著者
並木 信重郎 神郡 邦男 長手 尊俊 杉田 和彦 原 寛 森 恵津子 大村 貞文 大関 正弘
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
澱粉科学 (ISSN:00215406)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.107-113, 1980-04-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
13

TAI-A and TAI-B showed inhibitory activities against sucrase, maltase and isomaltase isolated from hog small intestine according to the method of Dahlqvist. TAI suppressed the increase of the blood glucose level of fasting mice administered with maltose. TAI suppressed the increase of the blood glucose level and the secretion of insulin of rats which were fasted and then forced-fed cooked corn starch, because of the inhibition against the starch digestion in the small intestine. The suppression of the increase in the body weight was observed in the 3 months toxicity test on the groups which were given diet containing 1.82 and 908 GIU/g of TAI, respectively . Hematological and histopathological examinations did not reveal any remarkable difference among all the experimental animals. TAI inhibited the growth of some anaerobic bacteria belonging to Clostridia, but did not show any inhibitory activity against other anaerobic bacteria. TAI and maltotriose showed an synergistic effect on the antibacterial activity.
著者
佐藤 真実 森 恵見 岸松 静代 谷 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】本州の中央部にあり,日本海に面す福井県は,嶺北と嶺南地区に分けることができる。嶺北は,平野を中心に米づくりが盛んであり,嶺南は,海に面して滋賀,京都に隣接する。日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」で実施した聞き取り調査に基づき,昭和30〜40年代の福井県における家庭料理「副菜」の特徴を明らかにし,現在でも作られている家庭料理について紹介することを目的とした。</p><p>【方法】聞き取り調査の結果および福井県の食に関する出版物から副菜を抽出し,特徴および地域性についてまとめた。</p><p>【結果および考察】県内の聞き取り調査によると,昭和30〜40年代の海岸地域を除いた福井県の日常食としては,3食ともに米飯,野菜や山菜料理が主なものであった。日本海に面することから海からの恵みもあったが,魚介類は時々食べるご馳走であった。春には,山菜を収穫し,保存する。秋冬には,だいこんや芋を用いた料理を作った。これらの野菜には,大豆・大豆加工品(打ち豆,油揚げ,豆腐),北前船の影響で入荷される乾燥ニシンなどが組み合わせ食材として使用された。中でも,だいこんは,葉っぱを「あえもん飯」,根を「から大根」「たくあん・たくあんの煮たの」「長寿なます」「こじわり」「みがきかぶし」などに利用した。「だいこんおろし」は,おろしそばや油揚げ飯にも利用される。山菜は,「こごみ」「わらび」「ぜんまい」等を「こごみの胡麻和え」「わらびのおひたし」「ぜんまいの煮物」「ぜんまいの白和え」「にしんと水ぶきの煮もの」などに利用した。とくに「ぜんまい」は現在でも高価であり,ごちそうとして,春祭り,秋祭り,報恩講などに利用される。</p>
著者
佐藤 真実 森 恵見 岸松 静代 谷 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2019年度大会(一社)日本調理科学
巻号頁・発行日
pp.214, 2019 (Released:2019-08-26)

【目的】本州の中央部にあり,日本海に面す福井県は,嶺北と嶺南地区に分けることができる。嶺北は,平野を中心に米づくりが盛んであり,嶺南は,海に面して滋賀,京都に隣接する。日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」で実施した聞き取り調査に基づき,昭和30〜40年代の福井県における家庭料理「副菜」の特徴を明らかにし,現在でも作られている家庭料理について紹介することを目的とした。【方法】聞き取り調査の結果および福井県の食に関する出版物から副菜を抽出し,特徴および地域性についてまとめた。【結果および考察】県内の聞き取り調査によると,昭和30〜40年代の海岸地域を除いた福井県の日常食としては,3食ともに米飯,野菜や山菜料理が主なものであった。日本海に面することから海からの恵みもあったが,魚介類は時々食べるご馳走であった。春には,山菜を収穫し,保存する。秋冬には,だいこんや芋を用いた料理を作った。これらの野菜には,大豆・大豆加工品(打ち豆,油揚げ,豆腐),北前船の影響で入荷される乾燥ニシンなどが組み合わせ食材として使用された。中でも,だいこんは,葉っぱを「あえもん飯」,根を「から大根」「たくあん・たくあんの煮たの」「長寿なます」「こじわり」「みがきかぶし」などに利用した。「だいこんおろし」は,おろしそばや油揚げ飯にも利用される。山菜は,「こごみ」「わらび」「ぜんまい」等を「こごみの胡麻和え」「わらびのおひたし」「ぜんまいの煮物」「ぜんまいの白和え」「にしんと水ぶきの煮もの」などに利用した。とくに「ぜんまい」は現在でも高価であり,ごちそうとして,春祭り,秋祭り,報恩講などに利用される。
著者
重松 英朗 中村 吉昭 古閑 知奈美 森 恵美子 大野 真司
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.3069-3073, 2008 (Released:2009-06-11)
参考文献数
10
被引用文献数
8 8

