著者
石丸 進 石村 真一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.1-10, 2004-09-30 (Released:2017-07-19)
参考文献数
25

本研究は,わが国の室内・家具と中国家具文化とのかかわりを,坐臥具を中心に比較・検証した。その結果,次のことが明らかとなった。(1)中国坐臥具の床(牀ともかく)は寝台であり,日本の「床の間」「床几」「床子」などの語源や形態に影響した。(2)「榻」は,日本の縁台や店棚形式の坐具と類似する。(3)中国北方の寝床「?」での起居様式は日本と同じ床坐であった。?で使用する「?卓」は、日本の「座卓」の原型であった。(4)?の起源は,古代中国の俎を原型とし,小?子は,日本の踏台や風呂腰掛けと同一構造・形態であった。(5)条?は,日本の床几と構造・形態で一致し,使用法も類似していた。
著者
李 明 石丸 紀興
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.73, no.628, pp.1395-1402, 2008-06-30 (Released:2009-09-30)

Considering the appearance and the change process of the postwar black market in front of Hiroshima station, we are going to give new information about a station square adjustment, redevelopment and revitalization project. Right after World War II, black markets were appeared in many urban cities in Japan, as well as Hiroshima, especially in front of the Hiroshima station there was a bustling big scale black market. Even though Hiroshima was atomic bombed, people were doing business in the black market and it effected very much to revitalization of Hiroshima. Although this hasn't mentioned so much until now, it is indispensable to talk about the restoration process of Hiroshima. Considering the station square black market in Hiroshima is not only important to thinking about the restoration process of war damage in atomic bombed city Hiroshima but also it can give you the important information to having a grasp of the history of Japanese war damage restoration more in general.
著者
石丸 径一郎
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.283-290, 2002-02-25
被引用文献数
1

Studies on identity and adjustment of minority group members exist independently in each minority group. The author tries to integrate studies on various minority groups in the viewpoint of identity development. An integrated model of minority group identity development is proposed on the basis of studies from three fields (ethnic minority, sexual minority, visual impairment). From this integrated viewpoint, many minority group members can benefit from preceding studies of other fields.
著者
石丸 径一郎
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.589-594, 2004
参考文献数
9

レズヒアン,ケイ,バイセクシュアルである人々は決して少ないとはいえないが,専門家の知識は十分ではない.彼(女)らの日常的な体験の一端を紹介するために,新聞記事やダイアリー法の調査について報告した.また,同性愛が精神医学や心理学の中でどのように扱われてきたかを概説した.さらに,レズビアン,ゲイ,バイセクシュアルである人々と接する際に専門家として知っておくべき内容をまとめたアメリカ心理学会のガイドラインを紹介し,性指向の変更ということに関する筆者の考えをまとめた.
著者
管原 亮平 清水 伸泰 石丸 幹二 徳田 誠 田中 良明
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

トノサマバッタおよびサバクトビバッタ等のトビバッタフン抽出液中には、バッタの産卵を抑制する活性とバッタの卵を殺す活性が存在する。本研究では、その原因となる成分の化学構造を特定し、作用機構についても解明を試みる。まず、食草の種類が本活性に与える影響を検証することにより、植物における当該成分もしくはその前駆体の含有量について知見を得る。次に、殺卵活性は他の昆虫に対しても有効であるか否かを検証する。さらに、産卵忌避反応が野外でも起こるか検証する。最後に、フン抽出液から該当成分を分画し、化学構造の同定を行う。本研究は、新規農薬シーズとして合成農薬研究、および、害虫防除研究に資することが期待される。
著者
江崎 治夫 安田 克樹 武市 宜雄 平岡 敬生 伊藤 利夫 藤倉 敏夫 矢川 寛一 林 雄三 西田 俊博 石丸 寅之助
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.1127-1137, 1983-09-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
9
被引用文献数
2 5

