著者
森 伸一郎 池田 悦夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.582, pp.247-263, 1997-12-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
37
被引用文献数
2

東京都新宿区四谷の江戸城四谷御門外の一連の遺跡調査において, 江戸城外堀の盛土周辺で地震の痕跡が検出された. 地震の痕跡には, 地割れ, 地滑りのほか, 噴砂脈が認められた. 現地調査, サウンディング, 粒度・比重・重鉱物・珪藻などの土質分析, および周辺の地質調査資料に基づき, 噴砂脈の供給源が更新統 (洪積層) である東京層にあることを確認した. 考古学・地震学・地盤地震工学の観点から, 地震の発生時期を特定した. 液状化しにくいと考えられていた洪積砂層も強地震動の下では液状化しうることを示した. 有史以来の歴史地震で洪積層が液状化したことを確認した初めての例である.
著者
中田 朋宏 池田 義 南方 謙二 山﨑 和裕 阪口 仁寿 上原 京勲 坂本 和久 中津 太郎 平間 大介 坂田 隆造
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.32-36, 2016-01-15 (Released:2016-02-02)
参考文献数
17

総肺静脈還流異常症(TAPVC)において,稀に左心系が非常に小さく,左心低形成症候群様の血行動態を示すものがあり,その対応に苦慮することがある.症例は1生日の女児,心エコーおよびCT検査にて下心臓型TAPVC,左心系の低形成(hypoplastic left heart complex),両側上大静脈,右鎖骨下動脈起始異常と診断された.肺静脈狭窄のため,1生日に準緊急的にTAPVC修復を行い,心房中隔欠損(ASD)作製術および両側肺動脈絞扼術(BPAB)も併せて行った.術後経過は良好であったが,術後の左心系の成長乏しく,47生日にNorwood手術(肺血流は右室-肺動脈導管5 mm人工血管で再建)を行った.その後もやはり左心系の成長乏しく,単心室型治療を選択することを決定し,6カ月時に両方向性Glenn手術,1歳11カ月時に完全右心バイパス手術を施行した.TAPVCを合併した左心系のボーダーライン症例に対して,TAPVC修復+BPAB+ASD作製を行うことで,左心系の発育を待ち,単心室/二心室型の治療方針を決定する方針は妥当と思われた.
著者
石田 開 廣瀬 稔 池田 憲昭
出版者
一般社団法人日本医療機器学会
雑誌
医療機器学 (ISSN:18824978)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.13-21, 2013 (Released:2013-07-19)
参考文献数
29

Cell-phones have a possibility to interfere with medical equipment, and using a cell-phone is restricted in some or all areas in many medical institutions. Cell-phone jamming equipment (CJE) has been introduced in critical areas to prevent cell-phone use. The CJE that were developed for medical use will not interfere with medical equipment nor other communication systems. There are many such devices that one can easily get on the internet or by mail order. This study investigated the malfunction of irradiated medical equipment and Wireless LAN (WLAN) by that type of CJE. We investigated 20 medical devices and 3 WLAN routers. The CJE interfered with four types of medical equipment and all WLAN routers that were investigated. One syringe pump raised an occlusion alarm and stopped infusion at a maximum distance of 22 cm from the CJE. One WLAN router was disconnected at a maximum distance of 6.2 meter. The maximum interference distance of medical equipment was comparatively smaller than that of the WLAN routers. Therefore, serious malfunction of medical equipment by CJE is probably not threatening. However, the malfunction of WLAN might affect clinical work using networks, because some WLAN routers or communication systems were susceptible to interference by CJE.
著者
廣川 貴久 西川 優子 戸成 匡宏 奥 英弘 池田 恒彦
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.47-52, 2021

<p> 貧血が主要な原因と考えられた頭蓋内圧亢進の一例を経験した.症例は16歳,女性,霧視を主訴に近医を受診し,うっ血乳頭の疑いで本学紹介受診した.頭蓋内病変は認められなかったが,血液検査で強い貧血を認め,標準体重から150%以上の肥満があった.特発性頭蓋内圧亢進症を疑い,アセタゾラミド内服,高浸透圧利尿剤点滴で治療を開始したが,うっ血乳頭は改善を認めなかった.貧血精査の過程で婦人科受診し,過多月経に対して女性ホルモン薬が投与され,貧血の改善とともに,うっ血乳頭,視力,視野所見の改善を認めた.貧血は頭蓋内圧亢進の原因となるため,頭蓋内圧亢進症が疑われた場合,貧血の有無を確認し,貧血の治療を行う必要があると考えられた.</p>
著者
林 知里 岡本 愛花 神林 優花 花田 佳奈 渡邊 えみ 中島 美繪子 Chisato Hayashi Okamoto Aika Kanbayashi Yuka Hanada Kana Watanabe Emi Nakashima Mieko 元千里金蘭大学 看護学部 現大阪大学大学院 医学系研究科附属ツインリサーチセンター 市立豊中病院 淀川キリスト病院 市立池田病院 三木市民病院 元千里金蘭大学 看護学部
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
pp.67-75, 2012

