著者
武田 重信 田中 大揮 高尾 芳三 兼原 壽生
出版者
[長崎大學水産學部]
巻号頁・発行日
no.93, pp.33-39, 2012 (Released:2013-10-08)

長崎県橘湾において,浅海底熱水活動域とその分布状況の把握を試みるとともに,熱水噴出孔付近の堆積物を採取して,その化学組成を明らかにした。この研究は,浅海底熱水が沿岸生態系に及ぼす影響を評価するための最初のステップとして位置付けられる。音響探査により,小浜温泉沖合の水深33~34m付近で海底からの噴気が起きていることを確認した。噴気地点周辺の海底面には,直径2~6mmの多数の小孔が見られ,噴気は6~63mの水平スケールで起きていたと推定される。噴気地点近傍の海底には78℃と高温で黒色の亜表層堆積物が存在し,通常の沿岸堆積物と比較して,Al,S,Asが多く,Ca,Cl,Brが少ないという特徴的な元素組成を示した。
著者
武田 晴登 西本 卓也 篠田 浩一 嵯峨山 茂樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.48, pp.21-26, 2003-05-16
参考文献数
12
被引用文献数
4

多重音を含む楽曲の演奏のMIDI(Musical Instruments Digital Interface)信号からの自動採譜に確率モデルを用いる。MIDI信号を対象とした場合は演奏の音高情報は既知であるので、リズム推定が必要である。演奏の速度が一定である場合は量子化によるリズム推定が容易であるが、演奏中にテンポが変動する曲では難しい。我々は、多声部に跨るIOI(発音時刻の間隔)から得られる相対的な音長情報であるリズムベクトルを確率モデルの特微量とし、モデルのパラメータ値を楽譜や演奏から学習する。実際の採譜手順は、同時発音の検出の後にIOIの時系列を求め、HMM(隠れマルコフモデル)を用いてIOIの時系列から最適なリズム譜を推定し、そしてリズム譜をもとに各音価の推定する。5人の奏者による電子ピアノの演奏に対して性能評価実験を行い、音価復元率として「フーガ」に対して92.2%、「トロイメライ」に対して52.1%を得た。This paper proposes an automatic transcription method for polyphonic musical performances in MIDI signals. Pitches and rhythms are basic information which is necessary to write scores. From the MIDI signals of human performance, we just need to recognize rhythms from time information in MIDI signals because pitches are already known in MIDI signals. We propose a method on rhythm recognition, especially targeting at polyphonic music performances. In the proposed probabilistic models for rhythm recognition, we use rhythm vectors, which are obtained from IOI(Inter- Onset Interval) sequence across the multi voices, as a feature of probabilistic models. Thevalues of parameters in our model can be optimized by the learning from scores and human performances. In experiments on performances by 5 piano players with an electronic piano, we obtained score restoration rates of 92.2% for"Fuga"and 52.1% for "Traumerai".
著者
武田 拓 岩城 裕之
出版者
独立行政法人国立高等専門学校機構 仙台高等専門学校
雑誌
仙台高等専門学校広瀬キャンパス 教育研究紀要 (ISSN:24239364)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.12-16, 2017 (Released:2017-08-04)
参考文献数
2

In Japan, it is reported that in medical settings, young medical experts can not understand dialects which senior patients speak.In Taiwan, while Mandarin (Standard Chinese) is widely spoken, Taiwanese, Hakka Language and other dialects and local languages are also spoken. Especially, senior citizens speak Taiwanese in many cases. We think that the relationship between Mandarin and Taiwanese is similar to the relationship between standard language and dialects in Japan. According to our questionnaire surveys to Japanese and Taiwanese nurses, when Taiwanese nurses can not understand what patients say, they tend to “ask their colleagues on site” more often than Japanese nurses do because Taiwanese and Hakka Language are different from Mandarin in terms of language system. And as for “the fields of words which nurses should know in advance”, Japanese and Taiwanese nurses chose almost the same words and phrases. Furthermore, both in Japan and Taiwan many nureses made favorable answers to “use of dialects in medical settings”. Many languages are spoken in Taiwan. To investigate language situations in Taiwan is an important theme full of suggestions for Japan, because Japan is also becoming a multi-lingual state.
著者
白石 和仁 大西 弥生 近藤 吉将 中田 浪枝 山口 直美 渡邊 亮司 武田 伸也 赤尾 智広
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.103-109, 2016-01-25 (Released:2016-03-10)
参考文献数
5

