著者
森 新之介
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本年度は研究成果を論文2本と研究ノート1本、訳註1本、そして学会発表1回として公表した。また、来年刊行予定の事典の項目2つを担当した。研究計画における個別研究c)「慈円『愚管抄』と虞世南『帝王略論』」としては、初年度に学会発表した内容を発展させて論文「虞世南『帝王略論』の聖人窮機論と九条兼実」を刊行した。本稿では、九条兼実が後白河院への申状に記した「聖人之道、察機応時」という文は、その数箇月前に読み合わされた虞世南『帝王略論』の聖人窮機論に由来することを論証した。また、その研究過程で得られた知見を研究ノート「慈円『愚管抄』の冥顕論と道理史観」と訳注「慈円『愚管抄』巻第七今訳浅註稿」として刊行した。前者では、「冥とは目視できない世界のことであり、仏神と権者、怨霊、邪鬼の四つが冥衆だ」という通説を批判し、『愚管抄』に17例ある「冥」は、すべて仏神の意か、道理や作為、作用の冥然として知り難いことの意だと論証した。後者の訳註は、『愚管抄』の先行訳註にあった幾つかの問題を克服し、学界に便を供するために作成した。また、a)「新儒学中心史観の形成過程」として、学会発表「江戸前期における道統論と儒家神道」を行い、初年度の学会発表と合わせて論文「江戸前期における道統と華夷、神儒――神代上古の叙述に着目して――」を刊行した。本稿では神代上古の叙述に着目し、江戸前期における華夷論や神儒論の多くは、自国意識を脅かす外来思想への自衛反応でもあったと見るべきであろうことを指摘した。
著者
宇佐美 昭次 桐村 光太郎 伊東 よし男 志村 進 上沼 敏彦 森 隆雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.479-481, 1989
被引用文献数
1

リパーゼ高生産菌を得るために,カカオ豆およびチョコレート工場周辺の土壌より菌株の探索を行った.その結果,菌体外に多量のリパーゼを生産する1菌株を取得し,菌学的検討を行い, <I>Rhizopus oligosporus</I>と同定した.本供試菌についてリパーゼ生産のための最適培養条件の検討を行い,ペプトン5% (w/v),グルコース2% (w/v),オリーブ油2% (v/v),レシチン0.2%(w/v)に微量の各種無機塩類を加えた最適培地を決定した.また培養経過から温度30℃, 5日間の条件を得た.これらの条件下で振とう培養することにより供試菌の菌体外リパーゼ活性は16.7U/mlに達した.
著者
山田 慎也 金 セッピョル 朽木 量 土居 浩 谷川 章雄 村上 興匡 瓜生 大輔 鈴木 岩弓 小谷 みどり 森 謙二
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

現代の葬儀の変遷については、整理を進めている国立歴史民俗博物館蔵の表現文化社旧蔵の葬儀写真を順調にデジタル化を進め、約35000のポジフィルムをデジタル化をおこなった。昨年度、さらに追加の資料が発見寄贈されたので、デジタル化を進めるための情報整理を行っている。また近親者のいない人の生前契約制度等の調査は、それを実施している横須賀市の具体的な調査を行った。一定の所得水準以下の人だけを対象としていたが、それ以上の人々も希望があり、死としては対応を迫られていることがわかった。また相模原市や千葉市などでも行政による対応がなされ、千葉市の場合は民間業者との連携が行われていることがわかった。また京都や大阪での葬送儀礼や墓の変容については、その歴史的展開の相違から東京という政治的中心とは異なる対応をとってきていることが調査によって判明した。そこでその研究成果について、民間の文化団体と協力して「上方で考える葬儀と墓~近現代を中心に」というテーマで、大阪天王寺区の應典院を会場にでシンポジウムを開催した。当日は人々の関心も高く、約150名ほどが集まり会場は立ち見が出るほど盛況であった。また3月には、葬儀の近代化によって湯灌などの葬儀技術や情報が東アジアに影響をおよぼし、生者と死者の共同性に影響を与えていることを踏まえ、東南アジアの多民族国家における葬儀と日本の影響を把握するため、マレーシアの葬祭業者や墓園業者などの調査を行い、またマレーシア死生学協会と共催で国際研究集会「葬送文化の変容に関する国際比較―日本とマレーシアを中心に―」を開催し、両国のおける死の概念や葬儀産業の役割、専門家教育などについて検討を行った。
著者
森谷 公俊 Moritani Kimitoshi
出版者
帝京大学文学部史学科
雑誌
帝京史学 (ISSN:09114645)
巻号頁・発行日
no.29, pp.237-282, 2014-02
著者
森谷 公俊
出版者
帝京大学文学部史学科
雑誌
帝京史学 (ISSN:09114645)
巻号頁・発行日
no.29, pp.237-282, 2014-02
著者
森谷 公俊
出版者
帝京大学文学部史学科
雑誌
帝京史学 (ISSN:09114645)
巻号頁・発行日
no.28, pp.221-315, 2013-02
著者
森谷 公俊
出版者
日本西洋史学会
雑誌
西洋史学 (ISSN:03869253)
巻号頁・発行日
no.252, pp.254-266, 2013
著者
小川原 純子 横山 祐子 森下 勇 一條 智康 加藤 直子 山岡 昌之
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1335-1342, 2015-12-01

