著者
榊原 弘之 倉本 和正 菊池 英明 中山 弘隆 鉄賀 博己 古川 浩平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.658, pp.221-229, 2000

本論文では, がけ崩れに寄与する重要要因の抽出を目的として, ラフ集合を用いたデータマイニングを山口県のがけ崩れ発生・非発生データに対して実施する. まず, 地形要因データにおける重要要因を抽出し, 比較的少数の要因によって, 大部分のがけ崩れ発生・非発生を矛盾なく説明できることを示す. さらに, 地形要因と降雨要因を組み合わせたデータへも同様の手法を適用し, 降雨時に警戒対象とすべきがけの選別手法を示した. 本論文により, ラフ集合によるデータマイニングを土砂災害の発生・非発生データの分析に用いることができることが明らかとなった.
著者
伊藤 洋 榊原 健介 三木 靖雄
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.1028-1031, 2012-10-01

平成23年12月のある日,当院の救急救命科医師から連絡が入った。 「脳死患者から移植臓器提供がありそうで,移植コーディネーターからの説明が終わり,1回目の法的脳死判定が行われる」と…。 その前月に,愛知医科大学病院における『脳死患者からの臓器摘出マニュアル』が,平成22年7月に日本臓器移植ネットワークが発表した『臓器提供施設の手順書』をもとに作られたばかりで,それまでに1度だけ委員会が開かれただけだった。約10年前と1年前に,それぞれ別々に医局関連病院で,脳死ドナーから臓器摘出が行われたという話は聞いていたが,当院では初めてだった。 それから実際の臓器摘出術までは約1日。高度救急救命センターを運営する救急救命科と中央手術部での麻酔管理をする麻酔科とで,業務が分かれている当院の特性もあるが,院内のコーディネートを含め,さまざまなことを感じた。 本稿では,その実体験から見えてきた脳死下臓器提供の実際と課題について述べる。
著者
青木 幹太 榊 泰輔 聞間 理 三上 真輝
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

本研究では、我々は東日本大震災によって被害を被った子供たちや高齢者に癒しを与える活動を行なったことについて報告する。 ねぶたはランタンを用いた青森の伝統行事である。九州産業大学の工学部と芸術学部は、協力して東北地方の民話「さるカニ合戦」をテーマとした5体のねぶたを作成し、陸前高田市で劇を披露した。劇は幼稚園や養護老人施設で演じられた。
著者
榊原 仁作 永井 慎一 森 淳 竹谷 和視 堀田 芳弘
出版者
日本生薬学会
雑誌
生薬学雑誌 (ISSN:00374377)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.p317-324, 1986-09

20R-Dihydroouabain (20R-DHO) and 20S-dihydroouabain (20S-DHO) were synthesized by reduction of ouabain (G-strophanthin) and separated by reversed phase high performance liquid chromatography. The relationships between the stereochemical structures and pharmacological activities of 20R- and 20S-DHO were studied by the use of isolated guinea-pig papillary muscle and renal Na^+, K^+-ATPase. 20S-DHO was more inotropic (pD_2: 5.0, 100% increase in contractile force at 3.0 x 10^<-5> M) and more inhibitory (pIC_<50>: 5.9) than 20R-DHO (pD_2: 4.6, 100% increase in contractile force at 1.0 × 1O^<-4> M, pIC_<50>: 5.5). On the other hand, both R and S compounds inhibited the positive inotropic effect of their parent compound ouabain; the potency of inhibition by 20S-DHO was greater than that by 20R-DHO. These results suggest that the pharmacological differences in 20R- and 20S-DHO may depend on the strength of hydrogen bond between the carbonyl oxygen and Na^+, K^+-ATPase receptor.
著者
榊原 昭
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.286-292, 2017-12-15 (Released:2018-12-15)
参考文献数
9

耳鼻咽喉科診療への内視鏡ビデオシステムの導入は, 局所の詳細な観察, 画像の保存が可能になるなど, メリットが多い。 しかし一方では, カメラや光源の導入コスト, 機材の大きさ, 煩雑なケーブルの取り回しなどが欠点となっている。 モニターや操作用のダイヤルなどを一切省いたユニークなレンズ交換式の汎用デジタルカメラ (Olympus AIR A01®) は小型軽量で, 撮影条件の設定や画像の確認などは, 無線で接続されたスマートフォンやタブレット端末で行うのが特徴である。 これに iPad Pro®, バッテリー LED 光源を組み合わせて, 安価で小型の無線接続内視鏡ビデオシステムを構築し, 鼓膜, 鼻副鼻腔の観察と記録, さらには内視鏡下の処置と小手術に応用して, 2年間にわたってその有用性と安全性について検証した。 当システムは小型軽量でケーブルが不要でモニターも自由に移動でき, 耳内や鼻副鼻腔の観察と記録のみならず, 内視鏡下の処置や小手術も安全, 確実に行うことが可能であった。 また, リアルタイムで iPad Pro® に表示されるストリーミングビデオ, 記録された画像ともに高品位であった。
著者
榊原 彩子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.19-27, 1999-03

