著者
横山 友里 西村 一弘 吉﨑 貴大 串田 修
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.285-293, 2022-10-01 (Released:2022-11-16)
参考文献数
10

【目的】新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)の感染拡大下における配食事業者のサービス提供体制とその課題を明らかにすることを目的とした。【方法】日本栄養支援配食事業協議会に加盟する配食事業者(21社)を対象に依頼文書を送付し,調査協力への同意が得られた事業者を対象にした。2021年1月~2月に質問紙調査およびインタビュー調査を実施し,配食事業者のサービス提供体制と課題について集計分析を行った。【結果】調査協力への同意が得られた事業者は全13社であった。提供体制の課題として,配送時の感染対策や体制整備,スタッフの感染対策,食数や利用者の増加に対する製造体制の整備,受注業務の体制整備,人材確保等が挙げられた。また,事業者の業態やサービスの特性によっては,医療機関での栄養指導等の減少により,患者に対して配食サービスを紹介する機会が減少していることや,見守りや安否確認が対面でできず,利用者の様子が把握しづらくなっていることも課題として挙げられた。【結論】本研究では,COVID-19の感染拡大下における配食事業者の提供体制に関する課題を整理した。本研究で得られた成果は,感染症発生時に対応した強靭な食環境を整備するうえで重要な基礎資料となるとともに,行政や配食事業者が,感染症の流行に備え,適切に配食サービスを届けるための体制を構築するうえで役立つことが期待される。
著者
岡本 翔平 駒村 康平 田辺 解 横山 典子 塚尾 晶子 千々木 祥子 久野 譜也
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.412-421, 2017 (Released:2017-09-30)
参考文献数
20
被引用文献数
2

目的 近年,生活習慣改善のためにインセンティブを付与することが注目されているが,その効果に関するエビデンスは十分ではない。そこで,本研究では,参加者が報奨獲得に抱く動機が,プログラムの継続率に影響を与えるかを検証する。方法 東北地方,中部地方,関東地方,近畿地方,中国地方の6つの自治体において40歳以上の住民を対象としたインセンティブ付き健康づくり事業(健幸ポイントプロジェクト)の参加者7,622人のうち,必要な調査項目に欠損のない4,291人を分析対象とした。健幸ポイントプロジェクトの継続は,日々の歩数の計測と指定の運動教室への参加を基に判断した。また,運動等の結果得られる報奨の現金性が高いかどうかの判定には,参加者がその報奨を選択した理由を用い,生存時間分析により,脱落のハザード比を推計した。さらに,健幸ポイントプロジェクト参加前の身体活動状況,喫煙・飲酒状況や食事への配慮等を調整した上でも解析を行い,どのような特性を持つ参加者が脱落しやすいかについても検討を行った。結果 多変量解析の結果により,報奨の選択理由として「地域貢献」を選択した場合,「現金に近い・近くのお店で使用可能」を参照基準とした脱落のハザード比は,男性では1.63(95% CI:1.18-2.25),女性では1.40(95% CI:1.08-1.81)となった。さらに,脱落確率に対して,参加前の運動実施状況,喫煙状況,男性では就業状況,女性では身体の衰えの影響が認められた。結論 本研究により,健康づくり事業参加者において,地域貢献のような内発的動機よりも現金性を実感できるような報奨が継続確率を高めることが示唆された。また,継続率をより高めるには,インセンティブ付与のみならず,もともとの身体活動状況等に応じて運動を継続できる工夫が必要であることも明らかになった。
著者
河口 謙二郎 横山 芽衣子 井手 一茂 近藤 克則
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.79-89, 2022-01-25 (Released:2022-03-08)
参考文献数
31
被引用文献数
2