Corynebacterium kroppenstedtii感染により発症し乳癌との鑑別を要したgranulomatous mastitisの1例を経験したので報告する.症例は47歳,女性.1カ月前より右乳房腫瘤を自覚し当科受診.右乳房A領域に3cm大の腫瘤を認めた.理学的所見,画像所見より右乳癌が疑われたが針生検組織診で確定診断が得られなかったため外科的生検術を行った.病理組織所見では肉芽腫の形成と多核巨細胞を含む炎症細胞浸潤を認め悪性所見は認められなかった.細菌培養にてCorynebacterium kroppenstedtiiを認め,Corynebacterium kroppenstedtii感染により発症したgranulomatous mastitisと診断した.治療として排膿ドレナージ後,塩酸ミノサイクリン内服治療を3週間施行し治癒を認めた.Granulomatous mastitisの診療においてCorynebacterium kroppenstedtii感染の可能性を考慮することが必要と考えられた.
著者
森田 亜希子 森 恵美 石井 邦子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Maternal health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.425-432, 2010-07-01
参考文献数
18
被引用文献数
1

本研究の目的は,初めて親となる男性における,産後の父親役割行動を考える契機となった体験を明らかにすることである。妊娠34週以降の妊婦をもつ夫21名を対象に,半構成的面接法によって研究データを収集した。データを質的・帰納的に分析した結果,産後の父親役割行動を考える契機となった体験は,父親役割モデルとの出会いや想起により,自分なりの理想的な父親像について考える,妊娠・出産する妻への愛情を再確認して,夫/父親として協力する気持ちが芽生える,周囲から育児に関する情報を受けて,仕事と家庭内役割のバランスについて考えるなど,10の体験が明らかになった。導かれた産後の父親役割行動を考える契機となった体験の3つの特徴と,この体験をもつための前提条件から,父親としての自己像形成に必要な素材の内容を把握し提供すること,妊娠・出産をする妻に対して関心を高めるよう促すこと,仕事と家庭内役割の役割調整の必要性に気づくよう促すこと,が示唆された。
著者
岩田 裕子 森 恵美 土屋 雅子 坂上 明子 前原 邦江
出版者
千葉看護学会
雑誌
千葉看護学会会誌 (ISSN:13448846)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.71-79, 2017-08

