著者
久能 均 黒田 克利 豊田 和弘 山岡 直人 小林 一成
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.57-60, 1991-01-25
被引用文献数
2

Erysiphe graminis の分生胞子をオオムギ子葉鞘細胞に接種した(一次菌)。さらに同一細胞上に, 別の子葉鞘上で発芽させた同菌の発芽胞子を細針で移植接種した(二次菌)。ー次菌が二次菌よりも0〜5時間早く侵入を開始すると二次菌の吸器形成率は約80%, またこの時間差が6時間以上になると約93%に上昇した。針移植した対照区の吸器形成率は約63%であったので,ー次菌の侵入によって誘導される受容性は同じ菌の二次菌にも有効であると結論された。この受容性は一次菌が吸器形成に成功した細胞でのみ誘導された。一細胞で誘導された受容性は, 一次菌が侵入を開始してから少なくとも9.5時間までには隣接細胞に移行しなかった。
著者
今田 洋三 林 公子 岸 文和 梶川 信行 高坂 史朗 浅野 洋
出版者
近畿大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

18世紀は、旧来のメディア構造が大幅に組み替えられ、新しいメディアが続々と創出される時代であった。本研究では、おもに、18世紀における日本経済の中心地であった大阪に焦点を当てて、さまざまな「発信者」と「受信者」の間を媒介するメディアの〈多様性〉と〈多層性〉を、そしてその歴史的な〈変容〉と〈組み替え〉の過程を考察することを試みた。具体的には、先行の出版都市であった京都の圧倒的な力量(仏・儒書・史書・医書等の内典・外典、和文古典類約7000点)に対して、新興都市・大阪が生み出した「大阪(上方)的」なメディアの《新しさ》を、さまざまジャンル(文芸書・実用書・市民的学芸書・戯場書・絵本・一枚刷りなど)において検証することを行なった。研究代表者・今田は、メディアの≪新しさ≫を、出版物の「指示世界」の≪新しさ≫、「著者」と「読者」の≪新しさ≫、そして、両者を統合する〈仲介者〉としての「本屋」の《新しさ》の点で分析することを試み、江戸の須原屋市兵衛と大阪の柏原屋清右衛門を比較することを通して、18世紀における出版事業の革新性を検討した。共同研究者・浅野は、石川五右衛門をめぐるさまざまな伝説を18世紀大阪におけるピカレスク・ロマン(悪漢小説)の生成という観点から検討し、また梶川は、大友皇子の伝承を18世紀の地誌類を手がかりにして考察した。同じく高坂は、ヨーロッパの天文学が本木良永や志筑忠雄といった人物によってどのように受容されたかを検討し、岸は、「各所案内記」や「名所図会」に収められたイメージの分析を通して、18世紀後期における挿絵の〈メディア的性格〉の変容について考察した。また林は、『戯場楽屋図会』の分析を通して、歌舞伎をめぐる情報とメディアについて検討を加えた。
著者
鵜林尚靖 金川 太俊 瀬戸 敏喜 中島 震 平山 雅之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.2492-2507, 2007-08-15

本論文では,コンテキストを考慮した組み込みシステム向けプロダクトライン開発手法を提案する.現状では主にシステム構成をどうするかという立場からプロダクトラインが定義されるため,システムとコンテキストの組合せによっては想定外の欠陥が生じる場合がある.本論文では,このような問題を解決するため,システムラインとコンテキストラインの2 つからプロダクト仕様を構成する方法を提案する.また,プロダクトラインの仕様をVDM++により記述する方法,およびそれらの妥当性確認方法を示す.We propose a new product line development method that takes into account the contexts of embedded systems. Most of the current approaches focus on the system configuration only. Unexpected defects might be found in a system due to conflicting combinations of the system and its contexts. In order to deal with this issue, we propose a method for constructing product specifications composed of both system and context lines. Additionally we show how to describe and validate the product line specifications using VDM++.
著者
斉田 智里 小林 邦彦 野口 裕之
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