目的:高齢者の運動習慣定着に有効な運動プログラムのあり方を検討するために,民間スポーツクラブを利用する高齢者を対象にグループでの運動の実践と運動の継続との関連を明らかにすることを目的とした.方法:2017年6月から2019年3月にかけてリソルの森の健康増進プログラム(ウェルネスエイジクラブ)に6カ月以上参加した65歳以上の227人(女性117人,男性110人)を分析対象とした.半年に1回の質問紙調査,体力測定,年1回の健康診断,及び個人の参加プログラムや参加日時のデータを分析に用いた.24週以上に渡る平均週2日以上の運動プログラム参加を「運動プログラム継続」,平均週1回以上のグループプログラムへの参加を「グループプログラム参加」と定義し,グループプログラム参加と運動プログラム継続との関連をポアソン回帰分析により検証した.結果:グループプログラム参加者は,非参加者に比べて運動プログラムを継続する可能性が高かった(Prevalence ratio=3.63[95% CI:1.98~6.65],p<0.01).性で層化しても,女性(8.08[1.94~33.56],p<0.01),男性(2.84[1.39~5.78],p<0.01)ともにグループプログラム参加と運動プログラム継続に有意な正の関連が認められた.結論:本研究は,民間スポーツクラブに通う高齢者において,グループによる運動プログラムは参加者同士の社会的交流やつながりを増やし運動継続を促進する可能性があることを明らかにした.高齢者のグループ運動への参加を促進することで運動継続者が増加する可能性が示唆された.
著者
横山 雅彦
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.234, pp.65-74, 2005 (Released:2021-08-12)

In the latter half of the twentieth century the development of Copernican studies has been highly remarkable. The author surveys from his personal point of view this development, which is divided into two periods. The first period is the time from the end of the Second World War to 1970, and the second period is the time from 1970 to the end of the last century. The year 1970 was really significant in the advance of Copernican studies, for in this very year two new learned journals relating to Copernicus began to be published at once: Journal for the History of Astronomy and Studia Copernicana. After he has pointed out some characteristic aspects of Copernican studies in these two periods respectively, the author proposes a few problems on Copernicus and his intellectual environment. Among others he emphasizes the importance of the concept of symmetria in Copernicus's new cosmology. If the role of this concept in the growth of his astronomical thought is properly recognized, the history of the Copernican Revolution will be viewed in quite a different perspective than before.
著者
木村 由莉 横山 芳春 平野 弘道
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.5-15, 2011-09-30 (Released:2017-10-03)
参考文献数
26

Molluscan fossils in storm-generated shell beds are commonly transported and damaged. Here we report a case study on assessing mollusc shell transport from original habitats to lower shoreface storm deposits. Fossil assemblages recovered from eight storm-generated shell beds in the Pliocene Dainichi Formation, Kakegawa Group, Japan, were examined. We assessed temporal changes in the relative frequency of three ecological categories (mode of life of bivalves, substrate preference, and habitat depth), using available information on modern molluscan species. The studied stratigraphic section was subdivided into two distinct units based on taxonomic compositions and the ecological categories. The lower unit (D-1, D-2, D-2') is characterized by rocky-bottom dwellers such as Area arabica, Cardita leana, Chama sp., Lima vulgaris, Collisella spp., and Siliquaria cumingii. The gravelbottom dweller Arcopsis symmetrica is more common in the lower unit. The upper unit (D-3 to D-7) can be distinguished from the lower one by a decrease in deposit feeders that are better able to escape sudden burial than suspension feeders. In this unit, suspension feeders that generally inhabit quiescent environments increase in the place of the deposit feeders. The results indicate the followings: (1) the storm-generated shell beds in the study section represent indigenous fossil assemblages; (2) thin and flat bivalves (e.g., "Macoma" spp. and Saccella spp.) exclusively deposited on the laminar surface (D-2') were more or less transported, whereas gastropods accumulated in lag deposits (D-2) of hummocky cross-stratified beds were residues after a storm event and its attendant winnowing of fine sediments; (3) paleontological evidence obtained from the lower unit indicates the existence of a rocky coast during the time when the Dainichi Formation began to deposit in the study area (Dainichi, Fukuroi City); and (4) the changes in the ecological categories from the lower to the upper unit are compatible with the upward-deepening sedimentary sequence recorded in the Dainichi Formation.
著者
池亀 央嗣 高橋 加奈絵 川口 裕貴恵 横山 千明 諸橋 恵子 磯崎 勝 須貝 美佳 梅津 哉
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.117-123, 2019-01-25 (Released:2019-01-25)
参考文献数
4

