著者
梶原 克彦
出版者
愛媛大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

第一に基礎研究として、主に現代ヨーロッパにおける少数民族問題と移民問題の事例と対策、理論的アプローチの整理を行った。第二に帝政期から大戦間期における国家イメージの研究を行い、その成果の一部を公表した。第三にこれらの問題に関し、ウィーンにおいて資料収集を行った。資料は (1)国家形態、(2)文化的属性とその経済的意味合いに従って体系的に収集した。第四に比較・共同研究への展開である。2012年1月に本研究代表者は、「国際秩序変動期の「併合経験」に関する比較研究」研究会を行った。また2013年6月にはドイツ現代史研究会において大戦間期オーストリア国民意識に関して報告し、比較研究へ向けた視座を得た。
著者
飯田 拓也 梶山 朋子 大内 紀知 越前 功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.45, pp.199-204, 2012-05-15
被引用文献数
3

書籍の表紙は直観的に本のイメージを与えるだけでなく,書籍購入前の検索や購入後の本棚散策では大きな指標となっている.本研究では,読者の印象を反映させた書籍表紙画像を自動生成するための第一段階として,内面的な性質や状態を表す形容詞と色の関係性に着目したデータベースを構築し,書籍本文と感想文から表紙色の抽出を試みた.被験者20人に感想文と表紙画像を描画するタスクを与え実験を行った結果,本手法は文章量に依存せず,小説において読者の描いた表紙画像色との一致率が高く,実際に出版されている書籍の表紙よりも読者の印象を反映できることを確認した.
著者
梶原 羊一郎
出版者
静岡大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

勝負手探索の理論的考察を深め,従来の相手モデル探索[Iida 1993]で必要とされる相手プレイヤに関する詳細なモデルが得られない状況でも勝負手探索が可能となるアルゴリズムを考案した。ここでいう相手の詳細なモデルとは,相手の棋風に相当するが,対戦者が計算機である場合には,評価関数や先読みの深さなどを意味する。主たるアイデアは,最善応手手順周辺の探索ノード数が最大化するようにすることで局面の複雑化をはかることである。AND/OR木探索の視点では,証明数が大きな値となるような変化に誘導することに相当する。こうすることで劣勢において,相手は最善を選択するのが最も困難な状況になることが期待できる。複雑なゲームでは,提案するアイデアを適用することで,特別な相手のモデルを得ていなくても,自然な意味での勝負手を行うことができる。これまで劣勢の大小に関係なく,通常のミニマックスのセンスで着手を選択すると,全体的レベルにそぐわない奇妙な指し手を選ぶのが計算機の大きな特徴の一つであった。しかし,今回の研究成果により最後まで勝負手を放ち,計算機が人間エキスパートのような振る舞いを示すことが可能となったと言える。通常の意味での探索アルゴリズムや評価関数の調整を実施して将棋プログラムを作成し,世界選手権などに参加し,その成果を評価した。世界大会で二次予選を2位で予選通過し決勝へと進むことができた。たくさんの試合を行う大会では,優勢な試合を確実に勝ち,劣勢において逆転の可能性を最大化することが欠かせない。そのような意味で,大会の成果は本提案アイデアの有効性を示している。
著者
大沼 進 北梶 陽子
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.5-16, 2007
被引用文献数
1

<p>社会的ジレンマ構造に,利得や情報の非対称性,フローの一方向性,信頼ゲームなどの要素を取り入れた「産業廃棄物不法投棄ゲーム」を開発した.このゲームは五つの異なる利得を持つプレーヤーからなり,利益と産業廃棄物を生み出す排出事業者,産業廃棄物の量を減らす中間処理業者,埋め立て処理をする最終処理業者,産業廃棄物を運搬する一次収集運搬業者および二次収集運搬業者が存在する.いずれの業者も,協カ(適正処理や処理委託)と非協力(不法投棄)を選択できる.8ゲームを実施し,次の結果が得られた.①フェイズを追うごとに不法投棄が減った.②処理フローの下流に行くほど不法役棄が多かった.③排出事業者は罰金やゲーム後の費用負担を恐れて委託金を低く抑える傾向があり,その結果,下流で適正処理費用が不足し不法投棄が増え,多くの費用を負担しなければならなくなった.④業者間の評価では,接触できないプレーヤーに対して信頼が低く,逆に,接触できるプレーヤーに対しては比較的信頼していた.</p>
著者
大沼 進 北梶 陽子
出版者
日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.5-16, 2007-07
被引用文献数
1

