著者
田中 孝治 水島 和憲 仲林 清 池田 満
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.40065, (Released:2017-01-31)
参考文献数
31

多様化する仕事に適応できるように,企業の人材育成には,日常的に自ら育つ環境づくりが重要である.本研究では,分析過程が残る特徴と分析過程でストーリーラインが記述される特徴を持つ質的データ分析手法SCATを用いることで,新入社員の学び方の学びとその指導にあたった指導員の支援方法の表出化を試みた.本研究では,新入社員研修で用いる週報を新入社員と指導員とが対話する学習環境として捉え,週報に5週間に渡って記述された新入社員の振り返りとその振り返りに対する指導員のコメントを分析対象とした.分析結果から,指導員が,経験の積み重ねによる知識構築のプロセスである経験学習サイクルに沿って,実習員の学び方の学びを支援することで,実習員の学び方の学びが深化していることが読み取れた.本研究では,週報の分析から得られた結果を基に,学び方の学びの経験学習サイクルを転回する実習員と指導員の相互作用モデルを作成した.
著者
土谷 圭央 日下 聖 田中 孝之 松尾 祥和 小田 まこと 笹木 工 神島 保 山中 正紀
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.82, no.843, pp.16-00072-16-00072, 2016 (Released:2016-11-25)
参考文献数
22
被引用文献数
6

Anteflexion of the spine is essential for many physical activities of daily living. However, this motion places the lumbar disks because it generats heavy load due to changes in the shape of the lumbar spine and can lead to low back pain. In older to reduce low back pain, here we proposed a wearable sensor system configuration that can estimate lumbosacral alignment and lumbar load by measuring the shape of the lumbar skin when the lumbosacral alignment changes. The shape of the lumbar skin and posture angle are measured by using curvature sensors and accelerometers. In addition, the system must be constructed in consideration of the physique, in order to absorb in a variety of human. We proposed this system by measuring the body parameters of anteflexion and studied the change in dimensions of the lumbar spine from changes in posture. By extracting the dimensions of the lumbosacral spine in X-ray images, the attitude angle, body surface area and the dimensions of the lumbosacral spine have relevance. The lumbosacral dimensions calibration method was developed by using that relation. Lumbosacral alignment estimation considering the difference in physiques is developed, and lumbosacral spine alignment was to improve the estimation accuracy. The proposed method could improve accuracy lumbosacral alignment estimation.
著者
田中 孝之 本多 幸太郎 山藤 和男
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2000, 2000

犬は訓練により, 空中に投げられたフリスビーや物体の落下する近くまで駆けて行って口で受けとめることができる。本研究はそのような犬の動作をロボットで実現するため, 多関節の二足をもつロボットを開発した。空中に放り投げられたこのロボットが空中でオイラー角を検出し, 足を常に地面に向けて軟着陸するようにゴム人工筋を制御することにより, ロボット犬の足からの軟着地実験に成功した。
著者
田中 孝明 渡辺 勝彦
出版者
Architectural Institute of Japan
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.75, no.651, pp.1219-1224, 2010

By surveying village <i>Sinto</i> architecture with historical plaques of <i>Simousa</i> fief once a part of Chiba-ken, we can find out the activities of the sculptors represented as <i>Takeda Juzaburo</i> in the late Edo period.<br> We are able to draw out our results by examining the materials as follows; Four sculptors named <i>Takeda Juzaburo</i> once lived in <i>Yuuki</i>, near the northern part of Kanto area, where some shrines have an extreme amount of wood-curving. They had spread the use of large amounts of wood-curving in shrines in the fief, and carved onto not only the panels used as decorative transoms but also entire wooden walls of shrine from 1806 to 1822.
著者
田中 孝幸 桐野 秋豊 箱田 直紀
出版者
九州東海大学農学部
雑誌
九州東海大学農学部紀要 (ISSN:02868180)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-7, 2001
被引用文献数
1