3価鉄イオンを検出するベルリン青染色は,フェロシアン化カリウムに3価鉄イオンが結合しフェロシアン化鉄(ベルリン青)形成反応を利用した染色で,染色試薬の用時調製を要する。我々は,染色試薬の使用可能期間を明らかにするため,染色試薬の600 nmでの吸光度と染色性の変化を,保存条件を変え1年間まで経時的に検討した。保存条件は,室温,4℃,両者の遮光,及び−80℃(一部−20℃)凍結とした。吸光度は,凍結保存では一定値を保っていたが,それ以外では増加した。凍結保存では染色の色調,及び強度は1年後でも変化せず,共染色もなかった。それ以外では,青色から緑色調へと変化し,染色強度は減弱,共染色は増強した。凍結速度や凍結保存の温度は,染色性に影響しなかった。吸光度変化から,凍結保存以外の染色試薬では,経時的に液中に3価の第二鉄塩を生じ,フェロシアン化カリウムと反応して遊離フェロシアン化鉄を形成するため,組織中の鉄イオンと結合するフェロシアン化カリウムが減少して染色強度が低下すると考えられた。また,青色から緑色への色調変化は,ベルリン青色素の分子量が変化するためと考えられた。遮光保存の結果から,これらの反応に光が関与することが示唆された。染色試薬の凍結により反応が停止し吸光度と染色性の変化がみられなくなると考えられた。以上から,染色試薬を凍結保存することで,用時調製が不要となることが示された。
著者
中島 虹 高橋 日出男 横山 仁 常松 展充
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.24-42, 2018-01-01 (Released:2022-09-28)
参考文献数
34
被引用文献数
1

本研究は,東京タワーの5高度(4, 64, 169, 205, 250m)における気温観測値(2001~2010年度)を用いて,晴天弱風夜間の東京都心における温位鉛直分布の特徴を明らかにした.解析に先立ち,強風時には鉛直方向に温位が一様となることを仮定して,観測値を補正した.通年の晴天弱風夜間を対象に,毎時の温位傾度鉛直分布にクラスター分析を施し,温位の鉛直分布を類型化した.このうち,下層から上層まで安定な場合や上層が強安定で下層が弱安定な場合は,冬季(11~2月)にはその頻度が夜半前から増加し日の出頃に極大となるが,夏季(5~8月)には全く現れない.上層の強安定層は都市上空の安定層の底面とみなされ,冬季夜間の混合層高度は約200mまたはそれ以上と考えられた.この高度は1960年代の観測結果よりも高く,都市化の影響が示唆された.また,温位鉛直分布の時間変化には,鉛直混合の促進・抑制とともに上空安定層底面の上昇・低下の関与が考えられた.
著者
阿部 花南 築舘 多藍 桑宮 陽 横山 幸大 越後 宏紀 小林 稔
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.1547-1557, 2022-09-15

会議やグループワーク等複数人で行われる議論の場において,沈黙が生じることで会議が円滑に進まず,有意義な議論を行うことができないという問題が起こることがある.この原因の1つとして,会議参加者の気持ちが参加者間で共有されず,議論を深めるべきなのか,次の話題に進めるべきか,の判断が困難であることがあると考える.この問題を解決するために本研究では,意思決定型会議を対象に,会議進行に影響する意思を「気持ち」と定義し,賛同します・反対します・意見あります,の3つの気持ちの可視化を支援するボタンを参加者に使用させることで,会議進行を円滑にする方法について検討した.提案システムを用いた評価実験の結果,参加者の主観評価において「活発に議論ができたこと」と「参加者間で意思の疎通が取れていること」の2つの観点で,システムの使用条件と不使用条件の間に有意差が認められた.本論文では,評価実験の結果を報告し,可視化すべき気持ちの種類やユーザインタフェース,議論に与えた影響について議論する.
著者
クジナート グイド 久冨 峻介 横山 陸
出版者
日本メルロ=ポンティ・サークル
雑誌
メルロ=ポンティ研究 (ISSN:18845479)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.115-155, 2020 (Released:2020-12-09)

