著者
宮崎 則幸 池田 徹 松本 龍介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

先端デバイスの強度信頼性評価に使用することができる解析プログラムおよび実験手法を開発した。すなわち、解析プログラムとしては、異種材界面強度の破壊力学的評価プログラム、転位密度というミクロ情報を含む構成式を用いた転位密度評価解析プログラム、および大規模分子動力学解析プログラムを開発した。また、実験的手法としては、撮像装置として光学顕微鏡および走査型レーザ顕微鏡を用いた微小領域ひずみ計測システムを開発した。これらの解析的、実験的手法を用いて、電子デバイスの強度信頼性評価を行った。
著者
大木 文子 池田 由紀江
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.26-35, 1985-06-30
被引用文献数
1

2語発話初期の精神発達遅滞児の統辞的2語発話を統辞意味論的に分析することによりその初期文法の解明を試みた。2語発話初期の精神発達遅滞児8名,及び同様の表出言語年齢の普通児3名について、4ヶ月間その発話を分析した。収集された発話のうち2語発話動詞述語文のみについて、統辞意味論的構造分析を施した。その結果、普通児は、"だれだれがどうする"の意味関係を示す2語発話を早期から獲得し、その使用も集中していたのに対し、精神発達遅滞児は、このような傾向があらわれず、"-がある"や"-をどうする"などの発話が比較的一定して使用されていることが示された。これより、普通児は、人の行為を早期から集中して表現するのに対し、精神発達遅滞児は、人以外のものについての表現が多く、行為や、人そのものに対する抽象化に困難を示すことが推察された。これより、普通児の言語発達との質的な差異が示唆された。
著者
池田 徹 宮崎 則幸 松本 龍介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では,まず,マイクロ構造物の接合強度評価パラメータを解析する数値解析手法の開発を行うことを目的とした.このために,前年度までに3次元異方性異種材界面き裂の応力拡大係数を解析する手法を開発していたが,これにグラフィック・ユーザー・インターフェースを整備して,一般ユーザーが'使用しやすいソフトウエアを完成させた.また,当該年度には,熱応力下の異方性異種材接合角部の応力拡大係数を解析する手法を完成させた.これにより,界面き裂のみでなく,さまざまな角度をもって接合した接合角部の特異性応力場の評価が可能となった.これまで,このような熱応力下の異方性異種材界面角部の応力拡大係数を解析する手法は無く,本手法はマイクロ構造物のみに限らず,あらゆる異種材接合角部の定量的な強度評価に道を開くものである.次の目的は,デジタル相関法を用いた々イクロ接合部のひずみ分布の直接測定手法の開発である.これについては,レーザー顕微鏡画像に対するレーザー走査時の位置ずれに起因する画像誤差を,異なる方向に走査した2枚の画像を使って補正する手法を開発し,デジタル画像相関法によるひずみ測定の精度を向上させた.さらにこの計測手法を用いて,部品内蔵基板中のひずみ分布を計測することにも成功した.以上の成果によって,マイクロ構造物中の破壊現象について,数値計算手法による解析結果を実測によって確認することが可能となったことから,強度評価の信頼性を高めることが期待できる.また,数値計算手法では解析が難しい,複雑な内部構造をもったマイクロ構造物内のひずみ分布や,構成部材の材料定数などを実測によって調べることが可能となった.
著者
吉田 克己 長谷川 晃 瀬川 信久 稗貫 俊文 田村 善之 潮見 佳男 曽野 裕夫 道幸 哲也 亘理 格 山下 竜一 池田 清治 村上 裕章
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は、現代社会を構成する政治=行政、経済=市場、生活=消費という3つのサブシステムの内部変化と外部変容(相互関係の変化)を、実定法学という観点から構造的・総合的に把握することである。共同研究を通じて、これら3つのサブシステム相互関係の変容を端的に表現するのが公私のクロスオーバーという現象であることが明らかとなった。また、そのような問題が集中的に現れる問題領域として、競争秩序と環境秩序があることも明らかになった。競争秩序の維持・確保は、その公共的性格のゆえに、伝統的に行政機関が担当すべきものとされてきた。ところが、近時、市民を主体とする民事法的対応の可能性が模索されている。このような動向に応じるためには、市民を主体とするものとして「公共性」を捉え返す必要があること、そして、競争秩序違反に対する損害賠償や差止を可能にする法理もまた、そのような観点から再構成されるべきことが解明された。さらに、競争秩序の形成に関して、上からでなく、下からの自生的秩序形成の可能性とその条件が検討された。競争論の観点からの民法学の原理論的考察も行われ、物権・債権の二分法に基礎には競争観念があることが明らかにされた。環境秩序に関しては、近時、理論的にも実践的にも重要な争点となっている景観問題などを素材として、公私のクロスオーバー現象が分析された。行政法の領域からは、公益、個別的利益および共同利益の相互関連が検討され、民事法の領域からは、差止を可能にする法理として、地域的ルール違反に対するサンクションとしての差止という法理が提示された。そして、刑法の領域からは、環境を保護法益として捉える場合のおける近代刑法原理の限界に関する分析が行われた。さらに、「憲法と民法」の相互関連という問題を通じて、公私の再構成に関する原理的な検討が行われた。
著者
石黒 浩 浅田 稔 板倉 昭二 細田 耕 宮下 敬宏 神田 嵩行 港 隆史 池田 徹志 MACDORMAN K.F.
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

