著者
小山 宏孝 中林 一樹
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.6, pp.107-114, 1996-11

現在社会では、特に都市部において、活動のエネルギーを電力に依存する割合は大きく、しかも年を追うごとに高くなっている。また、電力は様々なライフラインを支える最も基礎的エネルギーでもある。そのため、都市部を中心に大規模な停電が発生した場合には、停電地域のみならず、広範囲にわたって、その影響が及ぶと予想される。そこで本研究では事業所活動を取り上げ、停電が事業所活動に及ぼす影響や停電対策の現状を、アンケート調査をもとに実態的に明らかにした。また、東京都区部を想定し、その停電の影響度合いの地域性を明らかにすることを目的とした。アンケート調査の結果によると、業種によって停電が事業所活動に与える影響度合いには差があった。建設業や運輸業では比較的影響は小さいとしているが、製造業や飲食店、大規模小売店、金融機関では非常に影響が大きいと評価している。従業員数規模別においては、業種間ほど大きな差は見られなかったものの、従業員数規模が大きくなるにつれて、停電による事業所への影響も大きくなった。個々の設備に対する支障とともに、営業・業務活動に対する総合的な支障程度として設定した総合支障度については、3種類の方法によって、その妥当性を検証した。第一に、設備別の影響度から各事業所ごとの支障値を求め、総合支障度との関係をみる方法、第二に、停電による影響が大きいとされた設備の支障度と、総合支障度との関係をみる方法、第三に、総合支障度との相関関係の高かった設備の支障度と、総合支障度との関係をみる方法の3種類により、総合支障度には、事業所活動全般に対する支障の程度を示す指標として、ある程度の客観性があることが検鉦された。地域性をみるための、東京都区部の事業所の分布実態に基づいた総合支障度を用いての今回の例示では、あまりにも集計単位が粗っぽく、不十分なものであった。地域単位の細分化や副次的影響の加味、停電の発生日時や継続時間の考慮など、不完全な部分が多々存在し、多くの問題が残されてしまった。停電対策は、停電による被害を受けた経験のある事業所も多いにもかかわらづあまり進んでいない。非常用電源を設置している事業所は全体の3割にも満たず、しかもその半分はパソコン等の電池類で占められていた。それは医療機関においても例外ではなった。また、非常用電源が設置されていても、医療機関などでは、その能力が不十分であるをいわざるをえない。その原因には、非常用電源の設置や維持に掛かる費用の問題と、他の防災対策も含めた停電や非常事態への認識の甘さが存在していた。停電によって機能が停止した設備の代替手段についても、人的な対応以外には有効な手段がほとんど存在しないことがわかった。停電にともなう事業所の営業・業務活動の支障は大きいにもかかわらず、停電によって機能を停止した設備類の多くに、代替手段の決め手はなかった。また、それを補うべく、非常用電源の設置やその能力についても、費用の面などから限界があった。便利で安全とされ、一見クリーンでもあるとされた電気に対して、必要以上に依存した社会から脱却することが、まず何よりの対策であり、そして必要なことであろう。
著者
林 泰弘 松木 純也 佐藤 和久 得能 裕子
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. B, 電力・エネルギー部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. B, A publication of Power and Energy Society (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.123, no.10, pp.1172-1179, 2003-10-01
被引用文献数
1

Local power systems (66kV) are served from the 275kV or 154kV substations. In order to maintain power supply reliability, the transmission lines are connected to several substations, and the operational configuration is radial. Since practical local power system has a number of transmission lines, many configuration candidates occur. It is expected to effectively evaluate these configuration candidates from various viewpoints such as reliability of power supply, transmission loss and so on. In this paper, the authors propose a multi objective evaluation method by using deterministic and probabilistic approaches for local power system configuration. In the proposed multi objective evaluation method, after selecting system configuration candidates which satisfy N-1 security by using an optimization method based on Boolean function, these candidates are evaluated from viewpoints of expected outage time, transmission loss and facility operation rate. In order to check the validity of the proposed method, numerical results are shown for a practical local system model with about 39 × 10<SUP>27</SUP> configuration
著者
立岡 浩 林 紘一郎 山崎 茂雄 高 榮洙 梅村 修 福冨 忠和 牛木 理一 大角 玉樹 佐藤 薫 岩瀬 真央美 雑賀 忠宏 杉田 このみ 上田 学 家島 明彦 山口 芳香
出版者
花園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、映像コンテンツ産業におけるNPO(非営利組織)と、NPO・行政・企業・住民の複数利害関係者の参加によるPPP(公民協働事業体)及びその支援機関にかかる、権利・契約管理及び関連する振興政策と協働経営、そしてこれらの評価システムについて、産業ビジネス観・文化芸術観・社会エンパワメント観という3つの世界観及びそれらの調和バランスとを関係づけながら、理論と実証の両面から総合的多角的に解明する国際比較研究として行ったものである。
著者
矢花 芙美子 山之内 宏太朗 溝口 純二 林 行雄 古澤 慶子
出版者
九州保健福祉大学
雑誌
九州保健福祉大学研究紀要 (ISSN:13455451)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.173-177, 2004-03-25