健康診断の評価項目として,腹部超音波検査(以下,USとする)を実施している施設は多くあるが,その結果についての詳細な報告は少ない。当院でも健診項目の一つとしてUSを実施しているが,一定期間での結果集計はなされていなかった。今回,当院での現状を把握する目的で,各疾患の割合及び傾向について集計を行った結果,何らかの異常あるいは正常変異を伴った有所見率は高頻度(86.7%)であり,臓器別では,肝,腎,胆で全体の約8割を占めていた。性別では,男性に脂肪肝,胆嚢ポリープ及び腎嚢胞が高頻度に認められ,特に脂肪肝の割合は,ほぼ受診者の2人に1人と非常に多く認められた。女性では胆嚢結石が60歳以上の高齢者に有意に多く認められた。又,男女共に,加齢に伴い嚢胞性病変(肝嚢胞,腎嚢胞)が増加した。頻度は少ないものの期間中2名(0.11%)の悪性疾患も認められた。今回の結果から,検査対象のほとんどが臨床症状を認めない受診者ではあったが,有所見率は高頻度であり,生活習慣に起因すると思われる結果も多く,保健指導の活用にもUSの結果は有用であると思われた。非浸襲的検査であるUSは,今後も益々,健診(検診)の場で広く活用されるものと思われる。
著者
田村 典敏 本多 威暁 重原 智明 境 健一郎 花田 隆 石田 泰之 武田 隼一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第26回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.171, 2015 (Released:2015-10-20)

電気自動車の普及とともに多量の排出が予想されている使用済リチウムイオン電池について、適正なリサイクルを行うための技術開発を開始した。全国から個別小ロットの使用済リチウムイオン電池を効率的に回収するシステムを構築し、焙焼、破砕、選別操作をすることで銅、アルミ、鉄、コバルトを安全にリサイクルする。個別小ロットの電池の回収は、松田産業株式会社の小口廃棄物回収事業で築いた実績を活用する。選別後に発生する残渣は太平洋セメント株式会社のセメント工場で原燃料としてリサイクルすることで100%リサイクル可能なシステムを達成する。実証試験は処理能力が1日当たり3トンの焙焼設備と1日当たり8トンの選別設備を設置することで行い、進捗は実用化試験に移行できる段階まで進めることができた。2020年以降の電気自動車の普及加速に対応した最適システムの構築を進めることで、適切な資源循環を行っていきたいと考える。
著者
髙原 由衣 佐藤 公美 竹山 孝明 坂本 幸 青木 俊仁 伊藤 美幸 池田 美穂 田上 真希 吉田 充嬉 岡田 規秀 宇高 二良 島田 亜紀 武田 憲昭
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.326-332, 2017 (Released:2017-10-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

小中学校の耳鼻咽喉科定期健康診断を受診した1384名について,嗄声の出現率とスポーツ活動との関連を検討した.嗄声の出現率は,女児(5.2%)に比べて男児(17.7%)が高く,男児は小学校3年生まで高く4年生以降に減少し,女児は小学校2年生まで高く以降減少したが中学校2,3年生では高かった.小学校の高学年ではスポーツ活動を行っていない児童(男児4.9%,女児0.6%)に比べて,スポーツ活動を行っている児童(男児21.2%,女児5.8%)は嗄声の出現率が有意に高かった.スポーツの種類と嗄声とのオッズ比は,男児の小学校低学年の野球が2.88,小学校高学年でサッカー2.29,野球2.92で高く,強い声門閉鎖を伴う屋外の団体スポーツであることが要因と考えられた.小学校の男児に野球やサッカーを行わせる場合には,声の衛生を行い嗄声の予防が必要である.中学生は,対象者を増やして再検討が必要である.
著者
武田 晴登 西本 卓也 嵯峨山 茂樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.237-247, 2007-01-15