知的な情報システムを実現する方法には2つあり,人間のように,比較的数の少ないセンサと;脳が行うような高度な情報処理機能を組み合わせる方法と,ロボットだけでなく環境もセンサでくまなく覆い,目的達成のために必要な情報をより直接的に得る方法である.本研究では後者のアプローチにおいて,知的な情報処理システムを実現する研究に取り組んだ.具体的には,本研究とは独立に開発してきた知覚情報基盤プロトタイプ(多数のセンサからなる次世代のコンピュータネットワーク)を発展させ,これまでに開発してきた人間との対話を目的としたロボットを組み合わせることで,人間の行動に応じて知的に振舞う知的情報処理システムを実現した.研究期間における研究は,(a)行動に関する知的情報処理,(b)ロボットの行動支援のためのセンサネットワーク,(c)環境一体型ロボットの知的情報処理の主な3項目からなる.行動に関する知的情報処理では,ロボットの歩行や腕の制御,皮膚感覚の学習等,ロボットの基本機能と,ロボットやアンドロイドの見かけの問題をはじめとする人と関わるロボットに関する研究に取り組んだ.センサネットワークに関する研究では,基礎アルゴリズムに加え,床センサやカメラネットワークの利用法を研究した.環境一体型ロボットに関する研究では,センサネットワークと連動して活動するロボットを実装すると共に,遠隔操作等,それに関わる機能について研究を行った.
著者
池田 健吾 黒田 英夫 藤村 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-03-27

近年ワープロの普及により,一般の人でも整った活字体文字で文書を作成することが一般的になっている.しかし,一方で,画一的な活字体が個人的な手紙などに使われることに対して,個性がないなどの理由により敬遠される傾向がある.そこには,より人間的な文字を使いたいという要求がある.そこで我々は人の特徴を取り入れた書体の自動生成を目指している.そのなかで漢字のストロークから文字の特徴を正確に取り出すために,正確な芯線を取り出す必要がある.今回我々はヒゲの少ない輪郭線追跡細線化法を提案する.
著者
藤居 宏平 柴田 智広 小林 亮太 北野 勝則 西川 郁子 池田 和司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.295, pp.31-36, 2010-11-11
参考文献数
13

