- 著者
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徳永 徹
横山 勝三
- 出版者
- The Association of Japanese Geographers
- 雑誌
- 地理学評論 (ISSN:00167444)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.3, pp.111-125, 1979-03-01 (Released:2008-12-24)
- 参考文献数
- 36
- 被引用文献数
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伊豆新島向山火山の生成過程(生成史)は,噴火様式の差異ひいては堆積物や地形の特徴に基づいて,I期:ベースサージ(base surge)丘の生成,II期:大峯火砕丘の生成,III期:向山溶岩円頂丘の生成の3期に大別される.これら一連の火山活動の推移は,噴火の経過(火山体の成長)に伴うマグマの噴出環境の変化に呼応したものと考えられる.すなわち,向山の噴火活動は海底噴火で始まったが,火山体の成長につれてマグマと海水との接触が次第に妨げられ,ついには遮断されるに至った.これに伴って,噴火活動は,ベースサージを伴った強烈なマグマー水蒸気噴火から,ベースサージを伴わない爆発的噴火,さらに溶岩の噴出へと移行した.その結果,ベースサージ丘・火砕丘・溶岩円頂丘で構成される単成複式火山が生成した.