本論文では人間の音楽演奏を記録したMIDI(Musical Instrument Digital Interface)信号から,演奏されたリズムとテンポを推定する手法を議論する.我々は,音楽演奏には次の2 つの傾向が見られることに注目して最も尤もらしいリズムとテンポを推定する.(1) 演奏されるテンポは時間について連続で滑らかに変動する.(2) 演奏される曲のリズムは典型的なリズムパターンの組合せで表現される.テンポ曲線を仮定したとき,HMM(Hidden Markov Model,隠れマルコフモデル)を用いて事後確率を増加させる音価列を推定することができる.また,リズムを仮定したとき,区分的に連続であるテンポ曲線を事後確率を増加させるように更新することもできる.本手法は,このようにリズムとテンポの推定を交互に行う反復アルゴリズムであり,適切な初期値から出発すれば,事後確率最大化の意味で最適解に収束し,さらにテンポが不連続な変化をともなう場合も扱うことができる.本手法を用いて,テンポが変動する人間の実演奏を記録したMIDI データ37 曲に対して,81.9~85.5%の音価正解率を得た. 付録:<a href="http://www.ipsj.or.jp/08editt/contents/JNL4801/index.html#23"target="_brank">http://www.ipsj.or.jp/08editt/contents/JNL4801/index.html#23</a>
著者
奥田 玲子 武田 香織理 岩崎 初音 白杉(片岡) 直子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

<b>【目的】</b>アーモンドは洋菓子に特有の好ましい風味や質感を付与する特性から,製菓に欠かせない材料として特に粉末状で汎用されている。一方で,近年,アーモンドに反応するナッツアレルギーの症例も増えている。そこで,ナッツアレルギー対応策として,洋菓子におけるアーモンド代替の可能性を検討することにした。アーモンド菓子の代表であるマカロンに着目し,アーモンドパウダー不使用のマカロン様菓子の試作を試みた。 <br> <b>【方法】</b>官能評価では,二元配置法により7段階評価尺度を用いて,食感や風味を問うた。卓上型物性測定器(山電,TPU-2DL)によりプランジャ-(接触面直径3mm),ロ-ドセル20N,クリアランス1.0mm,測定速度 2.5mm/secでマカロンの破断特性を測定した。<br> <b>【結果】</b>薄力粉や米粉,食用油,香料などを用いて,マカロン様菓子を調製した。配合条件を検討し,物性において,アーモンドを使用した標準マカロンの荷重-歪曲線に近づけることができた。ところで,香料には,アーモンド抽出物を含む製品と合成品のみを調合した香料とがある。標準マカロンと,前者の香料を添加したマカロン様菓子とを,ナッツアレルギーを持たない大学生らに供して官能検査を実施したところ,両試料に対するプロファィルは似たパターンを示した。どの項目においても得点の平均値は標準マカロンの方が高かったが,マカロン様菓子も一定水準でパネルに評価された。一方,ナッツアレルギーに対応させるために,後者の香料を用いたマカロン様菓子を調製したところ,官能検査で低く評価された。品質を標準マカロンにより近づけるために必要な要素をいくつか見出したが,特にアレルゲンを含む懸念のないアーモンド香料の開発が必要である。
著者
武田 純枝 野路 宏安 広瀬 信義 新井 康道 山村 憲 清水 健一郎 本間 聡起 海老原 良典 高山 美智代
出版者
The Japan Geriatrics Society
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.548-558, 1998-07-25
参考文献数
15
被引用文献数
4 15

急速に進む高齢化社会をむかえいわゆる超高齢者も急増しておりこの年代の介護が重要な問題となっている. 超高齢者の実態調査の一環として超高齢者の食事摂取状況を検討した. まず1995年百寿者と米寿者の食事摂取状況を同年の対照群 (平成6年度国民栄養調査成績) と比較した. ついで年代変化を見る目的で過去に報告された1981年百寿者との比較も行った.<br>1995年百寿者と米寿群における栄養摂取量は対照群の60%, 75%と低下した. しかし栄養良好な百寿者の栄養摂取量は米寿群と同等であった. 日常生活活動度が良好な百寿者では栄養摂取量が多く, また認知機能良好な百寿者でも栄養摂取量が多かった. 食品群摂取を百寿者と対照群で比較すると乳類, 菓子砂糖類, 果実類の摂取は対照群と同等であったが, 穀類, 肉類, 魚類, 油脂類は低下していた. 同様の傾向は1981年百寿者でも認められ, 超高齢者では柔らかく甘い食品が好まれることがうかがわれた. 単位体重あたりの栄養摂取量は一般栄養所要量を越えており, 栄養良好な百寿者では不良群に比較して多かった. 1981年と1995年百寿者での栄養量摂取を比較すると1995年群で多かった. 食品群摂取では穀類, 豆類, 卵類, 藻類は1995年群で少なかったが, 他の食品群は多く摂取していた. これは年代による食習慣の違いによるものと考えられた.
著者
武田 浩
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-8, 1992-01-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
20

