著者
高橋 正身 宮岡 等 板倉 誠 東 貞宏 山森 早織 片岡 正和
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

SNAP-25はシナプス前部に発現するタンパク質で、神経伝達物質の放出に必須な役割を果たしている。SNAP-25のSer^<187>はプロテインキナーゼCによってリン酸化を受けるが、その機能的な役割については明らかではなかった。今回SNAP-25のリン酸化がPP2Aによっても制御され、モノアミン放出の制御や発達期にけるてんかん発症抑制などに重要な役割を果たしていることを明らかにした。
著者
長松 康子 田代 順子 菱沼 典子 松谷 美和子 及川 郁子 麻原 きよみ 平林 優子 大森 純子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護学会誌 (ISSN:13441922)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.62-67, 2007-06

ボランティア活動の一領域である海外ボランティアに焦点をあて,サービスラーニングカリキュラム作成に必要な情報と支援策について資料を得るため,タイ国でのボランティア活動に参加する看護学生が直面する困難と,その解決のために有効な情報や支援,および,海外ボランティア受け入れ担当者が望む情報・支援について調査を行った。調査は,タイ国ボランティア活動に参加したA看護大学4年生8名に対し,活動終了後にフォーカスグループディスカッションを,タイ国B大学看護学担当教員4名に英語によるアンケートを実施した。ボランティア活動は,タイ中心部のスラム地区の小学校スクールナース活動,在宅ケア,デング熱キャンペーン,ナースクリニック,孤児院で実施された。事前準備として,タイの文化・習慣・宗教,ヘルスシステムや健康問題,基本的なタイ語挨拶などを実施し,それらは概ね役立った。しかし,それでも学生は(1)文化・言語:道に放置されるゴミや野犬,スタッフの説明が理解できない,(2)ボランティアとしての参加の仕方:見学だけか,ケアしてもよいのか,(3)心理面:孤児との別れの辛さ,異文化生活における精神的疲労,(4)看護ケア:日本と異なる方法,などの困難を経験していた。これらに対しては現地で,日々の振り返り,学生同士のディスカッション,教員やスタッフによるスーパーバイズなどの支援を行い,有効であった。一方,現地担当者は,スケジュールや食事に対する学生の要望や学生の看護知識・技術についての情報を求めていた。さらに,事前学習の指導や現地での学生の支援を日本の教員に期待していた。これらは,サービスラーニングで提供する海外ボランティア活動の情報に反映することが可能であると考える。
著者
米森 敬三 佐藤 明彦 山根 久代 神崎 真哉
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

日本のカキの甘渋性を決定するAST遺伝子の単離を目的として、カキ(六倍体)の二倍体近縁野生種マメガキから作製したフォスミド・ライブラリーを用い、AST遺伝子マーカー領域をプローブとしてシードクローンを単離後、コンティグを構築した。さらに、マメガキのBACライブラリーを構築し、BACクローンを用いたコンティグも作製した。これらのコンティグ内にはAST遺伝子が存在している可能性が高く、AST遺伝子単離の実現性が大きく前進した。さらに、中国タイプの甘渋性を決定するPCNA遺伝子の単離においても、マメガキのBACクローンが有効である可能性が示され、CPCNA遺伝子単離のための方向性が示された。
著者
原田 昌和 山本 学 和田 健 神木 茂樹 明楽 修身 住吉 増彦 黄 祖冷 森田 展雄 坂本 忠幸
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.657-663, 1988
被引用文献数
13 3

Odontogenic keratocyst has been reported by many authors as a specific entity of odontogenic cysts since first described by Philipsen.<BR>Histopathologically, keratinization of the epithelial lining and formation of micro cyst; clinically, higher incidence of recurrence are characterized. Three hundred and sixty odontogenic cysts operated in the Department of Oral Surgery from 1966 to 1984 were studied. A representative histopathologic section from each cyst was screened, using the criteria for odontogenic keratocysts as stated by Pindborg.<BR>Of the 360 cases, 24 fullfilled the histologic criteria for odontogenic keratocysts, for a 6.7 per cent incidence. Of the twenty-four patients, one was diagnosed as basal-cell nervous syndrome, and had five cysts. Of the 24 patients, six had cyst recurrence for a rate of 32 per cent. One patient each had recurrence after one year five months, after three years, after three years four months, after three years five months, after four years six months and one four years ten months after the primary operation. Recently, some investigators have pointed out that odontogenic keratocyst may be benign cystic epithelial neoplasia. In our study, this opinion has been taken into account in view of the higher incidence of recurrence, but no histologically precise feature was obtained.
著者
青森県 編
出版者
青森県
巻号頁・発行日
vol.大正2年, 1915
著者
森岡 清美
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-5, 1989-07-20 (Released:2009-09-03)
被引用文献数
2

