著者
林 大輔
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.36-40, 2018 (Released:2018-03-31)
参考文献数
20

母乳栄養とアレルギーの関係について多くの研究が行われ, 完全母乳栄養がアレルギーに防護的であると考えられていた. EAACIは食物アレルギー予防のために生後4~6か月の完全母乳栄養が望ましいとしている. しかし, 人工乳開始時期と牛乳アレルギー発症時期を検討した研究では生後14日以前に人工乳を開始した群で牛乳アレルギーの発症頻度が低下していた. また, 牛乳アレルギー児の哺乳状況の後方視的調査では牛乳アレルギー児で新生児期からの1日1回以上の継続的な人工乳摂取の頻度が低く, 卵アレルギー児の牛乳アレルギー併発と人工栄養の関係の調査でも牛乳アレルギー併発群では生後3か月以内の継続的人工乳摂取の頻度が低かった. これらの知見より新生児期からの継続的な人工乳の摂取が, アレルギー発症を予防する可能性が考えられる. 一方で母乳栄養には感染症やSIDSの予防効果などもあり, 継続的な人工乳の摂取がこれらにどのような影響を与えるかはわかっていない. 乳早期導入の効果・安全性の検証のためさらなる知見の集積が必要である.
著者
保坂 茂 山本 碧 斉藤 竜也 大島 新司 大嶋 繁 大島 公恵 久津間 信明 本間 精一 小林 大介
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.64-70, 2013 (Released:2013-09-05)
参考文献数
14

Objective: In this study, we evaluated distinctive types of physical predisposition in patients with common side effects.Method: We selected 500 and 1,200 individuals with and without a previous diagnosis of side effects, respectively, through web-based research.  Then, we conducted a decision tree analysis for investigating the status of 100 types of physical predisposition in these individuals.Results and Conclusion: The individuals who had suffered from hepatic disorder and answered “relevant” for “predisposition to swelling” (likelihood ratio of a positive result [LR+] 2.17; p=0.004) and “very relevant” for “predisposition to skin dryness” (LR+ 3.52; p<0.001) enhanced the probability of extracting individuals who developed side effects.  The individuals who had suffered from skin disorder and answered “relevant” for “predisposition to eczema and inflammation” and “not relevant” for “predisposition to higher temperature” had an LR+ of 2.22 (p<0.001).  The individuals with “predisposition to worsening of physical condition on a rainy or high-humidity day” are more likely to develop side effects with the use of antibiotics and NSAIDs, compared to those without this predisposition (antibiotics: LR+ 2.33; NSAIDs: LR+ 2.51).  The results of this study indicate that we can identify patients with a high risk of side effects through an interview on predisposition.
著者
梅林 大督 原 政人 橋本 直哉
出版者
三輪書店
雑誌
脊椎脊髄ジャーナル (ISSN:09144412)
巻号頁・発行日
vol.31, no.11, pp.985-991, 2018-11-25

はじめに Augmented reality(AR)とは,現実環境において視覚・聴覚などの知覚に与えられる情報をコンピュータ処理により追加,削減,変化させる技術である5,11).コンピュータ上で作成した仮想画像,映像,音声などを現実世界に反映する技術を示す.すでにわれわれの生活に広く浸透しており,スマートフォンやカーナビゲーションなどに用いられている.カーナビゲーションの実際を図示する(図1).カーナビゲーションは古典的には紙媒体の地図を読むことからはじまる.その後,ディスプレイの地図上に矢印を走らせることで経路を確認するナビゲーションが一般化された.これに対してARカーナビゲーションでは,ディスプレイの代わりにフロントガラスなどへ映像を投影して現実空間と融合させる手法が利用される.位置情報に付帯する情報を,ナビゲーションシステムを用いてフロントガラスに投影して現実視野と融合させたもの,これがARカーナビゲーションである.このナビゲーションシステムは自動車だけでなく,手術におけるナビゲーションにも有用であり応用されてきた.本稿では,AR技術の脊椎手術への応用の実際について紹介する.
著者
本田 久樹 小林 大介 細見 新次郎 藤井 正司 戸祭 正喜 宇野 耕吉 司馬 良一
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.31, no.9, pp.1083-1086, 1996-09-25

