著者
横山 真男
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2015-MUS-107, no.14, pp.1-6, 2015-05-16

西洋クラシック音楽では純正律や平均律で楽器を調弦して演奏を行い,また,作曲家もこのルールで音楽を提供してきた.しかし,現代音楽においては既存の半音 12 音による音階にあてはまらない新しい音を模索してきており,たとえば半音をさらに細かくした 1/4 音や 1/6 音といった微分音や,平均律とは異なる民族的な音律を導入したりする試みがなされてきた.本発表では,黄金比により計算された音律と,その手法で調弦したヴァイオリン属による音楽の作曲手法を提案する.
著者
仲瀬 裕志 平山 大輔 我妻 康平 風間 友江 横山 佳浩
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1715-1722, 2019-12-25

要旨●筆者らは,地中海熱(MEFV)遺伝子関連腸炎(IL-1β関連腸炎)の診断法の確立ならびに機序解明に取り組んできた.MEFV遺伝子関連腸炎74症例の患者群を検討した結果,日本人MEFV遺伝子関連腸炎症例の70%以上がexon 2部位での変異を有し,家族性地中海熱非定型例および診断基準を満たさない症例が全体の約70%を占めることが判明した.消化管病変の内視鏡的特徴所見では,直腸に病変を伴わない潰瘍性大腸炎様の連続病変の粘膜所見が多く,またCrohn病様の縦走潰瘍・狭窄例も存在することが明らかとなった.MEFV遺伝子関連腸炎は,炎症性腸疾患患者の中に予想以上に多く存在する可能性が高く,筆者らのデータを基盤に診断基準の作成に取り組む必要がある.
著者
小林 清典 齋藤 友哉 松本 育宏 川岸 加奈 迎 美幸 横山 薫 佐田 美和 小泉 和三郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1737-1746, 2018-12-25

要旨●大腸癌の内視鏡診断に際してEUSは,深達度を客観的に評価できる利点を有する.特に早期大腸癌に対しては,内視鏡的摘除の適応判定などに活用できる.EUS診断を行った早期大腸癌866病変の検討では,治療法の選択という面での正診率は90%と良好であった.また,潰瘍性大腸炎関連腫瘍に対するEUSの診断成績も良好であった.EUS診断は,描出困難病変が多いなどの問題点があるが,大腸腫瘍に対するESDの普及もあって大腸pT1b癌に対する内視鏡治療の適応拡大が議論されており,EUSの意義が再評価されている.なお,大腸癌に対してEUSがその能力を十分発揮するためには,大腸用のEUS機種の改良が必要である.
著者
橋本 哲 水野 研一 佐藤 裕樹 高綱 将史 横山 純二 市川 寛 渡邉 玄 味岡 洋一 寺井 崇二
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.295-299, 2020-03-25

疾患の概念 食道壁内偽憩室症は,1960年にMendlら1)によって初めて報告された,粘膜および粘膜下層の食道腺導管が囊状に拡張したまれな疾患である.多発する小さい憩室様の所見を呈するが,通常の仮性憩室とは異なり,固有筋層の外側に伸展することはない.明らかな発症原因は不明であるが,真菌や細菌感染,逆流性食道炎,アルコール多飲などに伴う慢性炎症により,食道腺や導管に炎症が波及し病的拡張を来すと推察されている.
著者
横山 昂史
出版者
富山救急医療学会
雑誌
富山救急医療学会 (ISSN:21854424)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, 2019

【はじめに】<br> 今回、救急活動中に妨害・暴行行為を受け、対応に苦慮した症例を経験したので紹介する。<br>【症例】<br> 60歳代男性、体調不良を訴え救急要請したもの。<br> 救急隊到着時、酩酊状態で救急隊の観察等に応じない状態。<br> 一緒にいる妻及び救急隊に暴言を吐き、また足で蹴るなどの暴行行為を受けたため、救急隊のみでの活動は困難と判断し、警察官を要請。<br> 現場到着した警察官のパトカーを足で蹴り、パトカーを損傷させ現行犯逮捕された。<br>【経過】<br> 今回の症例について当消防本部で会議を開催し、反省事項、今後の対応方法について検討した。<br> また、所管警察署に救急活動中に妨害・暴行行為を受けた場合の対応方法についても意見を求めた。<br>【考察】<br> 会議結果及び警察署からの回答を受け、救急隊としての対応方法、活動の方針について考察した。
著者
粂川 義雅 三浦 収 藤本 悠 伊藤 桂 荒川 良 横山 潤 福田 達哉
出版者
The Japanese Society of Soil Zoology
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.19-24, 2019 (Released:2020-03-29)