本研究の目的は,四肢を用いたドラム演奏時における熟達者-非熟達者間の脳活動を比較することである.このように全身を用いた運動時の脳活動を非侵襲に計測するため,近赤外分光法(Near-infrared spectroscopy; MRS)を用いた.演奏課題としては,非熟達者にとっては演奏が容易でないが,熟達者にとっては容易である一小節のドラムパターンを用いた難課題と,いずれの被験者にとっても演奏が容易な一小節のドラムパターンを用いた易課題の2種類を用意した.解析の結果,熟達者では主に難易度が高いと前頭葉付近の活動が低下するのに対し,非熟達者では前頭葉付近や頭頂葉付近で活動が増加することが観測された.
著者
池田 華子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

他者の運動が自身の運動に及ぼす影響を調査するために、他者の運動の観察による印象評定についての研究を更に進めた。更に複数の他者の動作を知覚する際の視覚的特性を検討した。平成23年度の本研究員の成果は以下の通りである。(1)受け渡し動作における丁寧さの評定:本研究では人が物体を他者に渡す際の渡し方について、丁寧さの印象に関わる要因について検討し、特に受け手の性別による違いについての影響を分析することを試みた。被験者は渡し手が丁寧に物体を差し出す場合と普通に物体を差し出す場合のビデオ映像を観察し、各動作について印象評定項目に回答した。印象評定項目得点の分析の結果、受け渡し動作について丁寧さの印象を判断するために男性は女性に比べると運動の特性や機能的側面により敏感で、女性ではその魅力といった対人的な特性を重視する傾向にあった。この成果は今年度開催の国際学会KEER2012において発表され、発表内容は同学会論文誌に掲載される予定である。(2)他者の歩行方向判断における周囲の人間の動作の影響の検討:集団の中で特定の他者の運動を特定する際の知覚の特性について、周辺視野で複数の物体が固まって提示されると個々の物体の同定が困難になるというクラウディング効果を利用して研究を行った。実験では歩行している人間の関節運動情報のみから構成されたバイオロジカルモーション(BM)刺激を複数体、周辺視野で観察させ、その中の1体の歩行方向を判断させた。その結果、観察者はターゲットの歩行方向を正しく回答することが困難になった。更に、ターゲットとなるBMの歩行方向の回答は、近接する妨害BM刺激の歩行方向の影響を受けた。以上から、人が他者の動作を認識する時には対象に近接する人間の動作から妨害を受けかつ動作の影響をも受けるということが示唆された。この成果は今年度開催の国際学会ECVP2012において発表される予定である。
著者
池田 大輔 安東 奈穂子 田中 省作
出版者
ディジタル図書館編集委員会
雑誌
ディジタル図書館 (ISSN:13407287)
巻号頁・発行日
no.27, pp.1-8, 2005-03-08

電子図書館サービスの多くは、従来からある図書館サービスを電子的に行うことにより、図書館員が行う作業の効率化や資料への効率的なアクセスを実現するものであり、新たなサービスを提供するものは少ない。筆者らの研究グループは新たな電子図書館サービス構築を目指し研究を進めており、その過程で個人情報を含んだ貸出履歴をサービスに使うことの是非が大きな問題点として浮上した。本稿では、図書館の役割や利用者の個人情報について考察し、新たな電子図書館のサービスによる利便性向上と個人情報保護を両立するモデルを提案する。
著者
吉田 克己 田村 善之 長谷川 晃 稗貫 俊文 村上 裕章 曽野 裕夫 松岡 久和 池田 清治 和田 俊憲 山下 龍一 亘理 格 瀬川 信久 秋山 靖浩 潮見 佳男 伊東 研祐
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

公正な競争秩序や良好な自然環境、都市環境を確保するためには、行政機関や市町村だけでなく、市民が能動的な役割を果たすことが重要である。要するに、公私協働が求められるのである。しかし、公私峻別論に立脚する現行の実定法パラダイムは、この要請に充分に応えていない。本研究においては、行政法や民法を始めとする実定法において、どのようにして従来の考え方を克服して新しいパラダイムを構築すべきかの道筋を示した。
著者
永西 修 四十万谷 吉郎 仮屋 喜弘 池田 健児 村井 勝
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.146-149, 1996-07-30
参考文献数
17
被引用文献数
2