抄録:多発性翼状片症候群(multiple pterygium syndrome,以下MPSと略す)とは多発性皮膚翼状片,先天性多発性関節拘縮と特異顔貌(眼瞼下垂,眼瞼裂斜下,耳介低位や小顎症など)を3主徴とし,他にも四肢の変形を合併する稀な疾患である.現在までの報告例は国内と海外を含めて約60例である.しかしMPSの中には,生下時には頚部の翼状片はそれほど顕著でないために先天性多発性関節拘縮症の診断にて報告されている例もあると思われる.本疾患は実際には今までの報告例よりも多数存在しているものと思われる.今回,筆者らは生後間もなく先天性多発性関節拘縮症と診断し,治療をしたが成長するにつれて,しだいに多発性皮膚翼状片が顕著となったことにより同症候群と考えられた2症例を経験した.
著者
林 大介 西田 秀之 伊藤 泰志 川竹 勝則
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.489-494, 2011 (Released:2011-07-14)
参考文献数
5

ディーゼルエンジンにおけるエマルジョン燃料の効果を検証した.その結果,高負荷においてNOxを41%,PMを74%低減した.低負荷では冷却損失と未燃損失が増加し,燃費が増加したが,燃料の噴射圧力を低下させ最適化することで増加を抑制できる.また,NEDCモード排気の推計から,Euro6規制を達成する可能性が示された.
著者
小林 大輔
出版者
富山大学総合情報基盤センター
雑誌
富山大学総合情報基盤センター広報 (ISSN:21883181)
巻号頁・発行日
no.16, pp.18-19, 2019-06

本学の情報システムは,平成31年3月1日から新しいシステムに更新された。ここでは,Webメール(Active!mail)について紹介する。
著者
遠藤 敏成 久津間 信明 小林 大介 沼尻 幸彦 上田 秀雄 駒田 冨佐夫 齋藤 侑也 森本 雍憲
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.615-622, 2002-12-10 (Released:2011-03-04)
参考文献数
6

When a pharmacist informs a patient of premonitory symptoms to prevent any adverse effects of each prescribed medicine, such instructions are often to complicated to be understood by the patients, mainly due to the fact that numerous medicines have a wide range of adverse effects, and furthermore, an such adverse effects have many premonitory symptoms. We attempted to make a computer aided adverse effect informing program to assist pharmacists. This program arranges the symptoms according to their order of importance, and gives the probable information of adverse effect, which is not mentioned in the package leaflet. The most frequent and common premonitory symptoms of adverse effect were suggested to be fever and fatigue as a result of running the program when many individual patient prescription data were inputted.The incorporation of this program into the computer system that manages the patient's medicine history will be useful for pharmacists to inform patients of understandable premonitory symptoms and to monitor any potential adverse effect.
著者
小林 大介 久津間 信明 中山 惠 鵜近 篤史 鈴木 暢之 佐次田 優子 遠藤 敏成 上田 秀雄 沼尻 幸彦 駒田 富佐夫 齋藤 侑也 森本 雍憲
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.571-575, 2002-12-10 (Released:2011-03-04)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

When a novel additional adverse effect is reported for a marketed medicine, the medical information leaflet has to be revised to inform physicians and pharmacists of this. Pharmacists are responsible for informing patients of early warning symptoms to avoid the subsequent appearance of severe adverse effects. However, at present, patients may suffer from severe adverse events because such symptoms may remain unrecognized until the medicine is on the market. As a result, investigations to predict and prevent novel additional adverse effects of medicines are required. In this study, we investigated a novel additional adverse effect classified as a pharmacological effect based on the drug safety update (DSU). As a result, skin disorders including toxic epidermal necrolysis and Stevens Johnson syndrome, and pseudomembranous colitis have become evident as additional adverse effects of antibiotics, with a high incidence. In addition, neuroleptic malignant syndrome and aplastic anemia have also been reported as adverse effects of central nervous system agents.Therefore, it is important to provide patients with information about the early warning symptoms related to such adverse effects, even though such adverse effects are not contained in the patient information leaflet.
著者
小林 大祐 横張 和也 新田 高庸 上倉 一人 如澤 裕尚
雑誌
研究報告 オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)
巻号頁・発行日
vol.2011-AVM-74, no.8, pp.1-6, 2011-09-14

