著者
石丸 由美
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.209-227, 2002

論文I 問題の所在 1 はじめに 2 オスマン主義の限界 3 オスマンルルック(オスマン国民像)とシェムセッディン・サーミーII ルメリ情勢とサーミー : 東方連邦体制(beyet-i muctemie-i sarkiye)構想III アルバニア人とオスマン帝国 1 アルバニア人の位置付け 2 『テルジュマーヌ・ハキカット』紙(以下THと表記)からの反論 3 サーミーの「オスマン国民」像再考IV 結びにかえて
著者
賞雅 寛而 石丸 隆 元田 慎一 波津久 達也 古谷 正裕
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本基盤研究では、船舶及び海洋構造物を対象とした防食、特にSUS304ステンレス材料のすきま腐食の防止に必要な放射線誘起表面活性(RISA)のメカニズムの解明、すきま腐食に対する適切な皮膜の基礎開発及び、人工海水中のRISAの効果の確認を行い、以下の結果を得た。1)試験片に小型密封放射線源^<60>Coを密着させ、その裏面から照射されるγ線を利用した実験により、ステンレス鋼の不動態皮膜をより強固にすることで局部腐食の発生を抑制し、RISA防食法が放射線照射施設外においても応用できることがわかった。2)放射化試験片自らが発するγ線を利用した実験により、中・強放射化試験片では安定した不動態皮膜を保ち、厳しい腐食環境下でも耐食性が維持できることがわかった。3)腐食電位の卑化は密封放射線源の有無に対応しており、微弱放射線環境においてもRISA効果によりすきま腐食の抑制効果が得られる。4)SUS304鋼の腐食電位をカソード防食電位まで卑化させずとも、不動態皮膜を保持し、すきま腐食を防止することを確認した。5)放射化試験片自らが発する放射線を利用した実験により、66μGy/h以上の照射積算線量で安定した不動態皮膜を保ち、厳しい腐食環境下でも耐食性が維持できることを確認した。6)試験片の照射積算線量を変化させた場合、その積算線量の増加により防食効果が増大することを確認した。これまで防食亜鉛や防食塗料などの鉄鋼構造物腐食防止法の多くはいずれも海外先進国によって開発されており、船舶・海洋構造物の腐食制御技術は国外技術に依存しているが、この新しい船舶・海洋構造物の腐食制御方法は、エネルギー環境技術として、我が国の技術水準を向上させ世界に貢献する重要な手段になると期待される。
著者
森田 茂樹 瀬戸 牧子 原 恵子 井手 芳彦 石丸 忠彦 和泉 元衛 辻畑 光宏 長瀧 重信
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.458-461, 1983-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20
被引用文献数
4 4

民間療法として大量の飲水と水浣腸を行ない,急性水中毒症の発症をみた健康成人例を経験した.症例は25才,男性.昭和54年より健康増進を信じて大量飲水と水浣腸を始あた.昭和55年5月27日大量発汗後約30分で2lの飲水と81の水浣腸を行ない,四肢のこわばり感等出現したのち呼名反応なくなつたため当科入院となつた.入院時血清Na l24mEq/lと低Na血症を呈していた.また入院前24時間以上水分摂取がなかつたにもかかわらず, Na濃度6mEq/lと低浸透圧尿の多量排泄(1日量5300m1)がみられた.この利尿に伴つて血清Na濃度は改善し意識が回復した.以上より急性水中毒症と診断した.急性水中毒症は何らかの基礎疾患を有する例にみられやすく,その成因は細胞外液の急激な低浸透圧化のために水分が細胞内に移動し,脳浮腫をきたすためとされている.本例では発症後水分制限がなされたこと,高張ブドウ糖・Na製剤輸液を使用したことに加えて,急激な利尿により細胞外液の浸透圧改善が得られ救命し得たと思われる.なお第3病日に行なつた腰椎穿刺では, Na濃度97mEq/l, Cl濃度82mEq/l,総蛋白量12mg/dlと低浸透圧であつた.血清Na濃度の改善よりも脳細胞内および脳脊髄液の浸透圧改善は遅れると考えられる.入院時検査成績で総ビリルビン4.0mg/dl, CPK 1815mU/ml, LDH 507mU/ml, GOT 67mU/ml等の異常値を示していたが,水中毒症との関係については現在の所明らかではない.
著者
林 俊郎 石丸 梓
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会全国大会研究発表論文集 日本社会情報学会 第22回全国大会
巻号頁・発行日
pp.252-257, 2007 (Released:2010-01-22)

