著者
大河内 治 丹羽 由紀子 小林 大介 坪井 賢治 加藤 伸幸 本田 一郎
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.687-691, 2007-03-25 (Released:2008-08-08)
参考文献数
20

症例は24歳, 女性. 17歳時に両側卵巣成熟奇形腫にて腫瘍摘出術を施行された. 手術時に腫瘍に被膜破綻を認めた. 今回, 右背部痛を認め腹部CT検査で肝腫瘍を指摘され入院となった. 施行された腫瘍マーカーは全て正常値であった. 腹部造影CTおよび腹部MR画像上, 右横隔膜下および肝下面に脂肪成分および石灰化を伴う嚢胞状腫瘍を認めた. 血管造影検査では圧排所見のみであった. 卵巣奇形腫の腹膜播種性転移を疑い開腹術を施行した. 手術所見では腫瘍は肝に付着して圧排性に発育しており腫瘍摘出術を施行した. 病理組織学的に成熟奇形腫と診断された. 成熟奇形腫の播種巣が三胚葉成分全てから構成されることは稀であるうえ, その組織型が成熟型を呈するという極めて興味ある症例を経験した.
著者
三浦 勝 森 隆太郎 高橋 徹也 小尾 芳郎 山中 研 阿部 哲夫 小林 大輔 中村 恭一
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.159-164, 2004
被引用文献数
2

内分泌細胞癌は悪性カルチノイド腫瘍ともいわれ, 従来の古典的カルチノイドとは区別されている. 今回, まれな十二指腸Vater乳頭部原発の内分泌細胞癌を経験したので報告する. 症例は66歳の女性で, 発熱, 腹痛を主訴に来院し, 血中アミラーゼ高値および肝機能異常を認めた. CT膵頭部に腫瘤形成を呈し, 上部消化管内視鏡ではVater乳頭部に, 中心に陥凹を有する隆起性病変を認め, 生検でVater乳頭部未分化癌または内分泌細胞癌の診断にて, 幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した. 術後病理学的にグリメリウス染色およびクロモグラニン染色陽性で, 内分泌細胞癌と診断した.術後早期にリンパ節再発, 肝転移を認め, 術後75病日に死亡した. Vater乳頭部原発の内分泌細胞癌は会議録を含め本邦報告17例とまれであるが, 予後は極めて不良とされている. 本症例も腫瘍部でのKi-67染色が約50%陽性と, 高頻度の細胞増殖を認め, 内分泌細胞癌の悪性度を裏付ける症例であった.
著者
佐藤 真央 井上 裕太 溝脇 一輝 小林 大純 松尾 怜 外山 太一郎 日比野 友亮
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.17-22, 2021

<p>Twelve specimens (71.5–89.9 mm standard length) of the genus <i>Lutjanus</i> (Lutjanidae), collected from Ishigaki-jima Island, Ryukyu Archipelago, southern Japan, were identified as <i>Lutjanus biguttatus</i> (Valenciennes in Cuvier and Valenciennes, 1830), being characterized by the following combination of characters: dorsal fin XI, 12; anal fin III, 8; pectoral rays 15–16; body depth 3.5–3.8 in standard length; preorbital depth 10.8– 16.3 in head length; tongue smooth, without patch of fine granular teeth; a dark longitudinal band from snout to caudal fin base; and two white spots above the lateral line. Dentition of the premaxilla and dentary, including several canine-like (one being long and curved) and many small conical teeth, is illustrated. The collected specimens were determined to be juveniles, due to their coloration matching that of juveniles previously described, in addition to their small body size. Although the coloration of <i>L. biguttatus</i> is similar to that of <i>L. vitta</i> during the juvenile stage, the latter species is distinguished by greater body and preorbital depths. The specimens of the former had been caught in a significantly localized area (in ca. 4 m depth) over several days, indicating the likelihood of their having been schooling, as observed in previous studies of the species. <i>Lutjanus biguttatus</i> is distributed in the Indo-western Pacific, from the Maldives to the Solomon Islands, but had not previously been recorded from Japanese waters. The new standard Japanese name "Futahoshi-fuedai", given in reference to the two white spots above the lateral line in the collected specimens, is proposed.</p>
著者
林 大介 渡邉 澂雄 櫻場 一郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
環境工学総合シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.501-502, 2005

