著者
米林 裕一郎 亀岡 弘和 嵯峨山 茂樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MUS,[音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.7-12, 2006-05-13
参考文献数
4
被引用文献数
2

ピアノ曲演奏の運指をHMMを用いて自動決定するアルゴリズムを提案する。手の状態を「隠れ状態」とし、状態遷移から楽譜上の音符推移系列が出力されると考え、楽譜からViterbi探索により最尤状態遷移を求める。この手法により、指の独立性の難易度、黒鍵を含む鍵盤上での2次元的な指位置をモデル化できる。和音を含む両手の場合への拡張、音符長の考慮、学習、複数解の探索が可能な枠組みである。
著者
栗林 裕
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

カシュカイ語はトルコ語と同じチュルク語南西グループに属していながら、特異な統語法を持つ言語である.統語法のみ近隣言語であるペルシア語から借用し、語彙はチュルク語系のものを用いるような統語的言語変化はチュルク語全体の中でも少数派である.非トルコ語研究者にとっても興味深いカシュカイ語の言語資料を広くアクセス可能な形で提示し、知識の共有を進めていくことで理論的研究と記述的研究の連携を図ることを目的として3 年間の研究成果を著書としてまとめた.
著者
矢野 真理 小林 裕美
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.431-440, 2021 (Released:2021-11-20)
参考文献数
22

目的:本研究は,エンド・オブ・ライフケアにおける超高齢者の療養場所選択に対する意思決定支援を行うために,急性期病院の熟練看護師が超高齢者と家族の意思をどのようにくみ取り,意思決定支援を実践しているかについての構造を明らかにする.方法:研究参加者10名に半構造化面接を行い質的統合法(KJ法)にて分析した.結果:熟練看護師は,【超高齢者への理解の追求】と【家族への理解の追求】の両面から【療養場所決定の中にある本人の尊厳】を尊重していた.さらに,【超高齢者側から見た最適医療】のために超高齢者の価値観や体験の理解をし,【医療者側から見た最適医療】を見定める調整をして【病院医療依存の中にある本人の尊厳】を守り【希望療養場所の実現可能性支援】を行っている構造が明らかとなった.結論:熟練看護師は,超高齢者の尊厳の追求を中心に据え,超高齢者医療のあり方への挑戦を実践していることが示唆された.
著者
林 裕史 新正 由紀子 朝戸 裕貴 加我 君孝
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.103, no.10, pp.903-907, 2010 (Released:2010-10-01)
参考文献数
4

In treating congenital microtia and atresia, we conduct simultaneous external canal plasty, tympanoplasty, and auricle elevation with plastic surgeons about 6 months after auricleplasty by only plastic surgeons. The results are good both cosmetically and functionally. We report 13 cases in which hearing did not improve satisfactorily after surgery using postoperative high-resolution computed tomography (HRCT) of the temporal bone. Lateral healing was seen in 9 (69%), new bone proliferation in 3 (23%), malpositioning of a cartilage block in 2 (15%), and both lateral healing and malpositioning of a cartilage block in 1 (7.6%).
著者
山口 開 奥瀬 千晃 鈴木 啓弘 小林 裕太郎 長田 達郎 巴 雅威 遠山 裕樹 林 毅 吉田 秀樹 高橋 泰人 前山 史朗 打越 敏之 飯野 四郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.18-22, 1998-01-25
参考文献数
19
被引用文献数
1

症例は23歳, 女性. 飲酒歴, 輸血歴および鍼灸治療歴はない. 常用薬剤なし. 感冒様症状に伴う食欲不振, 腹部不快感および2週間で約4kgの体重減少を主訴に近医を受診した. 生化学検査でtransaminaseの上昇を認め急性肝炎が疑われ当科紹介, 入院となった. 入院時現症では標準体重の-32%のるいそうを認め, 入院時検査所見では総蛋白, コリンエステラーゼの低下及びtransaminaseの上昇が認められた. しかし肝炎ウイルスマーカーはすべて陰性で, 抗核抗体および抗ミトコンドリア抗体も検出されず免疫グロブリンはいずれも正常ないし軽度低下を呈した. 腹部超音波およびCTでは著明な脂肪肝を認めた. 肝生検像では肝実質にacuteyellow collapsed cellを含む巣状壊死を散見し, 大脂肪滴沈着をzone 2~3に小葉の1/2以上に認め飲酒歴がないことからnon-alcoholic steatohepatitisと診断した. 本例は肥満, 耐糖能異常を伴わず, 薬剤服用歴もなく経過より急激な栄養障害による飢餓状態が原因と考えられた
著者
小林 裕子 村田 晋太朗 永田 智子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, 2018