In this paper I aim to re-think the question of the world of persons with schizophrenia from the perspective of the German phenomenologist Max Scheler and that of the Japanese psychiatrist Bin Kimura. So far, no comparison between these two authors has been made, even though there are several convergences and evidence of Scheler’s indirect influence on Bin Kimura through Viktor von Weizsäcker. In recent years Dan Zahavi, Louis Sass and Josef Parnas have interpreted the modus vivendi of persons with schizophrenia in relation to a disturbance on the level of “minimal self”. Subsequently, the discussion has highlighted the importance of disorders at the level of intercorporeality and intersubjectivity (Thomas Fuchs) and at the level of “existential feelings” (Matthew Ratcliffe). This paper argues that Max Scheler and Bin Kimura allow us to focus on an aspect that has so far been neglected: that of a “relational self ” that relates to the very foundation of intersubjectivity and intercorporeality and that can thus be reborn in the encounter with the other and position itself in the world in a different way. In Scheler’s perspective, the world of persons with schizophrenia is the result of an enactive and axiological disorder (valueception) that impairs contact with the primordial life impulse(Lebensdrang). As a consequence, they are incapable of attuning emotionally and socially with others: this prevents the singularity from being reborn in the encounter with the other and forces her to position herself in her own solipsistic universe. Moving in a similar direction, Bin Kimura interprets the world of persons with schizophrenia as the result of a disorder of aida (one of the central concepts of Japanese culture that indicates the space of being in between). The disorder of aida compromises the basic relationship(Grundverhältnis in the sense of Viktor von Weizsäcker) and hinders what Bin Kimura calls festum, i.e. the birth of subjectivity, so that it is experienced by persons with schizophrenia only as ante festum. Starting from these two perspectives, I argue the existence of an axiological and anthropogenetic dimension of psychopathology. I begin with a discussion of Zahavi’s concept of minimal self and the thesis that finds out on this level the disorders at the origin of the world of persons with schizophrenia. I then analyze Max Scheler’s position and its historic importance for the emergence of phenomenological psychopathology. Thereafter, I introduce the concepts of “disorder of aida” (Bin Kimura) and “disorder of ordo amoris” (Max Scheler). Finally, I develop the concept of a “psychopathology of ordo amoris” by also comparing it with Ratcliffe’s thesis of “existential feelings”.
著者
横山 陸
出版者
日本メルロ=ポンティ・サークル
雑誌
メルロ=ポンティ研究 (ISSN:18845479)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.79-103, 2019-02-28 (Released:2019-03-18)
参考文献数
18

This paper aims at reconstructing Max Scheler’s conception of the ecological phenomenology of perception in his work, Formalism in Ethics and Non-Formal Ethics of Values (Der Formalismus in der Ethik und die materiale Wertethik). This paper has four sections. In the first section, I will briefly review the relationship between Ernst Mach’s phenomenalism and Gestalt-psychology, focusing on Scheler’s criticism of Mach’s sensationalistic approach. Specifically, I will show that according to Scheler’s phenomenological analysis of the perceptional process, what is originally given to us is the gestalt of a perceived object, rather than its sensational qualities. In the second section, I will point out that Scheler believes that our sensations accompanying bodily movements and changes are also given to us originally and play an important role in our recognition of the sensational qualities of the perceived object. In the third section, I will further explain how Scheler regards not only bodily sensations but also the consciousness of our whole body as originally given to us, through which we can perceive each part of our body as our ‘lived’ body. In the fourth and final section, I will discuss the ecological correlation between our body and its milieu in Scheler’s phenomenology. I will explain how Scheler thinks that our body is the recipient of stimulations from its milieu as well as the subject of impulses interacting with such stimulations, in addition to being the body consciousness.

