著者
林 勇吾
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.79-88, 2018-02-25 (Released:2018-02-25)
参考文献数
31

This study investigated how pedagogical conversational agents can facilitate learner-learner collaborative learning during a knowledge integration task. The study focused on how knowledge integration activity can be facilitated by using multiple Pedagogical Conversational Agents (PCAs). The current study investigated the effective design of the PCA using the modality such as using gaze gestures along with the verbal facilitation prompts. In a controlled experiment, dyads were accompanied by multiple PCAs programmed to facilitate explanation activities in a knowledge integrating task. Two eye-trackers were used to detect learning process of leaners who used different type of knowledge and perspective. The results show that learners who received facilitation from the PCAs about integrating different perspectives performed better on the task, and if they received gaze gestures, they tended to focus on the relationship of different knowledge as well. Additional results on eye-tracking analysis show that learners performed better when they focused at their partner ’s different knowledge after looking at the PCAs'’ gaze. These results provide new implications on designing learning support systems and shows how embodied information such as gaze gestures of PCAs may play an important role in collaborative learning.
著者
大西 正光 小林 潔司 中野 秀俊
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_231-67_I_242, 2011 (Released:2012-12-28)
参考文献数
16
被引用文献数
2

民間資金を活用して,インフラストラクチャーの建設及び維持管理運営を行うPPP (Public-Private Partnership)は世界的な潮流となっている.PPP事業における資金調達先も多様化する中,イスラーム金融が果たす役割が大きくなっている.本研究ではイスラーム金融の発展がPPP投資に与える影響を分析するため,イスラーム金融における金利決定メカニズムを明示的に表現したイスラーム金融市場モデルを定式化する.その結果,イスラーム金融の利益配分率(疑似利子率)は,預金,貸出の両市場において,通常金融の利子率よりも小さくなることが示された.さらに,預金者のイスラームに対する自覚が高まるほど,疑似貸出利子率が低下する一方,イスラーム金融に伴う取引費用が軽減されれば,疑似貸出利子率が増大することが示された.
著者
成林 晃 南里 豪志 天野 浩文
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2016-HPC-155, no.34, pp.1-9, 2016-08-01

近年,大規模化する並列計算機において,集団通信による通信時間の影響を減らす手法として,非ブロッキング集団通信による通信時間を計算時間で隠蔽する高速化手法が注目されている.非ブロッキング集団通信において,計算と並行して通信を進めるための実装の一つに,スレッドを用いる手法がある.これは progress thread と呼ばれる,通信専用のスレッドを利用するものであり,この手法は他の実装に比べ,利用が容易で,かつ通信を隠蔽しやすいという特徴がある.現在,この手法による非ブロッキング集団通信の実装を選択できる MPI ライブラリはいくつかあるものの,通信隠蔽の効果が十分検証されておらず,実用性が不明である.そこで本稿では,それらの実装による通信時間隠蔽の効果を調査した.実験の結果,メッセージサイズが小さいと progress thread を利用することによるオーバヘッドによりかえって遅くなる場合がある,等の傾向を確認できた.
著者
角甲 純 大園 康文 小林 成光 關本 翌子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.115-120, 2018 (Released:2018-03-23)
参考文献数
15

【目的】デスカンファレンスで話し合われた内容を明らかにする.【方法】2012年5月〜2014年11月までの期間に,国立がん研究センター東病院の緩和ケア病棟で行われたデスカンファレンス60件について,診療録およびデスカンファレンス実施時の記録用紙を後ろ向きに調査し,内容分析を行った.【結果】期間中に行われたデスカンファレンスから,170単位のデータを抽出した.最終的に5つのカテゴリーに分類し,[ケア対象としての家族を支える][患者の思いを汲み取り大切にする][症状を緩和し苦痛を取り除く][医療者間における連携の大切さを実感する][患者との関わりに苦慮する]とした.【結論】デスカンファレンスは,さまざまな視点と方向から支援を振り返る有用な機会であることが示唆された.
著者
林 美鈴 幾世橋 美由紀 渕辺 誠 垣花 学 上原 健 宮城 淳
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.19-24, 2018

