著者
芦沢 広三 波部 重久 村上 隆之 野坂 大 立山 晉 森友 靖夫
出版者
宮崎大学農学部
雑誌
宮崎大学農学部研究報告 (ISSN:05446066)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.p251-259, 1980-12
被引用文献数
1

昭和51~53年度猟期に宮崎県下各地区で捕獲したイタチ36頭を剖検し, 肺の肺吸虫性病変を検索した.### 一般に肺の肺吸虫性病変の検索に当っては, 虫嚢の存否(肺吸虫成虫の寄生の有無)がまず第一の目標になるが, 今回は虫嚢以外に, 幼若虫の肺組織内穿入病変及び肺胸膜の虫卵性病変をも検索の対象とした. その結果, 虫嚢形成を認めたのは3頭(8.3%)に過ぎなかったが, 他の2種病変を加えると肺吸虫陽性は10頭(27.8%)に達した. もっとも, 後二者の病巣は微小かつ軽微なものが多く, 肉眼所見だけで確診を下すのは容易でない. しかし注意深く観察すると, 多少とも疑わしい所見を呈するので,そのような個所をもれなく組織学的に観察してみた. すなわち慎重な肉眼観察と, 手間をいとわぬ組織検索を併せ行うことにより, 肺吸虫症の陽性率はかなり高くなることが判明した.### 従来,宮崎県産イタチの肺吸虫自然感染例の報告はなかったが,今回の検索によりその実態の一部が解明された.Autopsy was performed on 36 weasels caught in various areas In Miyazaki Prefecture in the hunting seasons in 1976, 1977, and 1978. These weasels consisted of 25 belonging to Musteta sibirica itatsi and 11 belonging to M. sibirica coreana. They were examined for pulmonary lesions caused by Paragonimus.### In general, the first step of examination for such lesions is to look for the presence of wormcysts; that is, the evidence of infection with mature Paragonimus flukes. In the present investigation, however, observation was made to detect lesions of the pulmonary tissue caused by penetrating immature flukes and changes of the pulmonary pleura induced by Paragonimus eggs in addition to cyst formation. As a result, cyst formation was found in only three cases (8.3%). Cyst formation, lesions of the pulmonary tissue caused by penetrating immature flukes, and egg-induced pleural and subpleural lesions were noticed in ten cases (27.8%). In these cases the animals were actually suffering from Paragonimus infection at that time or had be invaded by this parasite ever before.### But the lesions of the pulmonary tissue caused by penetrating flukes, and egg-induced pleural lesions were so minute and mostly so mild that, it was difficult to make a decisive diagnosis of Paragonimus infection macroscopically. Careful observation, however, could detect some or other suspected changes. And foci could be recognized exactly when examind histologically. In conclusion, it was clarified that lesions caused by Pragonimus could be detected at a considerably high rate when careful macroscopical observation and labor-consuming histological examination were carried out simultaneously.### By the way, of the three cases of cyst formation, case I had one cyst containing 2 Paragonimus worms and located in the posterior lobe of the left lung. These worms were identified as P. miyazkii. Case 2 had two cysts formed in the anterior and posterior lobes of the right lung, respectively. The walls of these cysts and worms contained in them were calcified so remarkably that it was impossible to identify these worms. Case 3 had 17 cysts which consisted of seven formed in the anterior and posterior lobes of the right lung, respectively, and two and six formed in the anterior and posterior lobes of the left lung, respectively. The surface of the worm body was calcified. Judging from the morphology of the egg, the worms detected were identified as P. ohirai.### It is for the first time that the spontaneous infection of weasels produced in Miyazaki Prefecture with Paragonimus worms was reported.
著者
小橋 吉博 沖本 二郎 松島 敏春 重藤 えり子 倉岡 敏彦 竹山 博泰 江田 良輔 矢野 修一 小林 賀奈子 大西 隆行 森 健一 上田 暢男 森高 智典 西村 一孝 阿部 聖裕
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.435-441, 2002-06-15
被引用文献数
8