[抄録] 目的:日本では高年初産婦が珍しくなくなってきているが,これらの女性は産後うつに対して脆弱であることが示唆されている。本研究の目的は,産後1か月時に産後うつスクリーニング陽性である日本人高年初産婦の母親としての経験を記述することである。方法:本研究はケーススタディであり,2011年の6月から12月の期間に3つの病院で健康な単胎児を出産した21人の高年初産婦を対象とした。質的データと量的データを収集し,量的データはうつのハイリスク女性を抽出し,さらに質的データの補完的解釈に用いた。量的データとしては,1)アクティグラフを用いて測定した客観的睡眠の質と,2)日本語版エジンバラ産後うつ病自己調査票(EPDS)により測定したうつ症状の,2つのデータを収集した。日本語版EPDSで9点以上の得点者を,うつのハイリスク女性とした。うつのハイリスク女性の母親としての経験に関しては,半構成的面接によりデータ収集し,質的に分析した。ナラティブ統合により,個々の女性の文脈の中で質的データと量的データを解釈した。結果:うつのハイリスク女性は5名であった。本研究の結果から,高年初産婦の経験を理解するために重要な以下のテーマが抽出された。1)身体的健康状態の維持,2)子どもの世話:実践,気がかり,対処,3)ソーシャルサポートの利用,4)基本的ニーズの充足,5)新しい生活への適応。考察:母親個々の状況の中での母親としての経験を理解することが,適切なケア提供につながると考えられる。[ABSTRACT] Purpose: Older primiparae have become more common in Japan. It has been suggested these women are vulnerable to post-partum depression. The present study aimed to describe maternal experiences of older Japanese primiparae with a positive screen for depression at 1 month post-partum. Methods: This case study examined 21 older primiparae who delivered healthy singletons at three Japanese hospitals from June to December 2011. We used qualitative and quantitative data, with quantitative data for selecting women at high risk for depression as complementary to qualitative data. Quantitative data included: 1) objective sleep quality measured by actigraphy and 2) depressive symptoms measured by the Japanese version of the Edinburgh Postnatal Depression Scale (EPDS). Women who scored 9 or more on the EPDS were considered to be at high risk for depression. Semi-structured interviews were conducted to explore maternal experiences of women at high risk for depression and analysed qualitatively. Narrative integration was used by interpreting qualitative and quantitative findings in each woman's individualized context. Results: Five women were at high risk for depression. Our findings support the importance of understanding older primipara's experiences of: 1) maintaining physical well-being; 2) childcare: practice, concern, and coping; 3) utilizing social support; 4) meeting basic needs; and 5) adjustment to a new life. Discussion: Understanding maternal experiences in each individualized context will lead to providing appropriate care.
著者
本田 優子 梶原 まどか 堀川 ひかり 森 恵美加 一期崎 直美
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学教育学部紀要 (ISSN:21881871)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.239-251, 2013-12-12

This investigation was conducted in order to clarify relation of the conforming behavior in a junior high school student, and anthropophobia mentality, and it obtained the following conclusions. The tendency of conforming behavior was high in the woman or the second grader also in the junior high school student. Moreover, the tendency to take the conforming behavior mended externally on the whole was high. In the boy, the second grader, or the student that thinks "it is not good in the atmosphere of a class", the tendency was high. Also in anthropophobia mentality, the tendency for him to be superfluously conscious of especially himself and others was high. The boy's tendency which fears a look was higher than the woman, and the second grader woman was difficult to speak in public. The student who thinks that the atmosphere of its class is good was superfluously conscious of himself or others, and the student who thinks that atmosphere of its class is not good thought that he was weak-willed. Anthropophobia mentality was as high as the student it is easy to take conforming behavior. Especially the student with high anthropophobia mentality was not the student that aligns positively but a student who aligns externally.
著者
森 恵見 佐藤 真実 岸松 静代 谷 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】福井県は、本州の中央部にあり、嶺北と嶺南地区に分けることができる。嶺北は、平野を中心に米づくりが盛んであり、嶺南は、海に面して滋賀、京都に隣接する。平成28年家計調査年報では、福井県での「菓子類」の年間支出金額は全国ランキングが30位とやや低い。今回は、福井県のおやつについて家計調査年報を参考にしながら、「水ようかん」、「かきもち」、「羽二重もち」について紹介する。<br />【方法】平成28年家計調査年報を用いて、菓子類の年間支出金額と消費傾向について明らかにする。また、「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」聞き書き調査において、聞き書きしたおやつについて紹介する。また、「水ようかん」、「かきもち」、「羽二重もち」について詳細に紹介する。<br />【結果】平成28年家計調査年報では、福井県の「菓子類」の年間支出金額は全国30位(82,954円)とやや低い。その中で「ようかん」が全国5位(1,270円)、「他の和生菓子」が6位(11,886円)と全国的に支出額が高い。一方、「まんじゅう」は47位(677円)で最下位である。福井県のようかんの特徴としては、夏ではなく、冬に食べるのが定番である。あん、砂糖が貴重だった昔、丁稚が冬の味覚として水を多めにいれて作ったようかんが今に伝わったという説もある。県内では、黒砂糖やコーヒーなどを入れた水ようかんが店に並ぶ。「羽二重もち」は明治38年、羽二重織物のような薄くてしなやかな手触りをイメージさせた菓子として登場した。「水ようかん」も「羽二重もち」ももっぱら購入するものであるが、県民が大好きなおやつである。聞き書き調査の中では「かきもち」が各地域で食べられているおやつとしてあがった。寒の頃にもちをつき、乾燥させて一年分のおやつにする。
著者
森 恵莉
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.155-160, 2017