英語教育の効果を測定・評価するために、項目応答理論(IRT)と構造方程式モデリング(SEM)の使用が有用であることを実証的に示すことができた。IRTを用いた大規模テストで高校生や大学生の英語力を測定し、英語力の大きさや変化の要因をSEMを用いて検討した。その結果,学習指導要領の変遷や入試科目の変更、大学英語教育カリキュラムの変更が、高校生や大学生の英語力に大きな影響を及ぼしていることが示された。言語プログラムにおける教育評価情報の収集・分析・評価のシステムを構築した。
著者
与謝野 有紀 林 直保子 都築 一治 三隅 一百 岩間 暁子 佐藤 嘉倫
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、経済資本、人的資本、文化資本に続く第4の資本としての社会関係資本の形成プロセスと機能について、社会的諸資源、近隣ネットワークや社会参加といったライフスタイルとの関連で理論的、実証的に明らかにしようとするものである。手法としては、質問紙調査、実験、コンピュータ・シミュレーション、フィールドワークをもちいた。また、2004年1月に面接調査法による調査を行い、ランダムにサンプル1000ケースに対して707ケースの回収をみた。日本での社会関係資本に関する本格的な面接調査は本調査が最初であり、日本の社会関係資本の状況を知る上での基礎データを提供するとともに、他の手法と補完しながら、以下の知見を最終的に得た。(1)社会関係資本の主要素として一般的信頼感に焦点を絞って解析した結果、信頼の生成メカニズムに関する現行の主要理論(「信頼の解き放ち理論」)のプロセスは、日本では一切確認されない(2)一般的信頼感の生成のためには、近隣ネットワーク、自主的な参加を前提とするクラブへの参加など、中間集団に対するコミットメント関係の形成が重要であり、これらの中間集団において醸成された個別的な信頼感は、他者一般に対する信頼感を形成する重要な基礎となる。また、この知見は共分散構造分析によるデータ解析とコンピュータ・シミュレーションによって同時に確認されており、頑健性が高い。(3)社会関係資本の形成のための投資と回収のプロセスを「社会関係基盤」概念を提出することで定式化し、さらに近畿調査データを用いて、この点を実証し、社会関係資本のセーフティーネットとしての機能と階層固定化機能の両者を確認した。(4)社会関係基盤については、フィールドワークからも投資、回収概念の高い適用可能性が確認された。これらの研究成果については、論文、著書のほか、日独先端科学技術会議(学術振興会・フンボルト財団共催)や本研究を中心に企画された第39回数理社会学会シンポジウムで報告されている。
著者
小林 満
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

絶対王政の理論的な正当化が進んだ16~17世紀、カンパネッラはキリスト教的都市国家を目指し、ブルーノも社会改革に触れたが、両者とも自由に哲学することを禁じられ迫害された。『偽金鑑識官』における原子論もガリレオを異端者と判断する原因となったが、異端審問後には、ガリレオは数学的議論として不可分者と無限について論じているものの、有限の人間の知性は無限を理解できないという慎重な態度も見せた。ガリレオ裁判後、イタリアのガリレオ派には、マガロッティのようにリベルタン的テーマにも取り組んだ者もいたが、マルケッティによるルクレティウスの翻訳は、原子論的性格のために出版を許可されなかった。
著者
佐藤 尚子 岡田 亜矢 江原 裕美 内海 成治 大林 正昭 黒田 一雄 横関 祐見子 織田 由紀子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1.女子教育の問題は、その社会におけるジェンダーのありようと深く関係していることを明らかにした。たとえば、ジェンダーギャップの少ないと言われているブラジルにおいても、女子教育の現状は問題がある。ジェンダー概念は文化の深層に根ざすため、微妙な形で表出するからである。女子教育の発展はジェンダー規範と関係があり、ジェンダー規範はそれぞれの地域や民族の文化と深い関係がある。しかし、イニシエーションや早婚など女子教育を阻害する民族的文化的背景を絶対視する必要はない。近代中国において女子の伝統であった纏足が消滅した例があるからである。2.女子教育を促進または阻害する文化のもつ意味は重大であるが、しかし、本研究は、題目にあるとおり、現在の文化的要因を越えて「社会経済開発」を考えようとした。たとえば、フィリピンでは、識字率、就学率、最終学年への到達率、教育の理解度などで性別格差がみられないと報告されている。しかし、フィリピンはまだ途上国経済から脱していない。女性と女子教育が社会経済開発に強い役割を持つことが重要である。経済開発に対する教育の貢献度を男女別で量的に比較することは困難であるし、女子教育と経済開発の関係性は複雑でもあるが、社会経済開発における女子教育の有用性については強い相関関係がある。日本でもナショナリズムの台頭時期に主に社会開発の視点から女子教育が普及した。インドでは女子教育は階層間格差によって増幅され、重層的な格差の構造を形成している。この構造を破るものは、目に見える形で社会経済開発と女子教育が結びつくことである。3.単なる人権・倫理的視点からの女子教育振興ではなく、社会経済開発という視点を入れた女子教育振興こそ、発展途上国の女子教育を成功に導くものとなると思われる。
著者
小林 嵩 品川 昭夫 市来 征勝
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.93-"131-6", 1968-02-15
被引用文献数
3

