著者
岩佐 光啓 丸山 真澄 中村 絵理 山下 伸夫 渡辺 彰
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.191-199, 2005
被引用文献数
1 7

牛用駆虫剤イベルメクチンのポアオン法による投与が, 牛糞に生息する標的および非標的糞食性ハエ類に及ぼす影響について調べた.排糞中のイベルメクチンは, 処理後14または21日まで検出され, その濃度は処理後1または3日目に最大となった.処理された牛の糞において, ノサシバエとキタミドリイエバエの幼虫は14日目ですべて死亡し, 21日目でも蛹化率は減少した.羽化トラップを用いた野外実験において, 処理区でクロイエバエ, ヒメシリアカニクバエ, ツヤホソバエ科, ハヤトビバエ科, オドリバエ科などの発生は大きく減少した.環縫亜目・有額嚢群のハエの発生は, 処理後1, 3, 7日で等しく抑制された.ノミバエ科とヌカカ科の発生数は, 逆に処理区の糞で増加した.処理区において羽化したハエの乾燥重量は著しく減少し, 糞分解活動が抑制された.
著者
岩垣 博巳 淵本 定儀 松原 長秀 赤在 義浩 須崎 紀一 渡辺 哲也 野中 泰幸 木村 臣一 折田 薫三 米山 勝 万代 隆彦 阿賀 創 藤井 和子 堺 修造
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.426-430, 1991 (Released:2009-12-03)
参考文献数
13
被引用文献数
2 4

難消化性糖質であるラクトスクロース(Lactosucrose; LS-98)を健常成人および大腸疾患術後患者に投与し,光岡の方法に準じて腸内細菌叢の変化を検討した.その結果,ラクトスクロースは健常成人に対してビフィズス菌増殖因子として作用し,また大腸疾患術後患者に対しては,ビフィズス菌パランスが低下している腸内環境を早期に改善する傾向が明らかとなった.難消化性糖質であるラクトスクロース投与は,術後の腸内環境を改善し,手術侵襲からの早期回復をはかることが示唆された.
著者
吉田 純土 中西 賢也 豊辺 将嘉 岩崎 正久 渡辺 英俊 日向野 茂
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.A_8-A_17, 2019

<p><tt>政府による「観光立国推進基本計画」の策定等を受け、官民が一体となった観光関連事業が推進される中、一部の観光地においては街路空間における歩行者の混雑が深刻になっている。そこで本研究においては歩行者の歩行目的に特徴を有する地域において観測を行い、歩行速度、歩行密度等のデータを収集したうえで、交通容量を算出し、「観光」目的の歩行者が多い地域と「通勤」目的の歩行者が多い地域等とを比較した。</tt> <tt>その結果、「観光」目的の歩行者は、「通勤」目的の歩行者と比べ集団歩行が多いこと、立ち止まりが多いこと、歩行速度が遅いこと、単位幅員あたりの交通容量が小さいこと等が明らかになり、観光地やその周辺市街地等における歩行動線の検討や歩行空間整備に関しては観光地特有の対応方策や歩道整備水準の策定等が必要であることを示した。</tt></p>
著者
渡辺 江美子
出版者
日本古文書学会
雑誌
古文書研究 (ISSN:03862429)
巻号頁・発行日
no.24, pp.p69-80, 1985-09
著者
正木 義男 古川 朋靖 渡辺 道隆 市川 銀一郎
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.102, no.7, pp.891-897, 1999-07-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

はじめに: 鼻副鼻腔手術後のガーゼ抜去時に患者が失神様の発作を起こすことがある. この状態は神経原性失神の1つである三叉・迷走神経反射が原因と言われている. 三叉神経が刺激されることにより, 迷走神経が反応して心拍数, 血圧が急激に低下する現象であるが, 我々は疼痛や緊張で上昇するアドレナリン (Adrenaline, 以下Adr. と略す) に着目し, ネコ10匹を使用して迷走神経反射におけるAdr. の効果を調べた.目的: 迷走神経刺激時にAdr. が脳血流に及ぼす影響を調べる.対象と方法: 実験には成猫10匹を用いた. 頸部で迷走神経を露出し, 末梢側に白金電極を装着した. さらに頭部を30度挙上した. コントロール群 (迷走神経を1分間電気刺激). Adr. +神経刺激群 (Adr. を30秒間静注した後, 迷走神経を1分間電気刺激) の2群に分け, 刺激前後の前庭神経核, 下オリーブ核, 小脳室頂核の脳血流量, 及び心拍数, 動脈圧を比較した. 脳血流の測定には水素クリアランス法を使用した.結果: コントロール群, Adr. +神経刺激群ともに刺激前と比較し, 刺激後は有意に脳血流量が低下した. さらに, 両群の脳血流量の変化を比較したところ, いずれの部位においてもAdr. +神経刺激群の方が, コントロール群と比較し有意に脳血流量が低下していた. 心拍数, 動脈圧についてはコントロール群は刺激後有意に低下したが, Adr. +神経刺激群では, より大きな脳血流量低下があったにもかかわらず有意な変化はなかった.考察: Adr. +神経刺激群ではAdr. のβ2作用で末梢欠陥抵抗が低下し, 迷走神経を電気刺激した際に, より大きな脳血流量低下が起きたのではないかと考えられた. この結果より疼痛や緊張で上昇したAdr.が, 三叉・迷走神経反射による脳血流量低下を増強しているのではないかと考えられた.
著者
渡辺 紘良
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.102, no.2, pp.1-31, 2020-09-17