セスバニアロストラータ(Sesbania rostraata)に濃厚飼料および青刈りトウモロコシ(Zea mays L.)を混合し,サイレージの化学成分および発酵品質に及ぼす影響について検討した。セスバニアロストラータへ玄米,ビートパルプ,フスマおよび圧片トウモロコシを混合することで,サイレージのin vitro乾物消化率(IVDMD)は高くなり,発酵品質ではpHが低下するとともに,酢酸含量の減少と乳酸含量が増加する傾向が認められ,フスマを添加した場合にその改善効果は顕著であった。セスバニアロストラータと青刈りトウモロコシの混合サイレージでは,青刈りトウモロコシの混合割合が高くなるにつれて,粗蛋白質含量,細胞壁の有機物部分および酸性デタージェント繊維含量が低下し,逆にIVDMDは高くなった。また,サイレージの発酵品質では青刈りトウモロコシの割合が高くなるにつれて,pHが低下するとともに総窒素に占める揮発性塩基態窒素の割合が減少し,乳酸含量が増加した。以上のことから,セスバニアロストラータへの濃厚飼料や青刈りトウモロコシの混合は,消化率の向上や発酵品質の改善の面から有効なサイレージ調製法であることが明らかとなった。
著者
池田 俊也
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.353-358, 2003-05-01
参考文献数
6

複数の医療技術について,その費用と効果の比較を行う医療経済評価では,モデル分析が必要となる場合が多い.なぜなら,対象としている医療技術が健康結果や資源消費に影響を及ぼす期間が長期にわたる場合には,期間全体でかかる費用とその効果を実際に測定することが困難であり,シミュレーションなどによる分析が必要とされるからである.本稿では,医療経済評価におけるモデル分析の必要性とその種類について概説し,さらに糖尿病を例に医療経済評価のためのリスクシミュレーションモデルを取り上げる.
著者
加藤 松三 清水 弘子 久松 完 小野崎 隆 谷川 奈津 池田 廣 市村 一雄
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.385-387, 2002-05-15
被引用文献数
2 19

カンパニュラメジウム切り花の受粉花と未受粉花の老化とエチレンとの関係を調べた.カンパニュラの小花の老化はエチレン処理により促進された.受粉により花弁の老化は著しく促進されたが, 柱頭の圧砕ならびに柱頭を含む花柱の除去は老化を促進しなかった.未受粉花では小花全体, 花弁および雌ずいのエチレン生成量は非常に低い値で推移したが, 受粉によりこれらの器官からのエチレン生成量は著しく増大した.エチレン作用阻害剤であるチオ硫酸銀錯塩処理は未受粉花の老化を著しく抑制した.以上の結果より, カンパニュラメジウムの花はエチレンに対する感受性が高く, 受粉はエチレン生成を増加させ, 花弁の老化を促進するが, 未受粉花では老化に対するエチレンの関与は少ないと考えられた.
著者
池田 大輔 安東 奈穂子 田中 省作
出版者
ディジタル図書館編集委員会
雑誌
ディジタル図書館 (ISSN:13407287)
巻号頁・発行日
no.27, pp.1-8, 2005-03-08

電子図書館サービスの多くは、従来からある図書館サービスを電子的に行うことにより、図書館員が行う作業の効率化や資料への効率的なアクセスを実現するものであり、新たなサービスを提供するものは少ない。筆者らの研究グループは新たな電子図書館サービス構築を目指し研究を進めており、その過程で個人情報を含んだ貸出履歴をサービスに使うことの是非が大きな問題点として浮上した。本稿では、図書館の役割や利用者の個人情報について考察し、新たな電子図書館のサービスによる利便性向上と個人情報保護を両立するモデルを提案する。