広島での原爆被爆者からの甲状腺癌の発生を知るため研究を行った.対象は統計処理を容易ならしめるよう,性別,被爆時年齢別,被爆線量別にあらかじめ定められた固定集団である放射線影響研究所の寿命調査拡大対象を用い, 1958年から1979年までの22年間に診断,或いは剖検により発見された甲状腺癌を調べ,被曝放射線量との関係を明らかにした. 75,493人の中から125人の臨床的甲状腺癌が発生した.男15人,女110人で,人口10万人対粗年間発生率は男2.7, 女12.4で男女共,線量の増加と共にリスクが増加する.若年女性に特に,この傾向が著るしい.期待数に対する観察数の比(O/E)をみると,男女別でも,男女合計でも,線量の増加と共に甲状腺癌が増加する.線型反応についての検定を行うと,女性及び男女合計では線量効果がみとめられた.又年齢が若い程線量効果が明らかである. 50rad以上被爆した群の対照群に対する相対性リスクは4.2で,男女差はないが男性は数が少い為,女性にのみ有意である.年齢別では20歳末満のリスクが7.9と高く,統計的に有意である.統計的に有意な回帰係数が求められた20歳末満の女性の年間1 rad当りのリスクの増加は100万人対約3.4である. 同期間に剖検された4,425人中155人に潜伏癌がみられた. 50rad以上の群の相対的リスクは1.9で有意に高く, O/E比は男1.6, 女1.8でほぼ等しいが,女子にのみ有意であった.
著者
石丸 煕
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 文学部 (ISSN:05636760)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.23-43, 1997

Le Kamakoura-shogounat, qui a ete fonde par MINAMOTO YORITOMO, a la fin du 12^e siecle, changeait son systeme de la politique. La 1^<ere> epoque : la dictature du Shogoun (YORITOMO), la 2^e epoque : la politique du Shikken (le directeur du gouvernement, de HOJO TOKIMASA a HOJO TSUNETOKI), et la 3^e epoque : l'autocratie par Tokouso (la famille de la ligne de HOJO, de TOKIYORI a TAKATOKI). Les chercheurs de ces dernieres annees disent que le systeme de la conference du Kamakoura-shogounat a commence apres la mort de YORITOMO (1199), c'est a dire, pendant l'epoque de l'autocratie du Shikken. Mais dans la periode de YORITOMO, on deja faisait de temps en temps la conference pour aider la decision du Shogoun, dont ily a les preuves dans "AZOUMAKAGAMI", la chronique officielle du Kamakoura-shogounat, comme les mots Goungui, Sata et Hyojo.
著者
森 晃爾 石丸 知宏 小林 祐一 森 貴大 永田 智久
出版者
公益財団法人 産業医学振興財団
雑誌
産業医学レビュー (ISSN:13436805)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.179-198, 2022 (Released:2022-01-13)

感染症、特にヒト-ヒト感染を伴う感染症では、ワクチンによる集団免疫の獲得が、感染症制御のために極めて有効な手段である。しかし、ワクチンに強い反感を持っている一部のグループだけでなく、ワクチンに対する不安やその他の要因でワクチン接種を躊躇する層の動向によって、十分なワクチン接種率が得られないといった、Vaccine Hesitancy(ワクチン躊躇)の問題が存在する。本稿では、ワクチン接種行動に影響を及ぼす要因のうち、社会人口学的要因や心理社会的要因について紹介するとともに、ワクチン接種意思に与える職場要因および職域でのワクチン接種プログラムに関する知見についても検討する。
著者
石丸 径一郎
出版者
The Japanese Psychological Association
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.191-198, 2004
被引用文献数
2 2

Self-esteem of sexual orientation minority members is not necessarily low, contrary to what might be theoretically expected. An explanation has been offered that self-protective strategies were in use. Instead, it is argued in this paper that sense of social inclusion plays an important role, and two questionnaire studies examined the possibility. In Study 1, 214 members of sexual orientation minority completed a set of questionnaires. Results showed that sense of acceptance by others had a positive relationship with self-esteem, but use of self-protective strategies did not. In Study 2, 218 who were not minority members completed the same set of questionnaires. It was shown in the comparison that the relationship between self-esteem and sense of social inclusion was stronger for minority members than non-members. Sense of social inclusion thus appeared to help members of sexual orientation minority keep self-esteem high.
著者
安藤 悦子 山崎 千賀 石丸 愛子 島本 あゆみ 福田 奈実
雑誌
保健学研究 = Health science research (ISSN:18814441)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.79-83, 2009-03