The temperature of sea water is lower than the outside air temperature in summer, and higher than the outside air temperature in winter. Therefore, high energy efficiency can be obtained by utilizing sea water for heat source water or cooling water of heat pumps. Then, we had developed the highly effective heat pump, which can use sea water directly as heat source or cooling water. In the Port of Nagoya Public Aquarium, the water temperature of huge pools for breeding orca, belugas, etc., is adjusted with this highly effective heat pump system. In this paper, the energy-saving performance and environmental preservation performance of the system are clarified by analyzing the operation data over a period of four fiscal years.
著者
萱野 大樹 稲木 杏吏 若林 大志 赤谷 憲一 山瀬 喬史 國田 優志 絹谷 清剛
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.39-43, 2014 (Released:2015-05-01)
参考文献数
11

MIBG治療は手術不可能または悪性の褐色細胞腫に対して行われる放射線内照射療法であり,国内では数施設で治療が可能である。保険適応外治療であるため治療に要する費用は患者自己負担となる。放射性薬剤を用いた治療であるため,治療は放射線治療病室で行われ,治療後数日間は放射線治療病室で過ごさなければならない。放射線管理上の問題から,患者はADLがある程度自立していることが必須となる。重度の副作用は少なく比較的安全な治療であり,完治に至ることは稀ではあるが病状の軽減および増悪を抑える効果が充分に期待できる治療といえる。手術不可能または悪性の褐色細胞腫に遭遇した際には,早い段階でMIBG治療も治療選択肢の1つとして考慮していただければ幸いである。
著者
武田 庄平 榎本 はるか 小林 大佑 福田 早紀子 荒川 直輝 安東 幸志朗 原 祐菜 藤坂 航大 盧 曦子
出版者
東京農工大学農学部附属FSセンター
巻号頁・発行日
pp.15-27, 2017 (Released:2020-02-03)

日本動物園水族館協会に加盟している東京都,神奈川県,埼玉県にある園館のうち,日本の動物園・水族館で見かけることの多いシマウマ,ゾウ,インコ,ペンギン,ペリカン,アザラシ・アシカ,イルカなどの同じ種類の生き物が飼育されている異なる園館を選定し,実地踏査し,動物の展示や施設の工夫を,来園者の立場で評価し,各園館の展示の工夫を比較評価検討した。その結果,観覧者は生き物が至近距離で観られて当然であると考えており,そうでない場合は評価が低い,また施設のきれいさを求める傾向も高く,個体数の少ない展示に対しては低い評価を下しがちである傾向が示された。これらの観覧者の態度に対してうまく対応することで,エデュテインメント施設としての動物園・水族館は,エコツーリズム的ないし環境教育的に効果的な展示を行うことが可能となり,またそのことを通じて動物園・水族館の存在意義を明示することにつながると言える。
著者
小林 大州介
出版者
経済社会学会
雑誌
経済社会学会年報 (ISSN:09183116)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.203-212, 2015 (Released:2016-03-25)

