著者
森口 喜成 後藤 晋 高橋 誠
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.161-169, 2005-04-01
参考文献数
99
被引用文献数
2

採種園研究に分子マーカーが利用されることにより, 従来技術では制限のあった採種園における構成クローンの同定, 園外からの花粉混入率, 自殖率, 次代に対する各構成クローンの花粉親としての寄与率に関する知見が急速に蓄積されつつある。これらの研究から, 数%程度の誤植, 30%以上の花粉混入率, 5%以下の自殖率が多くの採種園で一般的であることが示された。また, 報告された構成クローンの花粉親としての寄与率は, いずれも均等交配から著しく偏っていた。これらの知見から, 1)採種園構成クローン以外の混入個体を除去するために, 分子マーカーを用いてクローンの配置確認を行う, 2)花粉混入率を低下させるために, 同樹種の少ない場所に採種園を造成する, 着花促進, SMP処理などによって空中花粉中の園内花粉の割合を大きくする, 3)自殖率を低下させるために, クローンあたりのラメート数を少なくする, 4)均等交配を実現するために, 各クローンの雄花着花量を均等化する, 開花期の著しく異なるクローンを除去する, といった遺伝的管理が重要だと考えられた。
著者
森村豊, 大宮健太郎 訳
出版者
森田書店
巻号頁・発行日
vol.第1輯, 1926
著者
森下 義亜
出版者
北海道大学大学院文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.375-389, 2012-12-26

コミュニティは社会学の鍵概念の一つであり,さまざまに理解・解釈され ながらも,古くて新しい研究テーマとして社会学研究の伝統を占めてきた。 同概念は近年,再び多方面で用いられている。現代都市では,高齢者の社会 的孤立などの種々の課題への対処のためにコミュニティ概念の有効性が認識 されているからである。しかし地域社会での施策が多様化・増加するにもか かわらず,コミュニティの減退や喪失が危惧されているという逆説的現状が あり,高齢者については孤独死・孤立死の問題も起きている。これを踏まえ, 本稿では地域社会でのコミュニティ形成が困難な要因を探ることを目的とす る。 そのためにまず,社会学におけるコミュニティ概念の理論研究の内容を整 理する。そこから読み取れるのは,コミュニティの解放による個人主体の社 会的関係の多様化がみられる一方で,地域社会での集合的なコミュニティの 形成・再生が困難になっているという,現代都市コミュニティの課題の本質 である。 この課題にはコミュニティ形成を目的とする地域社会構造も関連してい る。コミュニティ形成の起点となるのはアソシエーションであり,本研究の 調査地である札幌市では町内会・自治会,および市民活動団体が混在してい るが,近年の同市のコミュニティ形成施策によって,両者が協働する枠組み が整備された。しかしながら現段階では市民活動団体は地域社会システムを 担うまでにはなっておらず,事例としてとりあげる白石区においては,その 枠組みの中心となっているのは町内会・自治会である。その運営や活動はお もに高齢者が担っており,社会参加の観点での意義は小さくない。 しかし低下する加入率や活動参加率から,コミュニティ形成の枠組みが形 骸化している面が指摘できる。また人口構成や町内会・自治会加入率の高低 などの地域特性によらず,全市一律のコミュニティ形成の枠組みとなってい ることも課題の一つであると考えられる。今後の調査では,同枠組みをどの ように活用し,急速に高齢化する札幌市におけるコミュニティ形成をいかに 実現するかを研究する必要がある。
著者
春間 賢 隅井 浩治 森川 章彦 上村 直実 忌部 明 木村 学 徳毛 健治 吉原 正治 豊島 仁 井上 和彦 松原 秀樹 梶山 梧朗 松本 隆允
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.851-857, 1989 (Released:2007-12-26)
参考文献数
30
被引用文献数
5 5

胃底腺性過形成性ポリープ (胃底腺ポリープ) の胃酸分泌, 血清ガストリン値および血清ペプシノーゲン1 (PG1) 値について, 健常者と腺窩上皮性過形成性ポリープ (腺窩上皮ポリープ) の値と比較検討した. 胃酸分泌と血清PG1値は健常者と胃底腺ポリープでは差がなく, 腺窩上皮ポリープでは著しい低値を示した. 一方, 血清ガストリン値は, 健常者と比較すると, 胃底腺ポリープではやや低値を, 腺窩上皮ポリープでは著しい高値を示した. さらに, 組織学的な検討とあわせ, 胃底腺ポリープは過形成性ポリープの一つに分類されるが, 胃底腺に高度の萎縮をともなう腺窩上皮ポリープとは異なり, 萎縮のない胃底腺粘膜に発生していることを明らかとした.
著者
森本 三男
出版者
千葉商科大学
雑誌
CUC view & vision (ISSN:13420542)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.6-9, 2007-09

