著者
星合 厚 鈴木 敦志 坂根 裕 秡川 友宏 竹林 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.3772-3783, 2007-12-15
参考文献数
14
被引用文献数
2

視覚障碍者向けのタンデム自転車における速度感をギター曲のトレモロ奏法を応用して演出する手法を提案する.晴眼者が景色の流れで速度感を常時得られるのに対し,タンデム自転車の後部座席に乗った視覚障碍者は連続的な速度感を自然に感じることは難しい.速度感をBGM(Back Ground Music)のテンポに結び付ける方法は奏功しなかったが,撥弦楽器のトレモロ奏法に着眼し結び付けることで,景色の流れのような速度感の可聴化を実現できた.自転車のスポークがレーザ光を遮ることで生成されるBGM は,車速を感じるために聞き入ることもできれば,サイクリングをより楽しむためのBGM として聞くことも,あるいは気にすらとめずに聞き流すこともできる.実験を通じ,トレモロの速さによって速度感を得ることが可能であること,機構の直感性が担保されていることが確かめられた.This paper proposes the technique that produces the speed cenesthesia for visually impaired cyclists by tremolo playing method used in guitar music. While a sighted cyclist constantly obtains a speed impression from the scenery, a visually impaired cyclist sat on the backseat of a tandem bicycle has difficulty in perceiving continuous speed impression. Though the first and straightforward way that associates the bicycle speed to a tempo is unsuccessful, the second way that associates the bicycle speed to tremolo speed succeeds in producing speed cenesthesia like scenery. The impaired cyclist can listen to the generated music to know the exact speed, or can simply hear the music as a BGM to enjoy the cycling itself, or can pay totally no attention to the music. Experimental results show that the tremolo is useful to perceive the speed, and also shows that the proposal offers instinct mechanism to hear the speed.
著者
林 洋子 国吉 ニルソン 野口 ジュディー 東條 加寿子
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.6_162-6_169, 2012 (Released:2012-12-06)
参考文献数
9

The Great East Japan Earthquake and the Fukushima No.1 nuclear power plant accident revealed serious problems with Japanese information communication systems. From a rhetorical viewpoint, the Japanese language starts to explain a situation from the beginning and leaves the outcome until the end. In traditional Japanese culture, the world is thought to move with the collective flow of nature, and all things are constantly in the process of change. Thus, self-assertion is not encouraged in Japan. The Japanese language itself is imbued with “vagueness,” possessing a wealth of vocabulary and expressions but often not being conducive to sending out a clear message. Unfortunately, under emergency circumstances, such as experienced in March 2011, serious problems can occur. In this paper, we examine the language used by researchers in science and engineering, where clarity is essential. We prepared the Japanese-English Corpus of Presentations in Science and Engineering (JECPRESE) of transcriptions of presentations given in Japanese and English by researchers. Our comparative analyses revealed that the “vagueness” in Japanese results from missing subjects and a lack of sensitivity for paragraph structure (idea frameworks), verb tense and mood. In order to send out a clear message, more effort needs to be made to be aware of the audience’ s viewpoint. Only in this way can the Japanese learn to speak out without “vagueness” as the world accelerates towards internationalization with the ever increasing need to send out clear messages.
著者
勝又 泰貴 竹井 仁 堀 拓朗 林 洋暁
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.99-106, 2016 (Released:2016-03-05)
参考文献数
30
被引用文献数
4 2

〔目的〕筋再教育運動(運動)が筋膜リリース(Myofascial Release:MFR)の効果に与える影響を経時的に検討した.〔対象〕両脚のハムストリングスにMFRを行う群,MFR後に大腿四頭筋の運動を行う群,MFR後にハムストリングスの運動を行う群に準無作為に10名ずつ分けられた,自動下肢伸展挙上角度70°未満の健常成人30名とした.〔方法〕自動・他動下肢伸展挙上角度,膝関節屈曲・伸展トルク値を介入前,介入後,2日後,4日後,6日後に測定した.〔結果〕ハムストリングスの運動を行った群が最も伸張性および屈曲トルク値の改善が大きく,6日後まで持続した.〔結語〕MFRにより筋筋膜の制限を解消し滑走性を改善した上で,運動を行い正しい収縮効率を学習したことが,持続性のある改善効果を生んだと考える.
著者
白木 顕介 坂根 裕 杉山 岳弘 竹林 洋一
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.94(2003-HI-105), pp.33-38, 2003-09-26

DJと観客の音楽コミュニケーションを活性化させる新しいクラブ環境とこの環境をコントロールするインターフェイスについて述べる.これまでの研究では,DJ/VJの表現と観客の関係を中心にクラブ環境全体をデザインする検討はなされていない.本稿ではスピーカアレイを利用し,音が聞こえる方向を動的にコントロールしながらDJが演奏できる音響環境とインターフェイスを作成し,その効果や操作性について一般の観客とDJにアンケート調査を行った.その結果,新しいクラブ環境を使用したDJの表現とその効果に関する知見や,DJのパフォーマンスを発揮させるために必要なインターフェイスの仕様についての知見が得られ,このクラブ環境においてDJと観客の間の音楽を介したコミュニケーションを活性化できるという見通しが得られた。
著者
松岡 友実 五十嵐 公嘉 齋藤 智之 高田 希望 橋本 玲奈 一條 聖美 小林 悠 田中 裕也 川本 俊輔 宮里 紘太 秋谷 友里恵 小林 洋輝 堀越 周 馬場 晴志郎 高島 弘至 逸見 聖一朗 功力 未夢 岡本 裕美 阿部 雅紀
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-6, 2023 (Released:2023-01-28)
参考文献数
8

