著者
村田 陽平
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.77, no.7, pp.463-482, 2004-06-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

今日の空間論においてジェンダーという視点は注目されつつある一方,男性という主体がその意味を的確に認識しているかは疑問の余地がある.そこで本稿では,男性によってジェンダーの視点を導入して設計されたといわれる岐阜県営住宅「ハイタウン北方・南ブロック」を事例に,この問題を検討した.具体的には,総合プロデューサーの男性建築家,南ブロックの居住者,男性建築家に選定された7名の女性設計者,施工主の岐阜県,という四つのアクターから,この居住空間の実態を分析した.その結果,この居住空間は,ジェンダーの視点を踏まえたものというより,むしろその視点が問題にしてきた男性中心的な発想で生産されたものであることが判明した.このことは,空間論においてジェンダー概念に伴うポジショナリティの意味が,男性という主体に十分に把握されていない表れであると考えられる.
著者
谷澤 真 増田 陽子 飛永 敬志 宮崎 千枝子 齊藤 孝道 村田 健児 大関 覚
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.785-788, 2014 (Released:2014-10-30)
参考文献数
15
被引用文献数
2

〔目的〕筋活動量の観点から効果的な腓骨筋トレーニング方法を明らかにすること.〔対象〕健常成人女性44名88足とした.〔方法〕表面筋電図を用いて,セラバンドを用いた外返し抵抗運動(対照群),calf raise(calf raise群),立位による外反位での母趾球荷重運動(外反位母趾球荷重群)時の長腓骨筋の筋活動を計測し,これらの群間で比較した.〔結果〕長腓骨筋の筋活動量は外反位母趾球荷重群,calf raise群,対照群の順に高値を示し,すべての群間に有意差が認められた.〔結語〕立位による外反位での母趾球荷重運動はセラバンドを用いた外返し抵抗運動よりも効果的な腓骨筋トレーニング方法である.
著者
田村 典久 田中 秀樹 駒田 陽子 成澤 元 井上 雄一
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.90.18045, (Released:2019-07-10)
参考文献数
43
被引用文献数
3 3

This cross-sectional study was conducted to assess sleep habits between students with/without a discrepancy of ≥2 hrs in wake-up time (WUT) on school days and free days, and to determine whether the discrepancy is associated with daytime sleepiness, lowered mental/physical health and poor academic performance. A total of 4,392 students in 13 junior high schools completed a self-administered questionnaire including demographic information, sleep-wake patterns, daytime sleepiness, irritability and academic performance. We classified the students into two groups: those with/without a discrepancy between school day and free day WUT. The discrepancy prevalence was 38.4%. More students with the discrepancy skipped breakfast and did not attend a school club activity compared to those without the discrepancy. They also went to bed 22 min later and slept 21 min less on school days than those without the discrepancy. In a generalized linear mixed model, the discrepancy was associated with daytime sleepiness, irritability and poor academic performance. The WUT discrepancy of ≥2 hrs with a delayed circadian rhythm can be associated with lower mental/physical health and poor academic performance among adolescents.
著者
金谷 さとみ 津田 陽一郎 永冨 史子 松井 一人 村永 信吾
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.802-811, 2020-07-15

金谷 本邦における新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)の感染拡大は社会全体に大きな影響を及ぼしましたが,理学療法提供においてもあらためて考えさせられる機会となりました.本日は,それほど切迫した状況ではないものの,体制づくりや予防策に追われた地域の先生方にご出席いただきました.まず,ご自身の施設の概要とこれまでの経緯をお話しください. 永冨 当院は回復期リハビリテーション病棟を有する647床の急性期総合病院です.高齢症例が多いのが特徴です.岡山県は感染者数が非常に少なく抑えられていますが,通常とは異なる臨床をどのように組み立てるか,また緊急事態宣言が解除された現在はこれらの対応をどうやって緩めていくか,さまざま思案しながら業務を行っています.
著者
園田 陽一 倉本 宣
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.41-49, 2008 (Released:2008-09-10)
参考文献数
34
被引用文献数
13 9

本研究では,森林の孤立化が非飛翔性哺乳類の種組成に与える影響について明らかにすることを目的とした.調査対象地を,森林の孤立化の程度により,3つの孤立傾度(山地林,連続林,孤立林)に分類し,各孤立傾度あたり3ヶ所の調査地を選定した.2005年と2006年の4∼10月にかけて獣道に自動撮影カメラを設置し,非飛翔性哺乳類の種組成および存在量を分析した.各調査地における種の出現の有無をnMDSおよびクラスター分析により分析したところ,生息地利用タイプは(1)山地林に高い頻度で出現する山地性種,(2)山地林および連続林に出現する丘陵地性種,(3)山地林,連続林,孤立林のいずれにも出現する広域性種,(4)山地林および連続林に局所的に出現する局所性種の4タイプに分類された.また,孤立傾度が高まるにつれて種の豊富さは減少した.そのため,山地林や連続林は種の供給源として機能し,孤立林はジェネラリストの重要な生息地として機能する.生態的ネットワーク計画において,山地林や連続林はコアエリアとして作用し,孤立林はジェネラリスト的な哺乳類の拠点地区として作用すると考えられる.
著者
阿部 博 敷田 幹文 篠田 陽一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.1006-1015, 2018-03-15

