著者
玉木 七八 森岡 幸子 池田 建比古 原田 光子 浜 堯夫
出版者
Center for Academic Publications Japan
雑誌
Journal of Nutritional Science and Vitaminology (ISSN:03014800)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.127-139, 1980 (Released:2009-04-28)
参考文献数
26
被引用文献数
9 12

The biosynthesis and destruction of anserine and carnosine in the rat were investigated in vivo using radioactive β-alanine, histidine and methylhistidine. In the normal rat, the incorporation of 14C-histidine and 14C-β-alanine into carnosine was found to proceed at significant rates, but their incorporation into anserine was hardly detectable. Radioactive anserine arising from 3H-Nπ-methylhistidine was detected in gastrocnemius muscle of the rat pretreated with β-alanine. Neither anserine nor carnosine biosynthesis was found in liver, but was found in gastrocnemius muscle. At 8 hr after the administration of a single dose of 14C-histidine or 14C-β-alanine, the incorporation of radioactivity into carnosine attained a plateau, and then maintained the level for the investigated period. Incorporation of 14C-histidine into carnosine was increased about 2-fold when rats were injected in advance with f-alanine. The half-lives of histidine and β-alanine were 0.67 and 0.41 hr in liver, and 3.6 and 2.3 hr in gastrocnemius muscle, respectively. β-Alanine and histidine in rat gastrocnemius muscle disappeared at the rates of 39 and 29 nmol/wet tissue (g)/hr, respectively. The half-life of carnosine, as was determined from the decrease in carnosine contents in the gastrocnemius muscle of a rat fed a histidine-free diet, was 29 days. The rate constant of carnosine biosynthesis in rat gastrocnemius muscle was 0.321 μmol/DNA (mg)/day, that is, 0.286 μmol/wet tissue (g)/day.
著者
田中 英一郎 瀬戸口 隼 森 崇 三枝 省三 弓削 類
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム
巻号頁・発行日
vol.21, pp.145-156, 2012
被引用文献数
1

<p>全身動作である歩行を補助するモビルスーツ型全身動作補助機を開発した. 本装置は, 上肢補助部と下肢補助部をモジュール化しているため分離ができ上下肢単体でも使用可能である. 同時に, 装着者および装置の両方を個別に免荷可能な走行リフターを開発し, これらを併用することにより転倒防止を図り, 移動しながら歩行障害患者の上下肢を使った歩行動作のリハビリテーションを可能とした. 本論文では, ニューロリハビリテーションでの使用を想定し, 歩行動作を上肢・下肢共に補助する全身動作補助機を製作し, 本装置を使用して歩行したときの脳活動の変化を把握し, 運動学習に対する有用性を検討したので報告する.</p>
著者
角森 史昭
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究では、岩石の一軸圧縮に伴うガス放出の過程を調べた。岩石破壊の直前に大量にガスが放出されることから、地震発生前のガス濃度増加にかなり関与していることが示唆される。地球化学的地震予知研究では、地下水に溶けているガスやイオンの濃度の時間変化が時間に応答するという観測結果に基づいて、そのメカニズムモデルの構築や的確なシグナル観測の技術開発を行ってきている。そこで本研究では、メカニズムモデル構築のための基礎データを得ることを目標とした。使用した試料は、稲田花崗岩でφ50、L100の円柱である。この形状の花崗岩の場合およそ25tの荷重、約2mmの軸方向の変形の後破壊に至る。試料は真空容器内に入れ、4.2kg/sの荷重速度で圧縮した。このときの荷重はロードセルを使用して同時にモニターした。また同時に、破壊に至るまでの亀裂生成率はアコースティックエミッションでモニターした。アコースティックエミッションセンサーは真空容器内で岩石に貼り付けられている。亀裂生成に伴って放出されるガスを精密に分析するために、英国HIDEN社の四重極質量分析計HAL201を使用した。測定をした質量数は、時間分解能を上げるために2,4,5,16,18,28,32,36,40,44とした。これらの質量数をスキャンするのに要した時間は10秒であった。アコースティックエミッションの頻度は、破壊に至る時間の80%程度の時間から指数関数的に増加した。測定されるアコースティックエミッションのシグナルの強さとガスの放出パターンに相関が確実に見られるのは指数関数的な増加が始まってからと判断された。放出されるガスの組成には系統性があるとは言い難く、指標とできるガス種についてはさらに詳細な実験が必要である。一方、当初目標としていた亀裂生成の三次元可視化は、使用したシグナル解析装置の不備により実現できなかったが、解析装置の改良を行うことで可能になると考えられ、ガス発生を引き起こすアコースティックエミッションを特定が可能になることが期待される。
著者
片山 謙一 森尾 保徳 芳賀 慶一郎 福田 武美
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.105, no.6, pp.461-468, 1995-06-01
参考文献数
15
被引用文献数
10

