著者
田中 正之
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.25-36, 1999-12-31 (Released:2017-05-22)

Woman's eye is one of the most important motives in Man Ray's works. However, in his images of woman's eye, the organ of sight is quite often manipulated, sometimes even violently, and the images acquire a very uncanny nature. This uncanny manipulation of woman's eye in Man Ray's oeuvre, both in photographs and objects, can be divided into four categories : "the Gazing Monster or Surrealist Medusa, " "the Enucleated Eye, " "the Closed Eye, " "Beheading." The last can be regarded as the manipulation of woman's eye, because it is a way of punishing a woman with evil eyes like Medusa, who is exterminated by Perseus through decapitation. The uncanny nature created by these manipulations squarely corresponds to the Freudian concept of the Uncanny. In his analysis of uncanny effects in E, T, A, Hoffmann's novel, The Sand-Man, Freud defines the source of the uncanny as the castration anxiety symbolized by the eye torn out. All the four types of manipulations in Man Ray's images of woman's eye can be found in this or other Freud's essays on the castration anxiety. By visualizing this anxiety repressed in the unconscious or "the return of the repressed, " Man Ray created the true Surrealist image of the emancipation from the reason and order through the direct manifestation of the unconscious.
著者
福沢 愛 田中 嵐 原田 和弘 増本 康平
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.93.20055, (Released:2022-03-31)
参考文献数
27

We investigated the relationships between the sense of acceptance by a communication partner and the degree of familiarity with that partner, and the effects of university students’ and older adults’ personalities on the strength of their relationships. The participants played the Settoku Nattoku game, the persuasive game. After each session, the persuader rated their familiarity with the persuaded partner and the degree to which they felt that the partner accepted them. The results of Hierarchical Linear Modeling indicated that familiarity with the partner was positively related to the sense of acceptance in university students. This relationship was stronger among people with typical East Asian psychological tendencies, including high interdependence. Older adults had a higher sense of acceptance than university students, whereas familiarity with the partner was not related to their sense of acceptance. Moreover, the sense of acceptance was higher among older adults who preferred a firm yes or no. These results suggest that Japanese elderly who were free of cultural norms had a high sense of acceptance, regardless of who their communication partners were.
著者
首藤 祐介 渡辺 綾子 嵩原 広宙 田中 秀樹
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.125-136, 2019-09-30 (Released:2020-06-25)
参考文献数
23

本研究の目的は高齢者に対する全3回2週間の短期集中型睡眠改善プログラムの実践を報告することであった。従来の研究よりも短期間で実施する睡眠改善プログラムを、離島A在住の高齢者16名と離島B在住の高齢者23名の計39名に実施した。その結果、睡眠改善行動の頻度増加、睡眠障害の重症度軽減、主観的な寝つき、熟睡感、日中のすっきり感の改善が認められた。一方で、睡眠障害の重症度においては先行研究と比べて限定される結果であった。また、離島ごとの分析では、睡眠障害の改善や主観的評価の一部において離島Aの改善が大きいことが示された。よって、従来よりも短期型であっても高齢者の睡眠を改善できる可能性が示唆された。
著者
田中 亜矢樹
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.5-16, 2020 (Released:2021-03-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1

慢性上咽頭炎の治療における上咽頭擦過療法には経鼻綿棒法と経口咽頭捲綿子法があり,各々盲目的に行う方法と内視鏡下に行う方法がある.それぞれに長所と短所があり,その特性を理解し症例に応じて使い分けることが臨床効果を向上させる上で重要である.経鼻法に用いる綿棒には直綿棒と弯曲綿棒があり局面によって使い分ける.経口法に用いる咽頭捲綿子にも擦過する上咽頭各部位に応じた使用法がある.経鼻綿棒と経口咽頭捲綿子のそれぞれの特性に基づいた基本的使用法について概説する.
著者
石野 友子 北川 知佳 田中 貴子 中ノ瀬 八重 與座 嘉康 田所 杏平 三川 浩太郎 千住 秀明
雑誌
長崎大学医学部保健学科紀要 = Bulletin of Nagasaki University School of Health Sciences (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-5, 2003-06

本研究の目的は,慢性呼吸器疾患患者に対するADL指導の有用性を検討することである.対象は慢性呼吸器疾患患者(12名)と高齢者(9名)で,洗濯物を干す動作を上肢挙上位と非挙上位にて行い,異なる作業方法が呼吸循環応答と自覚症へ与える影響を呼気ガス分析,Borg scaleを用いて検討した.結果,呼吸器疾患患者では分時換気量,体重あたりの酸素摂取量,Dyspnea index,上肢の疲労感において上肢挙上位が有意に高かった.一方高齢者では動作間の有意差は認められなかった.このことから呼吸器疾患の特異性が示唆され,ADL指導での工夫は有用であった.
著者
田中 丈夫 木下 牧子 野村 英樹 山本 昌弘 清水 貴子 神代 龍吉 船崎 俊一 向原 茂明 松村 真司
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.239-242, 2011-08-25 (Released:2013-03-25)
参考文献数
4
被引用文献数
1