社会的ジレンマ構造に,利得や情報の非対称性,フローの一方向性,信頼ゲームなどの要素を取り入れた「産業廃棄物不法投棄ゲーム」を開発した.このゲームは五つの異なる利得を持つプレーヤーからなり,利益と産業廃棄物を生み出す排出事業者,産業廃棄物の量を減らす中間処理業者,埋め立て処理をする最終処理業者,産業廃棄物を運搬する一次収集運搬業者および二次収集運搬業者が存在する. いずれの業者も,協力(適正処理や処理委託)と非協力(不法投棄)を選択できる.8ゲームを実施し,次の結果が得られた.①フェイズを追うごとに不法投棄が減った.②処理フローの下流に行くほど不法投棄が多かった.③排出事業者は罰金やゲーム後の費用負担を恐れて委託金を低く抑える傾向があり,その結果,下流で適正処理費用が不足し不法投棄が増え,多くの費用を負担しなければならなくなった.④業者聞の評価では,接触できないプレーヤーに対して信頼が低く,逆に,接触できるプレーヤーに対しては比較的信頼していた.The"Industrial Waste Illegal Dumping Game" is based on a simulated social dilemma structure with aspects of asymmetry of incentive and information,one way flow of waste,and trust game. There are five different types of players in this game: the producing industries who produce money and waste; the mid-process industries who can reduce waste; the terminal industries who reclaim waste in landfill; the first and the second carriers who convey the waste. All players have to make decisions between cooperation (appropriate disposition and commission) and non-cooperation (illegal dumping). Eight games were conducted and the following are the results obtained: 1) Illegaldumping decreased over phases. 2) The players in downstream of the waste flow did more illegal dumping. 3) The Producing industry did not pay enough money to allow appropriate disposition,because they feared paying for potential fines and environmental restoration after all sessions are completed. Lack of initial spending money brought about more illegal dumping,causing later defrayment of greater costs. 4) Players who could not move were likely to be evaluated as less trustful,while those who could move were likely be evaluated as trustful.
著者
佐々木 宣介 梶原 羊一郎 飯田 弘之
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:09172246)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.327-334, 2000-12-15

It is supposed that HEIAN SHOGI is an ancient variant of the MODERN SHOGI (Japanese CHESS). When two experienced players play a game of HEIAN SHOGI, they often reach a 'King-and-Gold vs King'endgame. This paper presents the results of computer analyses of this 'King-and-Gold vs King'endgame to explore the evolutionary changes of the characteristics of games. The analyses were done in the various sizes of square board. The loop positions, that are included neither in the winning position of 'King-and-Gold'side nor in the obvious draw positions, appear in larger than 11×11 board, and these loop positions account for above 80% of all positions. And the number of steps of the longest position-to-mate approach to a certain value. These results mean that the characteristics of games radically change in the different size of the board. It is hoped that these results give us important suggestion to suppose why the ancient SHOGI variant changes to 9×9 board (MODERN SHOGI).
著者
今井 佐恵子 梶山 静夫
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.483-489, 2018-06-20 (Released:2019-06-20)
参考文献数
19
被引用文献数
4 4