The annual amount of freight transported on China's inland waterways during the early years of the Song Dynasty has been estimated at about 6 million dan 石, an achievement made possible by the Dynasty's human resource policies. Inheriting the national unification projects of Emperor Shizong 世宗 of the Later Zhou Dynasty, Taizu 太祖, the founder of the Song Dynasty, concentrated efforts on reducing the number of regional military governors (fanzhen 藩鎭) and rebuilding the domestic political regime, thus emphasizing the improvement of regional strongholds rather than fiscal strength; moreover, considering the relocation of the capital to Luoyang 洛陽 or Chang'an 長安, improvements in inland waterway transportation were not prioritized, and the national unification efforts were also left incomplete when he suddenly died. In contrast, in the second year of his reign (977), in order to expand waterway transportation projects, second emperor Taizong 太宗 relaxed restrictions on members of the militias commanded by former Five Dynasties military governors (jiangli yaqian 將吏衙前) illegitimized and reduced by Taizu, an action which provided human resources for private salt traders defying government monopoly and the expansion of candidates for the civil service examination system. On the other hand, after taking over management of waterway transportation and warehousing, this same jiangli yaqian promoted illegal practices among shipping crews and brought about the bankruptcy of local elites (lizheng yaqian 里正衙前) under their jurisdiction who were also involved in waterway transportation. Consequently, the Dynasty was forced to give jiangli yaqian the authority to muster ship crews in the capacity of administrators (zhugangli 主綱吏) over the waterway fleets of the Huainan-Jiangnan region. Moreover, in 983 their authority was extended to the waterway fleets of Hunan, and officially recognized by the Dynasty as managing the waterway transportation in their own right. That same year marked the occurrence of incidents throughout China, in which jiangli yaqian attempted to recover their formerly usurped judiciary authority in the provinces. Fearing that such incidents could extend to waterway transportation administration, the central government, in the wake of the exposure of corruption in the Treasury Bureau, set up departments of inland waterways and overland routes in Kaifeng, thus recognizing an even larger bestowal of authority on jiangli yaqian and ending the stagnation in waterway transportation development. In the background to this newly bestowed authority lay the actions of a group of close advisors to Emperor Taizong, some of whom were well-informed about the operations of the Treasury and Kaifeng agencies, and would be later promoted to Treasury Minister. It was largely due to this group that Taizong had been able to directly control jiangli yaqian. Moreover, the policy of entrusting the management of waterway transp01tation to jiangli yaqian paralleled the free appointment of petty officials, whose effects cannot be ignored.
著者
泉 妃咲 冨永 晴郎 中島 チ鹿子 内田 淳一 渡辺 雄一 塚本 洋子 井上 岳 山田 洋子 山田 善史 山田 悟
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.380-385, 2012 (Released:2012-07-20)
参考文献数
14

糖尿病治療の根幹である食事療法は,一般的にカロリー制限で指導されることが多いが,患者にはストレスが強く,そのコンプライアンスが問題となる.そこで,血糖値の上昇を最小限に抑えながら食事のQOLを向上させるための甘味品として,低糖質ケーキに着目した.今回は糖尿病患者で検討する前段階として,健常者を対象として低糖質ケーキが糖脂質指標に与える影響を同等カロリーの通常ケーキと比較した.低糖質ケーキでは通常ケーキと比較して食後の血糖値上昇が抑制され,インスリンの分泌刺激は弱かった.また,低糖質ケーキは中性脂肪や遊離脂肪酸に悪影響を与えず,一方で食後の満足度は通常ケーキと同等であった.今後糖尿病患者を対象にした検討においても低糖質ケーキの有望な結果が期待される.
著者
平戸 政史 高橋 章夫 渡辺 克成 風間 健 好本 裕平
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.205-213, 2008-03-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
26

