著者
稲葉 光治
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
澱粉科学 (ISSN:00215406)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.107-111, 1984-06-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
7

As studied on the metabolism of arachidonic acid cascade, the physiological significance of prostaglandins (PGs) and other metabolites has been dissolved. In the present paper, the basic studies on the dosage form containing PGs and thei stabilization are summarized. There are two difficult problems when we design the PG formulation, namely the stabilization for unstable PGs and content uniformity for the formulation containing small quantity of PGs. These problems are dissolved by using of cyclodextrin (CD) to make complex with PGs. And these PG-CD complexes show improvement of solubility, chemical stability and bioavailability. At present, CD polymer, methylated CD, substance consisting of 10-20 glucose units and other CD analogues have been studied. In the near future, CD analogues having both properties stabilization and long lasting release will be developed.
著者
平田 佳代子 佃 守 古川 滋 河野 英浩 河合 敏 榎本 浩幸 小勝 敏幸 三上 康和 陰里 ゆうみ 稲葉 鋭
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.48-56, 1997-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
22

慢性副鼻腔炎患者44例に対してレボフロキサシン少量長期投与 (100mg/日, 8週間) を行い, 臨床効果を検討した. 投与8週目の著明改善と改善を合わせた改善率は, 自覚症状では鼻漏29%, 後鼻漏41%, 鼻閉42%, 頭重・頭痛52%, 嗅覚障害53%, 他覚所見では鼻粘膜の発赤30%, 鼻粘膜の浮腫42%, 鼻汁の量55%, 鼻汁の性状61%, 後鼻漏70%であった. 自覚症状, 他覚所見, 臨床症状の総合評価でのt検定では有意な改善を見 (P<0,001), 副鼻腔X線所見でも明らかな改善を認め(P<0.001), 副作用は全くみられず, この治療法の有用性が示された. 臨床症状の改善率は投与4週目より8週目が高かつた. また鼻汁の細菌検査では細菌学的効果と臨床症状が相関せず, レボフロキサシン少量長期投与の効果には抗菌作用以外の作用機序の関与が示唆された.
著者
深沢 剛司 岡村 茂樹 山本 智彦 川崎 信史 稲葉 学 杣木 孝裕 鮫島 祐介 正木 信男
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.852, pp.17-00050-17-00050, 2017 (Released:2017-08-25)
参考文献数
17
被引用文献数
2

This paper describes design formulas and creep characteristics for thick rubber bearing applied to the Sodium-cooled Fast Reactor, which are based on the static loading test and creep test using scale models. The thick rubber bearing, which has a rubber layer roughly two times thicker in comparison with conventional rubber bearings, has been developed by the authors to ensure seismic safety margins for components by reducing the seismic response for the reactor building in the horizontal direction and vertical direction. The static loading tests using a scale model with parameter of first shape factor were conducted to investigate the applicability of proposed design formulas. Moreover, an estimation of creep characteristics due to aging is important issue because the rubber layer of thick rubber bearing which satisfies the design requirement for SFR is larger than conventional rubber layer. The creep test was preformed to estimate the creep characteristics using a scale model. From the above results, the thick rubber bearing is sufficiently rational for use as isolation system for SFR.
著者
永冨 聡 石田 祐 小藪 明生 稲葉 陽二
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.11-20, 2011 (Released:2011-12-20)
参考文献数
34
被引用文献数
2

これまでに個人の社会経済的属性と社会活動参加の関係,もしくは地域集団そのものの研究がなされてきたが,他者との対面でのつながりと社会活動参加の関係については必ずしも十分に明らかにされてこなかった.そこで本稿では,個人の生活空間における他者との対面でのつきあいが,地縁的な活動への参加に与える影響について定量的な分析から検討を行うこととした.全国を対象としたアンケート調査データを用い,ロジット・モデルによる推定を行った.その結果,次の2点が示唆された.一つは,地縁的な活動への参加には近所づきあいだけでなく,親戚・親類づきあい,スポーツ・趣味・娯楽活動を通じたつきあいの活発さが影響を与えている可能性があること,もう一つは,地縁的な活動への参加の影響要因と同様の対面づきあい要素が,ボランティア・NPO活動への参加の促進に対しても正の有意性を持つ可能性があることが示唆された.これらを踏まえると,今後は地縁的な活動,ボランティア・NPO活動への参加を一体的に高める取り組みの方向性を模索し,その制度化や具体化を進めていくことが一つの方向として望まれよう.
著者
武藤 桃太郎 武藤 瑞恵 石川 千里 井上 充貴 升田 晃生 高橋 裕之 萩原 正弘 青木 貴徳 橋本 道紀 稲葉 聡 矢吹 英彦
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.49-56, 2014

