著者
西尾 淳 緑川 孝二 柴田 陽三 城石 達光 江本 玄 緒方 公介
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.13-18, 1997-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
6

We report a rare case of deltoid muscle contracture in an adult. The patient was a 40 year old female who visited our hospital complaining of pain and motion disturbance of both shoulder joints. She had received multiple intramuscular injections for migraine treatment for 5 years. Clinical examination revealed winging of the scapula and fibrous bands were seen in the intermediate part of the deltoid muscles. Strength of the deltoid muscles was normal. Adduction, external rotation and horizontal flexion of the shoulders were restricted, -25 degrees, 35 degrees, 90 degrees, respectively. Fibrous bands showed high echo images within low echo areas on ultrasonography and a low intensity area on MRI. In September 1995, surgery was performed on her right shoulder. The deltoid fascia and subcutaneous tissue were thoroughly and widely released. After resection of fibrous bands at the midpart of the deltoid muscle, range of abduction was improved during surgery. She is now able to touch the opposite shoulder with her right hand. No adductive disturbance was seen. The patient was satisfied with the surgical results and we plan on operating on her left shoulder.
著者
高田 陽 倉本 宣
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.1915, (Released:2021-04-20)
参考文献数
30

市民科学プロジェクトの関係者の中で、プロジェクトの主催者の利益については明瞭であるが、ボランティアとして参加する市民の利益は多様で分かりにくい。このため、市民の参加動機(期待する利益)を調査することで市民にとっての利益を明らかにし、十分な利益を市民に与えることができるようなプロジェクトの設計を行う必要がある。本研究では東京都鳥類繁殖分布調査島嶼部において島外から伊豆諸島での鳥類ラインセンサス調査に参加した市民を対象に、遠隔地で専門家が市民に帯同する市民科学プロジェクトに対する参加動機の特徴を明らかにすることを目的とした。対象とした市民科学プロジェクトでは、伊豆諸島外に在住する一般市民からの参加者と東京都鳥類繁殖分布調査島嶼部の主催者が調査地に同行し、最長で 4日間共同生活を送りながら調査が実施された。本研究では市民参加者に対する参加動機のアンケート調査、とそれを補完する聞き取り調査を行った。最も多い参加動機はツーリズムに関する「島の自然の魅力」と社会貢献に関する「調査目的への共感」であり、市民が自主的に自然科学を行う「学び」と「調査の楽しさ」や「科学への貢献」が続いた。「友人づくり」や「家族・友人による紹介」などの一般的な人間関係に関する項目は動機として重要でなかった。既往研究と比較し、「調査目的への共感」が高い傾向は一致したが、本調査結果の特徴として「島の自然への関心」と「学び」に関する関心が高い傾向があった。聞き取り調査から「島の自然への関心」が選ばれた理由として、観光的な動機の他に、生物多様性保全上の意義をあげる意見も見られた。「学び」については、聞き取り調査から市民参加者は調査方法の学習に対する関心が高いことが推測された。それぞれ遠隔地という要素と専門家の帯同という要因が影響していると推察された。この結果をもとに生物多様性保全に関わる市民科学プロジェクトの効果的な企画が可能になると考えられる。
著者
山田 陽子
出版者
広島国際学院大学現代社会学部
雑誌
現代社会学 (ISSN:13453289)
巻号頁・発行日
no.10, pp.133-144, 2009

本報告は、広島国際学院大学現代社会学部・社会学合同演習「現代社会にみる恋愛」の一環として、2008年6月21日(土)に広島国際学院大学立町キャンパスにて行なわれた公開講義「純化する愛、その不安」の概要である。本講義では、恋愛について社会学的な観点から講じた。主として、1)ロマンティック・ラブ・イデオロギーと恋愛結婚の誕生、2)「純粋な関係性」と「コンフルエント・ラブ」(A.Giddens 1992)、3)コンフルエント・ラブが導く関係の不確定性、以上三点について講じている。受講者は、社会学にまったくなじみのない高校生や一般の方であったため、「恋愛チェックシート」(資料1)を作成し、講義の前に自らの恋愛観を振り返ってもらうという、最も身近なところから議論を出発させた。受講者一人一人が普段何気なく抱いている恋愛に関する様々な規範意識や感覚が、現代社会の成員の多くに共有されている社会意識であることを示し、そのことを通じて、通常は最も個人的で私的なものと考えられている感情が社会的・外的要因によって規定される側面を持つこと(E.Durkheim 1912)、もしくは自然で内発的なものであるとみなされている感情が社会的に決められた「感情規則」(A.Hochschild 1983)に沿う形で経験されていることに対する認識を促すことを目的とした。さらには、現代人に共有されている恋愛観や関係性の特徴、不安の来歴について講じることによって、社会規範や社会の在り方は常に「別様でもありうること」(N.Luhmann)を提示し、受講者自らが生きる社会を客観的に観察する契機となればとの期待をこめた。
著者
熊田 陽子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第43回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.193, 2009 (Released:2009-05-28)

