著者
梶浦 恭子
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集. 社会科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.171-181, 2018

戸外の地面や草地の上を散歩するなど,森の自然を体験する遊びに親子で通う乳幼児(0―3歳)は,どのような遊びの世界を展開するのだろうか。 本研究は,乳幼児が,(1)どのように自然の環境(世界)に出会っていくのか,(2)何に触れて関わり,体験し遊び始めるのかを,乳幼児の手(指)や身体の行動(行為・動作)場面の観察から行為・動作の過程を探る。 自然体験に関わる保護者である大人(乳幼児には大切な存在)と乳幼児との関わり,自然物に触れて遊ぶ乳幼児はどのような動きを表すのか,関わるのか,動きに着目して事例を作成した。事例を整理した結果,①大人に抱っこされる行為から,②大人に絡みまとわる行為,③横並びで手つなぎする動作,以上3つの自然の環境に関わる行為・動作について,本研究では言及する。
著者
福島 正三 梶田 泰司
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.11-20, 1962-02-01 (Released:2012-10-29)
参考文献数
12

1. 本実験はモンシロチヨウの発育期間中における酸素消費量, 含有水分量および脂肪量の季節的変化をしる目的で行なわれた. 供試材料は実験室で飼育した第4令幼虫および発育中期のさなぎ, ならびに室内のものと発育程度のほぼひとしい野外より採集の幼虫およびさなぎである.2. 1959年における調査によると, 岐阜市近郊におけるモンシロチヨウ成虫は春から夏にかけて多発するが, 盛夏にはとばない. しかし秋にはふたたび出現するが, 個体数は春におけるよりも少ない.3. 室内外の幼虫の酸素消費量にははつきりした季節的変化はみられないが, 夏季にいくぶん低下の傾向を示す. 一方さなぎの消費量は材料のいかんにかかわらず夏に増加し, 秋から冬にかけて減少する. しかし1月以降の消費量は多くなつている.4. 野外採集幼虫の含有水分率は9月にかなり低下するほかは, 一般に幼虫, さなぎとも春秋において夏より低い. このうち, キヤベッ畑より採集のさなぎの水分率は9月以降翌年の3月までゆるやかに低下する.5. 材料のいかんにかかわらず幼虫およびさなぎの含有脂肪率は夏季において低率を示す. そして秋にむかつて高率となるが, 幼虫の脂肪率は晩秋にふたたび低下の傾向を示す. しかし越冬さなぎのそれは秋末より漸次高くなるが, 12月以降はあまり変化せず, 2月にいたつてやや低下する.6. 休眠発育の進んださなぎの酸素消費量は温度にあまり影響されないが, 休眠深度の浅いものではかなり影響をうけるようである.7. 羽化前の高湿はさなぎの発育を遅延させるようである.8. 温度以外に1日当たりの明時間の長短が含有脂肪量にかなり影響するようである.9. 寄生バエによるモンシロチヨウの被寄生さなぎと健全さなぎの含有脂肪量にはほとんど差がみとめられない. また寄生バエさなぎとモンシロチヨウの健全さなぎとの問においても同様なことがいえる.
著者
高階 空也 中馬 いづみ 亀山 統一 梶村 恒 黒田 慶子
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.130, 2019

<p>日本,台湾を含む世界各地で,2000年代からデイゴの不開花や枯死が増加し,デイゴヒメコバチの寄生が原因とされてきた。しかしKuroda et al. (2017)は,沖縄島のデイゴ衰退木から<i>Fusarium solani </i>種複合体(FSSC)に属する菌(仮称strain A, B)を検出し,接種実験によってそれらの病原性を明らかにした。沖縄島の4地点および沖縄島から400km離れた石垣島で,strain AとはITS領域で1塩基のみ異なるstrain Bと,strain Aとはそれぞれ1塩基,8塩基異なる菌株(仮称strain C, D)を検出した。Strain A, B, Cは養菌性キクイムシと共生関係にある菌の集団Ambrosia <i>Fusarium </i> Clade(AFC)のclade A,strain Dは同様にAFCのclade Bに属することが判明した。石垣島と沖縄島のデイゴ衰退木から合計3種の養菌性キクイムシ<i>Euwallacea </i> spp. が検出されており,その1種ナンヨウキクイムシ(<i>E. fornicatus </i>)は沖縄ではマンゴーの害虫と認識されている。この種は本菌株と近縁でAFCのclade Bに属する菌<i>F. ambrosium </i>(チャの病原菌)と<i>F. euwallaceae </i>(アボカドの病原菌)との共生が知られており,養菌性キクイムシによるデイゴ病原菌の媒介の可能性について今後検討が必要である。</p>
著者
熊本 吉一 小泉 博義 黒沢 輝司 山本 裕司 呉 吉煥 鈴木 章 松本 昭彦 近藤 治郎 清水 哲 梶原 博一
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.1429-1434, 1984-11-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
10