<p>症例は83歳,女性.胸腔鏡補助下右上葉切除術および右中葉部分切除術を施行された.ダブルルーメンチューブ(DLT)を挿管する際,挿入抵抗があった.術中32Fr左用DLTを使用して分離肺換気を行い手術終了後抜管した.術当日は呼吸状態に異常を認めなかったが,術翌日より体動時の喘鳴を認め,術後3日目に高度の声門下狭窄による呼吸不全が進行し再挿管した.DLT挿管による気道損傷は数多く報告されているが,今回われわれは遅発性に声門下狭窄をきたした症例を経験した.DLTと気管支ブロッカーの比較や,抜管後上気道狭窄の評価・治療に関する文献的考察を加えて報告する.</p>
著者
野林 厚志 Nobayashi Atsushi ノバヤシ アツシ
出版者
弘文堂
雑誌
新・食文化入門. 森枝卓士, 南直人編. 弘文堂, 2004, p.134-151
巻号頁・発行日
pp.134-151, 2004-10-15 (Released:2017-03-06)

新・食文化入門
著者
藤崎 洋子 島瀬 初美 五十嵐 隆夫 山田 康子 小林 收 佐藤 尚
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.668-677,692, 1976
被引用文献数
3

マツ花粉飛散の多い新潟市に約20年間居住した後発症したマツ属花粉症の2症例を報告した.2症例はマツ属のほかイネ科, ヨモギ属の複合感作をうけているが, 毎年マツ飛散期に一致した4月より6(7)月まで眼, 鼻症状がおこり, クロマツ, アカマツが主要抗原であると診断し, 各花粉液による減感作両療法で著効をえたものである.症例1の皮内反応はクロマツ10^<-3>液でlateの反応を示し, 症例2の皮内反応陽性閾値はアカマツ10^<-5>であった.症例1のP-K反応は8時間後に最大となる皮膚反応を示し, 症例2のP-K反応は陽性であった.2症例ともマツによる鼻粘膜試験は陽性, 結膜試験は陰性であった.新潟市におけるマツ属花粉飛散期間は4月ないし6(7)月で, 5月初旬に最高飛散となる.新潟県内居住の小児気管支喘息患者について皮内反応を行い, クロマツ1.6%, アカマツ1.7%の陽性率をえた.また両者の共通抗原性は特に認められなかった.これらの結果から, マツ属花粉は抗原性が弱いとはいえわが国における花粉症抗原の1つとして検索をすすめるべきものと考えられる.
著者
代市 拓也 奥野 厚志 若林 康夫 越川 尚男
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.707-710, 2014 (Released:2014-09-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

症例は78歳,男性.虫垂腫瘍の診断で,術中所見から悪性を疑い回盲部切除術(D3)を施行した.切除標本では虫垂は横径6 cmと腫大し内腔に白色ゼリー状物質が充満していた.病理検査では中等度の核異型を示す高円柱状の細胞が単層性および小乳頭状に増殖し,一部粘液が漿膜にまで及んでおり,WHO分類に基づきLow-grade appendiceal mucinous neoplasm (LAMN)と診断された.LAMNは組織学的には良性と思われても腹膜偽粘液腫をきたし得るなど臨床的に悪性の性格を示すため,WHO分類では悪性腫瘍に分類され,大腸癌取扱い規約第8版においても低異型度虫垂粘液性腫瘍として新たに分類された.LAMNの治療法に関しては明確なガイドラインは存在しないが,潜在的に悪性であることを考慮すると,十分なマージンを確保した外科的切除を行いつつ,術後の厳重な経過観察が必要であると思われた.
著者
片岡 洋平 渡邉 敬浩 林 恭子 小澤 蘭 滝澤 和宏 穐山 浩
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.275-280, 2017-12-25 (Released:2017-12-28)
参考文献数
9
被引用文献数
4