糖尿病患者では, 血管内皮細胞 (以下EC) が高血糖により直接影響を受けるばかりでなく, 細胞外マトリックス (以下ECM) の糖化により生育環境が損なわれ, 血管障害発症に関与することも考えられる. 本研究ではin vitroにおけるECの生育環境を, 短期間に高濃度D-グルコース (以下HG) との接触と長期間におけるType IVコラーゲン (以下C) の糖化による影響とに分け, それぞれの機能変化の面から検討した. その結果HG培養のECにおいて有意に細胞増殖障害とPGI2産生の抑制を認め, 糖化Cの添加によりさらに強い抑制を認めた. アミノグアニジン (以下AG) 添加による架橋C抑制に伴い, ECの細胞増殖障害抑制を認めた. 以上の成績から長期間持続するHG環境により, ECMのCに架橋がおこりEC形質変化をもたらすことが示唆された。長期間持続するHG環境によりECM, 特にCの糖化に伴いECの抗血栓性が失われ, 糖尿病特有の細小血管障害をもたらす引き金になると考えられ, 糖尿病合併症の発症, 治療を考える上で興味深い知見を得た.
著者
朱 成敏 武田 英明 法隆 大輔 竹崎 あかね 吉田 智一
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

農業産業における統計は状況の把握、政策の策定、作業の最適化などにおいて重要な判断指標となる。しかし、農業現場の普及されたITシステムはそれぞれ独自のデータ項目に基づいて運用されているため異なるデータの連携が困難である。そこで、本研究は農作業基本オントロジーをデータの標準項目として定義を行う。これに基づいて異なる農業ITシステムから発生したデータ間連携を行い、データの統計を行う。
著者
塩野義製薬株式会社植物薬品開発部 武田薬品工業株式会社アグロ事業部農薬研究所
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.557-561, 1991-08-20 (Released:2010-08-05)

トリフルラリンの安全性評価のための各種毒性試験を実施した.本剤の急性毒性は弱く普通物に該当する. しかし乳剤, 粒剤ともウサギにおいて眼刺激性が認められ, 乳剤では皮膚刺激性も認められた. また乳剤ではモルモットにおける皮膚感作性が陽性であった. 一方, 原体のサルにおける経皮吸収率は約0.1%ときわめて低く, ウサギにおける亜急性経皮毒性試験でも全身性の毒性症状は認められなかった.慢性毒性/発がん性試験では, 中間・高用量群のラットおよびマウスに体重増加の抑制, 肝臓重量の増加, および進行性糸球体腎症 (炎), 腎結石等の腎毒性が認められた. イヌでは高用量群に肝臓重量の増加が認められたのみであった. 発がん性はマウスでは認められず, ラットでは中間・高用量群で膀胱腫瘍, 全用量群で腎臓腫瘍の発生率が上昇したが, 腫瘍の総発生率にはトリフルラリン投与による影響は認められなかった.ラットにおける2世代繁殖試験では繁殖に及ぼす影響は認められず, 催奇形性試験では, ラットでは1000mg/kg/日以下, ウサギでは225mg/kg/日以下の用量で催奇形性は認められなかった. 各種変異原性試験の結果はすべて陰性であった.薬理試験ではトリフルラリンに特異的な作用というよりもむしろ急性中毒症状と考えられる異常歩行, 振戦等の中枢神経系に対する影響が認められたが, トリフルラリンのおもな薬理作用は利尿作用および肝機能抑制作用であった. 本剤の解毒薬としてはグルタチオン, グルクロン酸アミドおよび硫酸アトロピンが有効であった.トリフルラリンは昭和41年, 乳剤の大豆, ラッカセイ, カンショ, ナタネ, 小麦, ニンジン, キャベツ, 大根, トマトで日本において初めて登録され, 昭和44年には2.5%粒剤のラッカセイ, 3.0%粒剤の水稲に登録された. その後他作物への適用拡大を順次実施し, 畑作物, 野菜を始め, 花き花木, 工芸作物, 果樹, 公園・庭園等幅広い分野に登録された.トリフルラリンの登録保留基準値は, 米, 麦・雑穀, 果実, 野菜, イモ類, 豆類, 茶のいずれも0.01ppm (ただしニンジンは0.2ppm) と設定されている.トリフルラリンは定められた使用基準を遵守すれば安全性の高い農薬であり, 有用な農業資材の一つとして上市以来好評を得ている.
著者
亀谷 哲治 高野 誠一 寺沢 弘文 武田 裕光
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.92, no.7, pp.868-870, 1972-07-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
6
被引用文献数
3 4