ワビスケツバキ19品種について形態学的及び歴史的に調査を行った.その結果,'太郎冠者'はピタルディツバキC.pitardiiとヤブツバキC.japonica間のF1雑種で,'胡蝶侘助'が花壇地錦抄に現れた1695年以前に起源があるものと思われた.さらに,'太郎冠者'以外のワビスケツバキ品種群は2つのグループ,すなわち,狭義のワビスケツバキ品種群と'西王母'タイプのもの及びそれらの中間の形質を持つものに分けられた.広義のワビスケツバキ品種群をピタルディツバキC.pitardiiとヤブツバキC.japonica間のF1雑種('太郎冠者')あるいは戻し交雑世代のもの(多くはBC1)であると定義した.
著者
蔡 詩岳 佐藤 吏 田中 孝昭
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

関節内に手術操作を施すと術後に何らかの癒着が生じてくることは避けられない。この関節内癒着は、関節可動域を減少し疼痛の原因となるが、現時点では術後の理学療法により、関節内癒着を少しずつ剥離してゆくしかない。近年、ヒアルロン酸溶液が腱縫合などの腱手術後の癒着を防止する効果を有することが報告されてきているが、溶液状のヒアルロン酸では組織に滞留している時間が極めて短く、安定した癒着防止効果を得ることは困難である。そこで、本研究では、ヒアルロン酸に架橋結合を導入してゼリー状のゲルを作製、関節内における癒着防止効果を検討し、その作用機序を細胞レベルで検索した。家兎の膝関節を切開し、大腿骨顆部に5×10mmの軟骨下骨にいたる骨軟骨欠損部を作製する。術後は膝関節を3週間固定して、関節内癒着モデルを作製し、手術操作後に、膝関節内にヒアルロン酸ゲルを塗布し、術後3週での癒着防止効果を組織学的に検索した。その結果、架橋HAゲルを手術時に関節内に投与すると、術後、関節滑膜と連続する肉芽組織の発生が有意に防止され、関節内の癒着は明らかに抑制されることが判明した。架橋HAゲルでチェンバースライドの全面あるいはZ状に一部分をコーティングした後、ヒト皮膚由来の線維芽細胞を各チェンバースライドに播種し7日間培養後に細胞の接着状態や増殖に伴う細胞の移動を経時的に観察した。全面をコーティングした場合、細胞はHAゲル上には全く接着しなかったが、辺縁部のHAゲルでコーティングされなかった部分には接着し、伸展して紡錘形を呈していた。また、HAゲルでZ伏に部分的にコーティングしたものでは、HAゲルの部分には細胞は接着しなかったが、培養を継続するとHAゲルのない部分のみがHAゲルに接触することが観察された。ゼリー状に作製した架橋ヒアルロン酸ゲルは、細胞の基質への接着を阻害し、手術後に発生する癒着を防止するのに有用と考える。したがって、腱の手術後のみならず関節手術後にも生じる関節内の癒着の防止材としても臨床応用が可能であると思われる。
著者
川原 由佳里 守田 美奈子 田中 孝美 奥田 清子 本江 朝美 田中 晶子 五味 己寿枝
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.46-55, 2009-06-05 (Released:2016-08-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1

本研究の目的は, ①触れるケアをめぐる看護師の経験, ②臨床のなかでの触れるケアの位置づけ, そしてアロマセラピストの語りとの比較を通じて③看護における触れるケアの特徴を明らかにすることである. 看護師 13 名とアロマセラピスト 4 名に面接を行い, 参加者の語りを身体論的な観点から分析した. 結果, 看護師は生活援助やコミュニケーション等のさまざまな場面で, 直観的に相手のニーズを把握し, 即応的に触れるケアを行っていた. 触れている最中, 看護師は自らの手に感じられる相手の状態に集中し, 相手の心身の変化を感じとっていた. 看護師たちは触れるケアの効果を確信をもって語り, そうしたケアに看護職としての喜びを見出していたが, 治療中心, 効率性優先の臨床では, 触れるケアは特別な価値をもつものとは認識されず, その体験を誰かと共有することも少なかった. 看護師自身にも触れるケアの価値そのものが認めづらい現状が明らかになった.
著者
田中 孝宜
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.28-37, 2018 (Released:2018-03-21)

