著者
大場 秀章 塚谷 裕一 秋山 忍 若林 三千男 宮本 太 池田 博 黒沢 高秀 大森 雄治 舘野 正樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1.現地調査:ネパール、ミャンマーおよび中国にて下記の調査を行った。調査の主目的は、種子植物相を詳細に調査し、標本を収集すること、ならびに繁殖システムと動態、変異性を観察し、さらに帰国後の室内での分析に必要な試料を採取することである。(1)ネパール:ジャルジャル・ヒマール地域(1999年8月から9月);東部地域(2001年5月から6月)。(2)ミャンマー:中部地域(2000年8月)。(3)中国:雲南省梅里雪山・中旬県(1999年8月から9月);チベット東部(2000年7月から8月);雲南省西北部、チベット東・中部(2001年7月から8月)。2.収集した標本・試料等にもとづく分析 (1)分類学的研究:採集した標本を中心に同定を行い、新種ならびに分類学上の新知見について発表を行った。(2)細胞遺伝学的解析:Saxifraga(ユキノシタ科)、Potentilla(バラ科)、Impatiens(ツリフネソウ科)、Saussurea(ともにキク科)等で、染色体を解析した。(3)帰国後の分子遺伝的解析:Rhodiola(ベンケイソウ科)、Saxifraga(ユキノシタ科)、Impatiens(ツリフネソウ科)、Saussurea(ともにキク科)等で分DNAを抽出し、rbcL、ITS1、trnF-trnL non coding region(trnF-L)の遺伝子領域で解析を行っている。
著者
池田 智恵
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

先年の研究により、翻訳を介して清末に中国へと流入した探偵小説が、中国人の手により創作きれるようになっていくのは、1917年前後であることが明らかになった。より詳しく中国において、いかに探偵小説が創作されるようになったのか、作者がいかなるものを「想像」して探偵小説を「創造」しようとしたかを明らかにすることにより、中国が外来のものをいかに「中国化」するかを解明することができ、これにより中国の近代化の一端を明らかにする意義があると思われる。当初、その解明の方法として1910年代末におけるエドガー・アラン・ポーやシャーロック・ホームズの受容を考える予定であったが、5月9日には台湾淡江大学にて、6月12日には上海において、1917年当時の中国における創作探偵小説の状況について発表し、研究者と討論を行ったところ、1910年代末に近代中国に流行した「黒幕」の存在が浮かび上がってきた。「黒幕」とは、1916年に『時事新報』の読者投稿として成り立ったコーナーであり、犯罪や犯罪に類するものを「暴露」するものであった。これは大ブームとなりその後「黒幕小説」というジャンルを生んでいく。この犯罪を題材とするという点で探偵小説と共通する「黒幕」が、探偵小説といかなる関係があるかを明らかにすることは、探偵小説の発生を考える上で大変大きな意味があると考え、夏季に上海にて『時事新報』の「黒幕」の全掲載状況を調査した。その結果、中国近代の1910年代末において、自国の犯罪を読み物とする「黒幕」が流行りながらも、探偵小説は「外国もの」を描くことを好んでいたことが明らかはなってきた。つまり、探偵小説はあくまでも「舶来」として創作されるのであって、それがなかなか本土化していかないという中国探偵小説の大きな特徴が明らかになった。これに基づき、10月に日本中国学会、2月に関西大学で学術発表を行った。
著者
池田 浩敬 中林 一樹
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.66, no.549, pp.223-230, 2001
参考文献数
11
被引用文献数
6 1

The Hanshin-Awaji Earthquake clarified the importance of preparedness of housing recovery and urban reconstruction. This is a basic study on the construction of methods for estimation of demands for the preparedness of shelter and housing recovery measures after the next earthquake disaster. The questionnaire survey was made at main cities in Shizuoka prefecture, where the Tokai Earthquake of M.8 shall occur in the near future. The purpose of this survey is to clear the demands of shelter and housing recovery for residents after the earthquake. The results are as follows; 1)the elderly and the people of low income need a shelter much more. 2)The renters of private houses, the elderly and people of low income need not only temporary houses but also temporary stay in the public houses after a sheltering. 3)The renters need the public houses very much for a permanent housing. The estimation methods will be able to be built through these analyses, which give the parameters for estimation models.
著者
池田 敦治 若狹 邦男
出版者
広島大学歯学会
雑誌
広島大学歯学雑誌 (ISSN:00467472)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.141-146, 2002-12-01
被引用文献数
5

本論文の要旨の一部は平成十三年三月の第37回日本歯科理工学会学術講演会において発表した。
著者
池田 正雄
出版者
つくば国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13412078)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-17, 2007

