著者
西本 一志 横山 裕基
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014-HCI-159, no.10, pp.1-8, 2014-07-28

工学研究は,人々の生活を便利にする技術の実現を目的として推進されてきた.しかしながら,過剰で近視眼的な便利さの追求の結果,副作用として各種の問題が生じてきている.この 1 つの解決策として,筆者らは,妨害的要素をあえて導入することによって,人による人間的な営みに対して,異なる視点,あるいは高次の視点から見た場合にプラスの影響をもたらそうというメディア・デザインの考え方を提唱している.本稿では,このデザイン方法論の確立に向けた第一歩として,これまで筆者らの研究室で行われてきた,妨害的要素を採り入れた知的活動支援技術に関する研究を俯瞰し,整理する.これにより,本デザイン方法論体系化のための端緒を見出すことを目指す. : The engineering studies have been promoted to create technologies that make our life more convenient. However, various undesirable side effects have arisen because of excessive and myopic pursuit of convenience. As one of the ways to solve this problem, we proposed a novel media-design concept where we produce positive effects from different and/or higher viewpoints by incorporating some obstructive factors into the media. In this paper, we overview and rearrange our research attempts on supporting technologies of intelligent activities into which some obstructive factors were incorporated. By means of this, we aim at finding some clues to organize the design methodology.
著者
保谷 徹 松井 洋子 柴山 守 谷本 晃久 岡 美穂子 五百籏頭 薫 原 正一郎 原山 浩介 須田 牧子 小野 将 山田 太造 横山 伊徳 佐藤 雄介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

本研究では、東京大学史料編纂所の海外史料マイクロフィルム約150万コマ等をデジタルアーカイヴ化し、国内採訪史料とともに学術資源として閲覧公開をはかる。また、在外日本関係史料の調査・収集を進め、マルチリンガル、マルチアーカイヴァルなプロジェクト研究を推進する。①デジタルアーカイヴ構築の面ではマイクロフィルム全2739本からのデジタル画像データのサーバ登録を完了し、このうち約85%については簡易目録ベースでの公開を開始している。今年度は新規収集分を含めて約38万コマを公開データに追加し、累計185万コマとなった。②社会連携・地域連携の試みとして、英国外務省文書FO46(TNA原蔵)に続き、横浜開港資料館所蔵FO262(英国外務省駐日公館文書)マイクロフィルム(約20万コマ)をデジタル化した。史料編纂所と開港資料館でのFO262全体(28万コマ)の検索・閲覧を実現する。③ロシア国立歴史文書館長らを招聘した「日露関係史料をめぐる国際研究集会」をした(5月、東京本郷、日本学士院・東京大学史料編纂所で共催)をはじめ、計3回の国際研究集会を実施して研究成果を発表・発信した。④『ロシア国立海軍文書館所蔵日本関係史料解説目録2』を刊行し、ロシア国立歴史文書館所蔵東アジア三国関係史料解説目録の作成・提供を受けた。⑤各重点プロジェクトで日本関係史料調査と目録研究を実施し、とくに、ロシア両文書館での継続的な史料収集やロシア国立サンクトペテルブルク図書館での史料画像データ収集、ハワイ州立文書館での新規撮影約3500コマなど、さらに古写真史料集『高精細画像で甦る幕末・明治初期日本―ブルガー&モーザーのガラス原板写真コレクション―』(洋泉社)の刊行などの成果があった。⑥前項の海外史料調査・収集の成果に対する社会的反響は大きく、今年度も毎日新聞・読売新聞・朝日新聞・NHK報道などで大きく取り上げられた。
著者
金谷 欣明 橋田 真輔 藤井 徹也 丸山 修一郎 横山 伸二
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.947-951, 2008
被引用文献数
2