人間は、ある目的を達成するためだけに生きているのではなく、その過程や行為を楽しむ(「遊ぶ」)ものであると考えたホイジンガは、人間を「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」と呼んだ。様々な性行為も、生殖という目的だけで行われるわけではなく、それ自体の面白さを楽しむ「遊び」である。本発表では、あるSMクラブを事例に、そこで働く女性たちがSMプレイをどのように認識しているのかついて、「遊び」を手がかりに検討する。
著者
太田 陽子 小田切 聡子
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.103, no.3, pp.243-267, 1994-06-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
40
被引用文献数
4 8

1) 土佐佐賀から千尋岬東方にいたる地域の海成段丘を高位から H1, H2, H3, M, Lに分類した。M面およびそれより高位の段丘の形成は氷河性の海面変化に伴っており, M面は最終問氷期最盛期 (約125ka, 酸素同位体ステージ5e) の海進期に形成された。 H2, H1はそれぞれステージ7, および9の間氷期に対応する海進期を示す可能性があるが年代を確定できない。L面はさらに細分され, L1が完新世海進高頂期を, L2以下の面はその後の間欠的隆起を示している。2) 本地域は北西に低下する二つの傾動域 (伊の岬変動区と足摺変動区) に分かれ, それぞれの地域内ではH1面形成期以降の約3°万年間同様式の傾動が続いていた。M面形成期以降の最大平均隆起速度は 0.55m/ka (足摺岬) である。3) 二つの変動区の形成はプレート境界から分岐した断層の活動に由来すると思われる。伊の岬変動区はおそらく伊の岬断層を震源断層として形成されたと推定できるが, 足摺変動区の傾動を説明する震源断層を特定することはできなかった。細分される完新世段丘群はこれらの分岐断層の最近の活動史を記録しており, 上記両変動区で隆起時期を異にしている。
著者
野田 陽
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

ニューラルネットで最適化されたスペクトルフィルタを用いて、赤外線反射光から材質を判別する手法を提案する。通常はフィルタとして特定の波長に着目したバンドパスフィルタを用いる。しかしながらバンドパスフィルタは高価である。そこで本論文では複雑な吸収スペクトルを持つ有機材料をフィルタとして利用した。この有機材料フィルタの配合比をニューラルネットで最適化する事により、非常に安価で軽量な材質判別装置を自動で設計できる。不純物を含むプラスチック片がPP(ポリプロピレン)であるか非PPであるかを判別するタスクにおいて、赤外線分光スペクトルを用いるニューラルネットと同等の精度(99.6%)が得られた。
著者
三津石 智巳 外崎 みゆき 河村 俊太郎 中塚 寛幸 愛宕 翔太 岡本 真 清田 陽司
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.508-513, 2012-12-01
参考文献数
11

Ref.Masterとは,国立国会図書館が提供するレファレンス協同データベースを活用して開発された,レファレンススキル向上のためのツールである。ゲーム感覚で遊びながらレファレンススキルを学習することができる。また一方で,Ref.Masterは人が遊んだ副産物として,計算機では困難な処理がなされるゲーム「GWAP(Game with a Purpose)」のアプローチを利用することで,レファレンス協同データベースに登録されているデータの品質向上に貢献することも企図している。本稿では,利用者のモチベーションを保ち継続的に学習を続けてもらうためのゲームと,新たなデータ生成という別の目的を持つゲームであるという2つの側面をもつRef.Masterの開発背景や機能のほか,運用から得られた知見についても述べる。
著者
清田 陽司
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.393-395, 2015-08-01 (Released:2015-08-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1
著者
柴田 陽一
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.1-19, 2006-02