本稿では,何をどれだけ食べるか,すなわち栄養のバランスに留意しながら適切な栄養量を摂取する従来の食事療法に加え,さらに食事をどのように食べるのか,「食べる順番」の違いにより,食後血糖値やインスリンなどホルモンの分泌がどのように変化するかを概説する.次に,朝食の欠食や夜間の食事摂取は,体重増加につながることが知られているが,遅い時刻の夕食摂取と血糖値の関係についてはまだ明らかにされていない.食事をいつ食べるのか,食べる時間の違いが血糖値に与える影響について概説する.食後高血糖は,糖尿病患者だけでなく,軽症糖尿病や糖尿病予備軍の状態から動脈硬化を促進させる(1).高血糖は,血管内皮障害や炎症を引き起こし,動脈硬化を進展させ,脳梗塞,心筋梗塞のリスクを高める,一方,低血糖は心血管イベント,認知症を進めることが報告されている(2).さらに,血糖変動幅が大きいと動脈硬化を促進させ,がんや認知症を進めることが明らかとなってきた.したがって,心血管障害などをはじめとする合併症を抑制するためには,糖尿病患者だけでなく健常者にとっても,血糖変動を抑制する食べ方が重要になる.
著者
梶原 冴月 山内 健生
出版者
公益財団法人 平岡環境科学研究所
雑誌
自然環境科学研究 (ISSN:09167595)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.15-17, 2023-12-07 (Released:2023-12-07)
参考文献数
8

Larval transport by adult Lasius morisitai was observed in nests of L. morisitai in a single tree of Abies sachalinensis in Obihiro, Hokkaido, Japan. Larval transport was observed on 21 June and from 29 September to 7 October 2022 during the day (8:00-11:00am and around 3:30pm), just after sunset (around 5:00pm), and at night (8:00-10:00pm).
著者
大沼 進 北梶 陽子
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.5-16, 2007-07-25 (Released:2020-10-01)
参考文献数
27
被引用文献数
2

社会的ジレンマ構造に,利得や情報の非対称性,フローの一方向性,信頼ゲームなどの要素を取り入れた「産業廃棄物不法投棄ゲーム」を開発した.このゲームは五つの異なる利得を持つプレーヤーからなり,利益と産業廃棄物を生み出す排出事業者,産業廃棄物の量を減らす中間処理業者,埋め立て処理をする最終処理業者,産業廃棄物を運搬する一次収集運搬業者および二次収集運搬業者が存在する.いずれの業者も,協カ(適正処理や処理委託)と非協力(不法投棄)を選択できる.8ゲームを実施し,次の結果が得られた.①フェイズを追うごとに不法投棄が減った.②処理フローの下流に行くほど不法役棄が多かった.③排出事業者は罰金やゲーム後の費用負担を恐れて委託金を低く抑える傾向があり,その結果,下流で適正処理費用が不足し不法投棄が増え,多くの費用を負担しなければならなくなった.④業者間の評価では,接触できないプレーヤーに対して信頼が低く,逆に,接触できるプレーヤーに対しては比較的信頼していた.
著者
高井 靖 夏目 優太郎 梶間 勇樹
出版者
一般社団法人 日本老年薬学会
雑誌
日本老年薬学会雑誌 (ISSN:24334065)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.64-70, 2023-09-30 (Released:2023-11-01)
参考文献数
17

We conducted a survey to assess changes in dosage of drugs for treatment of heart failure patients. The survey included all patients admitted to the Mie-Heart Center for heart failure treatment between July 2021 and December 2021. We included 80 patients whose medications could be confirmed after one year. The patients were divided into three groups according to LVEF at baseline: HFrEF, HFmrEF, and HFpEF groups. The endpoint was the change in heart failure medication dose at baseline and after 1 year. Dose changes were classified into “no administration”, “same dose”, “increased dose”, “additional dose”, and “reduced dose”. Statistical analysis was performed by cross-tabulation and chi-square test and residual analysis. There were significant differences in MRA for dose change overall (p<0.001) and dose change overall for RA system inhibitors (p=0.001) and SGLT2 inhibitors (p=0.023), and the adjusted residual ʻno dose’ for all three factors was higher in the HFpEF group. Furthermore, there was a significant difference in dose change overall for β-blockers (p=0.005), and the adjusted residual ʻdose increase’ was higher in the HFrEF group. Our findings suggest that there were many patients in the HFrEF group who continued to take MRA and RA system inhibitors at the induction dose and increased the dose of β-blockers, suggesting a tendency by medical staff to administer additional SGLT2 inhibitors.
著者
原 卓志 梶井 一暁 町田 哲 刀田 絵美子
出版者
鳴門教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