MAC症に対して, ATSおよび日本結核病学会が提言した治療ガイドラインが臨床上適切かどうか, 過去の治療法との比較も併せ検討した。対象は, 1995年4月から2001年3月までに6カ月以上治療がなされ, 治療開始から12カ月以上経過観察を施行できた肺MAC症159例とした。治療状況は, 抗結核薬。CAM102例, 抗結核薬のみ33例, その他24例であった。治療効果は, 抗結核薬.CAMが菌陰性化率45.1%, 再排菌率39.1%, 臨床的改善率29.4%であった。一方, 抗結核薬のみは菌陰性化率30.3%, 再排菌率70.0%, 臨床的改善率12.1%と不良で, CAMが含まれた治療法で優れた成績が得られていた。次に, 抗結核薬.CAMの治療が行われた102例ではガイドラインに一致した RFP, EB, SM, CAMの治療が41例に施行され, 菌陰性化率58.5%, 再排菌率37.5%, 臨床的改善率36.6%であった。一方, 他の抗結核薬.CAMは61例に施行され, 菌陰性化率36.1%, 再排菌率40.9%, 臨床的改善率24.6%と, ガイドラインに沿った治療法が最も優れた成績であった。<BR>しかし, いまだ肺結核に対する治療効果と比較すると不十分であり, 今後新しい非定型抗酸菌に有効な治療薬の開発が望まれる。
著者
千須和 寿直 田内 克典 大森 敏弘 森 周介 岸本 浩史 小池 秀夫 樋口 佳代子 宮澤 正久
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.2462-2467, 2008 (Released:2009-04-07)
参考文献数
18
被引用文献数
4 2

目的:急性虫垂炎の診断におけるCTを重視したプロトコールの正確性と虫垂径の測定の有用性の評価.対象と方法:2002年1月から2004年6月の間に急性虫垂炎と診断した連続した239人を検討した.CTでの診断基準は6mm以上の虫垂径または2次性の炎症変化とした.病理学的な診断基準は筋層以上の炎症細胞浸潤とした.結果:239人のうち235人がCTを受けていた.222人が虫垂切除術を受け,205人が病理学的に急性虫垂炎と診断された.CTで虫垂径が6mm以上あった200人中193人が病理学的に急性虫垂炎と診断された.手術症例の陽性的中率は92.3%(205/222)で,CTで虫垂径が6mm以上あった手術症例の陽性的中率は96.5%(193/200)であった.また保存的治療症例の35.3%(6/17)が再発し,10mm以上で再発率が50%(5/10)と高かった.結論:CTは急性虫垂炎の診断に有用である.
著者
國森 裕生 竹中 秀樹 布施 哲治 後藤 忠広 久保岡 俊宏 豊嶋 守生 吉田 和哉 桑原 聡文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.107, pp.99-104, 2012-06-21

東北大が計画している小型衛星「ほどよし21」別名RISESATに光通信ミッションのレーザ送信機器コンポーネントを搭載し、先進的宇宙実証をおこなう計画を述べる。ミッション名VSOTA(Very Small Optical Transmitter for component validation)の目的と仕様、リンク計算、衛星インタフェースと実験とその評価方法の概要を述べる。
著者
茂木 一司 福本 謹一 永守 基樹 森 公一 直江 俊雄 原田 泰
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

3年間の本研究の成果として、以下の3点に整理できる。(1)表現が重要性を増す情報ネットワーク時代のイメージや感性を大事にした新しい学びの創出を目的として企画された本研究は、学校教育における総合学習や美術館・博物館において活用できる学習環境のデザインを踏まえた「(アート)ワークショップ型の学び(学習方法)」の有効性を理論的・実践的に初めて実証し、具体的な装置・教材として発表、完成できた。(2)実践的研究では、3つのワークショップを実施、分析した。1)「あさひdeアート2003」(実践研究I)、「あさひdeアート2004」(同III)では、「コミュニケーションの可視化」「身体性や感覚の拡張と変換」などを目的にした世界的にも類例をみない重度障害児に対するメディアアート・ワークショップを実施し、メディアアートを活用したワークショップの構造を明らかにした。2)「あの時あの場所色図鑑@ちるみゅー」では、「色によるコミュニケーションの発生や協同学習」を検討した。その結果、ワークショップ型学習のデザイン(作り方)と問題点を明らかにした。(3)(2)に基づいて、メディア活用型ワークショップのデザインを理論的に検証した。特に、従来ワークショップ型学びが無視されてきたその評価に関し、ファシリテーターと参加者(子ども)の発話記録分析を実施し、相互の特性や成果について考察し、その結果、構成主義的教育論に立脚したワークショップ型学習の学習と評価の関係を明らかにし、体験型の教育方略が参加者の認知的社会的発達を促すことを究明した。以上、広義の造形(色や形の発生)をメディアとして捉えた表現型の学びは、従来の作品制作主体の美術教育を超えて、総合的な学習の基盤となることがわかった。同時に、そのようなイメージ・感性開発型の学びは情報メディア時代にふさわしいものであることを証明できた。
著者
森田 亜紀
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.1-14, 2003-09-30