1968年に発足した家族社会学セミナーが、1988年の第21回セミナーから新しい装いのもとに再出発することとなり、このたび機関誌『家族社会学研究』創刊号がその成果を盛って刊行されることは、家族の社会学的研究を志した者の一人として、まことに喜びにたえない。ついては、創刊号に記念エッセイを寄稿するよう本誌編集委員会から依頼されたので、第1回の家族社会学セミナーがどのような背景から、どのような意図をもって開かれたかを述べてみよう。もし、そのような回想がこのセミナーに草創期から深くかかわってきた者の昔話に過ぎないのなら、巻頭の文章としてふさわしいかどうか疑わしい。しかるにあえてこのような題材を選ぶのは、第21回の新装セミナーが第1回セミナーの素志の今日的発展形態であることを、確認する意義をもちうるように思われたからである。この意義を実現するために、当時の文書を資料として引用することをお許しいただきたい。
著者
大森 南三郎 末永 斂 大利 茂久 下釜 勝
出版者
長崎大学風土病研究所
雑誌
長崎大学風土病紀要 (ISSN:00413267)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.52-56, 1962-03

畜舎の1週間分の廐肥を,底に水をはった堆肥処理場の簀子の上に積み上げ,完全に気密な角型のビニール鐘をかぶせ,その裾はすっかり水中に沈めて廐肥中のハエ幼虫を死滅させる,いわゆるビニール鐘式堆肥処理法を考え,野外実験を行なった結果次のことがわかった.1)廐肥の醗酵は空気の遮断によってほとんど停止し,廐肥中の各令ハエ幼虫は,夏は3~4日間,春秋には4~5日間の空気遮断によって悉く死滅する.2)廐肥の醗酵を停止させ,ハエ幼虫を死滅させる原因は酸素の欠乏と,一部はメタンガスその他の不詳のガスの発生によるものと思われる.3)ビニール鐘をかぶせて空気を遮断し,ハエ幼虫を死滅させた後の廐肥は空気を通すと再び醗酵を始め,ハエの発生源となる.以上のことから,この方法によってハエを撲滅するためには,1週間分の廐肥を積み上げ,直ちにビニール鐘をかぶせ,3~4日間防虫網をはめた鐘の袖から空気を通して醗酵を起させ,内部のハエ卵を悉く孵化させた後で,夏は3~4日間,春秋は4~5日間袖を閉じて空気を遮断し内部のハエ幼虫を殺してから再び防虫網ばりの袖から空気を通して充分醗酵,腐熟させなければならない.An equipment, an air-tight vinyl cover for destructing housefly and stable fly maggots in the animal manure were devised by the senior author. The cover, 80cm by 110cm and 100cm high, is put on the heap of seven days' litter from a cattle-shed piled up on
著者
八木 康史 森島 繁生 金子 正秀 原島 博 谷内田 正彦 原 文雄 橋本 周司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.26, pp.65-72, 1998-03-19
被引用文献数
4

顔画像処理に対する様々な分野での関心の高まりや、工学分野における顔画像処理技術の研究成果の蓄積を背景にして、顔画像処理に関する共通ソフトウェアのツールの作成に向けた活動が進められている。この活動は、「感性擬人化エージェントのための顔情報処理システムの開発」(略称、アドバンストエージェントプロジェクト)と呼ばれ、情報処理振興技術協会(IPA)における独創的情報技術育成事業に関わる開発テーマの一つとして、平成7年度より3年間の計画で精力的に活動を行ってきた。擬人化エージェント技術はさまざまな技術要素から構成されているが、本プロジェクトでは、この中で特に『顔』の役割に着目し、顔画像の認識・合成に関わる顔情報処理システムの開発に主眼をおいた。これと同時に、本システムでは工学のみならず心理学や医学などの分野も含めた顔関連分野における共通の実験用ツールを広く提供することも目標としている。本稿では、平成10年3月で終了するこのプロジェクトの概要と、共通ソフトウェアの紹介を行う。The aim of Advanced Agent Project, supported by Information Technology Promotion Agency (IPA), is to develop the image processing environment for analysis and synthesis of human facial images. This report is mainly concerned with an introduction of an overview of the project and the developed environment for the facial image processing.
著者
松本 淳 久保田 尚之 藤部 文昭 林 泰一 山本 晴彦 財城 真寿美 寺尾 徹 村田 文絵 高橋 幸弘 山下 幸三 赤坂 郁美 遠藤 伸彦 森 修一 釜堀 弘隆 高橋 洋 山根 悠介 大塚 道子 遠藤 洋和
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