In order to obtain 2, 6-dicyano-7-ethoxycarbonyl-1, 5-dioxo-1, 2, 3, 5-tetrahydroindolizine as an intermediate for the synthesis of camptothecin, Michael condensation of methyl 3-cyano-4-ethoxycarbonyl-1, 2-dihydro-2-oxopyridine-6-carboxylate (V) with acrylonitrile was carried out but failed to afford the objective substance. A similar condensation of V with t-butyl acrylate also resulted in failure. Ethyl 5-cyano-4-ethoxycarbonyl-5-oxo1, 6-dihydro-2-pyridine glyoxylate (VIII) was synthesized by the reaction of 3-cyano-4-ethoxycarbonyl-1, 2-dihydro-2-oxopyridine-6-carboxylic acid chloride with ethyl t-butylmalonate. Although cyclization of VIII to ethyl 6-cyano-1, 2, 3, 5-tetrahydro-1, 3, 5-trioxo-7-indolizine carboxylate (IX) was unsuccessful, Friedlander reaction of VIII with 2-aminobenzaldehyde gave the expected 8-cyano-7-ethoxycarbonyl-9, 11-dihydro-9, 11-dioxoindolizino[1, 2-b]quinoline (X) in one step.
著者
武田 明子
出版者
奈良大学史学会
雑誌
奈良史学 (ISSN:02894874)
巻号頁・発行日
no.17, pp.41-62, 1999

江戸時代末期の庶民の生活を描いた『守貞漫稿』によると、京都の髪結の記述に「毎坊、會所ト号ケテ、市民會合ノ家一戸ヲ置ク」とあり、近世の京都の町には木戸や番所と同じく、一般的に町有の施設として町会所が置かれていた。町会所は、恒常的な自治運営の場であり、町と共同体の性格を見る上で非常に重要な共有施設であるが、その実態や成立については十分に明らかにされていないのが実情である。京都の町会所についての研究は、川上貢氏と谷直樹氏による『祇園祭山鉾町会所建築の調査報告本文編』が主なものである。山鉾町の町会所を中心に述べられており、町会所は町衆自治の伝統を継承し、育んできた町の核であったとしている。そこで本論では、京都市中の町会所を対象にして、近世の京都における町会所の役割について述べたいと思う。京都の町会所は、原則的に各町に設けられたが、行政の末端組織として取り込まれていたとされている。しかし、権力者側のみの要求で存在したものではなく、町の共同体側からの必要性にも支えられて恒常的な施設として存在していたのではないだろうか。従って、町会所が町の人々にとってどのような存在であり、役割を担っていたのかを述べることによって、町共同体からの必要性を考察したい。また、会所の役割を分析することにより、京都がどのような性格をもった都市であったのかについても考察したいと思う。内容構成においては、はじめに町会所の初見や成立要因を探り、会所の成立意義について考察する。ついで会所の設立や構造、利用方法について具体的な事例を検討し、会所の実態に迫りたい。さらに、町会所の様々な機能についても事例を集め、町共同体にとって会所がどのような役割を果たしていたのか、また、その背景について述べることにする。
著者
武田 弘志 辻 稔
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
国際医療福祉大学紀要 (ISSN:13424661)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1-10, 2008-07-31

1950年代にイミプラミンの抗うつ効果が発見されて以来,三環系ならびに四環系抗うつ薬,選択的セロトニン再取り込み阻害薬,およびセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害などの様々な抗うつ薬が開発され,うつ病の薬物治療は大きな発展を遂げた。しかし,これらの抗うつ薬の治療効果や安全性には未だ満足できない面もあることから,より有効性や安全性が高い新規抗うつ薬の開発が望まれている。蘇葉は,現在臨床において,うつ病や不安障害に対する有効性が認められている数種の漢方処方に共通して配合されている要薬の一つである。最近,著者らは,蘇葉に含まれるロズマリン酸およびその主要代謝産物カフェー酸が新規の抗うつ・抗不安様物質であることを明らかにした。また,神経化学的検討において,ロズマリン酸およびカフェー酸は,現在臨床で使用されている抗うつ薬の主たる薬理作用であるモノアミン再取り込み阻害作用やモノアミン酸化酵素阻害作用を有さないことを明らかにした。したがって,今後,これら両化合物の薬効の特徴や作用機序の詳細を明らかにすることにより,うつ病や不安障害に対する新規治療薬の開発やこれら疾患の病態生理の解明の一助になるものと考える。
著者
武田泰淳著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1960