ミネラルウォーター類(MW)製品中の六価クロム分析法を構築し,その性能を評価し妥当性を確認した.さらに定量下限値を推定した本法を用いて,2016年に市場流通していたMW類150製品における六価クロム濃度の実態を調査した.実態調査に併せて分析した添加試料からは93~107%の範囲で回収率が得られ,妥当性確認した分析法の適用性が高いことが示された.調査した150製品のうち65製品から六価クロムが検出され,検出率は43%であった.また,検出された濃度の最小値は0.0001mg/L,最大値は0.0019mg/L,中央値は0.0003mg/Lであった.0.0001~0.0002mg/Lの範囲で六価クロムが検出される製品数が最も多かった.本研究において実施した実態調査では,食品衛生法により設定されている規格値(0.05mg/L)を超過する濃度で六価クロムが検出される製品は発見されなかった.
著者
藤森 俊二 高橋 陽子 江原 彰仁 小林 剛 瀬尾 継彦 三井 啓吾 米澤 真興 田中 周 辰口 篤志 坂本 長逸
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1, pp.50-57, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
15
被引用文献数
3

原因不明消化管出血(OGIB)は,原因検索追求の程度・再発性の有無により多種の消化管病変を含む.本邦では上下部消化管内視鏡を施行して原因が不明な消化管出血をここに含むことができるが,出血源が上下部内視鏡で検索が困難な小腸に存在するとは限らない.小腸内視鏡の進歩により50%近いOGIBの出血源を発見・診断・治療可能になった.同時に非ステロイド性抗炎症薬服用OGIB患者の出血源が高率に小腸潰瘍性病変であることが明らかとなり対策が求められている.
著者
平川 史央里 白仁田 秀一 小栁 泰亮 堀江 淳 林 真一郎 渡辺 尚
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0749, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】The Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease(GOLD)が報告しているCOPDに対する呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)のエビデンスにおいて,不安や抑鬱の軽減はエビデンスAと強い根拠を示している。当院においても3ヵ月間の呼吸リハを施行したCOPD78例に対し,HADS鬱の点数は初期が6.8±3.1点から3ヵ月後は5.1±3.0点(p<0.01)で,また,HADS鬱疑いである8点以上の割合も初期が38%から3ヶ月後は22%(p<0.01)と有意な改善が認められた。しかし,鬱疑いのあるCOPDは22%も継続されていることは課題である。そこで今回,鬱が改善した群と改善しない群の諸項目の変化量の比較と変化量の影響因子の検討をする事で鬱改善はどのような項目のリハ効果に影響しているのか調査した。【方法】対象はHADSが8点以上の鬱疑いのある外来COPD30例(年齢:71.8±10.6歳,BMI:22.2±4.3,%FVC:80.0±26.7%,%FEV1.0:60.0±29.9%,modified Medical Research Council scale(mMRC):2.4±1.1,COPD Assessment Test:19.3±8.9点)中,呼吸リハ実施3ヶ月後にHADSが8点未満になった(鬱改善群)13例,HADSが8点以上のままだった(鬱非改善群)17例とした。検討する項目は,症状検査はmMRC,生活範囲検査はLife Space Assessment(LSA),身体活動量検査は国際標準化身体活動質問票(IPAQ),身体機能検査は膝伸展筋力/体重比(%膝伸展筋力)と6分間歩行距離テスト(6MWT),QOL検査(St. George's Respiratory Questionnaire(SGRQ)とした。統計解析方法は,鬱改善群と鬱非改善群の諸項目の変化量の比較を対応のないt検定を用い,また,HADSの点数の変化量と諸項目の変化量の関係をpearsonの積率相関を用いて分析した。なお,帰無仮説の棄却域は有意水準5%とし,解析にはSPSS ver21.0を用いた。【結果】2群間の実測値と比較結果は,改善群vs非改善群の順に⊿mMRCは-0.5±0.7vs-0.4±0.6(p=ns),⊿LSAは+13.2点±11.4vs+0.4±12.5点,⊿IPAQは+164.9±206.4vs+48.4±366.7(p=ns),⊿%膝伸展筋力は+9.0±11.7%vs+6.3±9.4%(p=ns),⊿6MWTは+44.6±56.1mvs+38.2±37.3m(p=ns),SGRQは-7.0±10.9vs-0.7±7.1(p<0.05)であった。⊿HADSとの相関分析の結果は,⊿mMRC(r=0.05),⊿LSA(r=-0.48),⊿IPAQ(r=-0.27),⊿%膝伸展筋力(r=0.33),⊿6MWT(r=0.12),⊿SGRQ(r=0.05)で有意差が認められたのはLSAだけであった。【考察】鬱改善群は非改善群より,生活範囲や外出の頻度,QOLの改善が高かった。その他の身体活動量,症状,身体機能は両群ともに同量の改善を示した。また,HADSの変化量には特にLSAの変化量の影響を受ける事が示唆された。鬱軽減に対して,身体活動や身体機能の改善ではなく,外出頻度向上させることが重要となることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】本研究は,COPDの鬱改善に関わる検討であり,COPDの鬱に対する呼吸リハの効果を客観的に示した研究である。本研究結果は鬱に対する呼吸リハプログラムのアセスメントとなる研究である。
著者
林道春
出版者
巻号頁・発行日
vol.[2],
著者
小林 真朝 麻原 きよみ 大森 純子 宮﨑 美砂子 宮﨑 紀枝 安齋 由貴子 小野 若菜子 三森 寧子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.25-33, 2018 (Released:2018-02-10)
参考文献数
14