日本を含むアジア諸国における紙媒体や画像での日降水量データや台風経路等をデジタル化したデータセットを作成し、モンスーンアジア域における降雨強度の長期変化を解析した。その結果、日本では1930年以降、東北日本を中心に降雨強度が大きくなっていた。フィリピンでは1950年以降の夏季には強雨の増加傾向が、冬季には西海岸で乾燥の強化傾向がみられた。1940年代以前の傾向はこれらとは異なり、近年の変化傾向は数十年スケールでの変動の一部とみられる事、エルニーニョと地球温暖化の影響の両方の影響を受けている可能性が高い事がわかった。中部ベトナムでも近年の傾向と1940年以前の傾向に違いがみられた。
著者
森下 諦三 野田 茂行 小沢 知雄
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.16-24, 1974-12-20

各種産業の工場では,有機性排水を活性汚泥法により処理している。その際の活性スラッジの成分は,ズーグレア,ワムシ,原生動物から成りたっている。したがって,生物処理スラッジの主体は,蛋白質で,有機質肥料として活用出来るものである。著者らは,スラッジの肥効を,ノイバウエル幼植物試験法,土壌中の無機化分解実験(砂質または粘土質土壌使用)および排水の消化工程で添加される凝集剤の影響テストにより検討した。さらに,活性スラッジの芝草に対する肥効と土壌改良性を,市販の類似資材と比較して調査を行なった。結果のまとめ(1)活性スラッジは,なたね油粕やニシン荒粕と同よう,緩効性の肥効を示し,かつまた,油粕施用時の生育障害を認めなかった。(2)凝集剤の添加は,一般に発芽率を稍低下させ,また無機凝集剤の中で,消石灰がリン酸の肥効に最も悪い影響を与えた。(3)芝草に対する活性スラッジの肥効は,その地上部より地下部によく現れる。(4)芝生への活性スラッジの施用は,踏圧による土壌の硬化を軽減する。(昭和48年10月21日,日本造園学秋季大会発表)
著者
山本 恭弘 中尾 恵 黒田 知宏 小山 博史 小森 優 松田 哲也 坂口 元一 米田 正始 高橋 隆
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. E, センサ・マイクロマシン準部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. A publication of Sensors and Micromachines Society (ISSN:13418939)
巻号頁・発行日
vol.123, no.3, pp.85-91, 2003-03-01
参考文献数
11
被引用文献数
9 4

In field of cardiovascular surgeries, palpation of aorta plays important roles in decision of surgical site.This paper develops palpation simulator of aorta based on a finite element based physical model.The proposed model calculates soft tissue deformation according to the affection of inner pressure and the operation of a surgeon.The proposed method is implemented on a prototype with dual PHANToM device.Experimental results confirmed our model achieves real time simulation of the surgical palpation.
著者
森下 祐一 寺岡 易司
出版者
The Society of Resource Geology
雑誌
資源地質 (ISSN:09182454)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.189-195, 1996-08-31
参考文献数
32
被引用文献数
2

This paper determines the location of the Butsuzo tectonic line (boundary between the Chichibu and Shimanto terranes) in the Kushikino area, southwestern Kyushu. Many epithermal gold deposits including the Kushikino and Hishikari de-posits occur mainly as veins in andesitic volcanic rocks in the Hokusatsu gold district, where basement rocks are rarely exposed.<BR>Drill hole 61MAHT-1, which is situated at Hashima in the Kushikino area, penetrates volcanic rocks, and reaches sedimentary rocks of the basement. Modal analysis of sandstone samples from drill hole 61MAHT-1 revealed that they are lithic wackes, rich in chert fragments and poor in quartz and feldspar. The sandstones are different in modal composition from those of the Shimanto terrane, however, they are similar to those of the Sambosan belt of the Chichibu terrane.<BR>The basement sedimentary rocks for most gold deposits in the Hokusatsu gold district are of the Northern Shimanto terrane (Saiki Subbelt), while the basement at Hashima proved to belong to the Sambosan belt. This is a possible reason why the δ<SUP>13</SUP>C values and REE patterns of hydrothermal veins in the Hashima area are slightly different from those in the Kushikino mine area.
著者
菅野 了次 田村 和久 平山 雅章 鈴木 耕太 小林 玄器 森 大輔
出版者
東京工業大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

エネルギーデバイスへ応用可能な新しいイオニクス材料の開発を行った。古典的な材料探索に加え、理論科学、情報科学との連携により、材料探索の新しい指針を検討した。新しいイオン導電種であるヒドリド導電体を開発し、全固体型のデバイス用電解質としての応用可能性を見出すことができた。量子ビームを使ったナノ界面解析では、数nmスケールの電気化学界面構造とデバイス性能との相関と制御指針を見出すことができた。既知構造を利用した探索により、リチウムイオン、酸化物イオンが拡散する固体電解質を開発した。さらに、情報科学の手法を用いて新組成、新構造を有する材料探索にも着手し、その課題と展開可能性を提示することができた。