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)において透析患者は重症化リスクが高く,COVID-19流行初期は,原則として全例入院加療で対応していた.しかし,東京都においては受け入れ可能な入院施設は限定され,新規陽性患者数の急増により,入院調整が困難な状況に陥っていた.そのため,東京都は2021年12月中旬に透析患者の受け入れが可能なCOVID-19透析患者の収容施設として,旧赤羽中央総合病院跡地を活用した酸素・医療提供ステーション(東京都酸素ステーション)を開設した.2022年1月1日~8月31日まで,酸素ステーションで受け入れたCOVID-19透析患者の現況を報告する.入所患者は211人,平均年齢は65歳,転帰は,自宅退院194例(92%),転院16例(7.5%)(そのうち肺炎の疑い13例(6.1%)),死亡1例(0.5%)であった.当施設は東京都のCOVID-19透析患者の入院待機者数の減少および病床ひっ迫の緩和の機能を果たし,また,治療の介入により重症化や入院を予防しており,施設の運用は有効であった.
著者
木村 拓也 荒井 克弘 大塚 雄作 林 洋一郎 西郡 大 立脇 洋介 中世古 貴彦 竹熊 尚夫 花井 渉 田中 光晴 渡辺 雅幸 牧 貴愛 関口 洋平
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究は,大学入学者選抜統一試験が、高等教育の大衆化・国際化・情報化という大きな変化の中で、如何に制度としての公平性・公正性を担保しているのかについて学際共同研究を行うものである。資格試験制度と選抜試験制度とがモザイク状に混在するアジア各国の大学入試制度に着目し、時代の変化と共に制度設計が益々困難となりつつある、大学入学者選抜統一試験に焦点を当てる。本研究では、教育計画論の立場から大衆化に代表される変化の中での大学入学者選抜統一試験の課題を理論的に精査し、比較教育学の立場からその制度変容(改革経緯)と制度設計の具体を精査し、社会心理学の立場から受験生の納得感を公正知覚の観点で計量分析を行う。
著者
大場 由実 中島 崇行 神田 真軌 林 洋 永野 智恵子 吉川 聡一 松島 陽子 小池 裕 林 もも香 大塚 健治 笹本 剛生
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.92-96, 2022-04-25 (Released:2022-06-01)
参考文献数
15
被引用文献数
1

筆者らが開発したLC-MS/MSによるはちみつ中殺ダニ剤一斉分析法を用いて,2015年4月から2021年3月までに都内に流通していたはちみつについて,残留実態調査を実施した.127検体中,85検体からアミトラズが1.1~34.1 µg/kgの範囲で検出され,3検体からプロパルギットが2.4~3.8 µg/kgの範囲で検出された.いずれの検出事例も食品衛生法における残留基準値または一律基準値未満であった.6年間にわたる本調査の検出結果を解析したところ,アミトラズは毎年高い検出率で推移している.しかし,検出濃度は基準値を上回ることなく変動も小さかったことから,養蜂の現場で適正に使用されていることが示唆された.一方で,プロパルギットは2020年の国産はちみつから初めて定量下限値を超えて検出されており,新しい薬剤として養蜂分野で使用されている可能性が考えられた.
著者
林 洋輔
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.617-635, 2013 (Released:2013-12-07)
参考文献数
42

In the present study, an attempt was made to clarify a process of improving bodily movements in the context of physical education, centering on René Descartes' (1596-1650) theory of the passions of the soul. In the study of physical education philosophy, some attempts have been made to reconsider the mind-body relationship proposed by Descartes. To date, however, there has been little discussion about the passion of the soul theory from the viewpoint of an individual's bodily movements. Accordingly, it seems informative to examine a process of changing bodily movements from the philosophical perspective of Descartes.  The passion of desire and wonder, according to Descartes, has a profound influence on bodily movements, because, according to him, if the soul desires anything, the whole body becomes more agile and ready to move than without such desire. Curbing our desire for wonder disposes us to acquire scientific knowledge, thus leading us to achieve a specific aim. So we humans strive to control passion, desire and wonder through reason. Descartes also indicated the effect of habit, which leads us to change our bodily movements. Habits are applied not only in animals, but also humans. Therefore, these should be utilized for changing or improving our bodily movements. In addition, forethought can make our bodily movements more appropriate, because if we take care to be aware of our desire, which is dependent only on us, and seek to gain a goal as a result for it, we can enjoy the passion of joy, which brings pleasant emotion recognized by the soul. Bodily movements can thus change in a series of processes.  More enlightened discussion can ensue by elaborating on Descartes' mind-body theory and the passions of the soul.
著者
植田 隼平 野村 泰伸 清野 健 藤田 壌 西田 直樹 藤尾 宜範 林 洋行 田口 晶彦 川瀬 善一郎 真田 知世 金井 博幸
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.S126, 2018