大規模なイベントネットワークではネットワーク管理手法の1つとしてsyslogを用いた運用監視が行われる.syslogメッセージに含まれるキーワード検知や閾値による異常検知などネットワークの異常が運用者に通知される.マルチベンダ機器によって構築される特殊なイベントネットワークでは,ログの意味解析やキーワードによる異常検知が行えない環境下であることが多い.本論文ではイベントネットワークで収集されるsyslogの総量による分析を行い異常を検知する手法を提案する.株式取引で用いられるボリンジャーバンドアルゴリズムを利用し,Interop Tokyo 2016で構築されたShowNetで収集されたsyslogの実データを用いて統計学的手法において軽量な計算による異常検出を行い,ボリンジャーバンドアルゴリズムの有効性を評価する.
著者
前田 陽次郎
出版者
The Japan Association of Economic Geography
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.69-83, 2021-06-30 (Released:2022-06-30)
参考文献数
19
被引用文献数
1

長崎県対馬市は韓国との国境地帯に位置する.近年では1999年に対馬釡山間に定期高速船航路が開設されたことを契機に,日韓両国間の人の行き来が増えた.特に韓国からの観光客が多く,2018年には韓国人入国者が年間40万人を越えた.観光客は1999年から2010年までは徐々に増加したものの,年間5~6万人程度で落ち着いていた.その後2011年の原発事故による韓国人の日本旅行客減少を受け,博多釡山間を運航していた会社が,距離が近く運賃が安い対馬に博多から航路を振り替えたことを契機に対馬への入国者が一気に増え,観光関連事業への投資が活発になった.ところが日本政府による韓国への輸出規制厳格化を受け韓国内で起こったボイコットジャパン運動の影響で2019年7月から入国者が激減した.さらに2020年3月にはCOVID-19の感染拡大を受け,韓国から対馬への入国が禁止されたため,入国者数は0になった.対馬の観光業は大きな打撃を受けたが,他産業から観光関連産業への就業者移行は進んでおらず,地元の住民への影響はそれほど大きくなかった.急激な観光客の増大は産業構造の大きな変化は起こさず,観光業を産業の中心に据えたいのであれば,もっと長期的な施策が必要になる.
著者
柴田 陽一
出版者
京都大學人文科學研究所
雑誌
人文学報 (ISSN:04490274)
巻号頁・発行日
no.105, pp.69-116, 2014

「大東亜戦争」期 (1941-1945年),京都帝国大学地理学教授であった小牧実繁は,「日本地政学」を標榜し,著書・雑誌・新聞・講演・ラジオなどさまざまなメディアを駆使したプロパガンダ活動をおこなった。けれども,国民の啓蒙を意図しておこなわれた彼の活動を可能にしたネットワークの存在,活動の社会的影響,プロパガンダの内容については,これまでほとんど検討されていない。本稿は,彼の著作をひろく利用することにより,彼のプロパガンダ活動の特徴と,その思想戦における役割を検討した。その結果,つぎの三点が明らかになった。すなわち,(1) 彼がプロパガンダ活動を多方面で展開できた理由に,当時の言論界で大きな力をもっていた情報機関 (内閣情報部・陸軍省情報部) や,スメラ学塾,大日本言論報国会,国民精神文化研究所とのネットワークが存在したことである。(2) 世界観というレベルの問題をとりあつかい,精神的側面を重視した彼のプロパガンダ活動は,全体としては当時の思想戦の動向と軌を一にしたものだが,単なる御用学者という言葉だけでかたづけられない側面ももちあわせていたことである。地政学的地誌を通じて彼が提示した独自の世界観に,この点がよく表れている。(3) 彼のプロパガンダ活動が当時の社会に影響を及ぼしたことは,おびただしい数の出版物や旺盛な講演活動などから間違いないが,活動の実質的効果については大いに疑問の余地が残ることである。
著者
田渕 優希子 安田 哲行 北村 哲宏 大月 道夫 金藤 秀明 井上 隆弥 中江 文 松田 陽一 植松 弘進 真下 節 下村 伊一郎 柴田 政彦
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.17-23, 2013 (Released:2013-03-22)
参考文献数
38

近年,非がん性慢性痛に対するオピオイド処方の選択肢が広がったことにより,オピオイドによる内分泌機能異常発症に留意する必要性がある.内分泌機能異常としては性腺機能低下症が最も多いが,副腎機能低下症や成人GH(成長ホルモン)分泌不全症の報告例も散見される.これらの内分泌機能異常は単に患者のQOLを低下させるのみならず,さまざまな代謝異常,臓器障害を呈し,時に生命の危機にかかわる病態へと進展することもある.現時点で,これらの内分泌機能異常がどのような患者に惹起されやすいかは明らかではなく,また内分泌異常の診断も必ずしも容易ではない.しかし,これらの内分泌機能異常はオピオイドの減量,中止,あるいは非オピオイド系鎮痛薬への変更,ホルモン補充療法により改善可能な病態であることから,オピオイド投与中の患者において決して見逃してはならない副作用の一つと考えられる.オピオイドによる内分泌機能異常について基礎医学的および臨床医学的見地から解説する.
著者
蛭田 陽子
巻号頁・発行日
pp.1-80, 2014-03-20

授与大学:弘前大学; 学位種類:修士(教育学); 授与年月日:平成26年3月20日; 学位記番号:修第584号