著者
榊原 和征 内田 亜希
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 36 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.439-444, 1994-09-20 (Released:2017-08-18)

Endogenous digitalis-like substances(EDLS) or factors(EDLF) are putative substances which have been thought to be pathogens to hypertention and to possess cardiotonic activity through inhibiting of Na/K ATPase. Some of them seem to regulate natriuresis in kidney and those or the others of them seem to possess an unknown function in eyes, though recognized so far only as pathogens to cataract A lot of compounds have been reported as a substance of EDLF so far. Recently, a conclusion that EDLF was ouabain itself was reported by Hamlyn et al. However, it is still controversial if their ouabain is really endogenous, because it has been known that the digitalis activity derived from foods, especially vegitables, may accumulate in adrenal wherefrom it may be released into blood. Several years ago, Inagami et al reported their EDLF isolated from bovine adrenals possessed the molecular weight of 336. This fact, as well as several information by Grave et al, Bricker et al, and Goto et al, prompted us to deduce a structure for Inagami-Tamura's EDLF and thus lead us to a possible structure, (1). In order to reveal the structure more, we attempted to isolate a lot of amount of the EDLF from 92 kg of bovine adrenals. However, that work ended unsuccessfully. Thus, we decided to elucidate its structure through the repetetion of designing of a target molecule, synthesis, and biological evaluation. Target molecules, (26) and (29), synthesized through 17 steps from estradiol (2), showed the contractile activity on an isolated rat aorta and an isolated Guinea pig atrium. However, they were less potent than less oxygenated compounds, (30) and (31). (See Fig. 3,4,5,and 6.) These results suggest the structure (1) is substancially probable but a further study for a true character of the EDLF should be continued.
著者
榊 剛史 鳥海 不二夫 大知 正直
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

フェイクニュースや炎上,エコチェンバー現象など,近年は個人による情報発信における負の側面が注目されている.しかし,近年のソーシャルメディア上の情報拡散は大規模かつ複雑な現象となっており,人間が全体像を直観的に理解することが難しい.そこで本稿では,ソーシャルメディア上の情報拡散を直観的に理解可能な形で可視化する手法を提案する.具体的には、ソーシャルメディア上の社会ネットワークにクラスタリングを再帰的に適用し,コミュニティの階層構造を構築する.これらの階層構造を用いて,情報拡散を可視化する.階層構造を用いることで,複雑な現象をより単純な構造へ変換し,それにより人間の直観的な理解を促す.提案手法を実際のTwtiter上の大規模情報拡散事例に適用し,妥当な可視化結果が得られることを確認した.
著者
榊原 隆次 舘野 冬樹 相羽 陽介
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.299-304, 2021 (Released:2021-12-27)
参考文献数
25

髄膜炎-尿閉症候群(meningitis-retention syndrome,MRS,尿閉と無菌性髄膜炎の同時発症)は,原因不明の急性尿閉をみた場合,一度は考慮すると良い疾患と思われる.最近さらに,MRSで髄膜刺激症状が無く,髄液異常のみを呈する不全型も知られるようになってきた.尿閉の病態機序として,脊髄内の排尿下行路の比較的選択的障害が推定されている.多発性硬化症,急性散在性脳脊髄炎,脊髄炎等はいずれも副腎皮質ステロイド剤などの免疫治療を要する一方,MRSは自然軽快することが多い.ステロイドパルス療法がMRSの経過を短縮するか否かについては,今後の検討が必要と思われる.MRSでは,急性期の尿閉を適切に対処し,膀胱過伸展を防ぐことが重要と思われる.
著者
羽部 浩 新保 外志夫 山本 拓司 佐藤 俊 島田 広道 榊 啓二
出版者
The Japan Petroleum Institute
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.414-422, 2013 (Released:2014-01-01)
参考文献数
12
被引用文献数
19 24