地方語史研究とともに、地方史・地方教育史研究に資する文献資料の発掘を通して、当該文献の資料的価値を分析・考察し、当該文献を用いた地方語史・地方史・地方教育史について、以下のような調査研究を行った。まず、徳島県における真言宗寺院である無尽山荘厳院地蔵寺の所蔵文献を用い、教団(高野山)に掌握されつつも、中央寺院を本寺としない無本寺寺院であった無尽山地蔵寺の本末関係の形成過程について、藩や、高野山正智院(法流)との関係とからめながら解明した(町田哲「近世前期阿波国真言宗寺院における本末関係の形成―五番札所・無尽山荘厳院地蔵寺を中心に―」鳴門教育大学研究紀要第37巻)。また、同寺所蔵の縁起関係文書を用いて、資料の少ない中世から近世初頭の同寺住職の修学等の事績について明らかにした(原卓志「無尽山地蔵寺住職に関する覚え書き―中世から近世初頭の住職を中心に―」鳴門教育大学研究紀要第37巻)。また、西本願寺学林(京都)の学籍簿にあたる史料『大衆階次』にもとづいて、徳島県における淨土真宗寺院の修学僧について把握し、修学僧の出身寺院,修学期間,身分などを考察した。また,修学僧を近世私塾の学習者との関係において位置づける視点を提示した(梶井一暁「近世阿波国の修学僧に関する基礎的考察―西本願寺学林の事例から―」岡山大学大学院教育学研究科研究集録179巻)。悉皆調査に関しては、徳島県における新安流の拠点寺院であったと目される正興寺(鳴門市)、童学寺(名西郡石井町)の二ヶ寺で着手した。
著者
梶 雅範
雑誌
化学史研究 (ISSN:03869512)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, 2003-06-01
著者
増渕 吉一 杉田 恵 茅原 修 蛇沼 俊枝 梶 由依子 佐野 渉
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第59回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.392, 2010 (Released:2010-12-01)

目的:適温での食事提供は温冷配膳車を使用する施設が約半数に達しているが、当院では保温食器利用の為、現状設備において適温での食事提供には問題がある。そこで今回、料理の仕上がり時刻や盛付・配食時間の設定(以下配膳管理)等の工夫により、さらに美味しく食べてもらえる事を目的に適温サービスを行い患者満足度の向上を目指したので報告する。〈BP〉方法:_I_2009年9月から1カ月間の料理の温度計測_II_常食喫食者47名を対象とした適温アンケートの実施_III_喫食時温度が主食60~75℃、主菜60~75℃、副菜10~15℃と料理別に適温の目安を設定_IV_配膳管理徹底後、配膳時間・喫食時間の時差による満足度の変化を調査_V_温冷配膳車のデモ機による食事提供時のアンケート調査〈BP〉結果:_I_料理の温度計測では、主食が盛付時66.5℃から喫食時52.2℃、主菜が63.9℃から39.3℃、副菜が17.5℃から19.5℃となった。_II_現状の温度に「不満」は36%の回答があった。_III_喫食時温度は、主食(米飯)が実施前平均54.6℃実施後平均62.9℃、主菜(シチュー類)が39.3℃から65.3℃、副菜(和え物類)が19.5℃から10.5℃と適温の目安に近づく事が出来た。_IV_配膳管理の改善後は、時差に関係なく90%「満足」との回答が得られた。_V_温冷配膳車デモ機を使用時の満足度は良好であった。「温かい物は温かく、冷たい物は冷たく食べられる事が嬉しい」との意見が得られた。〈BP〉考察:現状把握により盛付時温度と喫食時温度の変化が著しい事が分かり、適温サービス意識が強化した。適温の目標設定により配膳管理が充実し患者満足度が向上したが、気温の変化や病棟による配膳時間の時差等の影響を考慮すると、温冷配膳車の利用が安定した適温サービスに非常に効果的であった。今後も、適温での食事提供には機械に頼るだけでなく常に配膳管理の意識・改善を継続する事の重要性が示唆された。