亜熱帯湿潤気候地帯にある奄美群島の主要な島である奄美大島, 徳之島, 沖永良部島, 与論島および喜界島の5つの島の土壌について1962年以来先きの琉球列島の土壌の研究に引つづき調査研究を行って来た.この内, 奄美大島および徳之島の土壌についてはすでに第2報として報告した.本報告は残りの3つの島である沖永良部島, 与論島および喜界島の土壌について地質母材を異にする土壌すなわち, 国頭礫層, 琉球石灰岩(珊瑚石灰岩), 島尻層, 古生層および火成岩として花崗岩などに由来する土壌の断面形態並びに一般理化学的性質について行った研究成積である.成績の概要を述べると次の如くである.1.土壌断面調査島尻層に由来する土壌を除いて各島の土壌は地質母材の如何にかかわらず, その表層(A属)は腐植の集積によって土色は灰褐色または暗褐色を呈し, その下層(B層)は赤褐邑, 黄褐色, 黄赤色, 赤色など赤味色の強い土色を示し, 赤黄色土の性格を示している.島尻層に由来する土壌は表層は上記と同様な土色を示しているが, 下層土は灰青色, 灰黄色など灰味色を示している.各地質母材に由来する土壊の表層は腐植の集積と植物根の発達によって, 粗しょうで, 粒状または果粒状構造をしているが, 下層は緻密で硬く, 可塑性および粘性が強く, 乾くと固結し, 塊状構造を示している.2.理学的組成各島とも各地質母材に由来する土壌はいずれも粘土にとみ, 土性はLiCまたはHCで, 多くがHCである.島尻層に由来する土壌は細砂にとみ, 土性はLiCが多い.沖永良部島の花崗岩に由来する土壌は粗砂および細砂とも多く, とくに下層に多い.土性はSLが多い.礫は各地質母材に由来する土壌はいずれも極めて少ない.粘土分は表層に少なく下層に多い傾向がある.3.化学的性質1)反応琉球石灰岩に由来する土壌には塩基性を呈するものが多いが, 同時に酸性の強い土壌も各島に多く存在している.喜界島の島尻層に由来する土壌にも塩基性を示すものと酸性を呈するものとがある.その他の地質母材に由来する土壌は殆んど強い酸性反応を示している.2)塩基置換容量沖永良部島土壌の総平均B.E.C.は表層土が15.32m.e., 下層土が12.56m.e.であり, 与論島土壌のそれはそれぞれ16.98m.e., 15.25m.e., 喜界島土壌のそれはそれぞれ20.18m.e., 19.25m.e.であって, 沖永良部島の土壌が最も小さく, 喜界島の土壌がもっとも大きいB.E.C.を示しかつ, 各島とも下層土の方が小さい.3)置換性塩基各島に分布している琉球石灰岩や喜界島の島尻層に由来する土壌には置換性塩基の含量の高いものが多く, これらの石灰飽和度は64〜74%であるが, また塩基含量の少ないものも多く, その石灰飽和度は13〜40%である.その他の地質母材に由来する土壌の石灰飽和度は12〜35%で顕著に小さい.喜界島の島尻層に由来する土壌は徳之島の泥灰岩土壌と同じく多量の置換性苦土を含んでいる.置換性加里含量はいずれの土壌も少ない.4)炭素率沖永良部島の土壌の表層土の総平均炭素率は10.6,与論島の土壌のそれは10.2,喜界島の土壌のそれは9.7で, 三島の土壌の表層土の炭素率は略同じ大きさである.これを奄美大島の12.1,徳之島の12.0に比べると小さい.土壌の炭素率は下層にゆくに従って小さくなっている.5)窒素および腐植各島の土壌の表層土の窒素および腐植の含量は平均して沖永良部島の土壌がそれぞれ0.17%, 3.14%, 与論島のそれがそれぞれ0.19%3.22%, 喜界島のそれがそれぞれ0.23%, 4.12%であって喜界島のものが顕著に多い.