著者
小林 達之助 海渡 健 大坪 寛子 薄井 紀子 相羽 恵介
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 = The Journal of Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.443-449, 2009-08-01
参考文献数
20

39歳,女性.2007年5月帝王切開直後からAPTT延長を伴う出血傾向を認め当院入院.APTT71.6秒,FVIII activity 3%,FVIII inhibitor 6BU/mlであり後天性血友病Aと診断.頻回かつ大量の遺伝子組換え活性化第VII因子(rFVIIa)製剤を使用し出血症状は軽減.FVIII inhibitorには副腎皮質合成ステロイド薬による免疫抑制療法を開始したが軽快せず,cyclosporine A(CyA)を併用したところ,inhibitorは約6ヶ月後に消失した.分娩後発症の後天性血友病ではFVIII inhibitorは自然経過にて消失するとの報告もあるが,本例では早期からのステロイド薬とCyAの併用が著効を呈した.分娩後発症の後天性血友病Aはしばしば重篤な出血症状を呈するため,止血療法としてのバイパス療法の施行基準及びCyAを含めた適切な免疫抑制療法の解析が必要である.
著者
山崎 文靖 浜重 直久 浜松 晶彦 田村 明紀 楠目 修 松林 公蔵 土居 義典 小澤 利男
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.100-101, 1990-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
7
被引用文献数
3 2

症例は7年来の覚醒剤使用歴のある32才,男性, 1年半ぶりに覚醒剤使用の1日後にショック状態となり救急受診した.来院時, CPK・LDHの著明上昇と心エコー図上高度のびまん性壁運動低下がみられ,心筋炎と考え治療したが,急性期のCPK-MBは2%のみであり,全身状態改善後壁運動は著明に改善した.覚醒剤の急性中毒による横紋筋融解・心筋障害・脱水などがあいまって,特異な病像を呈したものと考えられた.
著者
高橋 仁 柴田 智 田口 隆信 岩野 君夫 小林 忠彦
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.447-455, 2010-11-15 (Released:2011-01-06)
参考文献数
30
被引用文献数
2 1

We developed “Akita-sake-komachi”, which is the rice cultivar suitable for brewing. The refined sake produced from “Akita-sake-komachi” is characterized by the taste of refined sweetness and a light finish. We tried to make “Akita-sake-komachi” local branding. In order to make “Akita-sake-komachi” of high quality, we developed a cultivation method, which enabled us to get grains with low protein content, low expression of white-berry and less crack. Since the protein of “Akita-sake-komachi” had little glutelin, it was recognized that the peptidase activity of koji (malted rice) was stronger, but that there was little amino acid generation from the steamed rice. To develop a new type of sake of “junmai-shu” using the property of “Akita-sake-komachi”, the Aspergillus oryzae “Gin-aji” was selected. The peptidase activity of the koji used by “Gin-aji” was less with “Akita-sake-komachi”. And the yeast “Akita-kobo No. 12 and No. 15” were selected for producing the “Junmai-shu” which fit to “Akita-sake-komachi” and the Aspergillus oryzae “Gin-aji”, and we commercialized “Akita-sake-komachi” brand “junmai-shu”. Accodring to the result, the product amount of the rice “Akita-sake-komachi” increased to about 2 times (2009/2005), and the shipment amount of the “Akita-sake-komachi” brand sake increased to (2009/2005) more than 3 times.
著者
棚瀬 康仁 吉元 千陽 重富 洋志 小林 浩
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

子宮内膜症性嚢胞と子宮内膜症関連卵巣癌において、CD44v9とDNA損傷マーカーである8-OHdGについて免疫染色を行った。卵巣癌を合併した子宮内膜症においてはCD44v9の発現は低下、8-OHdGは発現が上昇していた。また、8-OHdGとCD44v9の発現には負の相関を認めた。CD44v9と8-OHdGの発現の変化が、子宮内膜症の悪性転化と関連している可能性が示唆された。またCD44v9を発現している卵巣明細胞癌細胞株に、抗癌剤とシスチントランスポーター(xCT)阻害剤の併用実験を行ったところ、細胞増殖能は相対的に低下した。xCT阻害剤の併用は、抗癌剤感受性を高める可能性が示唆された。
著者
小林 節
出版者
ベストブック
雑誌
Verdad
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, 2017-02
著者
平林 由果 片瀬 眞由美 渡辺 澄子 栗林 薫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.93, 2003 (Released:2004-05-25)