In this text, first of all, an economic developmental process in the East Asian countries is clarified. Next, it considers why a violent currency crisis was generated in the latter half of the 1990's in Thailand, South Korea, and other East Asian countries. Finally, the historical meaning of the Asian currency crisis is clarified while examining various opinions concerning the crisis. The theory that valued vulnerability in the institutions of the East Asian countries is criticized ; and, the perspective that the financial globalization that progressed rapidly with financial deregulation was a factor of the crisis after the 90's is evaluated. However, it is discussed that it would have been necessary to value the decrease in global competitiveness in nations such as Thailand in the latter half of the 1990's and the burst of the economic bubble as factors to cause the rapid outflow of money.
著者
内藤 和明 菊地 直樹 池田 啓
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.181-193, 2011-11-30
被引用文献数
1

2005年の豊岡盆地におけるコウノトリCiconia boycianaの放鳥に続き、2008年には佐渡でトキNipponia nipponが放鳥されるなど、絶滅危惧動物の再導入事業が国内で近年相次いで実施されるようになってきた。飼育下で増殖させた個体の野外への再導入事例は今後も増加していくことが予想される。本稿では、豊岡盆地におけるコウノトリの再導入について、計画の立案、予備調査、再導入の実施までの経過を紹介し、生態学だけでなく社会科学的な関わりも内包している再導入の意義について考察した。再導入に先立っては、IUCNのガイドラインに準拠したコウノトリ野生復帰推進計画が策定された。事前の準備として、かつての生息地利用を明らかにするコウノトリ目撃地図の作製、飛来した野生個体の観察による採餌場所の季節変化の把握、採餌場所における餌生物量の調査などが行われた。豊岡盆地では、水田や河川の自然再生事業と環境修復の取り組みが開始された。予め設定した基準により選抜され、野生馴化訓練を経た個体が2005年から順次放鳥され、2007年からは野外での巣立ちが見られるようになった。コウノトリは多様なハビタットで多様な生物を捕食しているので、再導入の成否は生物群集を再生することにかかっている。このことは、地域の生物多様性の保全を通じて生態系サービスを維持するという地域社会に共通の課題にも貢献することになる。
著者
池田 証寿
出版者
北海道大学国語国文学会
雑誌
国語国文研究 (ISSN:02890488)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.1-16, 1986-03

奈良時代末期に成立した音義書である小川本新訳華厳経音義私記について、華厳経本文との比較を踏まえて、先行音義である慧苑の華厳経音義と邦人撰述の大治本新華厳経音義の掲出語句と比較し、この資料の性格を、注釈書的性格、音義的性格、辞書的性格の3点から分析した。
著者
谷内 仁 池田 寿昭 池田 一美 須田 慎吾
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.397-400, 2011-07-01 (Released:2012-01-15)
参考文献数
6
被引用文献数
1

プロカルシトニン(procalcitonin, PCT)は全身性細菌感染症のバイオマーカとして有用であり,敗血症の重症度ともよく相関するとされる。今回,感染症を伴わない高PCT血症を呈した悪性症候群(neuroleptic malignant syndrome, NMS)疑いの一例を経験したので報告する。症例は66歳,男性。中咽頭癌の根治術後,摂食不良となり胃瘻を造設した。3日後より発熱し,血液生化学検査ではCRP,PCT,CKの上昇を認めたため,敗血症および横紋筋融解症が疑われ,ICU入室となった。入室時バイタルサインは安定し,理学所見上感染巣は認めなかった。胃瘻造設後ハロペリドールが増量されていたことから,向精神薬増量によるNMSが疑われた。輸液管理のみでCRP,PCTは低下した。本症例においてPCTが上昇した原因は特定できなかったが,細菌感染症を伴わない悪性症候群の疑い例で,炎症に付随しPCTが上昇する可能性があることに注意する必要がある。
著者
飯高 敏晃 池田 隆司 土屋 旬 星 健夫 宮崎 剛
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

原子分子の視点に基づいたシミュレーションにより、含水鉱物の新高圧相の予測、高温高圧下の水の水素結合状態、氷高圧相のプロトン伝導の解明、水素ハイドレートの高圧相転移、水素化物の高温超伝導、多結晶ダイアモンドの破壊シミュレーションなど、いままで知られていなかった高圧下での水(水素)の振る舞いの一端を明らかにした。今後の中性子散乱実験との協業により一層の解明が進むことが期待される。
著者
足立 孝 櫻庭 幹 村杉 雅秀 宮野 裕 桑田 裕美 池田 豊秀 大貫 恭正
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.16, no.7, pp.779-783, 2002-11-15
被引用文献数
5 4

