいわゆる「立ち去り型サボ タージュ」により開業を選択する。この負の連鎖を断ち切 るためには,早急に3つを提言する。1)初期臨床研修医 募集数と医学部卒業生の数を同程度にし,都道府県人口あ たり必要な初期研修医数を決め,初期臨床研修マッチング に過度な競争と地域偏在をなくす,2)医師は公共性が高 い職業であり,ある程度は行政が介入し開業への制限と各 診療科医師数の調整を行う,3)医療費抑制政策の撤回に より,地域医療崩壊の現場にインセンティブを与える診療 報酬を設定する。本質的には,地域医療の崩壊は地域社会 の崩壊と同義である。地域社会に産業の活性化と雇用の確 保を行えば,大都市への人口集中は防げるので地域社会の 教育や医療も充実できるはずである。
著者
松田 睦史 岡林 剛史 中川 健 長谷川 博俊 鶴田 雅士 北川 雄光
出版者
日本内視鏡外科学会
巻号頁・発行日
pp.275-281, 2016-05-15

◆要旨:患者は60歳代,男性.便潜血陽性を主訴に近医を受診し,大腸内視鏡検査で直腸癌(Ra, cT1b, N0, M0, cStageⅠ)を認めた.また,PSA高値のため行った針生検では,前立腺癌(T2c, N0, M0, StageⅡ)も合併していた.低侵襲性を考慮し,根治術を同時に施行する方針となった.手術はまず,後腹膜アプローチで前立腺全摘および両側閉鎖リンパ節郭清を行った.その後,腹腔内アプローチで低位前方切除,D3リンパ節郭清を行い,回腸人工肛門を造設した.術後経過は良好であり,第11病日に退院となった.直腸癌,前立腺癌の同時性重複癌に対し,同時に腹腔鏡下手術を施行した報告は少ない.自験例は腹腔鏡下に手術を行うことで患者に負担が少なく,低侵襲に同時根治切除を施行することができた.
著者
酒井 英男 小林 剛 泉 吉紀 中山 武 服部 克巳
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.136, no.5, pp.291-296, 2016

Study of the electric self-potential (SP) and the magnetic field was conducted at the explosion seismic experiment in Ooyama, Toyama Prefecture. The explosion was induced by 450 kg gun powder placed at a depth of 32.2-75 m. The SP was measured by four electrodes arranged in a line crossing the explosion point, where the distance of each electrode from the explosion ranged from 10 to 100 m. Induced SP changes consisted of two portions, namely, fluctuations with shorter periods (∼10 ms) and fluctuations with longer periods (∼50 ms). Regarding the latter, the amplitude was in proportion to the span length of electrode couples and the fluctuations arrived faster at the electrode couples nearer to the explosion. Further, the increment of ground level in SP was observed in each electrode couple after the explosion, which was concordant with the distribution of apparent resistivity underground studied by the survey. The magnetic field measured by the fluxgate magnetometer at the site 35 m north from the explosion also showed change of a few nT after the explosion. This may have been caused by change of magnetic properties underground.