We investigated a relation between recognition of one's own body and abnormal eating behaviors with method of questionnaires. The subjects were female students who were registered in 18 preparatory schools in Japan and their average age was 18.3. About recognition of one's own body we make a index of a degree of difference between self evaluation with their body form, including body dissatisfaction, and real BMI, and we assessed eating behaviors with three-factor Eating Questionnaire (Eating Inventory, Stunkard & Messick) and Eating Attitude Test (EAT-40, Garner & Garfinkel). So far there was a theory that abnormal eating behaviors were related with high numbers of BMI, but results of our research were different. In both Eating Inventory and EAT-40 we found that abnormal eating behaviors were likely to appear in the case that a difference between self evaluation with their body form and real BMI was great.
著者
林 徹 木村 英樹 西村 義樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

中国語を中心に、日本語、日本手話、トルコ語、シベ語(中国)、ベトナム語、ラマホロット語(インドネシア)におけるダイクシス要素を詳細に検討した結果、ダイクシス要素の用法に影響する要因として、(1)話し手を基準とした距離や時間、(2)コンテクストの諸特徴(3)話し手のとる視点・態度、(4)地形に基づく空間軸、などを明らかした。また、ダイクシス要素の機能として発話を実際の場面に結びつけることが基本的であることを示した。
著者
小林 美咲
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.110, no.3, pp.275-282, 2000-03-20
被引用文献数
25
著者
林 行夫 柴山 守 土佐 桂子 長谷川 清 高橋 美和 笹川 秀夫 小林 知 増原 善之 小島 敬裕
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

タイ、ラオス、カンボジア、西南中国(西双版納・徳宏)での全9調査区画において771寺院の施設構成と位置情報、5500の出家者の移動データを収集し、全データを統合しタイでの移動経年データを地域情報学的手法(Hu2マップシステム、ラティスとオートマトン)で時空間解析し他区画への適応を試みた。文献から寺院と出家者の移動をデータベース化したミャンマーをふくめ地域間比較を可能とする『マッピング・データ集成I』(+1DVD)を作成した。
著者
大城 安弘 Oshiro Yasuhiro 沖縄開発庁沖縄総合事務局農林水産部 Agriculture Forestry and Fishery Division Okinawa General Bureau Okinawa Development Agency
出版者
沖縄農業研究会
雑誌
沖縄農業 (ISSN:13441477)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.7-16, 1989-08