急性腸間膜血管閉塞症は,絞扼性イレウスと共に腸管の血行障害をきたす代表的な疾患である.最近我々は塞栓摘除術のみで救命せしめた上腸間膜動脈塞栓症の1例を経験したが発症より手術による血流再開に至るまで3時間40分と短時間であったため腸切除を免れた.また横浜市立大学第1外科のイレウス症例中,術前に動脈血ガス分析をおこなった33例を検討したところ,腸切除を免れた.すなわち腸管が壊死に陥らなかった症例ではbase excessはすべて-2.8mEq/l以上であった.このことより絞扼性イレウスの手術適応決定の指標としてbase excess測定が有用であるとの結論を得たが,本来イレウスにおける手術適応の決定は遅くとも腸管の可逆的な血行障害の時点でなければならず,この点よりbase excessのみでの適応決定は慎重でなければならないと考えられた. これらの経験をもとに,腸管の血行障害における有用な補助診断法としての的確な指標を検討するために犬を用いて上腸間膜動脈を結紮する実験をおこなった.その結果,早期診断の一助として, total CPK, base excessが有用であるとの結論を得た.
著者
工藤 晴美 田中 絵弓 蓬田 淳 梶原 絢子 中島 美和
出版者
一般社団法人 日本救急看護学会
雑誌
日本救急看護学会雑誌 (ISSN:13480928)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.40-48, 2017 (Released:2017-08-31)
参考文献数
12

本研究は、救急外来における酩酊状態にある患者の現状を把握し、看護実践の課題を明らかにすることを目的とした。救急外来看護師を対象に、無記名自由記述式質問紙調査を行い、質的帰納的に分析を行った。分析の結果、酩酊状態にある患者に対する看護実践の課題は、【飲酒による行動予測の困難さ】、【飲酒による判断力の低下に関連した対応困難事象】、【院内での迷惑行為】、【不測の事態への医療者の心理的負担】、【酩酊状態にある患者・付き添い者のケアにおける苦慮】に分類された。結果より、酩酊状態にある患者は、意思の疎通が図り難く、行動の予測が困難で、迷惑行為による医療者への危害の可能性がある中で、看護師は状況に応じて看護実践を行っていることが明らかとなった。さらに、酩酊状態にある患者の症状は一時的であるため、軽症と認識される傾向になる中で、その看護実践に焦点を当てた報告は少なく、対応に苦慮していた。救急外来という時間的制限がある中で患者や付添者を含めた再発予防への指導が必要であるため、飲酒行為の背景を情報収集しながら、状況に応じた危険予測、患者指導を含めたツールの作成が必要である。
著者
有本 勲 岡村 寛 小池 伸介 山﨑 晃司 梶 光一
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.19-31, 2014-06-30 (Released:2014-06-30)
参考文献数
32
被引用文献数
6