消化管運動賦活調整薬であるシサプリド(cis-4-amino-5-chloro-N-[1-[3-(p-fluorophenoxy)propyl]-3-methoxy-4-piperidy1]-o-anisamide)のセロトニン(5-HT)<SUB>4</SUB>受容体への親和性を,モルモット脳線条体を膜標品とする<SUP>3</SUP>H-GRIl3808結合試験を用いて検討した.<SUP>3</SUP>H-GR113808は解離定数(Kd値)0.21&plusmn;0.009nM,最大結合量(B<SUB>max</SUB>値)162&plusmn;7.7fmol/mgタンパクで単一結合部位に結合した(Hill係数1.0&plusmn;0.03).しかし,<SUP>3</SUP>H-GRI13808と特異的に結合した膜標品に高濃度のシサプリドを添加すると,<SUP>3</SUP>H-GRI13808は急速に受容体から解離し,シサプリドは<SUP>3</SUP>H-GR113808と同一部位に結合することが示唆された,シサプリドの<SUP>3</SUP>H-GRII3808に対する阻害作用は濃度依存的であり,高濃度では完全に阻害した.結合阻害定数(K<SUB>i</SUB>値)は70nMであり,5-HT<SUB>4</SUB>受容体への親和性は5-HTの約1.9倍,5-メトキシトリプタミンの約7.3倍,モサプリドの約4.3倍,ザコプリドの約11倍,メトクロプラミドの約26倍であった.ドンペリドンの親和性は非常に弱く,マレイン酸トリメブチンおよびナパジシル酸アクラトニウムは親和性を示さなかった.<SUP>3</SUP>H-GR113808結合に対する阻害作用の様式を検討したところ,シサプリドは<SUP>3</SUP>H-GR113808のKd値を増加させ,B<SUB>max</SUB>値には影響を及ぼさなかった.以上の結果から,シサプリドは5-HT<SUB>4</SUB>受容体に対し<SUP>3</SUP>H-GR113808と競合的に結合することが明らかとなった.
著者
森岡 孝二
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3-4, pp.521-544, 2004-11-11

1980年代以降、19世紀後半から1世紀余り続いた労働時間の短縮の時代が終わり、世界的に労働時間の増加が生じている。アメリカではJ.B.ショアが『働きすぎのアメリカ人』(1991年)において包括的な統計分析を踏まえて、働きすぎの時代が到来したことをいち早く明らかにした。その後、ショアの提起は経済学や社会学における労働時間論議に火をつけ、労働統計や生活時間研究の専門家を巻き込んだ論争を引き起こした。本稿では、ショアの問題提起に始まるアメリカにおける労働時間論争を跡づけ、日本との対比に留意して、アメリカ人の働きすぎの実態とその主要な原因について検討する。その作業からアメリカにおける労働時間の増大は、長時間労働者と短時間労働者への二極分化、女性における職場と家庭のタイム・デバイド、働きすぎと浪費の悪循環などの特徴をもっていることが浮かび上がるだろう。
著者
森 俊洋
出版者
日本西洋古典学会
雑誌
西洋古典学研究 (ISSN:04479114)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.52-63, 1970