From the late eighteenth through the nineteenth century, the concept of ‘evolutionism’ had prevailed among social scientists in many fields, such as sociology, philosophy, history, economics, anthropology, ethnology and archaeology, as a framework of their research. One of the origins of this idea was the belief in ‘progress’ that characterized eighteenth century’s enlightenment thought. The evolutionists assumed that society, economy and culture progressed through a sequence of deterministic developmental stages, and always toward a completion of civilization. However, in the late nineteenth century, many objections to this notion of evolutionism emerged within the above academic fields, mainly in history and ethnology. Historians and ethnologists pointed out that evolutionism failed to offer an appropriate explanation for the complex and non-deterministic character of the historical process. Moreover, innovation theories, which came into existence in the late nineteenth and early twentieth centuries, largely rejected the idea of progress and evolutionism. In the present paper, the author argues that early innovation theorists, such as Gabriel Tarde and Joseph A. Schumpeter attempted to offer more general theories than the development stages theory, and to transcend the out-of-date ideas of the evolutionists.
著者
中村 高康 吉川 徹 三輪 哲 渡邊 勉 数土 直紀 小林 大祐 白波瀬 佐和子 有田 伸 平沢 和司 荒牧 草平 中澤 渉 吉田 崇 古田 和久 藤原 翔 多喜 弘文 日下田 岳史 須藤 康介 小川 和孝 野田 鈴子 元濱 奈穂子 胡中 孟徳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、社会階層の調査研究の視点と学校調査の研究の視点を融合し、従来の社会階層調査では検討できなかった教育・学校変数をふんだんに取り込んだ「教育・社会階層・社会移動全国調査(ESSM2013)を実施した。60.3%という高い回収率が得られたことにより良質の教育・社会階層データを得ることができた。これにより、これまで学校調査で部分的にしか確認されなかった教育体験の社会階層に対する効果や、社会階層が教育体験に及ぼす影響について、全国レベルのデータで検証を行なうことができた。
著者
林 大輔
出版者
慶應義塾大学大学院法学研究科
雑誌
法学政治学論究 : 法律・政治・社会 (ISSN:0916278X)
巻号頁・発行日
no.92, pp.133-165, 2012

一 問題の所在二 大戦期における帝国支配と脱植民地化をめぐる英米の立場三 英中不平等条約撤廃交渉と新界租借地問題、一九四二年―四三年四 イギリス政府内の香港政策―外務省・植民地省・香港計画局、一九四二年―四五年五 ローズヴェルトの香港「自由港」構想と脱植民地化の限界、一九四三年―四五年六 香港における降伏受理をめぐる英米中関係、一九四五年七 結 論
著者
中村 啓二 松本 範裕 黒田 晃 小牧 正子 野村 央文 大西 良祐 高瀬 裕章 松村 洋一 永畠 秀樹 橋本 良一 武田 康一 小林 大樹
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.7-10, 2010-03-31 (Released:2017-03-02)
参考文献数
1

「山田錦」並の酒造適性をもち,石川県で安定生産可能な早生品種「石川酒52号」を,「予236(五百万石/フクヒカリ)」を母本,「新潟酒28号(後の「一本〆」)」を父本とする交配組合せから育成した.出穂期および成熟期は,それぞれ「五百万石」とほぼ同じである.稈長は「山田錦」よりも20cm程度短く,収量性は「五百万石」並である.耐倒伏性は「五百万石」にやや優り,穂発芽性は「山田錦」の"やや易"に対して"中",脱粒性は「山田錦」の"易"に対して"難"である.玄米千粒重は「五百万石」並,心白発現率は「山田錦」より高い.試験醸造による酒造適性評価は「山田錦」並に高い.現在,「石川門」の愛称で流通している.
著者
小林 大輔 清水 博之 杉崎 正志 重松 司朗
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.232-239, 2016-12-20 (Released:2017-02-13)
参考文献数
23

顎関節症発症に関与する因子は多因子性であり睡眠障害もその一因とされているが,その因果関係についての研究は少なく十分に解明されていない点も多い。顎関節症患者,特に咀嚼筋痛障害を有する患者に対し睡眠障害との関連性について質問票を用いて検討を行った。対象は,2015年4月1日より2016年3月31日までに当科を受診した,咀嚼筋痛障害を有する顎関節症女性患者40名とし,顎関節症症状のない女性30名を対照群とした。睡眠障害に関してはピッツバーグ睡眠質問票日本語版(以下PSQI-J)を用いて評価した。患者群に対する調査項目は咬筋部圧痛,開口時咬筋部痛,無痛自力最大開口量,日常生活支障度とした。2群を比較した結果,PSQI-Jスコアは有意に患者群のほうが高かった。またPSQI-Jの各項目と各症状との関連を調べた結果では,<睡眠の質>では咬筋部圧痛(p=0.036),<入眠時間>では咬筋部圧痛(p=0.009),<睡眠時間>では日常生活支障度(p=0.021),<眠剤の使用>では開口時咬筋部痛(p=0.026),および咬筋部圧痛(p=0.024)が有意な関連を認めた。また患者群におけるPSQI-J合計スコアと咬筋部圧痛に有意な関連を認めた(p=0.003)。睡眠障害が顎関節症,特に咀嚼筋痛障害の発症に関連をもつことが改めて示唆された。
著者
林 大和
出版者
一般社団法人 粉体工学会
雑誌
粉体工学会誌 (ISSN:03866157)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.409-416, 2019-07-10 (Released:2019-08-06)
参考文献数
15
被引用文献数
1