【研究の背景と目的】<br><br> 平成29年告示の学習指導要領では,中学校家庭科において新たに「B衣食住の生活(5)生活を豊かにするための布を用いた製作」で「衣服等の再利用の方法」を扱うことになった。中学校学習指導要領解説技術・家庭編(2018)には「着用されなくなった衣服を他の衣類に作り直す,別の用途の物に作り替える」などが例として示されている。しかし,現在中学校で使用されている家庭科教科書(開隆堂・東京書籍・教育図書)の内,2冊はリフォーム・リメイク等の単語がイラスト付きで簡単に紹介されているのみ,1冊は古着を持ち寄り衣服や小物にリメイクしている団体の取り組みに関する内容であり,実践的で具体的な内容や方法は記載されていない。<br><br> 衣服等の再利用に関する研究として,高森(1999)や赤塚ら(2016)による「衣服等の再利用」に関する調査がある。中高生は衣服の再利用やリメイクに関心がない訳ではないが(赤塚ら2016),着用しなくなった衣服をリメイクする生徒は僅かである(高森1999)ことが分かっている。高等学校段階では消費生活やESDと関連づけた研究調査や実践があるが,中学校段階ではほとんど見当たらない。<br><br> そこで,中学校家庭科「衣服等の再利用の方法」の教材開発を目指し,本研究では中学生対象に「不要になった布製品の活用について」の質問紙調査を実施し,家庭で不要となっている布製品の実態や対処方法・リメイク経験や興味関心等について,中学生の実態を把握することとした。<br><br><br><br>【研究の方法】<br><br> 質問紙調査の内容は(1)家庭で不要になっている布製品の種類,(2)不用になった布製品の家庭での対処方法,(3)不要になった布製品を何かに作り替える(リメイク)ことへの関心度,(4)不要になった布製品を何かに作り替える(リメイク)ことの経験について,(5)何かに作り替えて(リメイク)みたい布製品の種類,(6)具体的なリメイクのアイデア(自由記述)である。<br><br> 2018年3月,兵庫県M市と大阪府S市の中学1・2年生422人(M市275人,S市147人)を対象に行った。<br><br><br><br>【結果】<br><br> (1)家庭で不要になっている布製品として,「Tシャツ(59.5%)」が最も多く,次いで「靴下(48.1%)」が家庭にあることがわかった。(2)不要になった布製品の家庭での対処方法は,「誰かにあげる・譲る(62.5%)」が最も多く,次いで「捨てる(59.5%)」となった。(3)要になった布製品のリメイクへの関心度は,「とてもある・少しある」と「あまりない・ない」がともに50.0%であった。(4)不要になった布製品のリメイク経験は「ある」の回答が31.3%,「ない」が68.7%であった。(5)リメイクしてみたい布製品は「Tシャツ(46.0%)」が最も多く,次いで「ジーンズ(41.5%)」,「タオル(36.7%)」,「ハンカチ(29.1%)」の順となった。<br><br><br><br>【考察と今後の課題】<br><br> 質問紙調査の(1)と(5)の結果から,家庭で最も不要になっている布製品であり,生徒が最もリメイクしてみたいと考えているものが「Tシャツ」であった。「Tシャツ」は,生徒が自宅から持参しやすく,リメイクに対して関心も高いことから,次期学習指導要領で新たに示された「衣服等の再利用の方法」を扱う授業の教材として適切であることが示唆された。<br><br> 今後は,不要になったTシャツをどのようにリメイクすることが中学生の発達段階に適し,かつ資質能力の育成に寄与するか,具体的なリメイクの方法を検討し教材化することが課題である。
著者
大宮 徹 小林 裕之
出版者
富山県農林水産総合技術センター[森林研究所]
巻号頁・発行日
no.11, pp.25-38, 2019 (Released:2019-08-27)

立山弥陀ヶ原の追分付近における人為的攪乱の履歴を再現するため,過去の空中写真と地形図を比較検討した。GISを用いた解析により,1912年以降の登山道と車道の形成の経緯が明らかになった。この地域はラムサール条約に登録されているが,景観復元にあたっては,植生とともに,歴史的遺跡も適切に保全する必要がある。
著者
山口 開 奥瀬 千晃 鈴木 啓弘 小林 裕太郎 長田 達郎 巴 雅威 遠山 裕樹 林 毅 吉田 秀樹 高橋 泰人 前山 史朗 打越 敏之 飯野 四郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.18-22, 1998-01-25 (Released:2009-11-17)
参考文献数
19