<p>近年,国内の企業において従業員の健康を経営資源ととらえ,社員の健康維持や改善のための取組や投資を積極的に行う「健康経営」の重要性が認識されるようになった.少子高齢化の日本では,人手不足,後継者不足,年金制度維持のための定年引上げなどの影響により,労働人口の高齢化が急速に進むことが予想されるため,企業の維持・成長のための経営戦略として健康経営を実践する必要がある.我々は,労働者,特に生産現場労働者の健康管理への応用を目指し,ウェアラブル生体センサを用いた体調評価指標を開発した.我々のアプローチでは,ウェアラブル生体センサとして衣料型デバイスを用い,労働中の加速度と心拍数を同時に計測する.これまで,心拍変動を用いた自律神経機能の評価や,心拍数あるいは加速度センサを用いた運動強度の評価については多くの研究成果があるが,日常発生する体調不良を客観的に評価する方法については十分に確立していない.我々は,建設・運送会社約12社に協力いただき,2017年5月から9月の期間にて延べ約7000人の労働者の就業中の心拍数と加速度をモニタリングするとともに,就業前後の主観的体調に関するアンケートを実施した.これらのデータ分析に基づき,加速度と心拍数情報を組み合わせた新たな指標を構成し,この指標が労働者の主観的体調と相関することが見いだされた.講演では,生産現場における生体指標の有用性について議論する.</p>
著者
西尾 典洋 内山 吉彦 深沢 佑樹 杉山 岳弘 竹林 洋一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.1A32, 2009

<p>本稿では、インターネット番組制作における少人数型のスタジオにおいて、 スイッチャーが1人でスイッチング業務を行いながら、 複数台のカメラを操作して番組収録を行えるマルチカメラ撮影支援システムを提案する。 本システムではプロのカメラマンが持つ安定した画角の知識や、 複数台のカメラによる協調撮影のノウハウをシステム化することで、 経験が浅いユーザでも本格的な撮影業務をおこなうことができる。</p>
著者
林 洋次 小松 裕太
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.135-136, 2009

For scientific engine analyses, authors proposed a simultaneous and approximate analyses for connecting rod big end bearings, for piston pin bearings and for crank shaft main bearings. However, to save computation time for engine bearing analysis, it is better to innovate new iteration methods to introduce solutions of partial differential equations in finite width bearing theory. In this paper, some kinds of Runge-Kutta methods are proposed by using variable step methods with inherent algorithm of engine bearings, and the characteristic of variable step's Runge-Kutta methods in engine bearing analyses are clarified.
著者
倉島 一喜 鍵山 奈保 石黒 卓 春日 啓介 森本 康弘 小澤 亮太 高野 賢治 磯野 泰輔 西田 隆 河手 絵理子 細田 千晶 小林 洋一 高久 洋太郎 高柳 昇 柳沢 勉
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.94, no.4, pp.483-489, 2020-07-20 (Released:2021-02-07)
参考文献数
19
被引用文献数
4

現在新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では50 歳以上で低酸素血症を認めた段階で他疾患に適応のある抗ウイルス薬の投与が推奨されている.しかし治療が必要となる重症化因子についての検討は少ない.今回COVID-19 により入院した患者で抗ウイルス薬による治療を必要とした群と経過観察のみで改善した群を後方視的に検討し,抗ウイルス薬が必要となる臨床所見について検討した.まず当院に入院した49 例のCOVID-19 感染患者について,A 群:無症候性病原体保有者,B 群:症状あり,ウイルス肺炎像なし,C 群:ウイルス肺炎像あり,呼吸不全なし,D 群:ウイルス肺炎像あり,呼吸不全あり,に分類した.C 群は無治療で軽快し,D 群では抗ウイルス薬治療が行われた.重症度と相関した背景因子と症状は年齢,合併症の有無,喫煙歴,発熱,下痢であったが,治療を必要としたD 群に特徴的な所見は喫煙歴のみであった.次に重症度と相関した臨床検査値はPaO2,リンパ球数,D-dimer,AST,CK,LDH,CRP,PCT,ferritin であったが,多変量解析で治療必要群と有意に相関した検査値はリンパ球数,CRP,ferritin となった.両群を区別するカットオフ値をROC 曲線より求めると,リンパ球数1,200/μL 以下,CRP 2.38mg/dL 以上,ferritin 394ng/mL 以上となった.画像所見では,抗ウイルス薬治療を要しなかったC 群と要したD 群とを最もよく区別する所見は浸潤影の有無だった.以上よりこれらの重症化因子は呼吸不全への進展を考慮すべき臨床指標になると思われた.また喫煙歴,リンパ球数1,200/μL 以下,CRP 2.5mg/dL 以上,ferritin 400ng/mL 以上,CT 上の浸潤影の5 つをリスク因子として選ぶと発症からPCR 陰性化までの日数と強い相関を示した(p<0.0001).