近年、男女共同参画社会の実現、少子化問題、子どもの社会性の発達や父親自身の人格的成長、QOLやワーク・ライフ・バランスなどとの関連において、父親の育児参加が注目されている。多胎児の父親は単胎児の父親より積極的に育児参加するものが多いとの報告があるが、育児参加が父親に与える影響について多胎児と単胎児の父親を比較した調査はない。そこで、本研究では、多胎児と単胎児の父親の「子育て観・次世代育成観」「母性神話」「仕事観」「子ども観」を調査した。ツインマザースクラブの会員1016名に自己記入式アンケートを郵送、211名の父親から回答を得た(回収率20.8%)。また、比較群として、小中一貫校の児童・生徒および大学生の単胎児の父親300名にアンケート調査を実施し、101名から回答を得た(回収率33.7%)。結果、「子どもが3歳になるまで、母親は育児に専念するほうがよい」「子どもを出産した後は、母親は仕事をやめたほうがよい」といった、いわゆる「三歳児神話」や「母性神話」については、多胎児の父親は単胎児の父親と比較して反対側が有意に多かった。「子育ては自分の自由な時間を奪う」「仕事は自分の自由な時間を奪う」「子育て中は、勤務時間を自分で調整できる方がよい」は多胎児の父親で賛成側が有意に多く、「育児休暇をとると昇進にひびく」は、多胎児の父親で反対側が有意に多かった。ふたごの父親は、単胎児の父親と比較して積極的に育児参加している者が多く、育児の担い手として実質的に育児に関わる経験が母性神話に対する価値観や子育て観、仕事観に影響している可能性が示唆された。
著者
水野 峰雄 後藤 一郎 藤岡 綱昭 安池 由幸 池田 泰久 高島 洋一
出版者
一般社団法人 日本原子力学会 バックエンド部会
雑誌
原子力バックエンド研究 (ISSN:18847579)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.221-231, 2000

現行の再処理において採用されているチョップ・アンド・リーチ法では,大型剪断装置を必要とし,かつ使用済み燃料を酸難溶性のジルカロイ被覆管を付けたまま高温・高濃度の硝酸溶液で処理するため,溶解工程における負荷が大きいものとなっている.   本研究では,このような現行のヘッド・エンド・プロセスの抱える課題を解決するため,燃料集合体を解体し,燃料を被覆管より取り出した後,燃料のみを現行法より温和な条件で連続的に溶解させるとともに,燃料内のトリチウムやヨウ素を除去することによる溶解以降の工程の負荷軽減にも寄与しうる新ヘッド・エンド・プロセス技術の開発を行っている.   本報では,新ヘッド・エンド・プロセスの要素技術である燃料取出技術,ボロキシデーション技術,燃料溶解技術に関する研究成果の概要について報告する.
著者
姚 思遠 三上 栄 三上 隆一 多田 陽一郎 塩津 聡一 池田 篤志 村上 哲平 池田 宏国 原田 武尚 山本 満雄
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.177-184, 2016-03-01 (Released:2016-03-18)
参考文献数
23

上腸間膜動脈症候群は腹部大動脈と上腸間膜動脈の成す角度が狭小化していることによって,十二指腸水平脚が圧迫されて通過障害を来す疾患である.開腹で行うバイパス術を経て,現在は腹腔鏡下十二指腸空腸吻合術が最も広く行われている外科的治療法となっている.症例は20歳の女性で,17歳のときに上腸間膜動脈症候群と診断された.以来,保存的加療にて経過を見ていたが,良好な結果を得られなかった.若年女性であるという点を考慮して,術創を最小限に留めるために単孔式腹腔鏡下十二指腸空腸吻合術を施行した.術中および術後経過はともに良好であった.今回,我々は上腸間膜動脈症候群に対する単孔式腹腔鏡下十二指腸空腸吻合術を施行したのでここに報告する.本術式は,美容の面で若年女性にとって有用となりうると考えている.
著者
美崎 栄一郎 池田 浩 今井 健雄
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.108-112, 2014