女性医師や新臨床研修制度で教育されてきた医師の存在が増えるにつれ,大学病院や一般病院のあり方が問われ続けている。その中で耳鼻咽喉科領域は多岐に渡り,キャリアアップできるチャンスは多くある。どんな形であれ,チャレンジし続けるものが存在し,誰かに必要とされ,自分の才能を発揮できる舞台で活躍できることはやりがいもあり,ありがたいことである。研修医のみならず,医師業務の負担軽減を含めた医師就労体制の見直しと充実に向けた各施設や学会の機能強化は急務であるが,外科系の道を志した医師には,男女関係なくある程度の自己犠牲を払う覚悟が必要である。
著者
石原 三妃 大森 恵美 水野 尚子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.65-73, 2016 (Released:2016-03-01)
参考文献数
12

管理栄養士・栄養士養成施設に適した調理学実習の必要度について管理栄養士・栄養士を対象にアンケート調査を行い調理の学習内容について検討した。 アンケートは,選択回答法と自由回答法を用いて行い,施設種類ごとの評価を分析した。 その結果,いずれの施設でも基本の料理や知識が大切であることが示された。また,施設種類によって必要な調理操作や料理は異なった。特に対象となるライフステージにより,必要な料理が異なり,病院,高齢者施設および乳幼児を対象とする保育園・幼稚園ではやわらかい料理の必要度が高かった。 調理操作においては,魚の下処理に関する操作は行政では必要度が高く,他の病院,高齢者施設など給食施設では低かった。切砕操作は,日常食に用いる基本の切り方は,いずれの施設でも有意差なく,必要度が高いと評価されていた。
著者
石原 三妃 水野 尚子 大森 恵美
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.405-415, 2015 (Released:2016-01-04)
参考文献数
11
被引用文献数
1

管理栄養士・栄養士養成施設に適した調理学実習内容の必要度について,給食施設と非給食施設に勤務する管理栄養士・栄養士にアンケート調査を行い,調理の学習内容について検討した。アンケートは,選択回答法と自由回答法を用いて行い,給食施設と非給食施設の評価を分析した。その結果,料理については,“味噌汁”,“青菜のお浸し”の必要度が高かった。調理操作について,給食施設では非給食施設より浸漬操作と茹で操作の必要度が高かった。また,いずれの施設でも基本の料理や知識が大切であることが示された。切砕操作のなかでも,日常食に用いる基本の切り方は,いずれの施設でも有意差なく,必要度が高いと評価されていた。だしを取る操作は非給食施設で給食施設より必要度が高かった。大量調理と少量の調理では,調味料の重量や調理時間が異なることが推察された。
著者
森 恵子 岩崎 靖 伊藤 益美 三室 マヤ 吉田 眞理
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.405-410, 2012 (Released:2012-06-26)
参考文献数
15
被引用文献数
2 7

症例は死亡時86歳の男性である.進行性の歩行障害,筋強剛,認知症を呈した.静止時振戦,L-dopaの反応性,自律神経障害はなかったが,MIBG心筋シンチグラフィーの集積低下をみとめ,Lewy小体型認知症と臨床診断された.死亡後の病理診断は大脳皮質基底核変性症であった.全身病理では心臓交感神経終末が高度に脱落しており,MIBGの集積低下を反映していた.さらに中枢神経,消化管,副腎等にはみられなかったLewy小体が交感神経節に限局してみとめられた.MIBGの集積低下はLewy小体の存在を示唆するが,その広がりまでは予見できず,また偶発的にLewy小体が合併する事を臨床診断の際には考慮する必要がある.
著者
岩田 裕子 森 恵美 Iwata Hiroko Mori Emi イワタ ヒロコ モリ エミ
出版者
千葉看護学会
雑誌
千葉看護学会会誌 (ISSN:13448846)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.49-55, 2004-06-30
被引用文献数
3