思春期には体も心も大きく変化する.身体的発達のみならず,自我同一性(identity)の確立などこの時期の正常な心の発達を知ることは,思春期のうつ病や,摂食障害などの心身症を診察する際,その病態の基本的理解として欠かすことができない.また,思春期の患者がもつ生来の言語能力や社会適応力・認知力といった各人の能力を見極めることは,患者の感じている困難感の分析に有用である.さらに思春期に至るまでの生育環境や養育者との基本的信頼関係の構築の有無などの情報は,思春期の患者の心の発達過程での問題点を推測する重要な手掛かりとなる.
著者
田端 敬三 橋本 啓史 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.97-102, 2015 (Released:2016-04-19)
参考文献数
43
被引用文献数
1 4

京都下鴨神社の社叢,糺の森全域において2002年と2010年に実施した幹直径10 cm 以上の全樹木対象の毎木調査結果から,アラカシ,シラカシの断面積成長量に対する初期サイズおよび周辺競争個体の影響を検討した。その結果,アラカシ,シラカシのいずれも断面積の初期値と断面積成長量は有意な正の相関を示した。アラカシでは半径6 m,シラカシは半径8 m 範囲内までに位置する競争個体が対象個体の成長に影響していた。アラカシでは初期サイズと周辺の競争個体からの被圧の2要因による成長への影響が強く見られ,これらを説明変数とする成長モデルの説明力は54%であった。一方,シラカシでは41%にとどまり,他の要因の影響も示唆された。
著者
岩本 有司 森田 拓真 小路 淳
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産學會誌 = Bulletin of the Japanese Society of Scientific Fisheries (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.841-848, 2010-09-15
被引用文献数
5

先行研究が行われている有明海筑後川河口域とは環境条件が異なる広島湾北部および太田川水系 2 河川下流域においてスズキ仔稚魚の出現と食性を調査した。仔稚魚の分布密度は砂浜海岸に比べて河川内浅所において有意に高かった。仔稚魚の消化管内容物は枝角類とカイアシ類が中心であり,それらの種組成は各河川および定点の餌料生物環境に対応して変化した。<i>Sinocalanus sinensis</i>(汽水性カイアシ類)が主要餌料生物となる筑後川下流域だけではなく,太田川下流域もスズキ仔稚魚の主要な生息場であることが明らかとなった。<br>
著者
森井 俊廣 門口 隆太 小松 元太 松本 智
出版者
新潟大学農学部
雑誌
新潟大学農学部研究報告 (ISSN:03858634)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.99-107, 2011-03

砂層とその下部に礫層を重ねた単純な構造の土層地盤では、互いの層の土粒子の大きさあるいは間隙サイズに伴う保水性の違いにより、砂層と礫層の境界面の上部で降下浸潤水が保水され、集積する。境界面に傾斜をつけると、集積水は傾斜方向に流下していくため、境界面はあたかも不透水性の障壁として機能し、それ以深の領域への水の浸入が抑制される。また、境界面に沿って流下した水は、末端で集水することにより、貴重な雨水資源として捕獲することも可能である。砂層と礫層を重ねた単純な土層地盤にみられる浸潤水の遮断・捕獲の機能を、土の毛管障壁あるいは土のキャピラリー・バリア(Capillary barrier of soil)と呼ぶ。傾斜したキャピラリー・バリアのもつ浸透抑制機能を利用すれば、地盤に浸透した降雨水を表層部で効果的に捕捉し、地盤深部への浸潤を低減できるため、地山斜面やため池堤防斜面などの斜面すべり防止技術への展開が可能となる。一方、キャピラリー・バリアを地表面の近傍で平面上に敷設すれば、土壌水を根群域に保水できるため、節水かんがいが可能となる。このような土のキャピラリー・バリアがもつ応用展開の可能性に着目し、まず、土のキャピラリー・バリアの技術的特徴を紹介したのち、野外実験および圃場実験にもとづき、傾斜したキャピラリー・バリア地盤における雨水遮断機能ならびに水平状に敷設したキャピラリー・バリア地盤における節水かんがいの可能性を調べる。
著者
山森 邦夫 出口 進 前原 栄世 松居 隆
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.1157-1162, 1992 (Released:2008-02-29)
参考文献数
17
被引用文献数
8 14

Lethal effects of tetrodotoxin (TTX) and saxitoxin (STX) on 6 species of nontoxic marine crabs, as well as effects of the toxins on their nerves, were investigated. There was wide variance among species examined for the lethal effect of TTX and STX. The tolerances of nerves are almost compatible to lethal tolerance with the exception of Hemigrapsus sanguineus. This species showed relatively high resistance to TTX, but its nerve was at almost the same level of tolerance as those of other TTX-sensitive crabs. In order to elucidate the mechanism for high TTX-resis-tance in H. sanguineus, nerve tolerance was measured in the presence of its body fluid. The body fluid reduced the effect of TTX on the nerves, while no effect was observed for STX. It is also con-firmed that pre-injection of the body fluid of H. sanguineus into a mouse was effective to some extent in protecting the mouse from TTX attack.
著者
林 [ヒョンジュン] 森原 彩 鄭 恩姫
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.119-126, 2016-03-31

Overseas training programs can provide the students opportunities to go outside of Japan. By looking at Japan and its culture from outside of Japan with global perspectives, students might be able to discover beauties and strengths in their own local communities, or might be able to find the clues to solve various problems. The programs using the Project-Based-Learning(PBL) approach is especially effective to cultivate students' global perspectives and critical thinking skills. This paper reports on an educational oversea program, "Blue-Bird-Project" conducted in Changwon city in Korea from September 16th to September 24th, 2015. The program was carried out with Kyungnam University and Changwon city.