縦隔発生のparagangliomaは比較的稀な疾患である.われわれは縦隔原発で,術前に集学的治療を行ったparagangliomaの1例を経験したので報告する.症例は56歳,女性.胸部違和感とともに咳嗽出現し,他医で検査を受けたところ縦隔腫瘍を指摘され当科紹介となる.胸部CTで中縦隔から前縦隔にかけて7×6cmの血管に富む腫瘍を認め,腫瘍生検でparagangliomaの診断を得た.腫瘍の解剖学的位置関係から放射線治療を行い腫瘍縮小効果を得たところで,腫瘍血管に対しプラチナコイルで血管塞栓術を追加した.手術では腫瘍の血管壁よりの剥離は困難で臨床的にはmalignant potentialであると判断し,結果として完全摘出に至らなかった.組織学所見で明らかな悪性所見はなく最終的にもparagangliomaと診断された.paragangliomaに対しては腫瘍摘出術以外に確立された治療法はなく,本症例では遺残腫瘍の今後の動向を観察する必要がある.
著者
池田 昌之
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

中生代三畳-ジュラ系遠洋性層状チャートの層厚変動がミランコビッチサイクルと呼ばれる地球軌道要素変動に伴う日射量分布変動を反映した事を明らかにした(Ikeda et al., 2010a EPSL : 2010b ESF).今年度は,ミランコビッチサイクルが層状チャートの堆積リズムに反映されたメカニズムを解明するため,チャート・頁岩単層単位で連続的に元素分析を行い,層厚変動の要因を検討した.その結果,チャート層厚は生物源シリカの埋没速度を反映したことを明らかにした.さらに,層状チャート中の生物源シリカの全球的な堆積速度を推定した.その結果,現在の全海洋に堆積する生物源シリカの堆積速度と同程度から倍以上にも相当した.海洋に堆積する生物源シリカは溶存シリカの主要シンクであるため,この結果から,中生代以前においては層状チャートが海洋の溶存シリカの主要シンクであることを示した.一方,海洋の溶存シリカの主要ソースは陸域のケイ酸塩風化速度変動であるため,これが層状チャート中の生物源シリカの埋没速度の変動要因であった可能性を示唆した.天文学的周期におけるケイ酸塩風化速度変動は夏モンスーンに駆動されることが気候モデル(Kutzbuch,1994,2008)により示されている.これらのことから,天文学的周期における夏モンスーン強度変動でケイ酸塩風化速度が変動し,海洋への溶存シリカの供給量が変動した結果,層状チャートとして堆積する生物源シリカの埋没速度が変動し,層状チャートの堆積リズムが形成されたというモデルを提唱した.このモデルをペルム紀末大量絶滅からの回復過程にあたる下部-中部三畳系に適用した。その結果,前期三畳紀の生物源シリカの埋没速度は異常に高く,その後,中期三畳紀にかけて減少したことから,回復過程において陸域ケイ酸塩風化速度が徐々に弱まった可能性を示した.さらに,地層の周期を年代目盛としてサイクル層序を構築すると共に,長周期日射量変動と古環境変動,生物多様性変動との関連性の検討,およびその日射量変動の周期変調から太陽系惑星運動のカオス的挙動の意義について研究している.
著者
翁長 博 古江 嘉弘 池田 哲朗
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.65, no.533, pp.1-8, 2000
被引用文献数
1

Calculations of STI for several modeled sound fields show that the values of STI for the field consist of direct sound and single reflection, which is higher or lower by a dB than the former, are same, the sound reflections at any delay time raise up the value of STI and even the high level early sound reduces the value of STI under certain condition. The early sound energy might be useful for high speech intelligibility, whereas the concept of STI contradicts with that. There are problems to consider STI to be an adequate measure of speech intelligibility.
著者
古沢 常雄 岩橋 恵子 小野田 正利 夏目 達也 藤井 佐知子 池田 賢市 服部 憲児 小澤 浩明 上原 秀一 園山 大祐 藤井 穂高
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、学習者が学校教育の主流から排除されるメカニズムに注目する。すなわち、早期離学者、進路変更を余儀なくされる生徒たち、高等教育における中退、などに焦点を当てている。こうした学校「内部から排除」するメカニズムに対して制度的にどのように包摂が可能か検討し、具体的な対策として郊外における優先教育の試み、障害児の包摂に向けた取組、学校ガバナンスの方法、高等教育における学業継続支援策や社会経験認定制度の整備、余暇センターの活動など現地調査をもとに考察を行った。