【目 的】制服にローファーを履いて通学する女子高校生の姿をよく目にする。ローファーは歩行に適した靴とは言えない。それにも拘わらず、ローファーを履いている高校生が多いのはなぜだろうか。そこで、高等学校における通学靴の現状を把握するため、生徒指導教諭と女子高校生を対象にアンケート調査を実施した。【方 法】調査1:愛知県下の全高等学校(男子校を除く)218校に調査用紙を送付し(郵送調査法)、通学靴に関する規定の有無とそれに関連する着衣や持ち物などに関しての規定について調査した。調査は2002年7月に実施し、127校(58.3%)から回答を得た。調査2:調査1の結果から、通学靴を指定している高等学校に対し、指定されていることに対する女子高校生の意識を尋ねる調査を実施した(自記式集合調査法)。調査時期は2002年12月、有効回答数は759であった。【結果および考察】調査1:通学靴を「指定している」高校は13%であり、すべてがローファーを指定していた。「規定を設けている」は61%であった。指定や規定を設けている理由としては、「制服との調和」、「高校生らしさ」などが多く挙げられていた。調査2:回答した高校生の67%が指定されているローファーを気に入っていた。指定靴に関して「制服との調和」、「色」は、ほぼ80%が満足していると回答したが、「価格」、「個性の表現」では、50~60%が不満足と回答した。指定靴がない場合でもローファーを履きたいというものは64%を占めており、靴を選ぶ第1の基準が「色・デザイン」であるという高校生の実態と関連していると思われる。
著者
川野 義武 宮崎 哲哉 豊田 貴信 堀 恵輔 竹島 里香 林 良文
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第27回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.160, 2011 (Released:2011-12-22)

【目的】中枢神経系患者における体幹機能へのアプローチは重要である。この方法の一つとして、ストレッチポール(以下SP)を応用したアプローチの展開が進んでいる。日本コアコンディショニング協会(以下JCCA)の推奨するコアリラクゼーション、コアスタビライゼーション、コアコーディネーションの段階に基づくコアセラピーは、脳卒中片麻痺患者の治療にも十分応用可能な概念である。コアセラピーについて、健常者や運動器疾患を対象とした各関節アライメントの変化と下肢筋力や下肢協調性、柔軟性等の先行研究は存在するものの、脳卒中片麻痺患者を対象とした研究は未だ少ない。そこで今回、脳卒中片麻痺患者に対して、ストレッチポールを用いたコアセラピーが立位制御機能に及ぼす影響を検討することを目的に、アプローチ前後の重心動揺を測定し、若干の知見を得たので報告する。【方法】対象は、当院回復期病棟に入院中の脳卒中片麻痺患者6名(年齢58.2歳±8.4、右片麻痺3名、左片麻痺3名)とした。取込基準は、支持なしでの開眼、閉眼での立位保持が30秒以上可能な者とした。介入内容はJCCAが提唱するベーシックセブンによるコアリラクゼーションプログラムから抜粋した7項目と、ストレッチポール上でのコアスタビリティープログラム6項目を加えたエクササイズ(以下SP-Ex)、計13項目とした。実施時間は合計10分以内とした。なお基本姿勢の保持ならびに動作遂行に関して、随時必要な徒手的介入を施した。測定には重心動揺計(酒井医療株式会社製ActiveBalancerEAB-100)を用いた。条件として、裸足にて両足部の内側縦アーチ頂点間を20cm離した立位を設定基本肢位とし、静的立位で開眼、閉眼を各15秒間、アプローチ前後に各々1回ずつ測定した。測定指標は総軌跡長、外周面積、矩形面積とした。統計的手法にはWilcoxonの符号付順位和検定を用い、有意水準5%にて比較検討した。なお被験者には研究の趣旨と個人情報の取り扱いに関し、書面にて十分に説明。同意を得た上で研究に参加していただいた。【結果】開眼時では、アプローチ前後の総軌跡長・外周面積・矩形面積において有意な変化は認められなかった。症例毎では、総軌跡長にて3例に減少傾向、残り3例に増加傾向が認められた。外周面積と矩形面積について、2例で減少傾向、残り4例に増加傾向が認められた。一方、閉眼時では、総軌跡長・外周面積・矩形面積いずれにおいても有意に減少しており(p<0。05)、6例とも減少傾向が認められた。【考察】閉眼で総軌跡長、外周面積、矩形面積の減少を認めたことは、重心動揺の振れ幅を制御できるようになったと解釈できる。今回の対象者は一側性の片麻痺患者を介入対象としており、視覚情報の遮断から、開眼時とは異なり脊柱や脊柱起立筋群、足底などの接地面の固有受容器感覚を含む感覚入力が正中位指向の改善に影響したのではないかと考えられる。またSP-Exによるコアスタビリティーの向上に加え、SPという不安定な場面でのベーシックセブンは体幹の不安定性のある片麻痺患者に対して、コアスタビリティーとしてもすでに作用し、筋出力の向上につながったのではないかと考えられた。 一方、開眼時よりも閉眼時において、アプローチ前後の静的立位バランスは改善傾向にあった。この要因として、対象者特性を考慮すると亜急性期から回復期に属する片麻痺患者であり、視覚からの情報に対して何らかの情報処理エラーが生じやすく、閉眼時よりも開眼時ではコアの安定性による影響が反映されにくいと考えた。【まとめ】今回片麻痺患者に対し、ストレッチポールによるコアリラクゼーション・コアスタビライゼーションを中心としたアプローチを実施し、静的立位バランスへの即時的効果を検証した。結果、閉眼時の重心動揺指標は有意に減少しており、静的な立位制御機能に対して、足底からの固有受容器感覚を含む感覚入力や正中位認識の改善が期待できるのではないかと考えた。 日常遂行される動作は視覚情報を取り入れながらのものとなるため、今後は視覚情報と固有感覚器感覚とのリンク可能なアプローチ方法を考え、実施することが必要と考えられた。また今回の研究から、多様な症状を示す脳卒中片麻痺患者を対象とする際には、感覚機能やUSNの有無、麻痺の程度などの特定したグループのデータ収集も必要と考えられた。
著者
林 利彦
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.113-120, 1986-06-15 (Released:2016-09-02)
被引用文献数
4 4