Life history of the Okinawa-kuchiki cricket, Duolandrevus sp. was studied in Okinawa Island by rearing and field investigations. The materials were collected from Fusato, Tamagusuku Village (Okinawa Island) ; Haneji-River, Nago City (Okinawa I.) and Yona, Kunigami Village (Okinawa I.) from 1981 through 1983. The average egg period was 34~36 days for the eggs laid in April-June, 102~112 days in December-January. The vast number of nymphs hatched from 4:00 to 8:00 hours of a day. None of them hatched during the hours from 14:00 to 20:00. A few of them hatched during the other hours. The average nymphal period was 266 days in 1982~1984. Pre-oviposition period was 10 to 20 days in summer season, and 30 to 40 days in winter season. The number of oviposited eggs reached a crest during the period from 40 to 60 days after emergence of the adults in summer season, and 70 to 100 days in winter season. The longevity of adults was 74 to 83 days in summer, 95 to 103 days in winter. The average number of eggs laid per female was 726 in summer, 449 to 510 in winter. Field investigations showed that each stage of nymph and adult was observed in the whole year, 20% of all stages (excluding egg stage) were adult from October to March, and 50% June to July. However, all developmental stages were found through the year. From the field surveys and laboratory rearing experiments, the species wintered in nymph and adult, and new adult emerged from April onward, and the new adult oviposited from May onward. There is no indication for diapause in this species, and is uni-voltine cricket in Okinawa Island. This species is to be tropical in origin.沖縄島産オキナワクチキコオロギ Duolandrevus sp. の生活史を沖縄島において,室内実験及び野外観察によって調査した。1.卵期間の平均日数は4月~6月に産下されたもので34日~36日,12月~1月のそれは102日~112日であった。2.孵化は4時から8時にピークを形成し,14時から20時には全く孵化せず,その他の時間帯に僅かずつ孵化した。3.平均若虫期間は266日であった。4.産卵は5月~9月においては羽化後10日~20日に始まり,40日~60日にピークを形成し,その後130日頃まで続いた。1月~4月においては30日~40日に始まり,70日~100日にピークを形成し,150日頃まで続いた。5.成虫の平均寿命は4月~9月においては74日~83日,12月~7月は95日~103日であった。6.1雌当たりの平均産卵数は5月~9月産卵においては726個,1月~4月のそれは449個~510個であった。7.野外において,成虫は10月頃から翌年の3月頃までは卵を除いた全個体の20%前後を占め,6月~7月には50%前後を占めるが,8月頃になると20%前後を占めるようになる。8.室内及び野外の調査結果から,本種は主に若虫と成虫で越冬しているが,成虫は冬季でも暖かい日は産卵している。越年若虫は4月頃から羽化し,その新生成虫は5月頃から産卵を始め,沖縄島においてほぼ1年で1世代をくり返しているものと推定された。9.本種には休眠 stage がないことや上述のこと等から熱帯起源のコオロギであることが推測された。
著者
若林 隆三 伊東 義景 原田 裕介 北村 淳 杉山 元康 明石 浩司 前田 徹 戸田 直人 土屋 勇満 加藤 久智 池田 慎二 D Mark RYAN
出版者
信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター
雑誌
信州大学農学部AFC報告 (ISSN:13487892)
巻号頁・発行日
no.5, pp.107-131, 2007-03

1995年~2004年の10シーズンにわたり,信州大学演習林研究室(現AFC 研究室)では中央アルプスの山岳林標高1300~2700mの比高100m毎の15定点において,毎月積雪全層の断面観測を行った。総数500ピット(深さ平均112㎝,累計558m)のうち,密度を測った雪層数は2610層(平均厚さ15.6㎝)である。観測結果と考察の大要は以下の通りである。1.中央アルプスは厳冬期には麓から気温が低いため,標高にともなう雪質の変化が少なく,造晶系(こしもざらめ,しもざらめ)の雪が多い。多雪年には焼結系(こしまり,しまり)が増加し,寡雪年には造晶系の雪が増加する。2.標高と雪層密度の正相関は液相系のない1月2月の厳寒期に高い。3.積雪が多い厳冬期には,新雪が供給される上層と,長期間の変態を経た下層では,雪質と密度が大きく異なる。下層は圧密により密度が増大し,上層は風成雪により密度が増大する。4.上載積雪荷重と層密度との相関は,焼結系で高く圧密が顕著で,造晶系,液相介在系(氷板,ざらめ)の順に相関が低くなる。5.標高が高いほど,細粒のこしまり雪が出現する。高所では低気温と強風により吹雪で雪粒が粉砕される機会が多いことを,粒度が示している。12~2月の粒度が細かいこしまり雪では,粗いものよりも密度が高い。上載積雪荷重が小さい雪面付近でこの傾向が顕著である。したがって標高が高いほど吹雪頻度が高く,微少な結晶破片の堆積した雪面の隙間に氷の粉塵が充?され,焼結の進行によって高密度の風成雪が生まれると推定される。6.12~6月の月積雪深は標高と1次の正相関を示す(相関係数0.91以上)。一方,積雪の全層密度と標高とは中程度の1次の正相関を示す。これらの結果,毎月の積雪水量は標高との2次曲線関係で増加する。7.積雪深が50㎝をこえると,地面と接する積雪下層の平均温度は0℃に近い。
著者
西岡 俊久 小林 豊 Epstein S. J.
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.59, no.561, pp.1319-1326, 1993-05-25
被引用文献数
2

