- 著者
-
森川 修
- 出版者
- 日本応用動物昆虫学会
- 雑誌
- 日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.1, pp.1-5, 1964-03-25 (Released:2009-02-12)
- 参考文献数
- 7
殺線虫剤,ethylene dibromide (EDB), 1, 2-dibro-mo-3-chloropropane (DBCP)およびcis-1, 3-di-chloropropene (cis-D)の作用機構を知るため,これら薬剤のワモンゴキブリ雄成虫に対する毒性および中毒症状についてしらべた。薬剤のアセトン溶液をゴキブリの腹腔内に注射し,72時間後のLD-50を求めると,EDB 0.398μg, DBCP 0.955μg, cis-D 0.059μgであった。中毒症状を直接観察した結果,EDB処理では麻痺に落ち入り死亡するのに対し,DBCPやcis-Dを処理したものでは,興奮,麻痺,死亡の順に症状が現われることが明らかになった。また,処理薬量を2倍にしても発現する症状は変らなかった。Entomographyを行なったところ,EDBを処理した昆虫ではけいれんのみが現われるのに対し,DBCPやcis-D処理の昆虫では,興奮とけいれんが同時に起こることが明らかになった。