『ソピステス』251-9で,プラトンは所謂エイドスのコイノーニアという問題を論じているが,実は一様にコイノーニアとして語っているのではなく,そこに一つの重要な区別を示しているように思える.小論の目的は,その区別がどこにポイントを置かれたものであるのか,そしてまたその区別が意味するところは何であるのかということを,明らかにしようとする一つの試みである.
著者
野田 康太朗 中島 直久 守山 拓弥 森 晃 渡部 恵司 田村 孝浩
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.165-173, 2020-03-28 (Released:2020-04-25)
参考文献数
26
被引用文献数
3

本研究では,トウキョウダルマガエルを対象とし,第一に PIT タグの個体へおよぼす影響およびタグリーダーによる探知能力の両面から,越冬個体の探知に適した手法か検討した.第二に,対象地にて PIT タグを挿入した個体の越冬場所の探知を試みた.さらに,栃木県上三川町の水田水域において越冬個体の探知を試みた.PIT タグが個体へおよぼす影響を調べるため,PIT タグを挿入した群と挿入していないコントロール群を 15 日間飼育したところ,斃死及びタグが脱落した個体はおらず,体重の増減にも両群間に有意な差は見られなかった.探知能力の検討では PIT タグを土中に埋める試験区を設け実験した.その結果,深度 20 cm までの読み取りは可能であったが,30 cm より深くは読み取れなかった.さらに,栃木県上三川町で実施した水田水域における越冬個体の探知では,30 個体の越冬場所を確認した.Neu 法により解析したところ,30 個体の越冬地点は,畑地に集中していることが明らかとなった.また,越冬深度は 7.4-27.0 cm,平均 18.3±4.7 SD [cm] であった.この結果から,水田水域に生息するカエル類と比較し,本種はより深い地中で越冬する生態を有する可能性もあった.一方で,越冬深度の違いが PIT タグと掘削という手法の違いに起因する可能性もある.なお,本研究の結果は冬期湛水水田が卓越した地域において実施された事例的な研究である.今後は PIT タグを用いた越冬個体の探知方法により,異なる気象条件の地域,営農方法や圃場構造等が異なる地区での知見を集積することが望まれる.
著者
森田 康彦
出版者
鹿児島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

前年作成した装置は従来のX線CTの検出器を輝尽性蛍光体イメ-ジングプレ-トに置き換えたものであったが今年はさらにイメ-ジングプレ-トを2次元X線検出器として用いた小型実験用X線断層撮影装置を試作し、画像再構成をおこなった。この装置では1ピクセル1mmx1mmで128x128ピクセルでスライス厚さ1mmの連続した画像5スライスを1回のスキャンで得ることができた。これは1ボクセル1mmx1mmx1mm128x128x5ボクセルの画像を1スキャンで得られるということもできよう。また装置の大型化により人乾燥下顎骨の画像再構成が可能となった。特にわずか幅5mmではあるが2次元投影デ-タ収集が可能になったため"下顎骨に沿った投影デ-タ"と仮に呼ぶ軌道により得られた2次元投影デ-タから5枚の連続した横断画像を1回のスキャンで得ることが可能になった。この画像は現在のX線CTにより同一下顎骨を撮像し得られた画像にくらべればいまだ劣るものであるが、1回のスキャンで5枚のデ-タが得られたことは重要な成果であると考えられる。以上のような成果については日本歯科放射線学会総会にてすでに口演し、またコンピュ-タシミレ-ションについては歯科放射線学会誌上に発表した。さらに詳しい内容については近く投稿の予定である。
著者
髙森 絵斗 水口 真希 早田 恵乃 渡邊 裕文 文野 住文 鈴木 俊明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.939-943, 2015 (Released:2016-01-09)
参考文献数
9