しかし, 前2島のそれらは奄美大島や徳之島の土壌に比べるとほぼ同程度の含量である.6)燐酸吸収係数各島の土壌の表層土および下層土の燐酸吸収係数をみると, 沖永良部島の土壌はそれぞれ590,670,与論島のそれはそれぞれ531,623,喜界島のそれはそれぞれ590,763であって, 喜界島の下層土がやや大きい値を示しているが, 他は略同じ大きさである.この値を奄美大島および徳之島の土壌の燐酸吸収係数と比べると略同じ大きさである.喜界島の島尻層に出来する土壌の燐酸吸収係数は表層土の平均が482,下層土のそれが547で, 他の地質母材に由来する土壌に比べて顕著に小さい.7)有効燐酸各島の未耕地の土壌には有効燐酸は殆んど含まれていない.ただ, 燐砿石を産する与論島の琉球石灰岩地帯の一部の土壌には未耕地土壌にも有効燐酸が含まれている.耕地土壌にはやや多量に含まれている.4.以上の如く, 与論島, 沖永良部島および喜界島の各島で特に未耕地として残されている地区の土壌の殆んどが強酸性, 塩基欠乏, 重粘質など不良な理化学的性質を持っている.従ってこれらの地区を将来農地として開発する場合は, まず土壌の不良性を改善する必要がある.このため, これらの島々に広く分布している石灰質の砂丘砂の客入は土壌の理化学的性質の改良に大いに役立ちうるもので, その活用が望まれる.
著者
藤田 英典 紅林 伸幸 酒井 朗 油布 佐和子 名越 清家 WONG SukーYin
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本研究は、日本、カナダ,アメリカ、イギリス第8カ国の国際比較共同研究「教師の専門性と教師文化に関する国際比較研究(略称:PACT)」の一環として、PACT日本チームによって行なわれたもので、学校教育及び教師の仕事の改善に資することを目的として、文献研究、エスノグラフィ調査、及び質問紙調査を行い、日本における教職の専門性と教師文化の構造・特質について考察したものである。その成果と知見は多岐にわたるが、主なものは以下の通りである。1.教師文化と教育実践に関するエスノグラフィ的研究平成6年度に1年間にわたって4地域の小・中学校各1校(計8校)でフィールドワークを行ない、教師の仕事と教師文化について考察を行った。その成果の一部は、「II.研究発表」欄に記載の論文等にまとめられている。また、その知見の一部としては、教師の仕事が多種多様な作業(ワーク)によって構成されており、それが重層的に展開していることのなかに、教職の専門性や教師の多忙感の基盤があることが明らかにされた。2.教師の生活と意識に関する質問紙調査平成7年7月〜9月に全国8都県の小・中学校教師2053人を対象に実施し、教師の生活と教師文化の構造について考察した。その成果の一部は、「II.研究発表」欄に記載の研究報告書にまとめられている。同報告書において、教師の同僚性、教職の専門性、教員集団の構造、学校の組織構造などが考察・解明されている。3.PACT国際会議等での研究成果の発表平成7年4月の全米教育学会大会(AERA)、同年同月のロンドンでのPACT国際会議等、研究成果の一部を発表した。なお、今後さらに、英文で研究成果をまとめ公表する予定である。
著者
南条 厳 小林 桂 吉田 重喜
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.111-120, 1995-01-30