ニホンアカザトウムシPseudobiantes japonicus の2 つの異なる系統群(クレードA とクレードB) の分布域が接触する四国中央部において両系統群間の交雑や遺伝子移入の有無を明らかにするために, ミトコンドリアDNAと核DNAのPCR-RFLP解析を行った.両クレードの混棲が確認されたのは1地点のみであったが,その地点を含め,この地域内で,核DNAの遺伝子におけるヘテロ接合と判定される個体やミトコンドリアDNAと核DNA間における不一致は発見されなかった.これは,クレードA とクレードB が接触地域において交雑や遺伝子移入を経験していないことを示唆し,これらのニホンアカザトウムシは隠蔽種であると考えられた.
著者
林 達郎 周 向栄 陳 華岳 原 武史 藤田 広志 横山 龍二郎 桐生 拓司 星 博昭
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.256-266, 2007-12-10 (Released:2008-09-12)
参考文献数
23
被引用文献数
1

The number of osteoporosis patients is increasing every year in Japan. Multi-detector-row CT is widely used in clinical environment including diagnoses of osteoporosis. However, quantitative evaluation of osteoporosis based on CT images is not defined. This paper investigates the distribution of bone mineral density (BMD) values measured in vertebral trabecular bones from the twelfth thoracic vertebra to the first sacral vertebra in Japanese subjects. Using X-ray CT images of 136 subjects, CT number of vertebral trabecular bones in these regions was measured, and BMD values were estimated from CT number using a bone mineral reference phantom. In addition, the relation of BMD values of each vertebra was investigated, and correlation with age, gender, and fusion at lumbosacral portion was shown. The present study showed that there was no statistical significant difference in BMD values of vertebral trabecular bones from the twelfth thoracic vertebra to the fifth lumbar vertebra. Therefore, among these vertebrae, if the CT number of one vertebra is known, the BMD values of the other vertebrae can be estimated based on the relationships shown by our research.
著者
齋藤 梓 横山 恭子
出版者
上智大学総合人間科学部心理学科
雑誌
上智大学心理学年報 (ISSN:0387849X)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.97-107, 2009
被引用文献数
1

明田芳久先生追悼号
著者
井出 英人 内田 雅文 横山 修一
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.28-32, 1994-07-15
被引用文献数
6 1

In this investigation, we studied the utilty of electric or mechanical stimuli as visual substitutes. We used mechanical and electric stimuli to present characters and colors respectively. For the reduction of learning time and the increase of recognition rate, we devised an apparatus which is connected to a microcomputer and can present Japanese sentences, including Chinese characters, with a 10 × 10 array of 100 vibrators.Color recognition is achieved by using electrical stimuli. Electric stimuli were given with two Ag-AgCl electrodes attached to the root of middle finger. Long pulse (feels warm) stands for red, short pulse (feels cold) stands for blue and a sequence of 10 pulses per second (feels like twitter) stands for green. The current value was 200 μA.<BR>In this investigation, we examined 25 subjects. The recognition rate was 100% for most three color (red, blue and green) .
著者
横山 由紀子
出版者
公益財団法人 年金シニアプラン総合研究機構
雑誌
年金研究
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-29, 2018

<p>本稿では、厚生年金からの退出行動の要因およびその変遷について、5年前の状況と比較することで分析を行った。「ねんきん定期便」を利用した長期的な回顧データを利用し、1994~2011年における若年女性を対象とした。本稿で得られた主な知見は以下の通りである。</p><p>第1に、第1子出産により厚生年金から退出する女性が総じて多いものの、近年では継続加入する女性が増加傾向にある。過去5年以内に第1子を出産した女性が継続加入している割合は2004年以前は2割に満たなかったが、その後徐々に上昇し、さらに2009年以降のやや大きな上昇の結果、2011年では約3割が厚生年金に継続加入している。</p><p>第2に、1994~2011年の分析期間において、2000~2006年頃とそれ以外の期間では、厚生年金への継続加入あるいは退出行動の要因が大きく異なる。2000~2006年頃を除く期間において、5年以内に第1子を出産した女性においては収入水準が厚生年金への継続加入の要因となっている傾向がある。また、結婚している女性においては、夫が大卒者の場合には厚生年金から退出しやすい傾向がみられた。逆に、2000~2006年頃にはこうした効果はみられず、むしろ1960年代後半に生まれた世代であるかどうかが大きな要因となっており、こうした世代は他の世代に比べて厚生年金から退出しやすい傾向が確認できた。</p><p>第3に、1990年代後半では高所得者ほど第1子出産後も厚生年金に加入し続けていたが、2000年以降ではほとんどの高所得者が第1子出産後に厚生年金から退出している。一方、2000年代後半では、もともと一定程度の収入があった女性が第1子出産後も厚生年金に加入するような働き方を選択している。</p><p>第4に、新規結婚者の第1子出産率は1996年以降安定的であるが、既婚継続者では出産率に変動がみられた。子どもがいない既婚継続者の第1子出産率は1997年から2003年頃は低下しており、また、すでに子どもがいる既婚継続者では第2子以降の出産率が2002年以降上昇傾向にある。既婚継続者における出産行動が景気の影響を受けた可能性が示唆される。</p><p>第5に、2003年頃までは、すでに子どもがいる厚生年金加入者はその後も継続加入する傾向があったが、2004年以降は厚生年金から退出するケースが増加した。第2子以降を出産する女性の増加およびこうした女性が厚生年金から退出しやすい傾向にあったことが原因だといえる。</p>
著者
横山 顕子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.251-257, 2019 (Released:2019-04-01)
参考文献数
16