The purpose of this paper is to examine the ideological establishment of the geopolitics of Saneshige Komaki (1898-1990), who was a Professor of Geography at Kyoto Imperial University, and a well-known advocate of "Japanese Geopolitics" during World War 2, and accordingly a remarkable figure in the history of Japanese geography. Approaching this subject biobibliographically, I focus on the personal background of Komaki. Using his own bibliography, and through an analysis of his written works, I trace the development of his thought. To begin with, I demonstrate the ideological background of Komaki's geopolitics. Komaki had a great antipathy toward Western imperialism. In addition, immigration issues closely related to racial discrimination were his great concern. He held the view that geography in those days had lost its social relevance, and that the nature and culture of each land should be maintained under an indigenous order. Next, I examine the ideological composition of Komaki's geopolitics. His geopolitics began before the outbreak of the Sino-Japanese War in July 1937. He asserted that "Japanese Geopolitics" was indigenous and one which attaches importance to the autonomy of Japan, after he had criticized the history of Western exploration, conventional geography, and Geopolitik. His geopolitics tried to clarify what was destroyed by Western colonization and had an historico-geographical and irrational character. Lastly, I point out some of the positive and negative aspects of his geopolitics. The social relevance of geography, his criticism of Western colonialism and the issue of positionality in research can be seen the light of Japan at that time. On the other hand, the lack of an attitude to relativize Japan and the subjective/intuitive judgement in the reasoning process were negative aspects. However, the positive and negative are not clearly divided. "Japanese Geopolitics" has suggested important issues in connection with the political nature and the social relevance of geography and geographical knowledge, although it served to justify the aggressive wars of the Japanese Empire.
著者
石田 陽介
出版者
環境芸術学会
雑誌
環境芸術 : 環境芸術学会論文集 (ISSN:21854483)
巻号頁・発行日
no.12, pp.69-76, 2013-10-26

まちそのものが抱える病理を診立て、アートシェアリング活動の推進を以て地域社会におけるケア文化のリハビリテーションを図っていくことは出来ないか。「アートで私をリハビリテーションする」ことを目指すコミュニティアート活動と、「アート(自体)を私がリハビリテーションする」地域での社会芸術教育活動を接続させながら、福岡市箱崎地区において2009年より2013年現在までの五年以上に渡って継続的に展開している。この二つのリハビリテーションを通して、ケア文化が豊かに循環する地域創造活動を'ソーシャル・アートセラピー'と位置づけたい。地域住民のLife (暮らし・人生・生命)に根ざすコミュニティアート・プロジェクトのアクションリサーチを通して'ソーシャル・アートセラピー'の果たしうる機能とその構造について考察していく。
著者
園田 陽一 塚田 英晴
出版者
日本環境共生学会
雑誌
環境共生 (ISSN:13463489)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.129-138, 2023-10-18 (Released:2023-10-19)
参考文献数
46

We focused on the current situation and issues of roadkill research in Japan. Road crossing infrastructures, which are developed as roadkill countermeasures, are important from the viewpoint of improving the permeability of wild animals and eliminating the barrier effect. Road crossing infrastructures are required to harmonize with the landscape from the viewpoint of biodiversity offset.
著者
駒田 陽子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.352-357, 2022-09-01 (Released:2022-09-01)

質の良い十分な睡眠を毎日規則的にとることは,ウェルビーイングにとって欠かせないが,日本人の多くが睡眠負債の状態である。さらに睡眠負債を解消するために休日に朝寝坊をすることは,社会的ジェットラグを引き起こす。COVID-19感染拡大防止のために各国で実施された社会的な行動制限によって,睡眠やウェルビーイングに変化が生じた。行動制限中,平均睡眠時間は15分増加し,社会的ジェットラグは29分減少した。全般的な幸福感は半数の人が悪化し,幸福感が悪化した群では有意に光曝露量の減少幅が大きかった。ウェルビーイングのためには,スリープマネジメントによって良い睡眠を確保することが重要である。本稿ではいくつかのポイント(生体リズムを整える,昼間の活動,眠る前のリラックスと眠りへの準備,眠りへのこだわり,眠る環境)を概説した。
著者
前田 陽一郎
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.556-563, 2018-04-15 (Released:2018-04-15)
参考文献数
16
被引用文献数
1

人工蜂コロニー(ABC)アルゴリズムは,蜜蜂の群れの採餌行動から着想を得た群知能アルゴリズムであり,実数値最適化を目的として開発された近似最適化手法である.ABCアルゴリズムは,最適化の対象となる問題の性質を問わず高い探索性能を持つことが検証されているが,いくつかの問題点が存在する.例として,個体の多様性を重視した探索を行うために,優良解に収束するまでに時間がかかりやすいという問題が存在する.近年,ABCアルゴリズムの改良手法に関する研究が盛んに行われており,他の進化的計算手法の考えを取り入れたハイブリッド手法が数多く提案されている.本研究では,実数値GAで用いられる交叉手法の1つである算術交叉をABCアルゴリズムの探索処理に組み込むことにより探索速度を向上させた改良手法である,算術交叉型ABCアルゴリズム(AC-ABC)と,遺伝的アルゴリズム(GA)の交叉,突然変異に用いられる確率的探索処理をABCアルゴリズムの変数選択部分に取り入れることにより,探索性能を高めた大域探索型ABCアルゴリズム(GS-ABC)を提案する.本手法の有効性を検証するため関数最適化シミュレーションを行ない,GS-ABCアルゴリズムは6種類のベンチマーク問題の全てで従来手法よりも高い性能を示すことが明らかとなった.