近年,バイオエタノールが化学品製造における重要な原料となっている。バイオエタノール中の不純物が,下流の化学品製造プロセスで使用する触媒の性能に影響を及ぼす可能性があるため,17種のバイオエタノールサンプルについて不純物の分析を行った。リグノセルロース系バイオエタノールは,糖・デンプン系バイオエタノールと比較して,高濃度かつ多種類の有機不純物を含んでいた。特に,リグノセルロース系バイオエタノールは,高濃度の酢酸,アセトアルデヒド,メタノールおよびフルフラールのようなフラン系化合物を含んでいた。また,リグノセルロース系バイオエタノールは,有機硫黄系不純物としてジメチルジスルフィドおよびチアゾールを含んでいたのに対し,糖・デンプン系バイオエタノールからは,ジメチルスルフィドおよびジメチルスルフォキシドが検出された。加えて,リグノセルロース系バイオエタノールからは,0.1 μg/mL以上のSiが検出された。
著者
森 正樹 川田 裕一 湖山 信篤 今村 洋 昆野 博臣 熊沢 健一 芳賀 陽子 矢川 裕一 芳賀 駿介 梶原 哲郎 榊原 宣 市岡 四象
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.265-270, 1985 (Released:2009-06-05)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

潰瘍性大腸炎に慢性関節リウマチ様の末梢型関節炎がみられることはよく知られているが,真の慢性関節リウマチと潰瘍性大腸炎の合併はまれである.われわれは慢性関節リウマチの治療中に発症した潰瘍性大腸炎の1例を経験した.症例は37歳の女性で,昭和51年7月頃より関節症状出現,53年7月典型的慢性関節リウマチと診断された.非ステロイド性抗炎症剤の内服,ステロイド剤の関節内注入により治療されていたが,58年2月頃より消化器症状が出現した.同年8月当科入院,潰瘍性大腸炎(左側大腸炎型,活動期,重症,初回発作型)と診断された.潰瘍性大腸炎は絶食とサラゾスルファピリジン,プレドニゾロンなどの全身投与により寛解した.慢性関節リウマチにみられる潰瘍性大腸炎以外の病変についても文献的に考察した.
著者
渡部 晃平 榊原 悠太 榎本 昌光 田中 友樹 鈴木 玄一郎
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.283-289, 2022 (Released:2023-05-10)
参考文献数
16

症例は71歳男性.関節リウマチに対しトシリズマブで加療中であった.経過中に発熱,関節炎の悪化を認め,施行した胸部CTで既知結節の増大を認めた.CTガイド下生検で組織学的評価を行ったところ,肺胞組織への組織球を主体とする慢性炎症細胞浸潤,palisading granulomaを認め,リウマトイド結節に矛盾ないものであった.簡易偏光ではsilica particleが多数存在していた.治療経過中に結節の増大を認めたCaplan症候群として,考察とともに報告する.
著者
太田 仲郎 谷川 緑野 坪井 俊之 野田 公寿茂 宮崎 貴則 木下 由宇 松川 東俊 榊原 史啓 齊藤 寛浩 上山 博康 徳田 禎久
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.425-431, 2017 (Released:2017-12-22)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

Introduction: Although improvements in endovascular treatment have decreased the frequency of bypass surgery, cerebral vascular reconstructions are still important. Many critical points are required to achieve a reliable bypass patency. We describe our experience and techniques for bypass surgery, especially focusing on the superficial temporal artery to middle cerebral artery (STA-MCA) bypass.Materials and methods: Over a period of 5 years, STA-MCA bypass was performed for 42 patients with atherosclerotic internal carotid artery or middle cerebral artery occlusion, or hemodynamic ischemia; 35 patients with moyamoya disease; and 97 patients with complex cerebral aneurysms. Mean occlusion time, bypass patency, hyperperfusion, ischemic complication, and postoperative delayed wound healing were assessed.Results: Within 42 ischemic cases, the mean occlusion time of the STA-MCA procedure was 20 minutes 16 seconds. No ischemic complications due to temporal occlusion occurred. Acute bypass occlusion (occlusion within 2 weeks after operation) occurred in 1 case of STA-MCA for moyamoya disease and 1 case of STA-MCA bypass for a patient with ischemic occlusion. Perioperative ischemic stroke was observed in 4 patients with ischemic occlusion and 1 patient with moyamoya disease.Conclusion: To perform a safe and reliable vascular reconstruction, off-the-job training, a bloodless operative field, selection of an appropriate donor and recipient artery, use of the “fish mouth” method for trimming the donor artery, and an intima-to-intima everting suture are necessary.
著者
井藤 賀操 加藤 由佳梨 川上 智 榊原 均
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.710-713, 2011-08-10 (Released:2019-09-27)
参考文献数
28