The news about the attempted poisoning of Ukrainian presidential candidate with dioxin was given wide coverage in the world media. The author attempted to calculate the amount of dioxin with which the candidate was poisoned,taking into consideration his toxic intake from the viewpoint of the Yusho investigation previously reported in Japan. The candidate's toxic intake was calculated at 1.75-2.20 mg-TEQ. Thi value fairly agrees with the maximum incubative amount that exhibits toxic symptoms,mainly chlor-acne.
著者
田中 寛之 永田 優馬 石丸 大貴 日垣 一男 西川 隆
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.405-415, 2019-08-15 (Released:2019-08-15)
参考文献数
17

本研究の目的は,筆者らが開発したライフヒストリーカルテ(以下,LC)の導入による病院・施設職員(以下,スタッフ)の患者・利用者に関する理解度への影響を明らかにすることと,LCの利点と活用法を具体的に示すことである.患者・利用者に関する医療・介護者の理解尺度をLC導入前と導入1年後に実施し,さらに,スタッフにLCの利点と有用な活用法を自由記述してもらった.LCの導入による医療・介護者の患者理解度の改善はみられなかったが,「食思不振改善のヒントになった」などの自由記述から,多くの利点が明らかになった.
著者
田邉 剛 山口 奈津 奥田 昌之 石丸 泰隆 髙橋 秀和
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.115-119, 2015 (Released:2015-05-21)
参考文献数
17
被引用文献数
1 5

Environmental pollutants (such as diesel exhaust particles and silica) cause disorders ranging from bronchial asthma to malignant tumors. In recent years, it has been reported that some of the signaling pathways in which environmental contaminants act in vivo are associated with innate immunity. Innate immunity recognizes ligands and induces inflammation. Those ligands are pathogen-associated molecular patterns (PAMPs: e.g., lipopolysaccharide) and danger-associated molecular patterns (DAMPs: e.g., cholesterol crystallization or uric acid crystal). Activation of innate immunity stimulates the acquired immunity system. Therefore, innate immunity regulates the strength of the general immune system. Furthermore, crystal silica, which is an environmental pollutant, activates innate immunity as a ligand. Innate immunity involves the membrane-bound Toll-like receptors (TLR) and cytoplasm-localized nucleotide-binding oligomerization domain (NOD)-like receptors (NLR). We reported the innate immunity-system-related diseases such as Crohn’s disease, Blau syndrome, myelogenous leukemia, and sarcoidosis. An inflammasome complex containing NLR has attracted attention owing to its correlation with the onset of several diseases. It is reported that the inflammasome activation is related to the development of lifestyle-related diseases such as myocardial infarction and fatty liver. It is also reported that the mechanism by which crystal silica and asbestos cause inflammation involves the inflammasome activation. Analyzing the genes of innate immunity contributes to the clarification of the mechanism of disease onset caused by environmental pollutants.
著者
李 明 石丸 紀興 村上 茂輝 中本 清壱
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.23, no.55, pp.1037-1042, 2017 (Released:2017-10-20)

Ujina Arc de Museum, was built in Hiroshima Ujina Port as facilities for the farewell welcome Ian soldiers since during the day the war.Construction when the construction committee at the center of the TOMITA Aijiro Governor of Hiroshima Prefecture at the time has been formed, and called for donations across the country.February 1938 to groundbreaking, completion ceremony is celebration in April 1939, and than is being donated to the Army.
著者
石丸 直人
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.151-154, 2020-12-20 (Released:2020-12-29)
参考文献数
5