ハヤトビバエ科のハエ類は食糞性・食腐性で, 人類親和性のものが多く知られている。しかし日本において報告されている種は少ない。著者は日本産のハヤトビバエ類を調べ, 人間の生活している環境内で世代が繰り返されたり, 家畜の糞などと密接な関係をもった種を本論文において扱った。また倉橋・三原(1983・1984学会発表)は2種の海岸性ハヤトビバエの大量発生による不快害虫化を報告している。そのため海岸に生息する4種も本論文に含めた。以上の結果から, 37種と3種群を人類親和性および衛生上重要と認め, 検索表を付した。
著者
青木 志保 島田 誠 井上 克己 永田 将一 斎藤 克幸 小川 雄一郎 松原 英司 前田 智子 菅原 基子 林 圭一郎 松本 祐樹
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.287-290, 2012-06

We report a case of vesical endometriosis that worsened during the early pregnancy period. A 37-yearold woman had been under treatment for endometriosis (including vesical endometriosis) by a gynecologist during the past 10 years. She was treated for sterility 1 year ago, and became pregnant through in vitro fertilization. In her 8th gestational week, she complained of gross hematuria at our hospital. Cystoscopic findings revealed some tumors that appeared worse than the last findings two years ago. In order to deny malignancy, transurethral resection of the bladder tumor was performed in her 12th gestational week. The pathologic diagnosis was endometriosis. She was able to stay pregnant, and delivered a girl. After delivery, cystoscopic findings revealed reduction of tumors. In most cases pregnancy cures endometriosis ; however, in this case symptoms became worse during the early stage of pregnancy. The reason for this contrary event is discussed.
著者
小林 裕一郎
出版者
広島国際学院大学現代社会学部
雑誌
現代社会学 (ISSN:13453289)
巻号頁・発行日
no.12, pp.3-17, 2011

本稿では、ハンナ・アーレントの初期の著作である『全体主義の起原』における全体主義的な暴力の過程を整理する。アーレントは、20世紀を代表する思想家である。彼女は全体主義の時代をヨーロッパで生きたユダヤ人であり、アメリカに亡命してからは全体主義についての考察をおこなっている。その成果が本稿で対象とする『全体主義の起原』である。今回は本書を分析するために、反ユダヤ主義、ナショナリズム、大衆という全体主義の3 つの要素に着目し考察を進める。これら3 つの要素は、相互に関連しながら全体主義を形成していく。本稿では、こうした要素を中心に歴史的な形成過程をたどりながら、全体主義と反ユダヤ主義との関連を整理る。そして最終的にアーレントの全体主義的な暴力論を示すことを目指す。Diese Studie ist über die Theorie der Gewalt von Hannah Arendt. Unter Theorie der Gewalt versteht jeder etwas anderes. Aber ich erforsche diese Theorie als die Theorie des Totalitarismus.Arendt ist eine repräsentative Denkerin des 20. Jahrhunderts. Berühmt ist sie durch ihr Werk "Elemente und Ursprünge totaler Herrschaft". Dadurch gilt sie als Begründer der Theorie des Totalitarismus. Sie war als eine Jude in Deutschland geboren. Die erste Hälfte dieses Jahrhunderts war ein gewalttätiges Jahrhundert. Sie sah sich mit Schwierigkeiten konfrontiert, weil die totalitäre Gewalt damals die Welt herrschte.Es gab totalitäre Systeme von altes her, so untersuchte sie geschichtliche Ursprünge und Elemente. Die Problematik des Totalitarismus ist wichtig. Aber es ist auch heute schwer zu lösen. Sie ist in vieler Hinsicht nicht ganz gelöst. Der Totalitarismus ist gegen Zivilisation und widermenschlich. Die zukünftige Menschheit hängt von dieser Lösung ab. Einen rein ideologischen Totalitarismus gibt es nicht. Er erscheint in Zusammenhang mit anderen. Ich erforsche diesmal Hannah Arendt nach den Totalitarismus in Zusammenhang mit Nationalismus, Massensteuer, Antisemitismus. Besonders möchte ich die Beziehungen zwischen dem Totaritarismus und Antisemitismus klarmachen.