本研究の目的は,死亡退院後の遺体トラブルと遺体トラブルに遭遇した家族の反応および死後のケアに対する葬祭業者の意見・要望を明らかにし,看護師が行う死後のケアへの示唆を得ることである.対象は葬祭業社に勤務し,葬儀に携わる社員80名に質問紙を配布し,29名から有効回答を得た(回収率36.3%).対象者が体験した遺体トラブルで最も多かったのは「出血」で,順に「開口」,「悪臭」,「体液流出」などがあった.葬祭業者の意見・要望の背景には,病院と葬祭業者間のコミュニケーション不足が考えられた.以上より,看護師は死体現象の理解を深め,葬儀が終了するまでの変化を考慮した死後のケアを実施する必要がある.また,コミュニケーション不足を是正するために,病院側からは死亡退院時に,感染症の既往や遺体トラブルのリスクに関する情報を提供し,トラブル発生時には葬祭業者から病院へ情報を提供するといった連携のシステムの構築の必要性が示唆された.
著者
鈴木 広道 石丸 直人 木下 賢輔 中澤 一弘 大西 尚 木南 佐織 多留 賀功 石川 博一
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.265-272, 2014 (Released:2014-10-05)
参考文献数
30

白衣・聴診器は多剤耐性菌による汚染源となるが,白衣の交換頻度,聴診器の消毒の有無に関して我が国では実態調査は行われていない.今回,国内の4病院において入院診療に携わる常勤医を対象に2013年7~8月の期間において,アンケート調査を実施した.対象医師314名中312名より協力が得られ,有効回答が得られた308名(98%)において解析を行った.白衣の交換頻度は約半数(48%)で週1回程度であり,毎日白衣を交換している医師は23名(7.5%)であった.聴診器膜面のふき取りは162名(53%)で実施されていたが,患者1人毎の診察でふき取りを行っている医師はその内37名(23%)であった.背景因子との比較において,医師経験年数(10年以上)が白衣の交換頻度の低下と独立して関連を認めていた(p=0.04).男性医師において聴診器膜面の消毒が行われる頻度が低い事が示唆された(p=0.01).いずれも施設間の差は独立因子としては認めなかった.多剤耐性菌の抑制には,毎日の白衣交換,患者毎の聴診器膜面消毒が重要であるが,本研究において適切な白衣交換,聴診器膜面消毒が行われている割合は少数であることが示された.今回のデータを基に対象施設における改善を図ると共に,大規模な実態調査を行い,白衣交換・聴診器膜面の消毒が適切に行われていない要因をより明らかにする必要がある.
著者
石丸 径一郎 針間 克己
出版者
日本性科学会
雑誌
日本性科学会雑誌 = Japan Journal of Sexology (ISSN:13496654)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.25-33, 2009-07-31
参考文献数
12
著者
石丸 昌彦 Masahiko Ishimaru
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of the Open University of Japan (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-23, 2010-03-23

統合失調症は1%近い発症危険率をもち、世界的に広く認められる代表的な精神疾患である。思春期・青年期に好発し、多彩な精神症状を呈しつつ再燃を繰り返しながら慢性的に経過するもので、クレペリン以来、進行性かつ予後不良の疾患とされてきた。かつて統合失調症には有効な治療法が存在しなかったが、1952年に最初の抗精神病薬であるクロルプロマジンが開発されて以来、薬物療法が長足の進歩を遂げた。その結果、予後は劇的に改善され、既に重症疾患ではなくなったとの認識があるが、わが国では精神科入院者数の60%以上を依然として統合失調症の患者が占めており、その中には少なからぬ社会的入院者が含まれている。 統合失調症の発症機序に関しては、抗精神病薬の作用機序や覚醒剤精神病の知見などにもとづいて、ドーパミン神経伝達の過活動を想定するドーパミン仮説が有力視されてきたが、陰性症状や慢性化した陽性症状には抗精神病薬の効果が乏しいことなどから、同仮説の限界も指摘されている。ドーパミン仮説を補完しより包括的な疾患理解と治療方略を指向するものとして、統合失調症脳内におけるグルタミン酸神経伝達の低活動を想定するグルタミン酸仮説が挙げられる。本稿ではグルタミン酸仮説の根拠を紹介するとともに、統合失調症死後脳におけるグルタミン酸受容体研究の成果を紹介するとともに、その課題と将来性について論じた。また、死後脳研究におけるグルタミン酸受容体増加所見の分布を踏まえ、前頭連合野と頭頂連合野の変調が統合失調症の症状形成に関与することを推定し、「統合失調症の連合野仮説」の可能性について検討した。解決すべき課題は多く残されているものの、今後の研究の方向を決定するうえで「連合野仮説」は有益な示唆を含むものと考えられる。