Finite element simulation was carried out for inhomogeneous elastic-plastic fracture specimens, which consist of A533B steel and HT80 steel. These two materials have considerably different yield stresses, although their elastic properties are exactly the same. The nonlinear fracture parameter, T^* integral, was extended for inhomogeneous multilayer materials. The T^* integral for inhomogeneous materials demonstrates excellent path independence, even in the stages of large plastic deformations around the crack tip and the material interface. Numerically generated moire fringe patterns are in good agreement with experimentally recorded patterns. The shapes of plastic zones appearing in the specimens reveal large inhomogeneity effects.

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著者
ブルノ ペーロン 小林 孝郎 ドナルド チェリー ヤマモト ウィルソン フレデリック アンドレス 井上 哲理
出版者
上智大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究では、機器支援学習活動を展開するための新たなCALLシステムを目指した。そのために、教室据え置き型のデバイス(「iTable」と呼称)を用いて、CEFRLが提唱する「行動中心の考え方」にそった学習活動を可能にすることを目標とした。学習者が自身の学習過程を振り返り、目標言語についての仮説を形成できるように、認知学習ストラテジーも養成できる学習システム作りを行った。
著者
秋野 晶二 林 倬史 坂本 義和 山中 伸彦 鹿生 治行
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

PC産業は、細分化された分業構造を基盤としながら、絶えざるイノベーションを特徴として成長を続けてきた。この継続的イノベーションは、部品・周辺機器産業におけるイノベーションと、そのイノベーションを方向づけるバスアーキテクチャのイノベーションとの二重のイノベーションにより実現され、それを可能にする企業内、企業間の開発・生産ネットワークが形成されてきた。ここでは製造機能、開発機能、販売機能のグローバルな分業構造が新たに見られる一方、製造機能は、規模/範囲の経済性を有効に機能させるための水平的統合・垂直的統合が見られる。
著者
鈴木 祥之 鎌田 輝男 小松 幸平 林 康裕 後藤 正美 斎藤 幸雄
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、伝統構法木造建物に高い耐震性能を与える耐震設計法、耐震補強法および新しい耐震補強用の構造部材の開発を行い、また京町家や社寺建築など文化財的木造建築物の保全・補強に役立てることを目的として、以下の研究を実施した。(1)伝統構法木造建物の耐震性能評価法の開発:E-ディフェンスで実施した京町家ならびに伝統構法木造住宅の実大振動台実験で耐震性能評価法の検証を行った。また、2007年の能登半島地震、新潟県中越沖地震の被害調査を実施し、民家、社寺建築物の構造詳細により耐震性能評価を行った。(2)木材の構造的劣化診断:木造部材の構造的劣化特性を調査し、耐久性の検査方法を確立し、構造劣化の診断法を開発した。2007年能登半島地震被害調査から腐朽・蟻害などの被害が顕著であった民家を対象に構造部材の劣化程度を調べるとともに軸組の耐震性能に及ぼす影響を調べた。(3)耐震性能設計法の開発:伝統構法木造建築物の耐震性能設計法として、限界耐力計算に基づく設計法の開発を行った。また、2007年6月に建築基準法が改正され、伝統構法の設計において非常に大きな社会問題になった。これに伴い、限界耐力計算による耐震設計法の検討を行うともに、伝統構法木造建築物の設計法の課題となっていた柱脚の滑りや水平構面の変形などの研究を進め、設計法の実用化を図ってきた。(4)既存建物の耐震補強法の開発:伝統構法木造建物に適用可能な耐震補強用の構造部材として乾式土壁を用いた小壁や袖壁やはしご型フレームの開発を行った。振動台実験などで補強効果を検証するとともに、住宅用と社寺など大型木造建築物用として実用化を図った。(5)文化財・歴史的木造建築物の保全・補強への応用:実在の寺院建築物の耐震性能を評価し、耐震補強法の開発を行い、実用化した。この耐震補強法は、有用な方法であり、多くの社寺建築物などの文化財・歴史的木造建築物に応用可能である。