梅山豚の繁殖豚の飼育及び,子豚の生産・育成を通して得た調査結果を纏めると次のとおりである。1. 梅山豚の外貌は皮膚が薄墨色で,深い皺があり,毛は疎ら,耳は大きく垂れ,体型は背幅,腰幅薄く尻は傾斜し,腿とともに厚みに欠ける。種豚の体重は成豚で雄は約170kg前後,雌は150kg前後である。性質はいたって温順である。2. 種豚に対する緑葉野菜の給与は必要不可欠ではなく,種豚用配合飼料のみでもよいことが分かった。3. 耐病性については,子豚に乾いた咳をするものがでて,剖検でも肺炎を裏付ける結果がでた。4. 成熟は極めて早く,導入間もなく分娩をした2頭の受胎月齢が4ヶ月前後であったと,推定されることからもその早熟性は,充分に窺うことが出来た。5. 発情の徴候は非常に明瞭であった。6. 母体による子豚の圧死の危険がないため,分娩柵を必要としなかった。7. 母豚の平均産子数は10.1∿15.9頭で産子豚のうち生産子豚は8.7∿14.4頭であり,母豚によってはようきひ号の様な産子の40.8%が死産という生産子成績の悪い例も見受けられた。8. 子豚の平均生時体重は,父豚も梅山豚の純粋子豚では,1.0kg弱で最小体重0.38kgの子豚も活力旺盛であった。父が金華豚では梅山豚純粋種と同程度で,父がランドレースでは純粋子豚に比して約15%程度大きくなった。9. 母豚の離乳後の発情再帰日数は4.5±0.7∿10.2±2.8日で,個体によってかなりの差がでた。雄の許容日数は1.9±0.6∿2.2±0.9日であり,妊娠期間は112.7±1.2∿115.6±1.6日であった。10. 母豚の乳頭数は16∿18でヨーロッパ改良種に比して多く,産子豚では16以上の乳頭数の子豚は,母豚4頭の総産子319頭の85.6%であった。F_1子豚では父が金華豚の場合は,純粋種と同程度かもしくは多いのに比し,父がランドレース種では平均60%弱であった。11. 例数は少ないが離乳時(35日齢),3ヶ月齢の体重は,ヨーロッパ改良種との比較でほぼ同等の発育成績を示した。又,一般に仕上げ期と見做される7ヶ月齢においてもヨーロッパ改良種と比べて遜色はなかった。
著者
紅林 秀治 兼宗 進 鎌田 敏之
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