自然な映像コミュニケーションサービスを実現するためには,映像符号化の低遅延化が重要となる.本研究では,10msec 以下のコーデック遅延を実現する超遅延映像符号化の実現に向け,符号化を行う処理単位を細分化して遅延を短くすることに着目した.本報告では,複数マクロブロックライン単位ごとに対して第一符号化→復号 (解析) →第二符号化を行う 2 パスアルゴリズムを用いる方式において,細分化した処理範囲内での符号量制御.画質向上を行う処理の予備検討を行った.ソフトウェアシミュレーションにより,従来の 1 フレーム単位から更に細分化された符号化処理においても,同一ビットレートにおける画質が向上することが確認された.
著者
水野 一枝 水野 康 西山 加奈 田邊 素子 水谷 嘉浩 小林 大介
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.65-73, 2017

<p>段ボールベッドが低温環境での入眠過程に及ぼす影響を検討した.対象は成人男性 12 名とし,15℃ RH 60% の環境で床の上(条件 F)と床の上に段ボールベッドを使用(条件 B)した場合の 2 条件で 13:15~15:15 に就寝した.測定項目は睡眠脳波記録,皮膚温,寝床内気候,衣服気候,就寝前後の寝具の評価,温冷感,湿潤感,快適感や睡眠感等の主観申告であった.睡眠には条件間で有意差は見られなかった.背の皮膚温は条件 B で条件 F よりも有意に高かった.寝床内温度は,背部の全就床時間,足部の睡眠後半が条件 B で条件 F よりも有意に高かった.主観申告では,条件 B で条件 F よりも寝ていた時の温冷感が有意に暖かい側,快適感も快適側,寝具も柔らかい側の申告であった.低温環境での段ボールベッドの使用は,背の皮膚温,足部と背部の寝床内温度を高く保ち,寝ていた時の主観的な温冷感,快適感,寝具の固さを改善する可能性が示唆された.</p>
著者
萩原 葉子 栗林 大輔 澤野 久弥
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2015

&nbsp; 2011年のタイ国チャオプラヤ川の洪水は死者815名、経済被害約400億ドルという大きな被害をもたらした。日本はこれまでタイへの最大の投資国であり、特に浸水被害が大きかった中~下流域の7つの工業団地では被災企業804社のうち日系企業が半数以上の451社を占めた。本稿の目的は、2011年の洪水後、在タイ日系企業の工場がどのように洪水対策を強化したかを調査し、今後の企業防災や地域防災のための課題を明らかにすることである。2015年2月~3月に、バンコク日本人商工会議所会員企業1,605社のうち、製造業の会員企業735社を対象に実施したアンケート調査の結果を2011年の洪水前後の洪水対策の実施率に焦点をあてて、浸水のあった工場と浸水のなかった工場それぞれについて分析した。<br> &nbsp; アンケートについて、コンピュータ・電子製品・光学製品、電気機器、金属製品、その他輸送用機械器具等の業種に属する28工場から回答を得た。そのうち12工場が2011年の洪水で浸水し、平均床上浸水深は約1.7mであった。浸水した工場は中~下流のアユタヤ県あるいはパトムタニ県に位置していた。浸水しなかった残りの16工場は下流のバンコク都、サムトプラカン県、バンコク南西のサムサコン県、東部のプラチンブリ県、南東部のチャチェンサオ県、チョンブリ県、ラヨン県に位置していた。<br>&nbsp;&nbsp; 分析の結果、企業防災・地域防災を強化していくうえでの今後の課題が明らかになった。2011年に浸水したアユタヤ県、パトムタニ県に位置する12工場は従業員の安全確保や浸水を防ぐ構造物の築造、洪水関連情報の入手、操業の早期復旧、防災計画や防災を管轄する部署の設置等の対策を強化した事がわかった。しかし、自社の生産拠点の多角化、事務所・工場等の生産拠点の確保、取引先との災害時の協力体制の構築、といった事業継続に必要な社内外との協力を伴う対策については、実施率が低いことがわかった。一方、2011年に浸水しなかった工場も非常時の連絡網の整備や指揮命令系統明確化については洪水後に6割以上の工場が実施し、敷地の盛土・防水壁の築造等や基幹業務システムのバックアップ対策の実施率も上がったが、他の対策の実施率は未だ低く、ほとんどの対策について5割以下であることがわかった。今後さらに業種、事業規模、取引先との関係等によって洪水対策実施率に違いがあるかを分析する。
著者
大内 一成 小林 大祐 中洲 俊信 青木 義満
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J100-B, no.12, pp.941-951, 2017-12-01