本論文では, 絶対音感を習得するプロセスについて, 考察を加える。1名の3歳児に対し19か月間, 毎日, 絶対音感を習得するための訓練をおこなった。訓練内容は9種の和音の弁別課題である。江口(1991)によれば, これらの和音が弁別できた時点で全ての白鍵音について絶対音感を習得したことが保証される。本研究の目的は, 訓練プロセス中にあらわれる認知的ストラテジーの変化を, 縦断的に明らかにすることである。音高が「ハイト」と「クロマ」という2次元でなりたつという理論に従えば, 絶対音感保有者は, 音高を判断する際「クロマ」に依存したストラテジーをとることが予想される。結果, 2つのストラテジーが訓練プロセス中に観察され, 1つは「ハイト」に依存したストラテジーであり, もう1つは「クロマ」に依存したストラテジーであった。また, 絶対音感を習得するプロセスは, 次の4段階に分けられた。第1期: 常に「ハイト」に依存する。第II期:「クロマ」を認識する。第III期:「ハイト」と「クロマ」がストラテジー上, 干渉をおこす。完成期:「ハイト」も「クロマ」も正しく認識する。
著者
榊 和良
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1139-1143, 2010

『アムリタクンダ』は,既に明らかにしたように,カーマルーパの女神をめぐるマントラを伴う祈願法と,『シヴァスヴァローダヤ』に代表されるナータ派文献にも含まれる呼吸を観察することによる占術を含むタントラ・ヨーガ文献である.13世紀末から14世紀中頃にアラビア語・ペルシア語に訳され,16世紀中頃にはインドのシャッターリー教団のスーフィーの手でイスラーム色を濃くした形でペルシア語で重訳され,中央アジアからトルコ,西アジアからマグリブ世界まで広く伝搬した理由は,寓意文学やその解釈学を発展させたイスラームの伝統を受け継いだ枠物語にある.それは,『トマス行伝』に含まれる「真珠の歌」やイフワーヌッサファー(純粋なる心をもった兄弟)と呼ばれる学者集団による『百科全書』に示された小宇宙観などの影響のもとに,中世イランの哲学者イブン・スィーナーの系譜を継いだスフラワルディーによる『愛の真実に関する論攷』に含まれる「愛」の語る物語を模している.異邦の地への旅を経ての故郷への帰還と「生命の水」による新たな生まれ変わりを核とした寓意的物語を枠として,大宇宙と小宇宙の相即性から説き起こし,「息の学」を媒介として,浄化法やチャクラへの瞑想法をとりこみつつ,本来の自己の認識による救済をめざすありかたが示される.人間の肉体をひとつの町として描き出す枠物語の示す象徴世界は『ゴーラク語録』にも共通性が見出されるが,『ゴーラクシャシャタカ』大本のペルシア語訳にも示されるように,ナータ派文献に示されるヨーガは,霊智による救済を獲得する手段としてスーフィー道と共通性をもつものと理解され,『アムリタクンダ』の翻訳者は,グノーシス的枠物語によって有資格者のためのイニシエーションとして視覚化して見せてくれたのである.
著者
ビスピンク ラインハルト シュルテン トアステン 榊原 嘉明
出版者
日本比較法研究所
雑誌
比較法雑誌 (ISSN:00104116)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.153-175, 2014

ドイツにおいて協約拘束がしだいに低下し,また一般的拘束力の意義が失われたことによってさらにその傾向が強まったことを背景に,ここ数年,どの程度,(法)政策的な改革を通じてドイツの労働協約システムが再び安定化されうるかについての議論が,盛んに行われるようになってきている。その議論は,いまやドイツの政治的課題にまで達しており,2013年9月の連邦議会選挙前における野党各党からは,それぞれ,一般的拘束力宣言の内容的拡大と手続的簡素化を指向する提案がなされた。もっとも,このような提案は,伝統的に協約自治の思想をその大きな特徴としてきたドイツの労働協約システムにとって,ある種,国家が担うべき役割をより大きなものへと転換することを意味している。 本稿は,今日的な一般的拘束力宣言改革論議の背景にあるドイツ労働協約システムの空洞化と一般的拘束力宣言の利用低下の諸相を明らかにするとともに,その改革論議を整理・検討した書き下ろし論稿の翻訳である。
著者
村上 平 榊原 宣 堤 京子 田中 三千雄 丸山 正隆 鈴木 茂 橋本 忠美 金山 和子 長谷川 利弘 吉田 操 山田 明義 鈴木 博孝 遠藤 光夫
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.20, no.7, pp.623-629_1, 1978