コンピュータがプログラムで動作し, 様々な機器の動作を制御していることを体験的に学習することで, 科学的にコンピュータを科学的に理解する能力が身に付けることができることが可能になるか調査した。そのために, 独自の教材用自律型ロボットを開発し, 中学生に対する授業実践を行った。その結果, 自動制御機器や家電等, 日常利用している自動化されている機器の仕組みを類推できる能力が身に付いていることがわかった。類推の背景には, コンピュータ, 電気回路, アクチュエータ, センサー等が連動していているシステムを構成していることや, 入力に対してその情報を処理して出力している関係を理解するなど, コンピュータの役割や仕組みを科学的に理解する視点が生まれてくることがわかった
著者
木實 新一 上林 弥彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報通信倫理
巻号頁・発行日
vol.96, no.440, pp.33-40, 1996-12-21

コンピュータ上の仮想世界を示す言葉「サイバースペース」はSF小説で用いられたのがはじめであるが, 現在この言葉は我々にとって身近な存在となっている. ふだん電子メールやWWW, ネットニューズ, チャットを利用しているとき, 我々はサイバースペースにいる. 現在のサイバースペースはさまざまな問題を抱えており, それらが顕在化しつつある. しかしながら, 仮想世界と現実世界の結び付きは多種多様であるため, それらの問題を一般的に解決することは困難である. このことが顕著に表れるのが, サイバースペースにおけるレイプの問題である. 最近のネットワーク社会の問題についても触れ, 解決法についても議論する.
著者
小林 暁雄 増山 繁 関根 聡
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.12, pp.2597-2609, 2010-12-01

日本語語彙大系や日本語WordNetといったシソーラスは,自然言語処理の分野における様々な研究に利用可能なように構築されている.これらのシソーラスはその精度を保持するために,人手により,よく吟味されて構築されている.このため,新たな語を追加する際にも,よく検討する必要があり,容易に更新することはできない.一方,Wikipediaはだれでも参加・閲覧できるオンラインの百科事典構築プロジェクトであり,日々更新が行われている.日本語版のWikipediaでは,現在100万本以上の項目が収録されており,非常に大規模な百科事典となっている.このWikipediaのもつ膨大な語彙を,既存のシソーラスの名詞意味体系に分類することができれば,非常に大規模な言語オントロジーを構築することができると期待できる.そこで,本研究では,Wikipediaを構成する構造の一つであるカテゴリーを,Wikipediaの記事の冒頭文を使用し,既存の言語オントロジーの意味クラスの分類階層と連結することで,大規模な言語オントロジーを構築する手法を提案する.

2 0 0 0 階層隠れCRF

著者
玉田 寛尚 林 朗 末松 伸朗 岩田 一貴
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.12, pp.2610-2619, 2010-12-01

HMM(Hidden Markov Model)は時系列データの生成モデルとしてよく知られている.しかし,近年,HMMに対応する識別モデルであるCRF(Conditional Random Field)が提案され,多くの応用問題で有効性が示されている.HHMM(Hierarchical HMM)はHMMを一般化した生成モデルであり,時系列データの状態を階層的に表現する.我々はHHMMに対応する識別モデルとして,HHCRF(Hierarchical Hidden CRF,階層隠れCRF)を提案する.HHMMとHHCRFの性能比較のために,生成モデルと識別モデルの性質を考慮しつつ人工データ実験を行い,パラメータ学習時の訓練集合サイズが大きくなり,かつデータ生成源が非一次マルコフモデルに近づくにつれて,状態系列推定におけるHHCRFの性能がHHMMのそれよりも,より高くなることを示す.
著者
林 光緒
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

居眠り運転による交通事故、夜勤中の産業事故や医療事故など、疲労と睡眠不足による居眠り事故は枚挙に暇がない。これらの事故は生命にかかわる問題だけに早急な対処法を講じる必要がある。筆者らは、これまで日中の覚醒水準の向上を図る方法として短時間仮眠法を提唱してきた。本研究は短時間仮眠法の実用化に向けて短時間仮眠法の洗練化をはかったものである。特に最適な仮眠環境の構築と、最適な仮眠取得のタイミングを明らかにすることを目的として実施された。仮眠後には、却って眠気が強くなったり作業成績が低下したりする睡眠慣性の影響が残る。睡眠慣性は徐波睡眠から覚醒すると強くなるため、短時間仮眠後の睡眠慣性を低減させるには、徐波睡眠に達しないよう仮眠内容をコントロールすることが必須となる。そこで、短時間仮眠の睡眠内容を検討したところ、若年成人の場合は20〜30分間の仮眠でもそのうちの43%の仮眠に徐波睡眠が出現し、15〜20分間の仮眠でも23%の仮眠に徐波睡眠が出現していた。しかし、15分以内の仮眠であれば徐波睡眠は出現しなかったことから、短時間仮眠の長さは、15分以下にすることが望ましいことが明らかになった。また、徐波睡眠を含まない短時間仮眠は睡眠段階1と睡眠段階2だけで構成されているが、睡眠段階1だけでは効果がなく、少なくとも睡眠段階2が3分出現することが必須であることも明らかとなった。このときの仮眠の長さは9分間であったことから、適切な仮眠の長さは19〜15分であるということが明らかとなった。さらに居眠り運転事故の予防のために車輌で仮眠をとる場合は、シート角度(座面と背面との角度)を150度に倒すこと、仮眠時間を15分間とすることがより効果が高いことを明らかにした。入眠までに約5分かかることを考慮すると、車輌シートで仮眠をとる際は、20分間の仮眠時間を確保することが必要であることを明らかにした。
著者
米倉 迪夫 奥平 俊六 高見沢 明雄 木村 三郎 早川 聞多 林 進
出版者
東京国立文化財研究所
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1987