症例1は85歳, 女性。近医にてCEA9.2ng/mlと高値を指摘され当科紹介となった。CT検査, 超音波検査で虫垂部に嚢胞状腫瘤を認めた。注腸造影検査では盲腸下端に半球状の表面平滑な隆起性病変を認め, 虫垂は造影されなかった。虫垂粘液嚢腫の診断で盲腸部分切除術を施行し, 術後CEAは4.7ng/mlと正常化した。 症例2は74歳, 女性。高血圧, 高脂血症で当科通院中にCEA12.3ng/mlと高値を示し, CT検査, 超音波検査で虫垂部に嚢胞状腫瘤を認めた。注腸造影検査では盲腸に粘膜下腫瘍様隆起を認め, 虫垂は造影されなかった。虫垂粘液嚢腫の診断で盲腸部分切除術を施行し, 術後CEAは1.5ng/mlと正常化した。 いずれも病理検査で虫垂粘液嚢胞腺腫と診断され, 免疫染色ではCEA陽性であった。
著者
稲葉 佳之 厳 網林
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.44.3, pp.55-60, 2009-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
10

本研究は、都市近郊地域における農地利用の粗放化、つまり耕作放棄や駐車場・置場等への転用の発生について、20年間・5時期の時系列的変遷とそこから生じる空間パターンを解明することを目的とする。対象地域は神奈川県藤沢市西北部の市街化調整区域およそ737haとし、1/2500スケールで粗放地6種類、農地2種類、都市的土地利用2種類の土地利用図をGISで作成し、土地利用政策、農業政策、空間条件指標との関連を考察した。結果、20年間で全転換面積中の粗放地のシェアが拡大していること、粗放地を経由した都市的土地利用への転換が大きく減少し、粗放地が土地利用転換過程の一時的な利用形態ではなくなっている可能性があること、また、農用地区域、圃場整備などの農業政策は一部を除いて粗放地の発生を十分に抑制しない可能性があることが明らかとなった。
著者
阿部 章彦 加藤 匡志 稲葉 鋭
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
真菌と真菌症 (ISSN:05830516)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.254-259, 1989-12-25 (Released:2009-12-18)
参考文献数
18
被引用文献数
1

鉄と真菌の相互作用について著者らが行ってきた実験結果をもとに深在性真菌症の組織応答の面から検討した.1) 鉄過剰状態による易感染性: 鉄過剰状態後のICRマウスに Candida albicans を接種すると, 早期に腎膿瘍が形成され, 仮性菌糸が認められたが, 対照群ではその時点で膿瘍内に真菌要素はみられなかった. すなわち, 鉄過剰は真菌症の組織学的所見には本質的な差異をもたらさなかったが, 真菌要素の発育促進に大きな影響を与えていた. 白血病マウスを用いた実験でも同様の結果であった.2) 血清鉄低下による感染抵抗性: Lipopolysaccharide あるいは muramyl dipeptide を前処置して血清鉄を低下させた後, アスペルギルスを接種すると, その発育速度の低下がみられ, 真菌病変の形成に時相のずれをきたした.3) UIBC (不飽和鉄結合能) の低下による易感染性: 糖尿病性ケトアシドーシスによるUIBCの低下は, Rhizopus oryzae の発育を促進した.4) トランスフェリン量低下による易感染性: D (+) galactosamine 肝障害は, トランスフェリン量を低下させ, カンジダの発育を促進した.以上の鉄代謝の変化による深在性真菌症の組織応答は, それぞれの対照群と比べ, 本質的な差異はなかったが, 鉄代謝の変化は真菌の発育の速さと病変の広がりに影響を与えていた.
著者
星 秋夫 稲葉 裕 村山 貢司
出版者
Japanese Society of Biometeorology
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.3-11, 2007-06-01
被引用文献数
7