症例は23歳, 女性. 飲酒歴, 輸血歴および鍼灸治療歴はない. 常用薬剤なし. 感冒様症状に伴う食欲不振, 腹部不快感および2週間で約4kgの体重減少を主訴に近医を受診した. 生化学検査でtransaminaseの上昇を認め急性肝炎が疑われ当科紹介, 入院となった. 入院時現症では標準体重の-32%のるいそうを認め, 入院時検査所見では総蛋白, コリンエステラーゼの低下及びtransaminaseの上昇が認められた. しかし肝炎ウイルスマーカーはすべて陰性で, 抗核抗体および抗ミトコンドリア抗体も検出されず免疫グロブリンはいずれも正常ないし軽度低下を呈した. 腹部超音波およびCTでは著明な脂肪肝を認めた. 肝生検像では肝実質にacuteyellow collapsed cellを含む巣状壊死を散見し, 大脂肪滴沈着をzone 2~3に小葉の1/2以上に認め飲酒歴がないことからnon-alcoholic steatohepatitisと診断した. 本例は肥満, 耐糖能異常を伴わず, 薬剤服用歴もなく経過より急激な栄養障害による飢餓状態が原因と考えられた
著者
関口 秀夫 山口 裕一郎 小林 裕
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.499-504, 1982
被引用文献数
1 5

A giant isopod <i>Bathynomus d&ouml;derleini</i>, captured by the baited trap in the Kumano-nada region, central Japan, was investigated to elucidate its geographical distribution and bathymetric occurrence.<br> <i>B. d&ouml;derleini</i> is distributed mainly at depths from 250m to 550m and completely absent from the traps set in the water shallower than 150m. So these bathynomids are classified as the littoral-bathyal benthos. The abundance of specimens of <i>B. d&ouml;derleini</i> appears to be dependent on the topographic features of bottom.<br> Summing up the informations known to date, <i>B. d&ouml;derleini</i> has not been found from the marginal seas of the northwestern Pacific, and then its geographical distribution accords with the warm Kuroshio Current area along the Pacific coasts of Japan.
著者
鳥越 和憲 秋岡 健一郎 住谷 泰 清水 信貴 小林 裕子 白鳥 倫治
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.101-106, 2000-03-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
21

プロポフォール麻酔中に低濃度のセボフルランを使用することによって,夢や健忘の出現に変化があるかを検討するために,ASA Iの耳鼻科患者60名を無作為に,プロポフォール+亜酸化窒素(PN)群,セボフルラン+亜酸化窒素(SN)群及びプロポフオール+亜酸化窒素+30分間低濃度セボフルランを30分間隔で投与した(PNs)群の3群(各20例)に分けて比較した.夢の想起率は,PN群で55%,SN群で10%と後者で有意の減少があった.PNs群は45%で,PN群より減少傾向を示した.翌日の健忘については,色に関する回答において,PNs群は他の2群に比べ有意に健忘が増加した.手術室での出来事や覚醒後の出来事についての調査では,PNs群は他の2群に比べ有意に健忘が増加した.プロポフォール+亜酸化窒素麻酔中,低濃度のセボフルランを間歇的に併用すると,夢は減少し健忘は増加して,麻酔の「覚醒の質」の向上を得られることが示唆された.
著者
李 頌華 王 如偉 田丸 直美 都 仁哉 岩崎 純夫 小林 裕太 奥西 秀樹
出版者
一般社団法人 日本炎症・再生医学会
雑誌
炎症・再生 (ISSN:13468022)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.55-59, 2004 (Released:2006-10-25)
参考文献数
13

There has been considerable interest in traditional Chinese herbal therapy as a novel treatment for atopic dermatitis (AD). To investigate the efficacy and safety of formulas of traditional Chinese herbal medicine, Kujin-Plus, 94 AD patients received oral administration of the formula, Kujin-Plus I, containing 10 herbs, combined with a lotion, Kujin-Plus II, containing 7 herbs, and an ointment, Kujin-Plus III, containing 8 herbs as an open trial. The severity of the disease (clinical score; 0-4) and the severity of pruritus (pruritus score; 0-4) were judged by standardized scores. Both scores were significantly improved at the end of the treatment (p < 0.01;nonparametric test). The blood eosinophil ratio and serum IgE levels were high in AD patients and they were significantly reduced at the end of the treatment (p < 0.001). Of 94 AD patients with traditional Chinese herbal therapy, 32 were markedly improved, 59 were improved, 3 were slightly improved and none was ineffective. There was no remarkable evidence of renal or hepatic toxicity or another severe adverse effects. Thus, the present study confirmed that this herbal treatment is clinically efficacious on AD with a significant reduction in blood eosinophil ratio and serum IgE level.
著者
林 裕栄
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.2_23-2_34, 2009-06-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
19

