著者
真下 いずみ 田中 和宏 橋本 健志
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.372-379, 2020-06-15 (Released:2020-06-15)
参考文献数
20
被引用文献数
1

4年間自閉的生活を送っていた重症統合失調症患者に,生活行為向上マネジメント(MTDLP)を用い,患者の希望する生活行為である「働くこと」を支援した.作業療法士が,就労継続支援B型事業所内(以下,事業所)に出向いて認知機能,精神症状,身体機能を評価した.多職種連携プランを立案し,事業所職員と協働した結果,患者は通所に至った.また介入前後で機能の全体的評定,社会機能評価尺度,WHO/QOL 26の得点が向上した.以上から,重症度によらず患者が希望する生活行為を遂行することが,社会機能と主観的QOLの向上をもたらすと考えられた.作業療法士が地域に出向いて患者が希望する生活行為に介入することの有用性が示された.
著者
田中 佑弥 Yuya Tanaka
雑誌
臨床教育学研究 = Clinical Education (ISSN:13412434)
巻号頁・発行日
no.23, pp.13-22, 2017-03

近年、フリースクールの制度化を目指す動きが活発化し、2016 年には「教育機会確保法」が成立したが、フリースクールの制度化をめぐってはさまざまな意見がある。本稿では、フリースクールの制度化に先行してフリースクールに言及した政府の有識者会議の報告書や、制度化に反対する障害者運動の主張を検討し、論争において何が焦点化されているかを考察した。政府の有識者会議が主に人的資本の有効活用という観点からフリースクールの制度化を捉えているのに対し、「普通学級」へのインクルージョンを主張してきた障害者運動は「分離・別学体制」の強化と捉えている。そして、さまざまな批判があるなかで、NPO 法人フリースクール全国ネットワーク代表理事の奥地圭子は、不登校の子どもの権利を保障するという観点から、フリースクールの制度化を推進していることをインタビューにより明らかにした。
著者
廣瀬 哲夫 内田 一徳 田中 勉 ファン ティハンチャン 石渡 洋子
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.251, pp.515-527,a1, 2007

浸透破壊は, 地下水位の高い地点における土木構造物の性能設計において重要な課題の一つである. ここでは, 二次元複列矢板内地盤の浸透破壊実験について, PIV (Particle Image Velocimetry) 解析を行い, 水頭差の増加に伴う地盤構成砂粒子の移動現象に関する考察から次の結論を得た:(1) PIV解析を用いることによって, 砂粒子の移動の領域や様子を把握することができる.(2) 水頭差が変形開始時水頭差<I>H<SUB>y</SUB></I>を超えると, 複列矢板内の矢板壁近傍の砂粒子の上方向への移動, 及び, 矢板壁から少し離れた部分の複列矢板中央へ向かう斜め上方への移動が認められる.(3) 水頭差が変形開始時水頭差<I>H<SUB>y</SUB></I>を超えた直後の, 砂粒子の移動の範囲は, おおよそ, 深さ<I>D</I> (矢板の根入れ深さ) 及び幅<I>D</I>/2の範囲である.(4) PIV解析による地盤構成砂粒子の塊としての移動開始時水頭差<I>H<SUB>PIV</SUB></I>, 流量急増時水頭差<I>H<SUB>d</SUB></I>, 及び, 変形開始時水頭差Hyはほぼ等しい.

2 0 0 0 OA 旋風時代

著者
田中貢太郎 著
出版者
中央公論社
巻号頁・発行日
vol.第1巻, 1934
著者
天野 学 比知屋 寛之 安 智美 清原 義史 座間味 義人 瀬戸 衛 井上 徹雄 田中 一穂 倉田 なおみ 駒田 富佐夫
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.43-47, 2013-12-10 (Released:2015-06-26)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