経肛門的直腸内異物は比較的まれな疾患であり,異常な自慰行為のエスカレート等により突発的に生じることが多い。今回われわれは中高年男性に発生した経肛門的直腸内異物の2例を経験したので報告する。症例1は71歳の男性,すりこぎ様の太い木製の棒を自ら肛門より挿入し,抜去不能となり当院の受診となった。外来での抜去は困難で,腰椎麻酔下にこれを用手経肛門的に摘出した。症例2は55歳の男性,空のジュース缶を自ら肛門より挿入し排出困難となり,近医で経肛門的摘出を試みられたが成功せず,当院の救急外来を紹介となる。症例1同様,腰椎麻酔下に用手経肛門的に摘出した。いずれも外来での摘出は疼痛や腸管浮腫のため困難であったが,腰椎麻酔下では肛門括約筋の弛緩も得られ,用手経肛門的に摘出可能であり無麻酔下に摘出困難な場合,試みられるべき有効な治療法の一つと思われた。
著者
林 譲 横山 伊徳 加藤 友康 保谷 徹 久留島 典子 山家 浩樹 石川 徹也 井上 聡 榎原 雅治 遠藤 基郎 大内 英範 尾上 陽介 金子 拓 木村 直樹 小宮 木代良 近藤 成一 末柄 豊 藤原 重雄 松澤 克行 山田 太造 赤石 美奈 黒田 日出男 高橋 典幸 石川 寛夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008-05-12

東京大学史料編纂所が60年間にわたって収集・蓄積した採訪史料マイクロフィルムをデジタル化し、ボーンデジタルによる収集の仕様を確立し、一点目録情報などのメタデータを付与したデジタルデータを格納するアーカイヴハブ(デジタル画像史料収蔵庫)を構築し公開した。あわせて、デジタル画像史料群に基づく先端的プロジェクト・歴史オントロジー構築の研究を推進し、研究成果を公開した。
著者
横山 裕一
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.361, pp.56-57, 2004-10-08

●● 土木工事を題材にした漫画を描いていますが,どういう部分に魅力を感じたのでしょうか。横山 子どもって工事現場が好きでしょう。町中で好きなところを描きなさいというと,何人か工事現場を描く子がいますよね。最初はそんな幼稚な興味だったんです。 美大の学生だったころに作品の題材に使えないかと思って,いろいろな工事現場に行って写真を撮り始めました。
著者
中田 正夫 奥野 淳一 横山 祐典 長岡 信治 高野 晋司 前田 保夫
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.315-323, 1998-10-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
31
被引用文献数
9 16

西九州には,縄文前期から縄文中期の水中遺跡が存在する.最終氷期の大陸氷床の融解に伴うハイドロアイソスタティックな地殻傾動は,これらの遺跡の沈水を定量的に説明することができる.これらの水中遺跡の分布は,地球の約250kmまでの深さの粘性構造に敏感に対応した事実を示している.この地域の海面変化の観測値と理論値を比較検討した結果,観測値を説明しうる粘性構造は,リソスフェアの厚さが30~50km,リソスフェア下200kmのアセノスフェアの平均的な粘性率が(8~20)×1019Pa sであることが判明した.つまり,アセノスフェアとその下の上部マントルとの粘性率のコントラストは有意ではなく,日本列島のような島弧域においても,発達した低い粘性率のアセノスフェアは存在しないことが示唆される.さらに,ハイドロアイソスタティックな地殻傾動に規定された後氷期の海水準変動は,空間・時間的に変化し,先史時代の居住地や生活様式を規定した可能性がある.
著者
大内 英範 山田 太造 高橋 典幸 綱川 歩美 林 譲 保谷 徹 山家 浩樹 横山 伊徳
雑誌
じんもんこん2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.8, pp.105-110, 2011-12-03

Hi-CAT Plus は,採訪マイクロフィルムをデジタル化した画像の検索・閲覧システムとして開発され,史料編纂所閲覧室内の端末でサービスをはじめた.本システムの仕組みや既存システムとの連携,上記用途にとどまらない今後の展望などについて述べる.
著者
横山 浩
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