本研究の目的は,訪問看護師の精神障害者への援助における困難を明らかにすることである。研究方法は,M-GTAを用いた。研究参加者は,2カ所の訪問看護ステーションに勤務する訪問看護師9名に対して主にインタビュー調査を行った。調査期間は、2002年11月から2003年8月および2005年8月から10月であった。 在宅精神障害者の訪問看護の困難は,[契約遂行の困難][在宅での援助の困難][関係者との連携の困難][看護師同士で支え合うことの困難]の四つのカテゴリーで構成された。 看護師の抱える困難を解消するには,訪問看護師への教育や,利用者,訪問看護師,病院側の三者の合意形成が必要である。そして看護師が継続した,安定的な援助を行うためには,何よりもまず訪問看護制度やケアマネジメントシステムの体系化・明確化が図られる必要がある。これにより初めて訪問看護師が自立した援助を行うことができることになる。
著者
水野 加寿 柴岡 信一郎 鳥谷尾 秀行 小林 裕光 渋井 二三男
出版者
情報文化学会
雑誌
情報文化学会誌 = Journal of the Japan Information-culture Society (ISSN:13406531)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.53-59, 2011-12-13
参考文献数
13

高齢者、障害者、生活習慣病者等の社会的弱者を対象とする"WAPT:プールリハビリ講座開設"を基軸とする市民参加型社会福祉健康文化プログラムを実施していくなかで、市民の健康増進を計り運動の日常化を推進し、健康意識の向上による健康への自己管理意欲をたかめることを目的に、講座開設をモデル化し、プログラム内容の充実と定着をはかり、講座開設の継続と広がりを促進する。また、上述する要旨の具体化として"水中リハビリ運動教室"を開催し、参加者に対し運動機能テストおよび体組成測定をおこない水冶運動療法訓練による生理的応答の変化を臨床的に考査した。こうした市民参加型社会福祉健康プログラムの取り組みがモデル化され具現化されることによって地域社会の活性化が促進されるものと考える。
著者
小林 裕子 永田 智子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, 2016

【研究目的】 <br>&nbsp; &nbsp;自然災害大国と呼ばれる我が国において、児童生徒に対し実践的かつ継続的な災害学習の実施は必要不可欠である。本研究の目的は中学校家庭科で災害時の食を扱った学習の開発、実施、評価を行うことである。前回の報告(小林、永田2015)では研究の第一段階として、中学生に災害に関する質問紙調査を実施した。その結果、食料を数日分備蓄している家庭は3割程度に過ぎず、災害時に水や食料の確保が不安だと答えた生徒が6割を上回っていた。また社会の中で広がりを見せる従来の「非常食」から保存のきく日常食を災害時に活かす「災害食」への転換や、「ローリングストック法」の考えはまだほとんどの中学生が知らないことが分かった。そこで次の段階として「災害食」を題材とした課題解決的な学習を開発し実践することとした。 【開発した学習】 <br>&nbsp; 開発した学習は3時間で構成され、B食生活と自立(3)ウの「食生活についての課題と実践」に位置づけた内容である。この題材の目標は「災害時の食生活に関心をもち、課題をもって災害時の調理活動と献立作成を体験することを通して、災害時に備えた食品の備蓄を工夫して計画を立てて実践できること」である。この目標に沿い、学習の構成は、1.生徒が災害時の食生活に関心をもち課題を見つけ、どのような解決方法があるかを知り考える 2.災害時を想定した「災害食」の調理実習を実施し、体験活動から工夫や学びをさらに深める 3.平均的な家庭の備蓄食品から災害時の一日分の献立を栄養バランスにも配慮して考え家庭での実践につなげる という展開とした。3ではB(2)イの献立学習内容を押さえながら家庭での備えの改善につながるよう工夫した。 <br> 【学習の実践】 <br>&nbsp; &nbsp;実践は兵庫県公立中学校2学年の生徒5クラス164名を対象に、2016年2月に行った。 第1校時の授業はパワーポイントを使用して行った。南海トラフ地震の被害想定と日本が自然災害大国であることの確認から入り、災害時の食生活の課題にはどんなものがあるか各自で考え、発表をして意見の共有を行った。次に日常的に保存のきく食品を備蓄しながら使い回す「災害食」の考えや、その実践方法として「ローリングストック法」が推奨されていることを学習した。従来の乾パンやアルファ米のように使わず備えておく「非常食」より、「災害食」は賞味期限切れの無駄がなく、味も普段から慣れているので合理的でよいという感想が大半を占めていた。 第2校時は災害時を想定した調理実習を行った。使う食材は保存食品のみ、水の使用は調理と洗い物含め各班2リットルに制限、ガスコンロは使用可とした。献立はポリ袋炊飯で作るわかめご飯とツナ缶を肉の代わりに使用したツナじゃがとした。栄養面で6つの基礎食品群をすべてカバーした献立である。炊飯時間が20分と短く洗い物も出ず、なおかつ食味も炊飯器で炊き上げたものとほぼ変わらないと生徒に大変好評であった。食器にラップを敷き洗い物を減らす体験も行った。被災地から生まれた節水になる工夫のすばらしさに感心している様子が伺えた。 第3校時は班活動とした。平均的な家庭の備蓄食品を各食品群別に分け一覧にしたプリントを配布し、まず各自で災害時の一日分の献立を栄養バランスも考慮して考えた。それを班単位で組み合せ1週間分にまとめるという活動を行った。その後、献立を立てる際に不足した食品や使用しなかった食品を挙げ、災害時の備蓄の課題を再度見直し、どのように改善していけばよいかを具体的に考えた。 今後は、授業で生徒が記入したワークシートの感想や自己評価、アンケートなどを分析し評価を行う予定である。
著者
上田 あかり 廣瀬 友靖 林 裕美 岩月 正人 穗苅 玲 石山 亜紀 砂塚 敏明
雑誌
日本薬学会第141年会(広島)
巻号頁・発行日
2021-02-01