In cancer chemotherapy, it is very important to take into account the patient’s background. In recent years, a simple suspension method has attracted increased attention as a method that prevents changes in the stability and safety of various drugs. However, of 135 oral anticancer drugs, only 28 have been examined using this method, as of April 2013. In this study, we carefully investigated whether 53 oral anticancer drugs could be adapted to the simple suspension method, except for the 28 drugs that had already been previously reported. The results showed that most of these oral anticancer drugs could be adapted to the simple suspension method. Of seven drugs that were not adapted, six were generic drugs. In addition, it was clear that the evaluation of bicalutamide tablets was significantly different from our expected results. In conclusion, we were able to qualitatively assess all 53 oral anticancer drugs. This is equivalent to half of 107 untested drugs. These results provide useful information to cancer patients using oral anticancer drugs prepared using the simple suspension method.
著者
三浦 於菟 松岡 尚則 河野 吉成 板倉 英俊 田中 耕一郎 植松 海雲 奈良 和彦 芹沢 敬子 中山 あすか 橋口 亮 福島 厚 小菅 孝明 斉藤 輝夫
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.1-14, 2012 (Released:2012-08-24)
参考文献数
53

盗汗病態理論の史的変遷を中国医書に基づいて検討した。隋代まで,盗汗と自汗の病態は同様であり,主に体表の気虚によって出現すると考えられていた。唐代には,盗汗と自汗の病態の相違性が指摘され,盗汗は熱によって出現するとされた。宋金代には,血虚や陰虚の熱が盗汗を出現させるとされた。金代には,寒邪などの外邪によっても盗汗は起こるとの実証盗汗理論が提唱された。元代と明代の初期には,盗汗は陰虚,自汗は陽虚という学説の完成をみた。明代中期には,盗汗は陽虚でも出現する事があり,病態によって盗汗と自汗を把握すべきだという新学説が登場した。清代には,外邪のみならず湿熱,食積,瘀血によっても盗汗は出現するという実証の盗汗,部位別盗汗病態などの新しい学説が登場した。また温病盗汗は傷寒とは異なり陰虚によるとの学説もみられた。盗汗学説は古きに知恵を求めながら発展したといえる。
著者
田中 千尋 大澤 直哉 吹春 俊光 都野 展子 都野 展子 吹春 俊光 BUCHANAN Peter JOHNSTON Peter TOFT Richard DICKIE Ian 門脇 浩明
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では,ニュージーランドにおいて同地固有種であるナンキョクブナ林において, 外来菌根菌ベニテングタケの侵入・発生状況を調査するとともに, 侵入の原因ならびに他森林生物に与える影響を明らかにしようとした.調査の結果, 同地には複数の系統のベニテングタケが移入し,雑種化が進んでいること, 人為的かく乱が著しいあるいは人工植栽地などを中心に分布拡大が進んでいること, 古くから発生が認められるサイトでは,同地固有のキノコバエ種がベニテングタケを利用するようになっていることが明らかになった.
著者
上田 渉 大川 清孝 青木 哲哉 佐野 弘治 田中 敏宏 小谷 晃平 松井 佐織 会澤 信弘 川崎 靖子 斐 英洙 井上 健 平井 学 川島 篤
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1983-1991, 2008-12-25

要旨 患者は34歳の男性.当初回腸末端の不整形潰瘍,結腸の類円形潰瘍,縦走潰瘍からCrohn病を疑われた.steroid使用にて一時症状は軽快するが狭窄を呈し手術が施行された.その後も約1年にわたり発熱,腹痛が持続.播種性血管内凝固症候群で緊急入院した際,異常な抗Epstein-Barr virus(EBV)抗体価と血中EBVの増加から慢性活動性EBV感染症(chronic active EBV infection ; CAEBV)と診断した.CAEBVは数か月以上伝染性単核球症様の症状が持続し,5年で約半数が致死的となる疾患である.本症例はCrohn病類似の腸病変を呈したこと,steroidで一時症状が軽減したことで診断に難渋した.Crohn病と診断された症例でも不明熱が持続する場合はCAEBVの消化管病変の可能性も考え,EBVの検索をすることが必要であると考えられた.
著者
太田 雅己 堀江 邦明 土井 誠 田中 実 草場 公邦
出版者
東海大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