家畜排泄物の処理、及び資源回収法として水素発酵が注目をされている。水素発酵には単離された水素生産菌を種菌として接種する純粋培養系と、堆肥や活性汚泥、嫌気性消化汚泥などを純化することなく種汚泥としてそれらに含まれている微生物群を利用する複合培養系がある。複合培養系では、原料の滅菌が不要である利点があり、家畜排泄物などを原料とした場合に適している。近年、分子生物学的手法による有力な菌叢解析法として、16SrDNA領域の多型を利用したDenaturing Gradient Gel Electrophoresis (DGGE)法が開発されている。本研究は、DGGE法による乳牛糞尿スラリーからの水素発酵に関与する微生物群の菌叢解析を実施して、その水素発生のメカニズム解明を検討する。60℃と75℃で嫌気培養した乳牛糞尿スラリーとコントロールとして、培養前のスラリーをDGGE解析の試料とした。その試料から16S rDNAのV3領域をGC-341Fと534RプライマーでPCR増幅した。そのPCR産物のDGGEで分離して、バンドに含まれているDNA配列を決定した。60℃発酵させたスラリーからは、Clostridium thermocellumやClostridium stereorariumに類似した細菌が検出された。これら細菌種は、高温水素発酵での種菌として使われる水素生産菌であることから、スラリーの60℃発酵における水素発生に関与する可能性が示唆された。また、75℃発酵させたスラリーからは、Caldanaerobaeter subterraneusに類似した細菌が検出された。C.subterraneusは、海底の熱水噴出口などの高度高温環境に生育する嫌気性高度好熱細菌であり、水素を発生することが知られている。従って、C.subterraneusに類似性を示す細菌がスラリーの75℃発酵における水素発生に関与する可能性が示唆された。本研究から、乳牛糞尿に水素を産生する有用細菌種が明らかとなった。家畜排泄物は発酵の汚泥として有用であり、また、微生物資源としても貴重であること考えられる。さらに、70℃以上に至適増殖温度を持つ嫌気性高度好熱細菌が家畜糞に含まれていることは想定されておらず、本研究結果は新規知見であると考えられる。
著者
横山 恵理
出版者
奈良女子大学
雑誌
人間文化研究科年報 (ISSN:09132201)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.264-270, 2012-03-31
著者
河野 真也 相馬 孝行 植野 美穂 後藤 貴裕 中村 直人 宮寺 庸造 横山 節雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.433, pp.67-74, 1998-11-20
被引用文献数
3

学習指導案にはこれまで慣習的な形式しかなく, 指導者によって形式や着目する点が異なるものであった.そのため, 初めて学習指導案を作成する教育実習生徒にとって, 指導案の作成は極めて困難であり, また有効な授業設計のデータとなり得る指導案のデータベース化も困難になっている.そこで本研究では, 学習指導案を作成する際の文法を定めることにより指導案を形式化し, それに基づいた学習指導案作成支援システムを設計した.本システムを用いて作成された指導案は文法的に正しく(健全性), さらに, 任意の正しい指導案は本文法により作成することができる(完全性).また作成しながらデータベース化を行うので一度作成した指導案の再利用も可能となる(汎用性).
著者
横山 孝男 梅宮 弘道 寺岡 達夫 渡部 英男 桂木 公平 笠原 敬介
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.46, no.402, pp.322-330, 1980-02-25
被引用文献数
7

日本のような温帯性気候では夏は猛暑に冬は豪雪に悩むところが多いが,本研究では夏野猛暑(冬の酷寒)を地下水に託し井戸より人工かん養し大地の断熱性と帯水層の大熱溶量性により季節的に畜熱し冬季暖房・消雪(夏季冷房)に結びつけるものである.本論では野外実験と数値解析により夏季かん養温度の40%を冬季まで蓄積可能なことを明らかにし熱汚染を防止し,効果的な季節的畜熱を行うための適正井戸間隔を提示するものである.