〔目的〕脳血管障害片麻痺患者の麻痺側母指球筋の筋緊張抑制に対する手太陰肺経の尺沢への経穴刺激理学療法の効果を明らかにすることとした.〔対象〕本研究に同意を得られた脳血管障害片麻痺患者7名とした.〔方法〕尺沢への経穴刺激理学療法施行の前後に麻痺側母指球筋からF波を測定し,安静試行と他の試行との間で振幅F/M比,出現頻度,立ち上がり潜時をそれぞれ比較した.〔結果〕振幅F/M比は安静試行と比較して,経穴刺激理学療法試行中,終了直後,5分後,10分後,15分後に有意に低下した.出現頻度,立ち上がり潜時は,経穴刺激理学療法試行前後の変化を示さなかった.〔結語〕筋緊張抑制目的の経穴刺激理学療法では,脊髄神経機能の興奮性を抑制することが示唆される.
著者
井上 涼 森 拓郎 田中 圭 瀧 裕 五十田 博
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.26, no.64, pp.917-922, 2020-10-20 (Released:2020-10-20)
参考文献数
14
被引用文献数
6

In order to continue using wooden houses after the earthquake, it is necessary to accurately judge the damage level and make appropriate repairs. Therefore, an evaluation index for estimating the experience deformation from the damage situation of interior and exterior finishes is proposed. When evaluating the finish damage level of the static resisting wall test and the shaking table test, it was found that internal finish damage was more accurately estimated than external ones. When the cloth was torn along the gypsum board joint, the deformation was classified as D2 level damage.
著者
山森 靖人 Yasuhito Yamamori
出版者
関西外国語大学・関西外国大学短期大学部
雑誌
関西外国語大学研究論集 (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
no.105, pp.127-141, 2017-03

本稿は『関西外国語大学研究論集』第101号に掲載された「ウィチョール族民芸品販売の現状と問題」の続編である。先の拙稿では、1 )ウィチョールの民芸品販売がメキシコ各地に拡散していること、2 )その拡散は非ウィチョールが主導していること、3 )ウィチョールによる民芸品販売は主に彼らの居住地に隣接する都市部や首都に展開する屋台や民芸品市場に限定されること、4 )民芸品販売がウィチョールの生業になり得ないことを考察した。ウィチョールの「伝統的」な生業はとうもろこしの農耕である。しかし、ナヤリ山地に定住する以前、彼らは農耕民ではなく、狩猟採集民であったと推測されている。この生業の変化を踏まえて、ウィチョールの民芸品販売に潜む狩猟採集民的な特質を解明し、貨幣経済に順応するための民芸品販売が、彼らの生業となり得ない理由を議論する。
著者
山森 靖人
出版者
関西外国語大学
雑誌
研究論集 (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.121-138, 2015-03

1960年代、ウィチョール族(huichol)のシャーマンが描くサイケデリックな「抽象画」の芸術性が認知され、それと同調し、ウィチョール族民芸品の製作販売が始まる。現在、民芸品の製作販売は、彼らの重要な現金収入源となった印象を受ける。 しかし、Torres Contreras は、ウィチョール族の生産活動についての研究は少ないと指摘する(33)。彼らの民芸品についても、その概説やそこに表出された彼らの世界観を紹介・解説する著作は散見されるが、製作販売の現状に関する調査研究はほとんど行われていない。NahmadSitt&oacute;n による1970年代の状況に関する論考が見られるだけである(150-157)。 本稿では、現地調査により収集した情報に基づき、ウィチョール族の民芸品販売の現状を報告する。さらに、ウィチョール族にとって、現在の民芸品販売の「流行」がどのような意味をもつものであるのかを考察する。
著者
渡辺 俊三 豊嶋 秋彦 大場 昭一 飯塚 稔 植本 雅治 森山 成彬 小泉 明 一之瀬 正興 寺田 光徳 RICHARDOT Dominique 大西 守 浜田 秀伯 藤谷 興一
出版者
弘前大学
雑誌
弘前醫學 (ISSN:04391721)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.167-175, 1984-03

フランスP市の日本人小・中学校児童の外国文化への適応について検討を加えた.対象は日本人学校児童122名(男71,女51)であった.今回のアンケート調査は32項目よりなり,外国文化への適応の評価と印象,外国語能力の自己評価,日本とフランスの関係についての評価などよりなる. このアンケートを統計数理学的方法で検討を加えた.結果は,外国文化への適応の評価は概ね比較的良好であった. さらに,適応への重要な因子として,外国語の能力があげられ,外国語学習への積極的態度が観察された.