Many innovative processing of metal nanoparticle related material were developed by ultrasound and microwave reactor in solid-liquid system. Ultrasound and microwave reactor not only enhanced chemical reaction but also created novel chemical reaction. Metal oxide was used as eco-metal source in our processing. Solid-liquid (metal oxide–ethanol) system will be high concentration and high throughput processing. Realization of innovative nanomaterial fabrication enabled joining environment, low cost and high throughput by combining these reactor and metal oxide, solid-liquid system. This commentary explained reactor and nanomaterial processing problems and introduced the example of some metal nanoparticles related material processing by synergistic effects of solid-liquid system and ultrasound, microwave reactor.
著者
鈴木 莉子 小西 幹人 池田 順哉 林 大地 深井 颯 菅原 優 町井 湧介 山浦 佑介
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3Q5GS901, 2020 (Released:2020-06-19)

ドキュメントに含まれる画像はテキストの内容理解を助ける役割を持つが、画像とテキストの間に整合性が無い場合は、読み手の理解を妨げる恐れがある。ドキュメント作成時の人的ミスやデータの改ざん等により、画像に対してテキストの意味が部分的に変わってしまう場合は、作成者が矛盾点に気付きにくいため、意図せずドキュメントの品質を落としてしまう可能性もある。本研究では、マルチモーダル深層学習を用いて、画像とテキストの整合性判定を行い、画像の物体領域とテキストの単語の関連性を学習するCross Attentionにより、画像とテキストの矛盾点を可視化するモデルを構築する。画像とキャプションが対になったデータセットを元に、キャプションの意味を部分的に変更したデータセットを作成し、提案モデルの有効性を検証すると共に、Cross Attentionにより可視化される画像とテキストの対応関係について考察する。
著者
井上 直子 安田 和誠 森 勇人 秋元 勇人 大原 厚祐 根岸 彰生 冲田 光良 大島 新司 沼尻 幸彦 大嶋 繁 從二 和彦 小林 大介
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.81-90, 2018-12-10 (Released:2019-01-19)
参考文献数
11

Drug dispensing is a statutory and designated duty of a pharmacist. We aimed to examine the changes in the nature of drug dispensing using a text mining method. Our corpus consisted of text documents from “Chozai Shishin”, the most standard manual for dispensing drugs in Japan, Editions 1 to 13 (Japan Pharmaceutical Association), and we used the KH Coder software for text mining. We constructed networks showing the association between frequent word co-occurrence and edition number, and co-occurrence relations for frequent words in each edition. We found that “patient” superseded “dispensing” as a frequent term over time. “Dispensing” was another frequent term with a highly centralized node in each edition. Accordingly, we targeted the term “dispensing” for network analysis to depict its co-occurrence relations. We found that the range of related words for “dispensing” broadened from “preparation” and “compounding” to include “patient adherence instructions”, “assessment”, “medical treatment”, and “information provision”. Accordingly, we concluded that the content of “dispensing”, which is a pharmacist’s duty, has expanded from the duties of “dispensing drugs” to include “responding to patients” within the definition of “dispensing”, and we were able to present this finding as objective data by using the mechanical method known as text mining.
著者
只野 喜一 磯辺 智範 佐藤 英介 武居 秀行 小林 大輔 森 祐太郎 富田 哲也 榮 武二
出版者
公益社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.148-150, 2016 (Released:2017-04-24)
参考文献数
4
被引用文献数
1

Treatment planning systems with highly accurate dose calculation algorithms such as Monte-Carlo method and linear Boltzmann transport equation are becoming popular thanks to a development of the computer technology. These algorithms use new concepts, dose-to-medium and dose-to-water. However, introducing these concepts can cause confusion in clinical sites. Basic knowledges about Monte-Carlo simulation and other corresponding algorithms were explained in this article such as the principles, the parameters and words of caution.