ヒョウタンゴケの原糸体細胞の成長パターンを調査し,潤沢な培養条件では指数増殖期が認められたことから,本種が裸地環境へいち早く適応し繁茂できる生存戦略をもつ種類である可能性について意見を述べた.本種の乾燥粉末を利用した金属回収方法は,一般にカーボンニュートラルなプロセスとして分類される.私たちはさまざまな環境制御要因条件で原糸体細胞を生産し,鉛吸着材としての品質評価を実施した.400L規模に大型化した装置で生産した原糸体細胞においても,鉛吸着材としての十分な性能があることが確かめられた.したがって,私たちは,原糸体細胞を鉛回収するための新素材として位置づけ,産業利用できることを提案した.
著者
堀江 朋彦 今田 奈津夫 榊原 夢太郎 厚見 秀樹 丹羽 徹 松前 光紀
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
pp.2023-1324, (Released:2023-02-14)
参考文献数
27

【目的】本研究の目的は,呼吸性運動による脳脊髄液(cerebrospinal fluid: CSF)動態の描出を想定したdynamic improved motion sensitized driven equilibrium steady-state free precessionの最適な空間分解能と時間分解能を調べることである.【方法】健常ボランティア9名の正中矢状断面を対象に三つの撮像条件(A:空間分解能0.49×0.49×5 mm, 時間分解能1000 ms,B:0.49×0.49×5 mm, 430 ms,C:0.78×0.78×5 mm, 200 ms)による描出の違いを調査した.まず,第三,第四脳室のCSFおよび橋のsignal-to-noise ratio(SNR)を算出した.次に,呼吸性運動により10 cm/s以上で流れるCSFと10 cm/s以下で流れるCSFの信号強度比(signal intensity ratio: SIR)を算出した.更に吸気SIRと呼気SIRの差を求めた.更に,①中脳水道を中心とした第三,第四脳室に生じる流れの存在,②呼吸による流れの変化について,7名の技師による3段階の視覚評価により調べた.【結果】SNRは,いずれもAが最も高く次いでBそしてCの順に小さくなった.第三,第四脳室のCSFではAとBおよびAとCの間に有意差があったが,BとCには有意差はなかった.呼吸性運動によりCSFの信号強度は変化した.第三脳室のSIRは吸気で高く呼気に低くなり,逆に第四脳室のSIRは吸気に低く呼気で大きくなった.各SIRはいずれもAとCおよびBとCの間に有意差があった(p<0.05).吸気SIRと呼気SIRの差は,第三,第四脳室ともにBが最も高く次にAそしてCが最も低く,AとCおよびBとCの間に有意差があった(p<0.05).中脳水道を中心とした第三,第四脳室に生じる流れの存在に有意差はなかった(p=0.264).一方,呼吸による流れの変化には撮像条件による有意差がありBが他より高値となった(p<0.001).【結語】最適な空間分解能は0.49×0.49×5 mm, 時間分解能は430 msであった.また本法では,位相分散を利用するため空間分解能と時間分解能の関連に注意した条件設定が重要なことが示唆された.
著者
田中 美智子 長坂 猛 矢野 智子 小林 敏生 榊原 吉一
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.8-16, 2011 (Released:2015-08-28)
参考文献数
32
被引用文献数
2