1.美術史研究用画像処理パッケージソフトの開発本研究で導入した画像処理システム(NEXUS6810)をパーソナルコンピュータ(NEC9801VM)より制御するソフト。NEXUS6810のもつコマンド群に習熟し、美術史研究に必要なソフトの機能を協議、画像処理の実験を重ね、ソフトの仕用案を作成した。プログラミングは、専門のソフト開発業者に依頼した。コンピュータのハード面に詳しくない美術史研究者が、研究支援の道具として画像処理技術を応用できるよう、主として次の4点に注意を払った。1)操作が手軽であること。2)画像ファイルの管理がすぐれていること。3)グラフィック及び画像処理機能が充実していること。4)研究者が手直しできる高級言語を使用していること。2.画像処理技術を応用した美術史研究の実例尾形光琳筆紅白梅図屏風(MOA美術館蔵)における制作過程と原状のシミュレーション3.画像データベース(dBASEIIIPLUSを使用)の試作文字型データベースに蓄積された文字情報とNEXUS側の画像情報とをリンクさせ、画像ファイルの検索・表示を可能にした。4.公開シンポジウムの開催本研究テーマのもとで二度の公開シンポジウムを開催し、美術史研究における画像処理技術の応用について活発な議論があった。1)第1回(10月25日) 於奈良・大和文華館西日本の美術史研究者を中心に約40名が参加。2)第2回(3月9日) 於東京国立文化財研究所。東日本の美術史研究者を中心に約60名が参加。
著者
赤堀 肇 石川 智治 小林 幸夫 宮原 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.260, pp.1-8, 1999-08-27
被引用文献数
9

我々は高度感性情報を再現できるオーディオ・システムの開発を目的に、それに必要な未知の重要な物理要因を探求する研究を行なっている。これまでの我々の研究により、ディジタル・オーディオ・システムにおける音質劣化要因の一つとして「時間伸び縮み歪み」を発見した。ディジタル・オーディオ・システムにおける時間伸び縮み歪み発生の原因の一つとしてディジタル・オーディオ・インタフェースで生じるjitterが考えられる。そこで、本稿では、ディジタル・オーディオ・インタフェースのビット・ストリーム全体にjitterを強制的に付加し、高度感性情報の再現に注目した主観評価実験を行った。実験時間の関係で、88.6ps, 886psの2種の大きさのjitterを与えてみたが、付加したjitter振幅が88.6psと微少の場合であっても、高度感性情報の再現度が大きく損なわれることが明らかになった。
著者
川中 洋祐 若林 真一 永山 忍
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.413, pp.189-194, 2009-01-22

本稿では,ネットワーク侵入検知システム(NIDS)におけるパケット検査に対するパターンマッチングのための専用ハードウェアの構成を提案する.提案する専用マッチングマシンは,NIDSソフトウェアSnortで採用されている正規表現に基づくウィルスパターン記述を入力とし,高速にマッチングを実現する.提案専用マッチングマシンは,ウィルスパターンの更新に瞬時に対応するため,回路構成がパターンに依存する従来方式のマッチングマシンと,我々が提案しているパターンを実行時に設定できるマッチングマシンで構成されている.