イギリスの公共放送BBC存続の基本法規に当たる特許状が2017年1月更新された。特許状の更新に当たってBBCのあり方が議論される。議論のたたき台として政府が2015年7月に公表した「グリーンペーパー」では、「BBCの使命、目的、価値」、「BBCの事業範囲およびその対象」、BBCの財源」、「BBCの管理体制」の4つの主題を軸に一般から意見募集が行われた。意見公募では、デジタル時代に合わせてBBCが事業や予算規模を拡大することについて69%が賛成し、60%の人が受信許可料制度の変更は必要ないとした。こうした中で、今回の特許状更新での最大の変更はBBCのガバナンス、統治システムであった。前回の特許状ではBBCの内部に監督機関のBBCトラストを設置したが、今回はBBCトラストを廃止し、初めて外部の独立規制機関Ofcom(Office of Communications)がBBCの規制・監督を担うことになった。Ofcomではまず、BBCを規制する『運営枠組み』を示し、その後、具体的な量的基準を示した『運営免許』を10月に公表した。OfcomはBBCの業績評価を行い、BBCが新たなサービスを計画する場合Ofcomが決定権を持つなど、制度上は強い権限を持つことになった。本稿は、特許状更新議論の過程を振り返るとともに新ガバナンス体制のあり方を整理するものである。
著者
水谷 高幸 田中 孝幸
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.17-21, 2008 (Released:2008-01-25)
参考文献数
11

レタスの系統維持のため花茎の節培養を行った.レタスとL. serriolaの雑種およびレタスの四倍体は34から40節で花芽を形成し,播種後110日あるいは140日にはそれぞれの株の頂部から順に開花した.2次花茎の節の外植体からの葉芽形成率は四倍体レタスでは44.8%,L. serriola × レタスでは19.9%であったが,これは四倍体レタスの方が発育は遅く,外植体における花芽の形成が進んでいなかったためと考えられた.花芽発育ステージの遅い主茎の低い節位から発生した2次花茎の外植体も上位の節位の外植体より葉芽形成率が高かった.また,主茎の頂部の頭花が開花した株の2次花茎の節の外植体の葉芽形成率は5.6%と低く,発育ステージが遅く頭花の未開花の外植体のそれは55.1%と高かった.さらに,2次花茎の節位が主茎側に近いものほど葉芽形成率が高かった.得られた葉芽は移植後,発根し,馴化した後に,開花結実した.本研究で明らかになった抽だい開花しているレタスの花茎の節を培養して,葉芽形成を誘導する方法は,種子を生産した後においても,その個体を維持することに役立つものと思われた.
著者
田中 孝治 水島 和憲 仲林 清 池田 満
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.1-12, 2017-05-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
31
被引用文献数
7

多様化する仕事に適応できるように,企業の人材育成には,日常的に自ら育つ環境づくりが重要である.本研究では,分析過程が残る特徴と分析過程でストーリーラインが記述される特徴を持つ質的データ分析手法SCAT を用いることで,新入社員の学び方の学びとその指導にあたった指導員の支援方法の表出化を試みた.本研究では,新入社員研修で用いる週報を新入社員と指導員とが対話する学習環境として捉え,週報に5週間に渡って記述された新入社員の振り返りとその振り返りに対する指導員のコメントを分析対象とした.分析結果から,指導員が,経験の積み重ねによる知識構築のプロセスである経験学習サイクルに沿って,実習員の学び方の学びを支援することで,実習員の学び方の学びが深化していることが読み取れた.本研究では,週報の分析から得られた結果を基に,学び方の学びの経験学習サイクルを転回する実習員と指導員の相互作用モデルを作成した.
著者
田中 孝枝
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.308-324, 2020 (Released:2021-02-07)
参考文献数
32