【背景・目的】マラリアは世界三大感染症の一つであり、近年は薬剤耐性原虫の出現から、新たな作用機序を有する新規薬剤の開発が急務となっている。このような背景のもと、当大村智記念研究所において、糸状菌Paracamarosporium属FKI-7019株の培養液からKozupeptin A(1)が単離された。1は抗マラリア活性を有し、新たな抗マラリア薬のリード化合物として期待される。そこで我々は、1の効率的な全合成と構造活性相関の研究に着手した。【方法・結果】すでに報告している疎水性タグAJIPHASE®️を用いた1の全合成経路1)では、C末端のアルデヒド形成におけるエピメリ化が課題となった。そこで、我々は新たな疎水性アンカー分子(2)をデザインした。従来、タグとアミノ酸との結合はエステル結合によるものだったが、この結合をWeinrebアミドタイプにすることで、還元によるタグの除去とアルデヒドの形成を一挙に行うことができると考えた。さらに2を用いることで、ペプチド合成の際固相合成では困難であったC末端の還元を克服し、液相合成中でのアルデヒド形成を様々な基質で簡便に行うことができると考えられる。HO-TAGa2)から2を導き、晶析による簡便な手法でペプチド鎖を伸長したのち、還元条件を種々検討し3を合成したことで、形式的に1の全合成を達成した。さらに、新たにデザインした2を用い、様々な誘導体を合成し構造活性相関研究を行ったので報告する。【参考文献】1) Y. Hayashi, et al., Organic Letters. 2019, 21 (7), 2180.2) H. Tamiaki, et al., Bull. Chem. Soc. Jpn. 2001, 74, 733.
著者
林 裕樹 金城 達也 西垣 大志 宮城 良浩 中川 裕 高槻 光寿
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.293-301, 2021

<p>症例は26歳の女性で,妊娠を契機に径10 cm大の骨盤内腫瘍を指摘され,試験腹腔鏡検査にて後腹膜腫瘍の診断となった.囊胞成分のほかに充実成分を伴っており悪性疾患の可能性が示唆され,加療目的で当院紹介となった.腹部造影CTおよびMRIにて仙骨前面に多房性囊胞性腫瘍を認め,腫瘍背側には造影効果を有する小結節が存在した.腫瘍摘出術を施行し,病理組織学的診断では後腹膜成熟囊胞性奇形腫であり,小結節は神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor;以下,NETと略記)の診断であった.術後経過は良好で術後7日目に退院となった.成人発症の後腹膜成熟囊胞性奇形腫はまれな疾患であり,年齢とともに悪性化の頻度が高くなるとされている.悪性化すると予後不良であるため,早期手術が推奨されている.今回,我々は極めてまれなNETを併存した成人後腹膜成熟囊胞性奇形腫の1例を経験したので報告する.</p>