本研究の目的は,父親役割への適応を促す看護援助を明らかにすることであり,国内外の研究論文および専門書の内容を質的に分析することにより,父親役割への適応に関する看護援助を抽出した。医学中央雑誌,CINAHL,MEDLINEを利用したコンピューター検索により,1990年以降の文献を抽出し,最終的に和文献16,英語文献24,専門書9を分析対象とした。質的分析の結果,父親役割への適応を促す看護援助は,妊娠中に行う援助としては,1)アタッチメントの促進,2)父親役割への準備,3)夫婦間コミュニケーションの促進,4)役割調整のための夫婦間の話し合い促進,5)胎児・乳児についての情報提供の5つが抽出された。分娩時に行う援助は,父親になる男性へのサポートとしてまとめられ,妊婦だけでなく,父親になる男性にも焦点をおいた援助をすべきであるということが示された。出産後に行う援助としては,1)育児相談・教育,2)父親間での感情の共有,3)夫婦間コミュニケーションの促進の3つが抽出された。また援助を行う時期に関係なく抽出された一般的原理は,1)援助者の姿勢,2)物理的環境の調整,3)援助する際の工夫の3つであった。本研究において明らかとなった父親役割への適応を促す看護援助は,移行期の父親にケアを提供する看護実践者にとって,援助の指針となるものである。また,抽出された看護援助の内容をさらに検討あるいは精錬していくことは,日本文化を反映した新たな看護援助の指針を開発することにつながると考える。The purpose of this study was to clarify nursing care that would promote men's adjustment to fatherhood. Literature search was conducted to retrieve relevant articles written either in Japanese or English. Igakuchuouzasshi, CI-NAHL, and MEDLINE were searched since 1990. The results of 16 Japanese articles, 24 English articles, and 9 books were analyzed focusing on their content to extract nursing care that would promote men's adjustment to fatherhood. The analysis resulted in various nursing care that could be provided during pregnancy, labor, and after birth. Nursing care during pregnancy were: 1) promoting the expectant father's attachment, 2) preparing for the father's role, 3) promoting marital communication, 4) promoting marital communication for the adjustment of parental roles between the couple, and 5) providing necessary information about fetus and infant. Nursing care during labor could be categorized as providing support to the expectant/new father that emphasized men as clients. Nursing care after birth were: 1) consultation/education about parenting, 2) sharing feelings among fathers, and 3) promoting marital communication. The following three basic principles were also extracted: 1) attitudes of care providers, 2) arrangement of physical environments, and 3) consideration of care providers. The result could be a knowledge base to develop new nursing interventions that are sensitive to the Japanese culture and effective in promoting men's adjustment to fatherhood.
著者
高橋 徹 清水 裕子 井上 一由 森松 博史 楳田 佳奈 大森 恵美子 赤木 玲子 森田 潔
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.130, no.4, pp.252-256, 2007 (Released:2007-10-12)
参考文献数
38
被引用文献数
6 9

昨今の生命科学の進歩は薬理学の研究をより病態に応じた新薬の開発へと向かわせている.しかし,肝不全,腎不全,多臓器不全など,急性臓器不全は高い死亡率を示すにもかかわらず,その治療において決め手となる薬物は未だ開発されていない.これら急性臓器不全の組織障害の病態生理は完全に明らかでないが,好中球の活性化や虚血・再潅流にともなう酸化ストレスによる細胞傷害が大きな役割を果たしている.酸化ストレスはヘムタンパク質からヘムを遊離させる.遊離ヘムは脂溶性の鉄であることから,活性酸素生成を促進して細胞傷害を悪化させる.この侵襲に対抗するために,ヘム分解の律速酵素:Heme Oxygenase-1(HO-1)が細胞内に誘導される.HO-1によるヘム分解反応産物である一酸化炭素,胆汁色素には,抗炎症・抗酸化作用がある.したがって,遊離ヘム介在性酸化ストレスよって誘導されたHO-1は酸化促進剤である遊離ヘムを除去するのみならず,これらの代謝産物の作用を介して細胞保護的に機能する.一方,HO-1の発現抑制やHO活性の阻害は酸化ストレスによる組織障害を悪化させる.この,HO-1の細胞保護作用に着目して,HO-1誘導を酸化ストレスによる組織障害の治療に応用する試みがなされている.本稿では,急性臓器不全モデルにおいて障害臓器に誘導されたHO-1が,遊離ヘム介在性酸化ストレスから組織を保護するのに必須の役割を果たしていることを述べる.また,抗炎症性サイトカイン:インターロイキン11,塩化スズ,グルタミンがそれぞれ,肝臓,腎臓,下部腸管特異的にHO-1を誘導し,これら組織特異的に誘導されたHO-1が標的臓器の保護・回復に重要な役割を果たしていることを示す.HO-1誘導剤の開発は急性臓器不全の新しい治療薬となる可能性を秘めている.