近年,ツキノワグマ(Ursus thibetanus)の分布拡大に伴い人間活動との軋轢が増加しているが,集落周辺におけるツキノワグマの生態に関する知見は限られている.そこで,2010年から2011年に7頭のツキノワグマにGPS首輪を装着し,得られた位置情報にスイッチング状態空間モデルを適用し,移動軌跡の平滑化,および活動量センサーを併用して「移動」・「活動中の滞在」・「休息中の滞在」への行動区分を行った.さらに,「活動中の滞在」とされた測位点が集中した地域を現地踏査し,植生や生活痕跡を記録した.ツキノワグマは,多くの個体は夏前期および夏後期に集落に近い場所を利用し,秋期には集落から遠い場所を利用した.一方,個体によっては,これらの傾向に当てはまらない個体もみられた.集落から遠い場所では夏後期はアリ類やサクラ類の果実,秋期はミズナラの果実が多く採食されたのに対し,集落に近い場所では,夏後期はオニグルミやクリ,秋期はカキノキの果実が多く採食された.また,集落の近くでは夜間の活動割合が増加した.以上より,ツキノワグマは,食物資源の分布の季節変化に応じて季節的に集落に近い場所を利用し,特に集落周辺に自然状態とは異なった状況で,特異に集中的に食物が存在する状況下では,多くの個体が集落の周辺を利用していた.
著者
梶並 知記
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.3K2NFC37, 2012

<p>本稿では,TETDMを用いて試作した,Twitter検索モジュール(ツール)「RelaTwi」と他のツールの連携によって行う,関連Tweetの探索や分析に関する試験的な一手法について報告する.本稿の目的は,入力されたプレーンテキストそのものの分析を主な想定利用法としているTETDMが,情報探索と分析が一体化したテキストデータマイニング支援システムとしても利用できる可能性を提示することである.</p>
著者
渡辺 徹也 戸田 常紀 梶 龍児 木村 淳
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.611-616, 1996
参考文献数
20

今回我々は, 阪神大震災被災による心的外傷から, 重度の脱水, 高Na血症を来したPTSDの1例を経験した。本例はclomipramine hydrochlorideの点滴静注とbromazepam投与を行ったところ著しい改善を認めたので, 若干の考察を加えて報告する。
著者
澤田清 梶並知記 服部哲 速水治夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.77, pp.1-6, 2014-03-06

本稿では,動画コンテンツを用いて,アクション RPG を対象とした,コンボ (Combo) の習得の支援手法を提案する.コンボの習得には,実際にゲームをプレイして練習する必要があるが,練習する際に,自分のプレイ技量に適したコンボの解説記事や動画をWeb上で見つけ教材として参考にする場合がある.しかしながら,アクション RPG のゲームタイトルを題材にした,ゲーム進行の様子やスーパープレイを収録した動画は数多く存在しているものの,コンボの習得を支援する動画は,あまり存在しない.また,コンボ習得を支援する動画に,どのような内容を含むべきか,検討されていない.したがって,本稿では,アクション RPG のプレイの特徴や,要求されるプレイ技能の種類を考慮し,コンボの習得を支援するための手法を提案する.動画コンテンツとして提案手法を実装し,被験者実験を通して有効性を検証する.
著者
戸梶 亜紀彦
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.21, no.Supplement, pp.41, 2013 (Released:2013-09-19)
参考文献数
2
著者
西本 由紀子 荒川 真衣 上野 勝代 梶木 典子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, pp.256, 2009

【目的】バリアフリー新法が平成18年12月より施行され、公共交通機関におけるバリアフリー対策が進んでいる。その対象は高齢者・障害者等でありベビーカーでの子連れ(以下、ベビーカー利用者)は対象とされていない。しかしながら、実際にはベビーカー利用者は同様に行動制限を受けており、日常的な外出に支障をきたしている。事前のヒアリング調査でもベビーカー利用者の公共交通機関利用に対する消極的な意見が多く聞かれた。そこで本研究の目的はその理由を探り、今後の対策の基礎資料を作成することを目標とする。このことは同時に子育て支援対策にも意義があると考えられる。【方法】➀神戸市内の区役所で実施される4か月、1歳半健診で乳幼児保護者に対し、公共交通機関でのベビーカー利用実態についてのアンケート調査を行った。➁神戸市内の公共交通機関内において、ベビーカー利用者の観察調査、ベビーカー利用被験者による行動調査を行った。いずれも実施期間は、2008年10月~2009年2月である。【結果】ベビーカー利用者は、比較的混雑の少ない10時~16時に集中して公共交通機関を利用しており、常に周囲の視線を気にしている。電車車両内では、乗降扉付近に立ったままベビーカーを支えていることが多い。神戸市バスのノンステップバスなどでは、車イスと同様、ベビーカー設置スペースが設けられているが、そのことはあまり周知されておらず、利用したことがある例はわずかであった。