- 著者
-
池田 岳史
- 出版者
- Japanese Society for the Science of Design
- 雑誌
- 日本デザイン学会研究発表大会概要集
- 巻号頁・発行日
- pp.82, 2005 (Released:2005-07-20)
国内においての伝統的建造物群保存地区2地区における住民意識に関する調査との比較を目的とし,海外での伝統的建造物群保存とそれらの建築物での生活に関する実態調査を行うこととした。調査の対象としたドイツ連邦共和国ローテンブルグ市は,12世紀_から_14世紀に築かれた城壁に囲まれた旧市街地を中心にファッハヴェルクと呼ばれる木組みの家屋が数多く残る街である。今回の調査では,現地での街並み景観調査及びローテンブルグ市建設局長ハンス・ミューレック氏への取材を中心に調査を行った。 調査の結果日本国内での調査と異なる印象を受けた点については,観光客との関係であり,住人の生活環境への侵入やトラブルといった面について,エリアが比較的広いという条件はあるもののほとんど聴かれなかった。観光地としての歴史とそれに関連する文化がローテンブルグ市には根付いているものと考えられる。伝統的な建造物やそれによって構成される街自体を文化と捉え保存し,かつ生活空間としていくことは容易な事ではないが,資金や材料,方法といったハード面での支援に加え,ソフト面での充実,つまり文化を育てるという方向での支援や活動が求められるように思われる。