代数曲線,特に楕円モジュラー曲線の塔に付随する"大きな"p-進エタール・コモホロジー群の研究を行った.素数pと正整数N(pXN)を固定し,モジュラー曲線の塔{X^1(Np^γ)}(γ=1、2、……)を考える.昨年迄の研究により、これに付随するパラボリック・コモホロジー群の通常部分が良いp-進ホッジ構造をもつ事がわかっていた.即ち,この群に自然なp-進ホッジfiltrationが入り,それをA-進カスプ形式の言葉で記述することができ,"特殊化社塑像による個々のレヴェル,重さをもつコモホロジ群のp-進ホッジ構造が取り出せる事を示した。この研究の自然な継続,発展として開曲線の族{X_11(Np^γ)-{cusps}(γ=1,2,……)のエタノール・コノホロジー群の通常部分のp-進ホッジ構造の研究を開始した.これは上記結果をアイゼンシュタイン級数のp-進族を含む形に拡張する事を目標にしており、応用としてはアーベル対上のアーベル体上のアーベル拡大の具体的構成が見込まれている。未だ理論の全体が構築された訳ではないが,今年度の研究により次の諸点が明らかになった:・上記コホモロジー群が∧-加群としてうまくcontrolできる事;・モジュラー形式に関する,異なった重さに対応する"大きな"p-進ヘッケ環の通常部分が重さによらない事:・モジュラー形式の射影系と∧-進モジュラー形式の間に,カスプ形式の場合と同様の対応がある事;・一般ヤコビ多様体を用いて,上記コホモロジー群を記述するp-divisible群が構成できる事;等である.この研究は来年以降も継続して行う.尚,A. WKilesによりフェルマ-の最終定理が証明されたが,それについての解説的仕事も行った.
著者
亀井 直哉 田中 敏克 三木 康暢 祖父江 俊樹 小川 禎治 佐藤 有美 富永 健太 藤田 秀樹 城戸 佐知子 大嶋 義博
雑誌
第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2015-04-21

【背景】純型肺動脈閉鎖(PA/IVS)において、2心室修復を目指して肺動脈弁に介入する方法として、カテーテル治療と外科治療がある。【目的】PA/IVSに対する初回介入として、経皮的肺動脈弁形成術(PTPV)とopen valvotomyでの治療経過の相違を検討する。【対象・方法】2006年から2014年にPA/IVSでの初回介入としてPTPVをtryした10例中、不成功に終わった4例(1例は右室穿孔でショック)を除く6例(P群)と、open valvotomy6例(S群)の経過を後方視的に検討した。【結果】両群間で介入時体重、右室拡張末期容積(%N)、三尖弁輪径(%N)、肺動脈弁輪径(%N)、術後追跡期間に有意差はなかった。P群の使用バルーン径/肺動脈弁輪径比は100-125%であった。S群の1例で、三尖弁形成と体肺動脈短絡術が同時に行われていた。術後ICU滞在日数、挿管日数、PGE1投与日数に有意差はなかったが、入院日数はP群で有意に短かった(P=0.032)。肺動脈弁に対する再介入は、P群で2例にPTPVを3回、S群で3例にPTPVを4回、1例にMVOPを用いた右室流出路形成と三尖弁形成が行われていた。肺動脈弁への再介入の発生率と回数には有意差はなかった。術後中等度以上の肺動脈弁逆流は両群とも認めなかった。根治術到達ないし右左短絡の消失例は、P群で4例、S群で3例であり、残りの症例でも右室の発育がみられた。【結論】PA/IVSに対する初回介入として、PTPVとopen valvotomyでは、その後の肺動脈弁への再介入や弁逆流の程度に差はなかった。RF wireの導入により今後PTPV try例が増加すると予想されるが、右室穿孔などによる急変リスクは依然としてあり、これに速やかに対応できる体制の整備は重要である。
著者
田中 祥子
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.58-65, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
36

企業の新製品開発において,ユーザー(消費者)のアイデアを反映したり,その意見を基に製品改良をしたりする「共創」の重要性が増している。ユーザーの意見を反映することは,市場のニーズに的確に応えられ,市場での優位性を得られるためだ。その共創で成果を出すには,ユーザーの参加や貢献の獲得が必須となる。本稿では,企業が関わる共創コミュニティへのユーザー参加動機について,既存研究を自己決定理論に基づき分類する。レビューの結果,既存研究を時間概念なし,初期参加動機,継続参加動機の3つに整理した上で,ユーザーの参加段階を考慮した動機は未探索の部分が多い点を指摘する。時間概念を含んだ動機を明らかにすることはユーザーの参加を促す施策立案のヒントととなり,共創を計画する企業や団体への貢献となるだろう。