1)調査した10カ国での生涯教育(CME・CPD)履修が義務化されていたのは7カ国で,2カ国では義務に近い推奨の制度であった.我が国と同様「自主性」で運用されている制度はスペインのみであった.2)2000年以降,CME,CPD制度変革がグローバルな潮流として窺えた.3)医療の社会的説明責任をはたすために,我が国のCME・CPD制度のあり方と継続について幅広い論議が必要である.
著者
田中 さや花 西口 雄基 前田 基成
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.343-352, 2017 (Released:2019-09-03)
参考文献数
27

本研究は,なぜ同じ絵画を鑑賞しても人によって作品の印象や視点が異なるのかを,認知的特性の1つである自閉症スペクトラム傾向に注目し,その個人差が絵画の鑑賞にどのような影響を与えるのか検討するものである。予備調査,本調査ともに1枚の絵画を鑑賞してもらい,質問紙に回答を求め絵画の印象や見方を調査した。その結果,自閉症スペクトラム傾向の強い・弱いで作品の印象や視点に個人差が生じることがわかった。例えば,調査で使用した絵画は怪しげな視線のやり取りが描かれていたが,自閉症スペクトラム傾向が弱い人ほど,この視線のやり取りによる不穏な空気に悪い印象を受けるが,自閉症スペクトラム傾向が強い人ほど悪い印象を受けることはないことが推察された。
著者
櫻木 志津 三谷 紀之 田中 芳紀 松井 久末子 松田 万幸 篠原 健次 平田 郁雄
出版者
山口大学医学会
雑誌
山口医学 (ISSN:05131731)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2+3, pp.57-61, 2005 (Released:2006-03-29)
参考文献数
13

68歳,女性.2ヵ月前より両大腿筋肉痛,筋力低下,両肩・両膝関節痛が出現し,立ち上がり,歩行が困難になった.同時期より眼瞼下垂,上下肢の易疲労性を認めた.抗核抗体は陽性,抗アセチルコリンレセプター抗体は著明に高値,抗Jo-1抗体は陰性であった.エドロフォニウムテストにより眼瞼下垂は改善したが,上下肢の筋力は改善しなかった.一方CKは上昇し大腿筋生検では筋線維の不揃いの変性,著明なリンパ球や好中球などの炎症細胞浸潤が認められ,筋電図は低電位であり反復刺激ではwaningがみられた.これらの所見から重症筋無力症と,多発筋炎の同時期の合併と考えられた.プレドニゾロンの投与により徐々に大腿の筋力は回復し歩行可能になったが四肢の易疲労性,眼瞼下垂は残り,後に塩化アンベノニウムを併用することで,これらの症状は改善した.
著者
田中 沙織
出版者
一般社団法人 日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.112-120, 2009-12-25 (Released:2017-08-04)

This study intended a quantitative and qualitative examination of the relationship between motor ability acquisition and physical activities in young children, and to clarify factors affecting this acquisition. The methodology included measuring young children's motor coordination, and classifying the data into high-scoring and low-scoring children. In addition, physical activity counts, physical activity intensity and vigorous physical play were also measured by fitting the children's waists with bi-axis accelerometer for seven days. As a result, during all days on which the children were measured, the group of high-scoring children showed significantly higher scores in their moderate or vigorous physical activity counts and their physical activity counts. The results suggest that there was a close relationship among motor abilities, physical activity counts and the intensity of physical activity.
著者
奴久妻 駿介 田中 真奈美 馬場 智子
出版者
多文化関係学会
雑誌
多文化関係学 (ISSN:13495178)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.3-18, 2016 (Released:2020-09-10)
参考文献数
24