過敏性腸症候群 (irritable bowel syndrome : IBS) に対して腸管に焦点を当てた催眠療法 (gut-directed hypnotherapy : GDH) の有効性が欧米などから多く報告されているが, 本報告では, GDHではなく, 単回の年齢退行催眠療法で1年にわたり有効であった男性の下痢型患者の1例を報告する. 症例は49歳, 男性. Rome Ⅳ基準下痢型IBS. 8歳の頃に実母が病死後, IBSを発症. 母親が亡くなる前後の場面を催眠下で想起し, その場面に対する認知の変容を導いたところ, セッション後IBS症状は軽快した. セッション前後の心理検査ではうつと不安の尺度が軽減し生活の質が高まったと評価された. 少ない来院回数を望む患者やGDHに反応しない患者, 幼少時のトラウマの関与が疑われる患者に対しては, 退行療法が治療の選択肢の一つになると考える. なお, 退行療法を行う際には, クライアント自らの気づきを尊重することが重要と考える.
著者
渡辺 知樹 横山 義之 早川 健
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2019年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.830-831, 2019-03-01 (Released:2019-09-04)

近年,生体に近い柔らかさを持つソフトロボットに注目が集まっている.しかし,マイクロスケールにおける生物を模倣したソフトロボットはほとんど研究されていない.本研究は,生物がもつソフト-リジッド複合構造に着目し,蠕動運動を模倣したマイクロゲルロボットの作製を目的とする.本稿では,犠牲層プロセスを用いることにより,独立したマイクロゲルロボットの作製に成功したのでそれを報告する.
著者
徳永 徹 横山 勝三
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.111-125, 1979-03-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
36
被引用文献数
5 5

伊豆新島向山火山の生成過程(生成史)は,噴火様式の差異ひいては堆積物や地形の特徴に基づいて,I期:ベースサージ(base surge)丘の生成,II期:大峯火砕丘の生成,III期:向山溶岩円頂丘の生成の3期に大別される.これら一連の火山活動の推移は,噴火の経過(火山体の成長)に伴うマグマの噴出環境の変化に呼応したものと考えられる.すなわち,向山の噴火活動は海底噴火で始まったが,火山体の成長につれてマグマと海水との接触が次第に妨げられ,ついには遮断されるに至った.これに伴って,噴火活動は,ベースサージを伴った強烈なマグマー水蒸気噴火から,ベースサージを伴わない爆発的噴火,さらに溶岩の噴出へと移行した.その結果,ベースサージ丘・火砕丘・溶岩円頂丘で構成される単成複式火山が生成した.
著者
横山 朋子 一杉 正仁 佐々木 忠昭 長井 敏明 今井 裕 徳留 省悟
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.107-111, 2005-09-19 (Released:2017-04-27)
参考文献数
9

獨協医科大学口腔外科で外科治療を必要とした未成年患者のうち、母親がエホバの信者であった3人を対象にインフォームド・コンセントの過程および治療経過を参考に、輸血の可否を決定する際の望ましい対応法について検討した。15歳と17歳の患者は本人の意思にもとづいて、それぞれ輸血を承諾した。また、9歳の患者は十分な判断能力があると思われ、本人および母親の希望で非観血的治療を行った。未成年者が意思決定を行う際に、親の影響を受けることは十分に考えられるが、本人の判断能力の有無を見極めるには、年齢のみでなく患者との十分なコミュニケーションにもとづいて慎重に行うことが重要である。未成年者においても、判断能力がある場合には本人の意思を尊重すべきである。また、判断能力が不十分な場合や患者の意思が確認できない場合には、保護者の意思を最大限に尊重しながら、倫理委員会や複数の医師の判断で輸血の可否を決定することが望ましいと思われた。
著者
松岡 耕史 三沢 幸史 横山 雄一 島田 真太郎 伊藤 富英
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.377-384, 2021-06-15 (Released:2021-06-15)
参考文献数
21

アームサポートであるMOMOは,主に神経難病患者に対して利用されているが,回復期リハビリテーション病棟での利用報告はほとんどない.そこで,MOMOを回復期リハビリテーション病棟入院中の脳血管障害患者や脊髄損傷患者4例に対して,日常生活における生活支援機器と,訓練におけるリハビリテーション機器として利用し,MOMOの活用方法について検討した.その結果,スプーンやパーソナルコンピュータの操作など,生活動作で利用できた他,上肢訓練の補助機器として利用することができた.これらより,MOMOは,回復期リハビリテーション病棟の対象者に対して,生活支援機器やリハビリテーション機器として活用できる可能性が考えられた.