市中病院には,臨床疑問が溢れており,臨床研究にふさわしいフィールドである.一方で,忙しい臨床現場で臨床研究を行い続けていくことには困難も伴う.臨床業務と並行して臨床研究を行うアカデミックジェネラリストにとって,マニュアル通りに成功した話ばかり聞かされても,味気なさを感じるかもしれない.日常疑問,臨床疑問を研究疑問に繋げて,臨床研究を実施するには,メンターやサポートして下さる方々との出会いが大きな意味をもつ.仲間を作り,自分の限界を知り,数を打ち,失敗経験から学び,臨床研究を教えることで,市中病院での臨床研究が更に実施しやすくなるものと考える.
著者
石丸 紀興 明 李
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.64, no.525, pp.327-334, 1999
被引用文献数
4 4

In this paper, a study on Mr. Kiyoshi Masuda, an architect, who had not ever been noticed, was made within the range of possibility, an investigation on his major architecture activities was done along with getting his career clear. Secondly, the relation of Mr. Kiyoshi Masuda with the design of the government office building of Hiroshima city was made clear, after clarifying his architecture activities in Hiroshima, especially analyzing the design process of the government office building of Hiroshima city. And then, the reason why Mr. Kiyoshi Masuda was specified to design the buildings built in Hiroshima, and those building are respective characteristics and common characteristics were made clear. That is to say, by considering the architecture activities of one architect, some activity in formations of the architects from the late Taisho period to the early Showa period in Japan, especially in Hiroshima, were introduced in this paper.
著者
李 明 石丸 紀興
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.71, no.608, pp.197-204, 2006-10-30 (Released:2017-02-17)
被引用文献数
3

This paper aims to explore the state of activities of architects in modern Hiroshima. Based on the sufficient understanding to modern architectures, their designers and designing organizations of pre-war Hiroshima, this study tends to clarify the features of the activities of those architects who were in Hiroshima during Taisho period and the earlier stage of Showa period. The results of this study are: Before being bombarded, the mainstream of architects' activities in Hiroshima was of those non-local architects, particularly,(1) activities of architects by utilizing Trust System in earlier stage of Showa;(2) building institutions of Guan Gong Sheng Ting and the activities of architects;(3) moreover, a series of bank buildings, with the involvement of famous architects, such as Kingo Tatsuno and Uheiji Nagano, and by their respective single piece of work, contribute a lot in the history of architecture of modern Hiroshima. In addition, up to now, little has been known about the activities of folk architects or non-government building institutions. And the pieces of work from local building institutions are few as well.
著者
石丸 紀興
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.312, pp.115-122, 1982-02-28
被引用文献数
1

当時計画担当者たちも市民も確かな展望を持ち得たわけではなかった。従って時に悲観的となったが, それでいて悲愴感はなく, むしろ期待のようなものを持って, 都市の基本的な面での計画思想を展開した。未曽有の大戦災を受け, あまつさえ軍都としての将来が絶望に見えたとき, そこから必然的に芽生えたのは小都市思想であった。そして, とにかく生産に従事しながら復興を図ろうという工業都市思想であった。都市の性格としては, 明快に一つの結論が導びかれたわけではないが, 総花的で核のない総合都市とか文化都市, 観光都市とかいうよりも, 工業都市が最も現実的と評価されたようである。それは実際に政策を進める実務担当者の考え方が, いわば工業都市思想によって支えられていたからである。とはいえ, 何度も繰り返すように, それは確信ではなく, 願望から出発しているところに, 戦災復興時の特徴がある。小都市思想は2つの異なる根拠から形成されていた。もはや望んでも大都市になり得ないだろうという悲観論と, 本来都市のあり方としての理想論である。被爆後の状況は, それらの2つの根拠がともに強く共存し得たという特徴があった。また, 都市移転思想が原爆の惨禍に対する恐怖や記念性を訴えた点で極めて特異であった。このような計画思想は存在を確認するだけでもそれなりの意味を提起するであろう。戦災復興計画の物的計画に関して, あるいは復興計画全体に関しては, 稿を改めて展開することとする。なお研究に当っては, 財団法人「トヨタ財団」による研究助成金(昭年54年度, 55年度)が交付されたことを記し, 感謝の意を表します。
著者
石丸藤太 訳
出版者
博文館
巻号頁・発行日
1926
著者
次橋 幸男 泉 知里 石丸 裕康
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.731-736, 2014-12-31 (Released:2015-01-24)
参考文献数
8