脳卒中後疼痛(以下,視床痛)の出現には,視床感覚核脳血管障害病変および病変周囲構造の機能再編が大きな要因であることが示唆されるが,その病態は複雑で,症例により異なるため治療は難しい.29例の視床痛患者に対する脊髄,大脳皮質運動野刺激術,脳深部(視床,内包後脚)破壊,刺激術など,種々の手術結果より外科治療法の選択について検討した.視床痛に対しては,個々の例で脳深部記録,機能画像法などの手法を用いた詳細な病態解析を行い,視床感覚核疼痛関連構造における異常活動部位,変化および皮質への影響などを把握して,病態に応じた機能異常の是正を行うことが大切である.
著者
粉川 牧 伊藤 修 渡辺 大
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.59-68, 2002-01-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
10

氷を構造材料とする薄肉の曲面板構造“アイスシェル”を冬期間の建築構造物として使用するというこれまでにない新しい試みが1997年以来,北海道はトマムで展開されている.同じ敷地内の一角で,ここ2年間,スパン20mアイスドーム(規模:底面直径約17m,高さ約6.5m)について構造工学的側面からフィールド実験が実施されてきた.この実験は,大規模アイスシェルの建築構造物への適用可能性を探るべく,その実証的研究として行われているもので,本報告は,これらのうちの一つ,2000年2月から4月初めにかけて実施された建設実験及び完成後のクリープ実験をまとめたものである.結果として,型枠空気膜に散雪散水する本工法は5~6日間で建設施工を可能にし,さらに完成したドームの構造性能は,平均鉛直変位速度が3~4mm/dayと小さく,又,崩壊性状は「延性的」であったことから,この規模のアイスドームが建築構造物として適用可能であることを示している.
著者
渡辺 千仭 藤 祐司
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.184-202, 2003-09-19
被引用文献数
1

日本の技術と経済の好循環は,企業の旺盛な研究開発投資に支えられた技術革新によるものである。そして「日本的経営システム」には,若年労働者の賃金をその生産性以下におさえ,その差額を自らの将来の投資に向ける「見えざる出資]が存在しており,これが研究開発投資をはじめとする,長期の不確実性を有する投資の誘発に少なからぬ役割を果たした。この「見えざる出資」は自社内従業員から間接的に負担を求める点で社員持ち株制度(ストックオプション)と類似しているが,株式発行による資金調達と異なり,経営主体独自の判断で運用することができる日本固有の精妙なシステムである。しかし,1990年代のバブル経済の崩壊と軌を一にした低・マイナス成長や高齢化等のパラダイム変化とともに,「見えざる出資」の機能が低下するに至っている。昨今の研究開発投資離れは,これと無縁ではない。本研究においては,1980年までの日本経済のパフォーマンスと1990年代以降のそれとの好対照に視点を据えて,製造業主要業種の「見えざる出資」及び資本コストに占める研究開発投資の位置付け等の計測をベースに,以上の仮説的見解の実証を試みる。その結果,「見えざる出資」が,『若年期の賃金抑制→企業の内部留保蓄積→設備投資増加→企業成長→中高年の高賃金支払い』といったメカニズムを通じて企業成長力の原動力となっていることを示した。しかし,近年の高齢化・少子化・低,ゼロ成長等のパラダイム変化に伴い,企業側にとって上記メカニズムの持つメリットが失われてきていることもまた明らかであり,これからの技術形成に対する姿勢は,研究開発投資額の増大よりも,より効率的な投資を可能とするシステムの構築が重要となることを示した。
著者
河岡 義裕 朝長 啓造 澤 洋文 松浦 善治 川口 寧 渡辺 登喜子 鈴木 信弘 高橋 英樹 長崎 慶三 川野 秀一
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2016-06-30

(1)計画・公募研究の推進:計画・公募研究を、研究活動支援システム、領域班会議などを通じて積極的にサポートし、計画研究とともにネオウイルス学創成に目がけた研究を推進している。高度情報処理支援として、計画研究班および公募研究班に対し、スーパーコンピュータシステム・シロカネの利用による高速処理体制を構築するとともに、シロカネ上でデータ解析プログラムの連携・共有を行った。(2)領域班会議の開催:平成30年度は、4月13~15日に高知県において第4回領域班会議、また 11月11~13日に兵庫県淡路島において、第5回領域班会議を行い、 各計画・公募研究班による未発表データを含めた進捗報告を行った。会議では、活発な議論が展開され、共同研究や技術提供が活性化されるとともに、領域内の研究者間の有機的な連携が強化された。また今年度は、 テレビ会議システムを用いて、月に一度の定例会を行い、各計画・公募研究班の研究進捗の報告などを行なうことによって、領域全体の研究の推進を図った。(3)広報活動:本領域の研究活動を国民に広く発信するため、ホームページ/フェイスブックページ/ツイッターにおいて、平成30年度は26/29/169件の記事を掲載した。フォロワー数は平成29年度と比較して、フェイスブックページは160から206名、ツイッターは152から239名に増加した。また平成30年度は、領域の研究内容の概説を掲載したニュースレターを2回発行した。さらに活発なアウトリーチ活動を行なった。