目的 公衆衛生看護の倫理に関するモデルカリキュラム・教育方法・教材開発のために,全国の保健師養成機関における倫理教育に関する実態を把握することを目的とした。方法 全国の保健師養成機関(専修学校(1年課程の保健師養成所,4年課程の保健看護統合カリキュラム校),短大専攻科,大学)229校に質問紙を送付し,公衆衛生看護教育を担当する教員に回答を求めた。 質問紙の内容は,回答者および所属機関の属性や保健師資格教育の形態のほか,公衆衛生看護の倫理の独立・関連科目の有無と導入予定,公衆衛生看護以外の倫理科目,公衆衛生看護の倫理を学ぶことの重要性や望ましい対象など,担当できる教員の有無やその研修の必要性,教育にあたって必要な資源,公衆衛生看護の倫理として扱う内容などを尋ねた。回答は変数ごとの記述統計量を算出するとともに,自由記載の内容分析を行った。結果 全国の保健師養成機関に質問紙を送付し,89校(回収率38.9%)から回答を得た。保健師養成機関の内訳は大学78.7%,短大専攻科4.5%,専修学校9%であった。公衆衛生看護の倫理の独立科目はなく,9割近くは導入予定もなかった。42.7%が科目の一部で公衆衛生看護倫理を扱っていた。公衆衛生看護倫理を学ぶ重要性については「非常に重要・ある程度重要」を合わせて9割であった。58.4%が保健師教育において公衆衛生看護の倫理に関する授業を必須化する必要があると回答したが,倫理教育を担当する教員については4割以上が「いない」と回答した。教員の研修は8割以上が必要と答え,必要な研修形態は「専門職団体や学会などによる学外研修」が8割と最も多かった。必ず行う必要があると思われる公衆衛生看護の倫理教育の内容の上位は「公衆衛生看護実践者としての職業倫理」,「健康と基本的人権」,「個人情報とその保護」,「公衆衛生看護における倫理」,「公衆衛生看護における倫理的自己決定」であった。結論 公衆衛生看護倫理教育はその必要性は高く認識されているものの,実施率は低かった。モデルカリキュラム,教材,教授できる教員が不足していること,教授が必要とされる公衆衛生看護の倫理の教育内容が体系化されていない現状が明らかになった。公衆衛生看護倫理の定義の合意形成と,モデルカリキュラムと教育方法,教材の開発,教員の養成が急務であると考えられた。