近年,スポーツ界ではICTを活用したトレーニング,戦術分析の導入が進んでおり,画像認識技術を用いた試みも行われているが,ラグビーでは試合に出場する選手の数が1チーム15人と多く,接触/密集プレーが頻繁に発生するため,画像による分析は技術的にハードルが高く,これまで積極的に取り組まれていない.筆者らは,特徴量設計方式によるボール検出/追跡と,ディープラーニング方式による選手検出/追跡を行うハイブリッド型映像解析により,一つのカメラ映像からボール/選手の移動軌跡を精度良く二次元フィールド上にマッピングする技術を開発した.また,ディープラーニングによる自動的なプレー分類を行い,これまで人手で行われていた主要プレーのタグ付け作業の自動化を検討した.本技術は,ラグビーに限らず様々なスポーツへの活用が可能である.
著者
林 大貴 長岡 優輝 関根 嘉香
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.19-24, 2017 (Released:2017-06-01)
参考文献数
17

メタノールはこれまで生活環境中の空気汚染物質として,あまり注目されてこなかったが,自動車用燃料や燃料電池の水素源として新たな用途が広がりつつあり,生活環境中にメタノールガスが拡散する可能性が指摘されている。二酸化マンガンは室温でホルムアルデヒドと反応し二酸化炭素を生成することから,空気清浄材料の成分として実用に供されている。この二酸化マンガンが常温でメタノールガスをホルムアルデヒドにまで酸化できれば,ホルムアルデヒドの酸化分解と同様に常温常圧下で二酸化炭素にまで無機化できる可能性がある。そこで本研究では,物性の異なる4種類の二酸化マンガン粒子とメタノールガスの反応性を密閉式試験で調べた。その結果,室温において試験容器内の気中メタノール濃度は著しく減衰し,その減衰速度は二酸化マンガン粒子の比表面積に依存的であった。同時に気中二酸化炭素濃度の有意な増加が観測され,二酸化炭素への転化率は結晶構造に関係した。また反応容器中に中間体として極微量のホルムアルデヒドおよびギ酸種の生成を認めた。このことから,二酸化マンガンがメタノールガスに対しても常温酸化分解活性を有することが明らかとなった。
著者
新名 隆志 林 大悟 寺田 篤史
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.165-173, 2010-09-23 (Released:2017-04-27)
参考文献数
14

2009年7月13日に「臓器の移植に関する法律」が改正された。しかし、法改正に至るまでの国会審議には混乱があり議論が尽くされているとは言えず、その結果改正法にも、とりわけ第六条に関して疑問が残るものとなった。それゆえ本稿は、改正法やそれにまつわる議論の問題点を明らかにし、それに代わる臓器移植制度を構想する。一では、六条二項改正の問題を扱う。改正法が取り入れる「脳死は人の死」という考え方について、国会では説得力ある説明が提示されず、かえって問題点や不明瞭さを残す結果となったことを指摘する。二では、六条一項における臓器摘出の条件について、臓器提供の決定者に関する規定やそれに関する思想の変更等についての問題を提示する。三では、これまで無批判に前提され続けた善意(自発性・利他性)に基づく臓器提供に代わる制度の可能性として、互恵性に基づくオプトアウト型の相互保険的な臓器移植制度を提示する。