東京都と千葉市における 2000~2004 年の熱中症発生について解析した.熱中症発生率は東京都(人口 10 万対:4.4 人)よりも千葉市(9.4 人)で高かった.年齢階級別熱中症の発生は両都市共,5~19 歳と 65 歳以上とに,発生のピークを示す二峰性を示した.5~19 歳における熱中症発生は東京都,千葉市共に平日よりも日曜日,祭日で多かった.千葉市において,スポーツ時の発生は大部分が 5~19 歳であった.高齢者(65 歳以上)では大部分が生活活動時に発生した.熱中症の発生した日の日最高気温分布は東京都よりも千葉市で低温域にあった.日最高気温と日平均発生率との間に東京都と千葉市にそれぞれ異なる有意な相関関係を認め,千葉市で急勾配であった.日最高気温時 WBGT 分布は東京都と千葉市で同様であり,東京都と千葉市における日最高気温時 WBGT と日平均発生率との間に有意な相関関係を認めた.多重ロジスティックモデルの結果,日最高気温時 WBGT,日平均海面気圧,日照時間,降水量の因子について有意性を認めた.<br>
著者
稲葉 善太郎
出版者
静岡県農林技術研究所
雑誌
静岡県農林技術研究所研究報告 (ISSN:18828264)
巻号頁・発行日
no.5, pp.23-30, 2012-02

マーガレット育成系統'00-4-1'の自然交雑実生から白花・一重咲きの'ホワイトジュエル'を育成した。'ホワイトジュエル'は2007年3月2日付けで品種登録された(品種登録番号:14873)。マーガレット'ピンクサザンキャンドル'を種子親に育成系統'04-17-1'の花粉を交配して得た実生から桃花・一重咲きの'ピーチサザンキャンドル'を育成した。'ピーチサザンキャンドル'は2011年3月15日付けで品種登録された(品種登録番号:20552)。
著者
稲葉 善太郎
出版者
静岡県農林技術研究所
雑誌
静岡県農林技術研究所研究報告 = Bulletin of the Shizuoka Research Institute of Agriculture and Forestry (ISSN:18828264)
巻号頁・発行日
no.2, pp.9-16, 2009-03

マーガレット'ホワイトジュエル'を種子親に、'アーリーホワイト'の花粉を交配して得た種子を2004年に播種し、実生個体から'サザンエレガンスホワイト'を選抜した。本品種は、2007年3月に品種登録を出願し、2007年8月3日に出願公表、2008年10月16日付けで品種登録された(登録番号:17047、http://www.hinsyu.maff.go.jp/)。'サザンエレガンスホワイト'は、10月から開花する白花で、'在来白'並みの花型で、草姿のバランスが良い特徴がある、生産者には、生育が良い、草丈が高くなる、開花が早い、花型が良いことが評価された。南伊豆地域から出荷している主力市場において、切り花品種としての市場性が認められた。
著者
神尾 幸則 稲葉 行男 渡部 修一 小山 基 大江 信哉 林 健一 千葉 昌和
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.1634-1638, 2002 (Released:2011-06-08)
参考文献数
15
被引用文献数
3 2

症例は84歳の女性. 脳梗塞の既往があり, 心房細動, うっ血性心不全で近医通院中. 腹痛, 嘔気が出現し, イレウスの診断で入院となった. 大腸内視鏡検査でイレウスの原因が直腸S状部の2型腫瘍のためであると判明したため, 経肛門的に腫瘍口側にイレウスチューブを留置した. 肝機能異常のため手術を延期していたが, 入院20日目, 腹痛出現, 翌日には腹膜刺激症状を認め, 緊急手術を施行した. 開腹すると膿性腹水が骨盤内を中心に貯留しており, 腹膜炎の原因は腫瘍直上の口側腸管の穿孔と判明した. 手術はハルトマン手術を施行した. 標本を切開したところ, 癌腫の口側腸管に線状潰瘍とPTP包装薬剤を認めた. 最近, PTP (press through package)誤飲による消化管損傷が増加しているが, 大腸穿孔の例は本邦では5例と少なく, 直腸穿孔は本症例が本邦初の報告である.