高齢者14名(男性7名、女性7名)を対象とし、腹式呼吸を行なっている間の、循環や自律神経の反応に加え、ストレスホルモンへの影響について検討した。対象者が通常の呼吸条件と意識的腹式呼吸条件を行っている時にRR間隔と血圧を持続的に測定し、実験前後の唾液もしくは尿のサンプルからストレスホルモンを採取し、分析した。RR間隔から心拍数を算出するとともに、心拍変動を解析することで、自律神経系の指標を算出した。意識的腹式呼吸条件中には、通常の呼吸条件と同様に心拍数の減少を認め、さらに、収縮期血圧及び拡張期血圧ともに低下した。自律神経系の反応では、意識的腹式呼吸条件中に副交感神経系の指標であるlog(L×T)の増加が見られた。実験後に両条件でストレスホルモンの減少が認められたが、意識的腹式呼吸条件では有意な減少であった。以上のことより、意識的腹式呼吸は高齢者にはストレッサーにはなっておらず、リラックスした状態を維持できる呼吸法と考えられる。
著者
榊原 哲也 西村 ユミ 守田 美奈子 山本 則子 村上 靖彦 野間 俊一 孫 大輔 和田 渡 福田 俊子 西村 高宏 近田 真美子 小林 道太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、これまで主として看護研究や看護実践の領域において注目されてきた、看護の営みについての現象学的研究(「ケアの現象学」)の、その考察対象を、医師による治療も含めた「医療」活動にまで拡げることによって、「ケアの現象学」を「医療現象学」として新たに構築することを目的とするものであった。医療に関わる看護師、ソーシャルワーカー、患者、家族の経験とともに、とりわけ地域医療に従事する医師の経験の成り立ちのいくつかの側面を現象学的に明らかにすることができ、地域医療に関わる各々の当事者の視点を、できる限り患者と家族の生活世界的視点に向けて繋ぎ合せ総合する素地が形成された。
著者
榊原 陽一
出版者
日本プロテオーム学会
雑誌
日本プロテオーム学会誌 (ISSN:24322776)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.27-35, 2022 (Released:2023-01-14)
参考文献数
30

翻訳後修飾としてのチロシン硫酸化はタンパク質の分泌のためのシグナルや活性調節機構として考えられている.我々は長年このチロシン硫酸化に関与する酵素Tyrosylprotein Sulfotransferaseを研究し,その立体構造を解明し基質タンパク質認識機構などに新たな知見を得た.宮崎県地域結集型共同研究事業において,「食の機能を中心としたがん予防基盤技術創出」に関わり,新規食品機能評価技術として,プロテオミクスによるバイオマーカーの探索と定量,情報科学的なニューラルネットワーク解析による機能性推定を組み合わせた革新的な技術を確立した.さらに,タンパク質の修飾と食品機能の関係に着目し,食品の抗酸化作用をタンパク質の酸化傷害レベルを指標に評価するという考えに着想し,タンパク質のカルボニル化やS-ニトロシル化などのレドックスバランスに関連したタンパク質修飾の解析法を開発した.ブランド豚肉,地鶏などの地域の食材のプロテオーム解析や成分分析にも貢献した.
著者
我妻 昂樹 鈴木 博人 川上 真吾 鈴木 さゆり 佐藤 清登 松坂 大毅 嶋田 剛義 榊 望 藤澤 宏幸
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.579-584, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
17

〔目的〕運動器疾患患者の治療場面を観察し,理学療法士の言語指導の実態を明らかにすることとした.〔対象と方法〕理学療法士13名,患者11名が参加し,19場面を測定した.測定後,言語指導を言語教示,フィードバック,言語強化に分類した.〔結果〕理学療法士による言語指導の43.0%が言語強化であった.また,理学療法士が使用した言語教示の69.1%,フィードバックの89.0%がInternal Focus of Attentionであった.〔結語〕理学療法士は,言語強化を無自覚に多用している可能性が示唆された.動作指導では目標物を設置しづらいが故に,Internal focus of attentionが多用される可能性が示唆された.