われわれは専門家として,メイクやヘアメイクの仕上がりなど使用実態を調査している。その使用実態観察研究の一環として,本研究では観察者の視線の動きに着目した。化粧直後の仕上がり写真を刺激画像とし,それを観察する視線の動きを調べた。今回の検討により,化粧における専門家であるメイクアップアーティストは左右上下のバランスを測るように広い範囲に視線移動をし,仕上がりを短時間で評価していることがわかった。一般女性は顔の中心や個々のパーツなどの気になる部分に視線が片寄りがちになる傾向にあった。視線の移動を可視化することで,暗黙知として専門家がもっている美しい仕上がりへの知見を引き出せる可能性が示唆された。
著者
松本 毅 村瀬 佐太美 池田 定三 中西 治
出版者
社団法人 日本鋼構造協会
雑誌
鋼構造論文集 (ISSN:18809928)
巻号頁・発行日
vol.6, no.22, pp.29-39, 1999

下津井瀬戸大橋は瀬戸大橋の最も北側に位置する吊橋で、本州の倉敷市下津井とその南にある櫃石島(ひついしじま)とを結んでいる。下津井瀬戸大橋には、側径間端部で補剛桁を下から支え、鉛直反力を受け持つピボット構造のエンドリンク4基が設置されている。これらの内のA3エンドリンク(東西各1基、合計2基)ピボット構造部付近から、周辺民家(民家までL=約30m)でも容易に確認できるようなカンカンという大きな金属音が1993年6月頃より発生するようになった。この音の発生は、重量の大きな貨物列車が通過するときに顕著であった。そこで騒音を低減するための応急措置を施した後、1994年1月~2月にかけて、エンドリンクの精密点検を行い音源調査、ひずみ・変位調査等を現地に於いて実施した。'94年度には、騒音源と思われるピボット部へ潤滑剤を注入するための孔明け方法を検討するために模型実験を行った。また、ピボット部に注入すべき潤滑剤の選定を行った。これらの調査、実験の成果を用いて、'95年度にA3エンドリンクの補修工事を行い、騒音を解消することができた。また'96年度にはA4エンドリンクを同様の方法で補修した。ここでは、エンドリンクの精密点検及び補修工事について述べる。

1 0 0 0 風の中の瞳

著者
新田次郎〔著〕 池田仙三郎絵
出版者
講談社
巻号頁・発行日
1981
著者
池田 道智江 平野 真紀 坂口 美和 森 京子 玉田 章
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.4_46-54, 2011-12-20 (Released:2012-01-21)
参考文献数
37
被引用文献数
4 1

目的:看護師を対象にQOLと自己効力感が離職願望にどのような影響を及ぼすのかを明らかにする.方法:看護師625名に質問紙票を配布し,全項目に回答した300名を対象とした.質問紙は個人属性,QOL(WHO/QOL-26日本語版),自己効力感(一般性自己効力感尺度:GSES),離職願望尺度で構成した.結果:経験年数別の比較では,QOL,GSESにおいて3年以上5年未満が最低値を示し,20年以上が最高値を示した(p<0.01).離職願望は,3年以上5年未満が最高値を示し,20年以上が最低値を示した(p<0.05).QOL,GSES,離職願望で有意な相関(p<0.01)を認め,カテゴリカル回帰分析の結果,離職願望に対してQOL(身体領域,社会関係),GSES(行動の積極性,失敗に対する不安,能力の社会的位置づけ),婚姻状況が有意に影響していた.結論:経験年数3年以上5年未満の中堅看護師の移行期間への離職願望防止対策構築の必要性が示唆された.
著者
太田 匡彦 大園 誠一郎 池田 朋博 中農 勇 平尾 佳彦 渡辺 秀次 高島 健次 平尾 和也
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.95, no.5, pp.705-710, 2004-07-20
参考文献数
13
被引用文献数
1

(背景) 最近, 健康ブームで, スポーツ人口が増加しているが, 一部に運動後血尿を認める場合があり, 運動性血尿として注目されている. そこで, 最も一般的な運動であるランニングと血尿の検討を夏季において行った.<br>(対象と方法) 泌尿器科的疾患のないヘルシーボランティア109名に運動前安静時尿採取後, 5kmランニングを行い, 運動後尿を採取した. 評価可能例は90名で運動前後尿につき, 検尿, 尿沈査, フローサイトメトリーにより赤血球数, 赤血球形態について比較した.<br>(結果) 運動後の尿中赤血球数増加例が83名であり, 運動後顕微鏡的血尿例 (赤血球数3個/hpf以上) は32名であった. そのうち赤血球形態学的検討で dysmorphic pattern が23名と最多であった.<br>(結論) ランニングにより血尿が誘起され, 糸球体性血尿が中心と考えられた.
著者
池田 郁男
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.483-495, 2013-07-01
参考文献数
6
被引用文献数
4