The middle voice, distinct from the active and the passive, is almost forgotten in our days. We could adopt this linguistic category as an alternative category in thinking about the experience of art. According to the linguists' discussions, in the middle voice the subject is inside the process and is affected from it. The process arises of itself without any agent. The middle voice is to grasp a matter not depending on identical terms or units, but starting from an event itself. As the middle voice event takes place, something is slipping off from itself; there is neither 1 nor 2. It concerns between 1 and 2. It is difficult to describe the experience of art in the schema of <<subject - object>> , <<active - passive>> ; both in creation and reception, there takes place something middle. It is also difficult to distinguish the sensible and the signification, the expression and the expressed in the experience; two moments are differentiated and mediated at the same time. In this sense the experience of art seems to be middle. The middle phase in the experience of art is a foundation event from which <<subject - object>> , <<the sensible - the signification>> are deriving.
著者
村岡 倫 森田 憲司 佐藤 智水 桂華 淳祥 渡邊 久 舩田 善之 渡辺 健哉 井黒 忍 櫻井 智美 松川 節 宮澤 知之 松田 孝一
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

研究期間中に、ニューズレター『13,14世紀東アジア史料通信』の第16号~第22号および別冊の計8冊を刊行し、研究代表者および研究分担者・連携研究者の石刻史料に基づく研究成果を掲載した。本科研費で購入した『西安碑林全集』に関して、奈良大学図書館では「『西安碑林全集』を見る」という企画展を開催し、ニューズレター別冊は、その展示に関連して刊行したものであり、研究成果を一般に還元した。第19号、第20号も『西安碑林全集』研究の成果として刊行したものである。そのほか、特筆すべき研究として、新たに発見された漢文・パスパ文合璧碑文の研究、元代のモンゴル高原における地方行政制度の研究などが挙げられる。
著者
森田 利文
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.12, no.8, pp.592-597,607, 1963-07-20 (Released:2011-09-21)
参考文献数
79
著者
森野 博章 ホアイソン グエン 相田 仁 齊藤 忠夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.289, pp.37-42, 2001-09-07

1〜10テラビット/秒の容量をもつ将来の大容量ルータのためのスイッチファブリックの実現方法として、多段接続網により数千ポートの入出力ポート対を扱う手法が考えられる。しかし従来の多段接続網方式の多くは固定長パケットスイッチングを対象として提案されており、回路設計を含めたIPパケットスイッチングへの最適化の検討はほとんど行われていない。筆者らは、IPパケットのための多段接続スイッチとして再ルーティングと最短経路ルーティングの原理に基づくリングシャッフルパターンスイッチを提案しているが、本稿では、本方式の回路構成方式の検討を行う。提案方式についてシミュレーションによる評価および回路設計を行い、この結果をもとに、64×64のサイズのスイッチをLSIに納めLSIを多段接続して4000ポート程度を扱うスイッチファブリックを実現する見通しについて示す。
著者
岡 昌吾 川崎 ナナ 竹松 弘 森瀬 譲二
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

近年、脳の高次機能に糖鎖が深く関わることが次々に示され、神経系における糖鎖研究の重要性が増している。本研究では神経可塑性の調節に重要な役割を持つHNK-1糖鎖、およびシナプス可塑性調節に中心的な役割を担うAMPA受容体に発現するN型糖鎖を中心に解析を行った。その結果、AMPA受容体上のN型糖鎖が、その細胞表面発現量、細胞表面上での側方拡散の調節などに関わることを明らかにした。また、ペリニューロナルネット上に存在する新規HNK-1糖鎖を同定し、神経可塑性調節に重要なコンドロイチン硫酸鎖の合成を制御していることを明らかにした。
著者
森野翠泉 著
出版者
中村日吉堂
巻号頁・発行日
1916
著者
大島 久華 木村 功 何森 健
出版者
香川県産業技術センター
巻号頁・発行日
no.10, pp.56-58, 2010 (Released:2011-07-26)

サトウキビ搾汁及びシュクロース並びにフルクトースを用いた調理実験において、プシコースが生成することを確認した。食品中のプシコースは、製造過程における加熱によってシュクロースやD-フルクトースから非酵素的に生産されることが示唆された。