企業のM&A (merger & acquisition,合併・買収)については、戦略・金融・財務論からの研究が多く、内容的にもかなり充実し蓄積が進んでいる。最近では、三角合併の解禁や投資ファンドによるM&Aに関係させた企業防衛策や企業統治からの論考も少なくない。しかし、M&Aの実質的効果を問題にすれば、M&Aの戦略的・計量的な経営的効果もさることながら、その持続的効果としての組織統合がより重要であることを看過すべきでない(林、1989)。モノではなく人の集団である企業のM&Aの7割は失敗しているとの指摘(産経新聞07.6.6)もある。そこで以下では、after mergerないしpost M&A managementの中心課題である組織統合を、組織文化の視点から考察する。
著者
風早 康平 安原 正也 高橋 浩 森川 徳敏 大和田 道子 戸崎 裕貴 浅井 和由
出版者
日本水文科学会
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.221-252, 2007-11-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
210
被引用文献数
8 9

近年, 地下水研究においては, 流動プロセス, 水収支, 起源, 化学反応, 年代などの解明の目的で, トレーサーとしての環境同位体の利用が進み, 多くの手法提案もなされている。環境トレーサーのうちよく利用される1) 酸素・水素同位体, 2) 炭素同位体, 3) 希ガス, 4) 塩素同位体, 5) クロロフルオロカーボン類などについて, その利用手法および有効性についてレビューを行った。 用いる環境トレーサーが, 反応性のないものであれば, それは地下水が涵養されるときの情報を保持しうる。酸素・水素同位体やd値などは, 涵養の場の特徴応じてそれぞれ固有の値を持つ (標高効果, 内陸効果など) ことが知られているため, 地下水の涵養場の情報を得る上で強力なツールである。含炭素成分は反応性が高いが, 炭素同位体の利用により, その起源を知ることができ, それにより地下水系の中で生じる各種化学反応やガス付加のプロセスについての情報を得ることができる。放射性炭素については, 以前より地下水の年代測定に用いられてきたが, DICの起源について吟味した上で年代結果を論じなければならない。トレーサーとしての希ガスの利用は, その溶解度が温度に依存することから, 涵養時の温度の推定に用いることができる。放射壊変起源の4Heは, 地殻内部で生産され深層地下水系内に蓄積されてゆく。したがって, 4Heの蓄積率がわかれば, 非常に長い滞留時間の推定することができる。放射性塩素は~100万年といった非常に古い地下水の年代測定に用いられる。また, 1950年代に行われた核実験により生成されているため, それをトレーサーにして若い地下水年代にも応用可能である。クロロフルオロカーボン類は, 近年の工業利用により大気中に存在するようになったため, 地下水はその涵養時に溶解する。これらの成分は非常に高感度に濃度の測定ができるため, 若い地下水年代測定や深層地下水系への若い浅層地下水の混入・汚染などに応用される。 個々のトレーサーを用いた手法は, 非常に簡単な地下水系にのみ適用可能であるため, より複雑な地下水流動系の解明のためには, 複合トレーサーとして各種の成分を扱い, 年代や起源の異なる地下水の混合などのプロセスを明らかにしてゆく必要がある。複合トレーサー利用をした複雑系のシミュレーションによる地下水系の研究は現在, 非常に進展している分野のひとつである。
著者
森屋 和喜
巻号頁・発行日
2013

筑波大学博士 (工学) 学位論文・平成25年3月25日授与 (甲第6445号)
著者
上り口 晃成 井上 宏 森本 兼曩
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学 (ISSN:00306150)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.48-54, 2003-03-25
参考文献数
27
被引用文献数
7