Early-stage cancer located on the upper part of the stomach, especially near the esophagogastric junction, is still difficult to diagnose, and frequently undiscoverd until it is too late. Minute cancers so far discovered, in particular, are few in number, and much remains obscure about their morphology, , including such problems as strophic and metaplastic changes in the mucous membrane over the said area. We looked into diagnosis and morphology of minute cancers of the said region in patients encountered by us. Subjects consisted of 12 patients with early-stage gastric cancer the size of 2 cm or less in maximum diameter, a margin of which was within distance of 2 cm from the junction. Total 13 such lesions were found in them. Our findings were as follows : (1) Straight-view fibescope is more useful in observation snd biopsy of small lesions adjacent to the junction, while lateral-view fiberscope has slight advantages with small lesions off the junction, (2) of small, early-stage gastric cancers near the junction, those adjacent to the junction are frequently protuberant, and those off the junction tend to be concave, (3) the majority of small, early-stage gastric cancers near the junction are histologically highly differentiated.
著者
河野 建夫 榊原 徳造
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 = The Japanese journal of swine science (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.93-98, 1997-09-30
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

大ヨークシャー雄豚429頭を用い, 体重90kg時の生殖器の大きさを調査した。併せてそれらと体型, 産肉性との関係およびその遺伝について分析した。調査項目は精巣重量, 同長径, 同短径, 精巣上体重量, 精嚢腺重量, 前立腺重量, 尿道球腺重量および陰茎長で, それぞれの平均値は, 195.3g, 9.9cm, 6.4cm, 39.2g, 132.6g, 4.9g, 48.2gおよび40.6cmであった。各器官とも, 重量については個体変動が大きかった。左右間の比較では, 精巣重量および同長径において左が大きく (P<0.01), 同時に左が大きい個体の出現率も高かった(P<0.01)。生殖器間の表型相関は, 精巣短径と陰茎長間を除きいずれも有意 (陰茎長と精巣重量および同長径間のみP<0.05, 他はP<0.01) であった。胸囲はすべての調査項目と正の相関関係 (陰茎長のみP<0.05, 他はP<0.01) に, また1日平均増体重はすべての調査項目と負の相関関係 (陰茎長のみP<0.05, 他はP<0.01) にあった。分散共分散分析法による両親成分からの遺伝率推定値は, 各項目それぞれ0.46, 0.67, 0.48, 0.50, 0.40, 0.52, 0.71および0.45であった。供試豚以外で, 単睾を呈した23頭の雄豚の精巣は正常雄豚のそれより明らかに大きく (P<0.01), 代償発育の可能性が示唆された。
著者
山本 卓資 松野 純男 笠波 嘉人 榊原 幹夫 岡田 啓 川畑 篤史
出版者
一般社団法人 日本薬局学会
雑誌
薬局薬学 (ISSN:18843077)
巻号頁・発行日
pp.cr.2021-0003, (Released:2021-06-14)
参考文献数
9

在宅訪問薬剤師が心不全を合併する患者における薬剤の副作用を観察し,医師に処方提案した.2018 年 4 月,85 歳女性に対し,薬物の副作用と主訴との関連を調査し,高血圧,食欲低下,徐脈等が認められた.ジゴキシンの血中濃度が中毒域であり,収縮期血圧 160~200 mmHg,脈拍 40~50 回 / 分であるため,医師と中止検討を行った.その結果,同年 5 月には収縮期血圧 120~130 mmHg,脈拍 60~70 回 / 分と改善した.その後,同年 8 月,頻脈(脈拍 110 回 / 分)があり,ベラパミルが追加された.在宅訪問薬剤師が呼吸音の聴取,体重等の結果を処方医師に情報提供した.その結果,ベラパミルを頓用に変更,ロキソプロフェンナトリウムも中止となった.薬剤による副作用の可能性の判断を行うのは,医療専門職以外の介護者には困難である.そのため,在宅訪問薬剤師による介入,医師への情報提供は重要である.
著者
榊 純一
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.2_22-2_29, 2021-06-30 (Released:2021-08-16)
参考文献数
5

秋田大学は,電動化システムの研究開発による地域産業創生を行う新たな産学官連携拠点として,電動化システム共同研究センターを設立した.センターはその傘下に,国内でも有数のシステム試験施設を竣工する予定であり,その設備を一般にも開放する計画である.加えて,センターは人財開発部を有しており,秋田県の将来を担う若年層への教育や社会人のリカレント教育も実施する.本稿では当該センターを中心とする活動状況を紹介する.
著者
藤野 能久 北村 恵津子 榊 孝之 野坂 修一 天方 義邦
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.134-139, 1995

AVM破裂による脳内出血・脳室穿破から脳圧亢進症状を呈している妊娠32週妊婦に対する血腫除去術と帝王切開術の麻酔を経験した。<br>症例は28歳,女性,妊娠32週。突然の頭痛と嘔吐,引き続く意識消失と痙攣発作により,CT上,右脳内出血・脳室穿破と診断された。その後の血管造影で右側頭葉AVMと診断され,緊急開頭・血腫除去術が行なわれた。血腫除去術中から子宮収縮が認められたため,引き続き全身麻酔下に帝王切開術を施行した。妊娠中の脳神経外科の緊急手術と引き続き帝王切開術を施行する場合の麻酔管理について文献的考察を加えて報告した。