2 0 0 0 OA 現代人物管見

著者
横山健堂 著
出版者
易風社
巻号頁・発行日
1910
著者
横山 真貴子 秋田 喜代美 無藤 隆 安見 克夫
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.95-107, 1998-07-30 (Released:2017-07-20)
被引用文献数
2

本研究では, 保育の中に埋め込まれた読み書き活動として, 幼稚園で行われる「手紙を書く」活動を取り上げ, 1幼稚園で園児らが7カ月問に書いた手紙1082通を収集し, コミュニケーション手段という観点から手紙の形式と内容を分析した。具体的には「誰にどのような内容の手紙を書き, 書かれた手紙はどのようにやりとりされているのか」について, 収集した手紙全体の分析(分析1)と手紙をよく書く幼児とあまり書かない幼児の手紙の分析(分析2)から, 全体的発達傾向と個人差を検討した。主な結果は次の通りである。第一に, 幼児は主に園の友達に宛てた手紙を書いており, 手紙の大半には, やりとりに不可欠な宛名と差出人が明記されていた。このことから, 幼児は園での手紙の形式的特徴を理解していることが示された。第二に, 全体的には絵のみの手紙が多く, コミュニケーションを図ることよりも, 幼児はまず手紙を書き送るという行為自体に動機づけられて手紙を書き, 「特定の誰かに自分が描いた作品を送るもの」として手紙を捉えていることが示唆された。特にこの傾向は年中児で頭著であった。だが第三に, 年長児になると相手とのやりとりを期待する伝達や質問等の内容が書かれ始め, 手紙を書くことの捉え方が発達的に変化することが示された。また第四に, 手紙を書くことに興味を持つ時期が子どもによって異なり, 手紙が書ける園環境が常時準備されていることの有益性が指摘された。
著者
巣山 晴菜 大月 友 伊藤 大輔 兼子 唯 中澤 佳奈子 横山 仁史 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.35-45, 2012-01-31 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、パフォーマンスの解釈バイアス(以下、解釈バイアス)が社交不安に対するビデオフィードバック(以下、VFB)の効果を規定する要因の一つであるかを検討することであった。大学生27名を対象に、VFBを挟んだ2度の3分間スピーチからなる実験を行い、スピーチ前の主観的不安感、スピーチ中の主観的不安感、スピーチの自己評価および他者評価、心拍数を測定した。パフォーマンスの質については解釈バイアスの大小による差は見られなかった。しかし、解釈バイアスの大きい者ほどVFBを受けることで自己評価は改善し、スピーチ前およびスピーチ中の不安感は低下することが明らかにされた。本研究の結果から、解釈バイアスが大きい者の社交不安症状に対してVFBが一層有効である可能性が示唆された。
著者
横山 里佳 河原 仁志 石井 尚吾
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.357-358, 1994-07-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1

我々はスコポラミン混合軟膏を調製し, 経皮的投与により, 重症心身障害児・者の口腔内唾液量の減量を試みた。スコポラミン混合軟膏使用後, 重症心身障害児・者の口腔内唾液量は75%程度に減少し, また副作用も特にみられなかった. スコポラミン混合軟膏は, 唾液分泌抑制に効果があり, 重症心身障害児・者の流涎のコントロールに有用であると考えられた.
著者
横山 尊
出版者
日本健康学会
雑誌
日本健康学会誌 (ISSN:24326712)
巻号頁・発行日
vol.86, no.5, pp.197-208, 2020-09-30 (Released:2020-11-02)
参考文献数
32

This article examines the past involvement of the Japanese Society of Health and Human Ecology (formerly: Japanese Society of Race Hygiene) in eugenics laws, written at the request of the society.Section I describes the position of the Japanese Society of Race Hygiene, established in 1930, in the history of eugenics.Section II discusses some problem in the understanding of the historical facts in the Board of Directors report: “The Japanese Society of Race Hygiene and ‘the National Eugenic Law,’” and the resulting media coverage. This chapter also discusses the change of the characteristics of the society around 1938 and its involvement in eugenics. Moreover, this chapter shows the inappropriateness of the interpretation that the 1948 Eugenic Protection Law was a continuation of the 1940 National Eugenic Law, which itself was modeled on a 1933 Nazi eugenics law.Section III describes that the Japanese Society of Race Hygiene continued to have interest in eugenics even in the postwar era, and that in 1970s the society tried vehemently to eliminate any remnants of Nazi eugenic policies from the notion of “race hygiene”, at a time when there was a general assumption that eugenics as synonymous with the evil of Nazism. In conclusion, it is found that the society from that time to this day made passive attempts to erase and walk away from eugenics’ past.