目的:救急救命士に対する肘正中皮静脈路確保に注目した病院実習が末梢静脈路確保のスキル向上に与える影響を検証する。方法:救急救命士72名を対象として,1)手術室における静脈路確保,2)肘正中皮静脈の確認,3)シミュレータを用いた肘正中皮静脈穿刺の機会を病院実習において提供した。アウトカムは,活動現場におけるCPA症例への静脈穿刺の選択部位とその成功割合とした。結果:外傷を除くCPA症例に対して計170回(実習前62回,後108回)の静脈路確保が試みられた。穿刺部位は,手背静脈(実習前47%,後46%)が最多であった。成功割合は,肘正中皮静脈(実習前29%,後66%)が手背静脈(実習前21%,後22%)を上回った。多変量解析において,病院実習の履修,肘正中皮静脈路の選択,現場での静脈路確保が静脈路確保の成功と関連していた。結論:肘正中皮静脈確保に注目した病院実習の履修は,救急救命士による静脈路確保の成功に寄与していた。
著者
松川 洋二 石丸 良平 梅崎 洋二 黒河 周平 土肥 俊郎 河西 敏雄 越山 勇
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2008年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.379-380, 2008 (Released:2009-03-01)

回転や動力を伝える方法の中で歯車は最も確実な方法であり、超精密機械から汎用機械部品など、多くの産業分野を支える必須の機械要素部品である。歯車はBC300年頃に考え出され、歯形曲線は17世紀に数学的曲線が論及され、実際にその歯形が用いられたのは19世紀のことである。本報告では、初期の歯車と現在の基準曲線を導入した歯車の起源について調査し、歯車の発展経緯はその時代背景がどのように影響しているかについて考察する。
著者
石丸 あゆみ
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部考古学研究室
雑誌
東京大学考古学研究室研究紀要 (ISSN:18803784)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.65-96, 2011-03-20

本稿では、最近増加した資料を含め弥生系土器が出土した遺跡のうち、弥生系土器の資料数が多く様相がそれぞれ異なる4遺跡と、朝鮮半島と日本列島を結ぶ交渉ルート上に位置し、拠点的な役割を果たしていたと考えられる原ノ辻遺跡の出土土器を比較検討することで、当時の日韓交渉の復元を試みた。弥生系土器の様相からI期:城ノ越式から須玖I式古段階、II期:須玖I式新段階から須玖II式の2段階に区分し分析を行った。その結果、I期は、弥生時代前期後半に交易の中継地として開始された原ノ辻遺跡と、朝鮮半島南部の金海地域を中心とした各地域との短期間の居住を伴う小規模な交渉が行われた時期、また勒島の集落もこの時期に朝鮮半島側の交易拠点として開始されたが、この時点では複数存在する拠点の一つであるということが明らかとなった。II期は、前漢の武帝による楽浪郡を含む4郡の設置以後に活発化した交易に、北部九州沿岸域を中心とした西日本の各地域の集団が積極的に関与するようになったため、原ノ辻が交易の拠点として発展を見せ、環濠集落が成立する時期である。勒島においてもこの時期が最も多くの弥生土器がもたらされる時期であり、原ノ辻の弥生土器と強い関連を読み取ることができるため、原ノ辻と勒島の間に集約された交易ルートが確立されたと考えられる。