本研究の目的は,唾液を非侵襲的に採取し,そのコルチゾール濃度を分析することで,歯科処置によるストレス反応に治療内容の詳細な説明と来院の繰り返しが与える影響を検討することにある.被検者は,専門的な医学的知識をもたない者を対象に本研究の主旨を説明し,実験協力の同意を得たボランティア18名(男性16名,女性2名,平均年齢20.3歳)を用いた.実験手順として,まず被検者を診療室に入室させ,実験の説明を行い,同意を再確認した.説明群には実験器具をすべて見せながら詳細な手順を説日し,非説明には実験の概略のみを説明した.次に,SpielbergerのSTATE-TRAIT ANXIETY INVENTORY(以後STAIとする)および不安に関するVisual Analogue Scale(以後VASとする)を記入させた.そして水平位にて歯科処置を行い,唾液を採取し,再度VAS、STAIを記録した.歯科処置として,□腔内診査,上顎中切歯部歯肉への浸潤麻酔,下顎歯列の超音波スケーリング,上顎のアルジネートによる印象採得を順に行った.統計解析の結果,コルチゾール濃度のCV値は,非説明群が説明群と比べて有意に高い値を示した.また,非説明群において第1日目のCV値が高<,第2日目にかけて減少する傾向がみられた.STAIの状態不安スコアに関しては開始時が終了時よリ,また第1日目が第2日目より有意に高い値を示した.不安に開するVAS値は説明の有無と来院回数間に交互作用がみられ,非説明群において第1日目が第2日目よリも有意に高い不安VAS値を示した.さらに,不安に関するVAS値と疼痛に関するVAS値はともに同一処置への来院の繰り返しによって低下することが示された.以上の結果から、歯科処置によって生じるストレス反応は,来院回数によって慣れが生じて減少するとともに,ストレスの軽減には詳細な処置内容の説明が有効であることが明らかとなった.
著者
斎藤 顕宜 森田 佳代 上野 慶一 八巻 芳夫 滝沢 登志雄 徳永 隆久 亀井 淳三
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農藝化學會誌 = Journal of the Agricultural Chemical Society of Japan (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.1242-1245, 2003-12-01
参考文献数
17

Rosemary, plantago, and tea tree oil have been customarily used for the treatment of the common cold, but the detailed mechanisms of these antitussive effects are not well known. Thus, the aim of this study was to assess the antitussive properties of these herbs using a capsaicin-induced cough model in guinea pigs. Rosemary (10, 30μL/kg, <i>p.o.</i>), plantago (10, 30mg/kg, <i>p.o.</i>), and tea tree oil (10, 30μL/kg, <i>p.o.</i>) produced dose-dependent and significant antitussive effects. Methysergide (a serotonin receptor antagonist), but not naloxone (a opioid receptor antagonist), antagonize the antitussive effects of plantago and tea tree oil. On the other hand, neither methysergid nor naloxone had a significant effect on the antitussive effect of rosemary. Furthermore, γ-terpinene, terpinene-4-ol, cineole, and α-pinene, main components of tea tree oil and rosemary, significantly inhibited the number of capsaicin-induced coughs in guinea pigs. These results suggest that the antitussive effects of plantago and tea tree oil may depend on central mechanisms (modulation of serotonergic systems). On the other hand, the antitussive effects of rosemary may depend on peripheral mechanisms. Furthermore, it is suggested that γ-terpinene, terpinene-4-ol, cineole, and α-pinene may play an important role in the antitussive effects of tea tree oil and rosemary.
著者
長谷川 亮 森谷 健二 喜多 幸次 柳谷 俊一 山田 一雅 小川 陸郎
出版者
函館工業高等専門学校
雑誌
函館工業高等専門学校紀要 (ISSN:02865491)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.19-24, 2003

Since 2000, we have attempted to improve a method of leading and experimental theme in the fundamentals of electrical and electronic engineering laboratory I accompanying with a reorganization from dept. of electrical eng. to dept. of electrical and electronic Eng.. In the second-year class, instructions of how to write a technical report were also included into contents of the electrical and electronic experiment. In the present report, we investigated such a method of leading, the experimental system and other problems based on previous enquetes. As a result, it was judging that current experimental system: members of groups, volume of contents, were adequate for students. Additionally, the instruction of technical report was meaningful for the students and we could confirm the necessity of continuing the efforts. On the other hand, some problems: 1) student's preparations to experiments are not sufficient 2) students frequently depend on teacher's advices 3) teachers are not enough to explain evaluation system to students 4) whether experimental themes are really proper or not, were revealed. These examinations and improvements should be needed continuously in the future.