本研究は、外国人児童・生徒および少数民族の教育を受ける権利を対象とし、多様な教育のアクセスの実態を日本とタイの事例を基にして明らかにした。国際比較の視点を導入することで、日本国内のマイノリティの就学の意味づけを問い直し、新たな研究と実践のアプローチに示唆を与えることを目的としている。日本の事例では、国内外国人学校4校を対象に、教員、児童・生徒を対象とした聞き取り調査を実施した。タイの少数民族の学校3校を対象にした現地調査は、教員・スタッフへのインタビューを実施した。結論として、中央政府が特定民族の草の根的教育場を公的に学校として認可したタイの事例は、日本のノンフォーマル教育としての地方学習室・日本語ボランティア教室の今後の展開や位置づけに重要な示唆を与えてくれるだろう。一方で、マクロ面(国および地方行政両面の社会システム、教育システム)での文化・言語保護や、ミクロ面(現場レベルの多様な教育方法)での人材確保、カリキュラム開発は両国の課題であることがわかった。
著者
守谷(田中) 友紀 岩波 宏 花田 俊男 本多 親子 和田 雅人
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.283-289, 2016 (Released:2016-09-30)
参考文献数
15
被引用文献数
2

リンゴの主要4品種において,摘果期間早期の落果量を増加させる摘花剤がもたらす摘果期間全体での省力効果および果実肥大促進効果を検証し,各品種における効率的な薬剤摘花・摘果の方法を検討した.頂芽果落果率や腋芽の結実花そう率の違いから,薬剤摘花・摘果の効果は品種により異なった.‘つがる’および‘ジョナゴールド’では,摘花剤単用は腋芽の結実花そう率が高いために腋芽果の摘果に時間を要し,省力につながらなかった.果実肥大を考慮すると,両品種においては摘花剤と摘果剤の併用が最も効果的であった.‘シナノスイート’では,薬剤摘花・摘果による摘果作業の省力効果はなかったが,果実肥大が促進されることから摘花剤散布が有効であった.‘ふじ’では,人工受粉によって果実重と種子数が増加するため,人工受粉をしたうえで摘花剤と摘果剤を併用することにより,摘果作業を大幅に省力しつつ果実肥大を期待できる.摘花剤単用は摘果剤単用より省力効果があった.
著者
田中 元浩
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.12, no.20, pp.47-73, 2005-10-20 (Released:2009-02-16)
参考文献数
61

本稿の目的は,畿内地域での古墳時代初頭土器群の成立と展開を把握し,そのうえで土器様式の構造や地域集団の抽出,地域集団間の関係の強弱を明らかにすることである。田中琢氏によって設定された庄内式土器は,当初考えられたような畿内地域通有の土器様式ではなく,その展開や分布に一定の偏在性が認められる。また資料の蓄積が一定程度に達した現在では,庄内式土器,布留式土器といった土器様式は単純な様相を示すものではなく,甕形土器・精製器種に複数の系統が存在することが指摘されつつある。以上の視点をもとに本稿では,畿内地域における古墳時代初頭前後に出現する庄内甕・布留甕・精製器種各群といった製作技術を共有する土器群の展開を,共通する時期の構成比率によって検討した。こうした分析の結果からは,新たに出現する庄内甕・精製器種B群といった土器群は中河内地域の中田遺跡群でその成立をみるとともに,その後の展開については中河内地域と,纒向遺跡を中心とする大和東南部,摂津・北山城・南山城地域に存在する拠点集落同士の交流をもとに,各地域へ展開していくことが明らかとなった。一方布留甕の成立については,各地域の庄内甕・精製器種B群の展開の中心となった集落において複数の分布の拠点が認められる。また細部の形状や技法等の検討からは,各集落での布留甕には型式的な差異が認められ,こうした違いは前段階の在地での庄内甕製作基盤の有無と山陰地域からの技術的影響の強弱が関係している。古墳時代初頭土器群の土器様式の構造については,庄内甕・布留甕・精製器種B群といった各土器群が胎土・展開時期・分布において各地域で複雑なあり方を示す。また,分布する庄内甕の特徴によって分布圏が形成され,さらに分布圏の内部で土器群の展開にみられる拠点集落とその周辺集落との間には,構成比率に中心―周辺関係が形成され多様な範囲や集落間関係が存在することが明らかとなった。
著者
篠山 隆司 田中 一寛 長嶋 宏明
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.11-19, 2022 (Released:2022-01-25)
参考文献数
34

膠芽腫はいまだ生存期間中央値が約2年と悪性脳腫瘍の中で最も予後不良の疾患である. 膠芽腫の治療は大きく分けて手術, 放射線療法, 化学療法の3つに分けられる. 手術に関しては造影部位の全摘出が推奨されるが, 機能予後を十分考慮して摘出する必要がある. また, 化学療法はテモゾロミドとベバシズマブがあるが, ベバシズマブの投与時期, 投与方法についてはまだまだ議論の余地がある. 一方, 放射線治療については高齢者では短期照射が推奨され, 現在日本国内では医師主導試験が行われている. その他, 術中光線力学療法, novo-TTF, ウイルス療法など, 新しい治療法が登場している.
著者
田中 裕成
出版者
佛教大学
巻号頁・発行日
2021

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