本論では、2008年に発生した四川大地震の災害後復興における地震被害の遺跡化とツーリズムの関わりに焦点を当てる。観光は震災後の産業復興の重要な柱となり、地震の痕跡を保存した地震遺跡は新たな観光資源の1つに位置づけられた。政府は観光を軸として短期間のうちに大規模な開発を進め、地震遺跡の保存と観光地化、再建不可能と判断した地域からの人々の移住、農業村から民俗観光村への転換などを実施した。政府はまた2年半で復興終了を宣言し、共産党の強いリーダーシップのもと、地震に打ち克った中国の特色ある社会主義の勝利を喧伝する。地震遺跡をめぐるツーリズムは、中国共産党に縁のある地をめぐる紅色旅游の地として、国家のレジリエンスを示す場となっている。しかし、人々の生活再建は、国家の示すレジリエンスと同じペース・道筋で進んではいない。本論では、震災から10年余が過ぎた現時点における国家のレジリエンスと生活のレジリエンスのずれを観光を通して考察し、地震遺跡をめぐるツーリズムの持つ意味を検討する。
著者
田中 孝治 森川 綾香 石川 健介
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 先進的学習科学と工学研究会 92回 (2021/7) (ISSN:13494104)
巻号頁・発行日
pp.04, 2021-06-30 (Released:2021-07-02)

コロナ禍の学校教育システムにおける価値共破壊を回避することが必要である。著者らの大学の学科では,学生が主体となってピアサポートサービスを提供するオンライン心理教育的援助サービスが実施された。本研究では,ピアサポートサービスの提供者を対象に質的調査を行い,心理教育的援助サービスにおける教員と学生の価値共創を検討した。
著者
浦野 貴裕 金子 俊一 高氏 秀則 田中 孝之
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.417-425, 2007 (Released:2011-08-25)
参考文献数
21
被引用文献数
1

方向符号差分ヒストグラム(OCDH)に基づき回転不変かつ計算コストの低いロバストな画像照合法を提案する.画素近傍の明度変化の勾配から得られる方向符号は,ハイライトや陰影などの明度変動対して強いロバスト性を有する.画像上の2点から得られる方向符号の差分は,回転不変特徴を持ち,本手法では,そのヒストグラム(OCDH)を照合に利用する.高速な回転不変照合実現のため,照合の候補位置をOCDHにより推定し,推定された候補位置に対して画像間の回転角度推定,ならびに方向符号を用いた確認処理を行う.
著者
藤野 義之 井上 拓哉 小坂 優太 田中 孝治
出版者
宇宙太陽発電学会
雑誌
宇宙太陽発電 (ISSN:24321060)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.42-46, 2021 (Released:2021-03-10)
参考文献数
5

現在,宇宙太陽発電(SPS)を実現させるために小型衛星を用いた実証実験が計画されている.実証実験においては,衛星から送信されるビーム形状を正確に評価することが必要となる.これまでは送信アンテナをパラボラアンテナとしてビーム形状を再現,評価してきた.今回,フェーズドアレーアンテナとした場合の基地局配置の指針を示し,二次元最小二乗法によってパターンを再構成し有効性があることを確認した.また,勝浦だけでなく,臼田を通る軌道をについて,その有効性や課題を示した.
著者
田中 孝信
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
no.60, pp.110-124, 2009-03

イギリスの帝国主義的野心によって始まった第2次ボーア戦争(1899-1902)は、イギリス側の当初の予想に反して長期化の様相を呈する。政府は戦争を遂行するために世論を味方につけなければならなかった。それに大きく貢献したものの一つが「戦争もの」と呼ばれる大衆文学である。実際の軍隊が提供できない英雄と勝利の物語を大衆に期待されたそれらには、理想の兵士像や国家像が描き込まれる。本論では特に、これまであまり顧みられなかったドキュメンタリー・タッチの作品に焦点を当て、その主人公に据えられた「トミー・アトキンズ」像を分析した。結果として明らかになったのは、その像が孕む異質性だ。勇猛果敢で母国への忠誠心に溢れる陸軍兵卒は、将校への不満を通して社会の階級的緊張を示唆し、肉体的に退化し道徳的に堕落した現実のフーリガンと結びつく。軍隊はフーリガンを更生する役割を担う一方で、フェアプレーの精神というカモフラージュのもと、将校も兵卒もともにフーリガンと同じく残忍性を示す。既成事実化していたイギリス人とボーア人の優劣、軍隊内の秩序、文明と野蛮といったものの境界の流動化という問題が生じる。ボーア戦争は、それらの問題が今にも噴出せんとするイギリス史上初めての戦争だったのである。しかし、従来の言説に生じた亀裂は「健全な臣民」育成の大合唱によって覆い隠され、社会は「異質な要素」を孕んだまま、悲惨な第一次大戦へと突き進んで行くのである。